TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024076023
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-05
出願番号2022187360
出願日2022-11-24
発明の名称位相同期ループ回路
出願人キュリアス株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類H03L 7/099 20060101AFI20240529BHJP(基本電子回路)
要約【課題】少ない回路面積の増加で位相同期ループ回路の耐放射線性能を向上させる。
【解決手段】それぞれがm段の遅延素子11からなり、平面視ループ形態のn個のリング発振ループ12と、各リング発振ループ12の遅延素子11の接続点において互いに対応するn個の前記接続点同士を接続し且つ入出力特性が正転であるm×nC2個の結合素子13と、前記接続点からの第1クロックが入力され1個を出力クロックとして選択する選択回路17と、選択回路17からの出力クロックをフィードバックした帰還クロックと基準クロックとを比較する比較回路とを備え、n個のリング発振ループ12は共通のバイアス回路16により制御され、選択回路17は、入力されるn個の第1クロックにおけるk個(n>k)を組み合わせた場合に最も遅いタイミングの第1クロックに準じて出力されるnCk個の第2クロックのうち、最も早いタイミングに準じて出力クロックを出力する。
【選択図】図12
特許請求の範囲【請求項1】
それぞれがm段の遅延素子(11)からなり、平面視ループ形態のn個のリング発振ループ(12)と、前記各リング発振ループ(12)の前記遅延素子(11)の接続点において互いに対応するn個の前記接続点同士を接続し且つ入出力特性が正転であるm×



個の結合素子(13)と、前記互いに対応するn個の前記接続点からの第1クロックが入力されて1個を出力クロックとして選択する選択回路(17)と、前記選択回路(17)からの出力クロックをフィードバックした帰還クロックと基準クロックとを比較する比較回路とを備え、前記n個の前記リング発振ループ(12)は共通のバイアス回路(16)により制御されており、前記選択回路(17)は、入力されるn個の第1クロックにおけるk個(n>k)を組み合わせた場合に最も遅いタイミングの前記第1クロックに準じて出力される



個の第2クロックのうち、最も早いタイミングに準じて前記出力クロックを出力するようにした位相同期ループ回路。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
前記選択回路(17)を、入力される前記n個の第1クロックにおけるk個(n>k)を組み合わせた場合に最も早いタイミングの信号に準じて出力される



個の第2クロックのうち、最も遅いタイミングに準じて前記出力クロックを出力するようにした請求項1に記載の位相同期ループ回路。
【請求項3】
前記リング発振ループ(12)の結合素子(13)の結合強度が可変である請求項1または2に記載の位相同期ループ回路。
【請求項4】
前記遅延素子(11)の入出力を差動にした請求項1または2に記載の位相同期ループ回路。
【請求項5】
前記遅延素子(11)または前記結合素子(13)の少なくとも一方におけるNMOSトランジスタのドレインの近傍に、そのドレインよりも高い電位を印加した拡散層を配した請求項1または2に記載の位相同期ループ回路。
【請求項6】
前記遅延素子(11)または前記結合素子(13)の少なくとも一方におけるPMOSトランジスタのドレインの近傍に、そのドレインよりも低い電位を印加した拡散層を配した請求項1または2に記載の位相同期ループ回路。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線の照射などの外乱に対する耐性を高めた位相同期ループ回路に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
現在の電子機器には、ほぼすべてに半導体集積回路(IC)が搭載されている。半導体ICは、その性能とコストで電子機器の高性能化と小型化を支えてきた。また、電子機器のデジタル化に伴い、最近の半導体ICは大規模のデジタル回路を備えており、様々な演算処理を高速に行えるのである。この演算処理を行うデジタル回路は、半導体内部で生成されるクロックに同期して動作しており、このクロックを高速化することによって高性能なデジタル演算を可能にしてきた。半導体IC内のクロックの生成には、通常は位相同期ループ回路(Phase Lock Loop:PLL)が用いられている。このPLLは、周期的なクロック信号を生成する発振器(オシレータ)を備えており、このオシレータの発振周波数をフィードバック制御によって所望の周波数に調整している。これにより、安定した周波数のクロックをデジタル回路に供給し、高度なデジタル演算処理を実現しているのである。
【0003】
ところで、近年は人工衛星などの宇宙機器にもたくさんの電子機器が搭載されており、その中にICが使用されている。人工衛星は、一度打ち上げると部品の修理は不可能であるので、民生機器以上の信頼性が当然ながら求められる。この宇宙機器における信頼性に関する大きな懸念事項は耐放射線性能であり、宇宙空間での放射線の種類と量の多さから民生機器と比較して非常に高いレベルが求められるのである。
【0004】
放射線照射によるICへの影響の一つに、シングルイベント効果(Single Event Effect、以下SEEという。) がある。シングルイベント効果とは、高エネルギー粒子がIC内に入射することによって発生する現象である。宇宙空間に存在する陽子、中性子、α線、重イオンなどが発生要因として挙げられる。高エネルギー粒子が半導体IC100に入射すると、図1(a)に示すように、電離作用により軌跡に沿って電子正孔対が生成され、空乏層の外まで電界が拡がる。そして、図1(b)に示すように、空乏層内で発生した電子及び正孔は、空乏層電界により拡散領域に収集される。さらに、電界が拡がったことによって空乏層外で発生した電子及び正孔も拡散領域に収集される。この現象をファネリング効果と呼び、高エネルギー粒子による異常電荷収集の最大の原因と考えられている。
【0005】
この電荷の収集においては、空乏層内で正孔が電位の低いところへ、電子が電位の高いところへそれぞれ移動する。図1(a)(b)は、NMOSトランジスタの例を示しており、生成された正孔は、グランド電位(VSS)に接続されているソースのn+拡散層とp型の基板をVSSに接続しているp+拡散領域(図示せず)に収集される。また、電子は高い電位の方に収集されるため、図1(b)におけるドレインのn+拡散層に収集される。ソースのn+拡散層は、通常はドレインのn+拡散層より低い電位となるので、電子は主にドレイン拡散層に収集されることになる。
【0006】
なお、ここで言う放射線とは、粒子の流れであるα線、β線、中性子線や、電磁波であるγ線、エックス線を当然に含んでいるが、加えて半導体集積回路内でキャリア(電子および正孔)を発生させる原因となる外乱を広く含む概念である。
【0007】
このキャリアの収集によっておこるシングルイベント効果について説明する。図2は、NMOSとPMOSのドレインとゲート同士をそれぞれ接続するとともに、NMOSとPMOSのソースをそれぞれVSSと電源に接続したCMOSインバータ101を示している。このインバータ構成は、CMOSデジタル回路のもっとも基本となる素子構造であり、本図では入力(IN)がVSS電位(=0)に、出力(OUT)が電源電位(=1)の状態になっている。図2に示すように、空乏層内でVSSとドレイン拡散層にそれぞれ移動した正孔と電子は、正孔がVSSに収集され、電子が当該ドレイン拡散層からPMOSのドレイン(p+拡散層)及びゲート下のチャネルを介してPMOSのソース(p+拡散層)に到達し電源に収集される。このキャリアの一連のVSSと電源への移動によって、電源からグランドにドリフト電流が流れる(図2中に示す太字矢印を参照)。この瞬時電流が流れることによって、瞬間的にインバータの出力(OUT)が1から0に変化する。これがシングルイベントトランジェント(SET)である。このSETによって、一時的にデジタル回路の論理が変わってしまうので、半導体IC内で誤動作が発生してしまうのである。上記の瞬時的なドリフト電流を、ここではSET電流と呼ぶ。
【0008】
図3に一般的な位相同期ループ回路102(PLL)のブロック図を示す。PLL102は、次の5つの回路ブロック、すなわち、i)位相周波数比較器(Phase/Frequency Detector:PFD)103、ii)チャージポンプ(Charge Pump:CP)104、iii)ループフィルタ(Loop Filter:LF)105、iv)電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator:VCO)106、v)分周回路(Frequency Devider:FD)107で構成されている。PLL102は、出力クロックをフィードバック制御することによって、安定した周波数のクロックを生成する。またFD107の比の値を変化させることで出力クロックの周波数を変化させることができる。
【0009】
PLL102の動作は、まずPFD103で基準クロック(CLKref)とフィードバッククロック(CLKdiv)の位相比較を行う。比較した位相差をCP104によって電流(Icp)に変換する。その後、LF105により平滑化し、その平滑化された電圧信号(Vctrl)を制御電圧としてVCO106にてクロックとして信号を出力する。この出力クロック(CLKout)は、FD107にて分周されるので、FD107の比を変えることにより周波数を変化させることができるのである。
【0010】
ここで、放射線のPLL102への影響を検討すると、上記5ブロック中では、VCO106への放射線の照射が最も影響が大きい。なぜなら、VCO106は発振器であり、そこにSET電流が外乱として印加されると、周波数そのものが変化してしまうからである。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
D型フリップフロップ
2か月前
日本電波工業株式会社
圧電発振器
1日前
日本電波工業株式会社
水晶発振器
9日前
太陽誘電株式会社
電子部品
27日前
住友電気工業株式会社
増幅器
1か月前
富士電機株式会社
半導体装置
9日前
コーデンシ株式会社
信号増幅装置
27日前
ミツミ電機株式会社
駆動回路
6日前
ローム株式会社
差動増幅回路
2か月前
台灣晶技股ふん有限公司
懸垂型共振器
2か月前
ローム株式会社
半導体集積回路
1か月前
ローム株式会社
D級アンプ回路
1か月前
富士通株式会社
増幅装置及び増幅方法
23日前
ローム株式会社
半導体集積回路
1か月前
個人
パワーデバイス制御用HVICの安全回路
1か月前
エイブリック株式会社
ボルテージフォロワ回路
1か月前
国立大学法人東海国立大学機構
電力増幅器
1か月前
日本電波工業株式会社
水晶振動子用の水晶ウエハ
14日前
株式会社小野測器
センサ信号変換器
1か月前
ミツミ電機株式会社
半導体集積回路
6日前
コーデンシ株式会社
アナログスイッチ回路
6日前
株式会社村田製作所
高周波モジュール
7日前
三菱電機株式会社
調整装置、調整方法
27日前
ミツミ電機株式会社
半導体集積回路装置
1か月前
富士フイルム株式会社
電子機器
1か月前
日本電気株式会社
原子発振器
1か月前
セイコーエプソン株式会社
振動素子
2か月前
株式会社NTTドコモ
リニアライザ
1か月前
ルネサスエレクトロニクス株式会社
耐圧制御回路
1か月前
セイコーエプソン株式会社
振動素子
2か月前
三菱電機株式会社
スイッチング素子駆動回路
1か月前
株式会社フジクラ
電力増幅装置
1か月前
三安ジャパンテクノロジー株式会社
弾性波デバイス
1か月前
ローム株式会社
半導体装置
1か月前
日置電機株式会社
電流出力装置および抵抗測定装置
1か月前
三安ジャパンテクノロジー株式会社
弾性波デバイス
1か月前
続きを見る