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公開番号2024070740
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-23
出願番号2022181448
出願日2022-11-11
発明の名称加力試験装置
出願人大成建設株式会社,一般財団法人免震研究推進機構,国立大学法人東京工業大学
代理人園田・小林弁理士法人
主分類G01N 3/32 20060101AFI20240516BHJP(測定;試験)
要約【課題】試験体に作用する水平力を正確に検出可能であり、簡潔な構造で実現することができる加力試験装置を提供する。
【解決手段】加力試験装置10は、複数の鉛直動的ジャッキ21と、上面に試験体Tが固定される加振テーブル11と、試験体Tの上端を固定する反力梁13と、複数の水平動的ジャッキ22と、一端30aが反力梁13に固定され、他端30bが反力壁3に固定される反力検出器30と、下端15eが反力床2に対して相対移動不能に設けられ、上端15dが反力梁13に接合されて反力梁13を支持するゴム支持材15と、一端17aが反力梁13に固定され、他端17bが反力床2に固定された緊張材17と、を備え、試験体Tに作用する水平力は、反力検出器30で計測される第1の水平力と、ゴム支持材15が変形して伝達される第2の水平力との合算値である。
【選択図】図3


特許請求の範囲【請求項1】
構造物または当該構造物の構成部材に関する試験体に対して、鉛直方向と水平方向から力を同時に作用させ、前記試験体の応答を計測する加力試験装置であって、
反力床の上方に設けられる複数の鉛直動的ジャッキと、
前記鉛直動的ジャッキの上方に設置され、上面に前記試験体が固定される加振テーブルと、
前記試験体の上端を固定する反力梁と、
一端が反力壁に固定され、他端が前記加振テーブルに固定される複数の水平動的ジャッキと、
一端が前記反力梁に固定され、他端が前記反力壁に固定される反力検出器と、
下端が前記反力床に対して相対移動不能に設けられ、上端が前記反力梁に接合されて前記反力梁を支持するゴム支持材と、
一端が前記反力梁に固定され、他端が前記反力床に固定された緊張材と、
を備え、
前記試験体に作用する水平力は、前記反力検出器で計測される第1の水平力と、前記ゴム支持材が変形して伝達される第2の水平力との合算値であることを特徴とする加力試験装置。
続きを表示(約 310 文字)【請求項2】
前記ゴム支持材は、単層のゴム支承、または複数層からなる積層ゴム支承であることを特徴とする請求項1に記載の加力試験装置。
【請求項3】
前記ゴム支持材は複数設置され、前記ゴム支持材の各々は、隣接した位置に設けられた前記緊張材によるプレストレス力で、所定の圧縮応力が作用した状態で拘束されていることを特徴とする請求項1または2に記載の加力試験装置。
【請求項4】
前記反力検出器は、前記反力梁と前記反力壁の間に複数配置され、当該反力検出器にはロードセルが内蔵され、かつ曲げモーメントを低減させる接合部が両端に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の加力試験装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物または当該構造物の構成部材を模擬した試験体に対して、鉛直力と水平力を同時に作用させ、試験体の応答を計測する加力試験装置であり、免震装置の三方向または二方向の動的加力試験機の水平力測定値に摩擦力・慣性力を混入させない技術の発明である。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
建物を建築するに際し、建物の構造部材等の信頼性を実証するために、構造部材等に関する試験体に対して力を作用させ、試験体の応答を計測する実大実験が行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、縦用のスイーベルジョイント付加振器と、横用のスイーベルジョイント付加振器と、加振力を伝達し、微少な摩擦でテーブルを縦に案内し回転動を拘束するスライドベアリング、及びスライドベアリング軸支持装置と、を備え、被試験体に縦動単独、横動単独、もしくは縦横同時連成加振力を与える試験装置が開示されている。
また、特許文献2には、可撓性部材の一端を保持する第1保持部を鉛直方向に往復移動可能な第1加力部と、可撓性部材の他端を保持する第2保持部を第1の水平方向に往復移動する第2加力部と、第2保持部を第1の水平方向とは異なる第2の水平方向に往復移動する第3加力部とを備える試験装置が開示されている。
これらの特許文献1、2の構成では、試験体の応答を正確に計測できない可能性がある。例えば特許文献2の構成において、可撓性部材の他端を保持する第2保持部を水平方向に揺動可能に設けられた継手に、ロードセルを設け、このロードセルによって、可撓性部材に作用する水平力を計測することが考えられる。この場合においては、ロードセルによって計測される水平力には、第2保持部を静止した状態から移動させたり、第2保持部の移動方向を変えたりする際に、第2保持部に作用する慣性力が含まれてしまう。また、第2支持部と、第2支持部を揺動可能に支持する支持台との間に生じる摩擦力も、ロードセルによって計測される水平力に含まれてしまう。
このように、特許文献1、2の構成において、試験体に作用する水平力を計測しようとしても、慣性力や摩擦力が含まれた水平力が計測されてしまう。
【0004】
これに対し、特許文献3には、反力床に固定する下反力梁と、下反力梁上に水平移動可能に配置されて試験体を固定する可動テーブルと、可動テーブルを上部から押える押え格子と、一端を反力壁または反力床に固定し、他端を押え格子に固定する押え格子リンクと、試験体の上端を固定する上反力梁と、一端を反力壁に固定し、他端を上反力梁に固定する上反力梁リンクと、を有した試験装置が開示されている。
上反力梁は、上反力梁リンクにより、水平方向の移動が拘束されている。上反力梁リンクには、ロードセルが取り付けられている。
下反力梁と押え格子を貫通するように、貫通ロッドが設けられている。貫通ロッドは、上反力梁に固定され、上反力梁を支持している。貫通ロッドは、押え格子と押え格子より上部に配置された上ブロックとの間に固定された上ラムシリンダーと、下反力梁と下反力梁より下部に配置された下ブロックとの間に固定された下ラムシリンダーを備えている。可動テーブルには、一端を反力壁に取り付けた水平アクチュエータが取り付けられている。
貫通ロッドは、球面座金を介して、上反力梁に固定されている。この球面座金により、貫通ロッドの曲げやせん断による水平力の発生が抑制され、貫通ロッドから上反力梁に伝達される水平力は無視できるものとなる。
【0005】
上記のような試験装置において、例えばせん断試験を行う際には、水平アクチュエータを起動して、可動テーブルを水平移動させることで、試験体に対して水平力を付与する。上反力梁リンクのロードセルにより、試験体に作用する水平力が計測される。
このように、水平アクチュエータによって水平移動される可動テーブルに作用する水平力ではなく、可動テーブルを挟んで試験体の上端を固定する上反力梁に対して、可動テーブルから試験体を介して作用する水平力が計測される。このようにして計測される水平力には、可動テーブルを動かす際の慣性力や、可動テーブルとこれを支持する他の部材との間に作用する摩擦力が含まれないため、試験体に作用する力を明確に把握することができる。
【0006】
しかし、特許文献3の構成においては、上反力梁を支持するに際し、下反力梁から上反力梁までを挿通するように貫通ロッドを設けている。このような構成では、貫通ロッドの曲げとせん断による水平力の発生を防ぐために、貫通ロッドと上反力梁との接合部に球面座金を設ける等、構造が複雑なものとなっている。したがって、特許文献3の構成を実現するには、コストが嵩む。
また、特許文献3の可動テーブル上に乗せられる試験体には大きな鉛直荷重が作用するが、可動テーブルの上下はラムジャッキと抑え格子で挟まれており、可動テーブルの上下面にも大きな摩擦力が作用する。このため、水平ジャッキの能力を高める必要があった。
更に、球面座金の部分においても、厳密には摩擦が生じているため、これによる摩擦力が、測定される水平力に影響し、水平力を正確に検出できない場合もある。
試験体に作用する水平力を正確かつリアルタイムに検出できる加力試験装置を、簡潔な構成で、実現することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平1-178844号公報
特開2002-333392号公報
特許第6842721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、試験体に作用する水平力を正確かつリアルタイムに検出可能であり、簡潔な構造で実現することができる加力試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、加力試験装置(例えば、免震装置の三方向または二方向の動的加力試験機)として、加振テーブル上に設置する試験体に作用する水平力測定値に、加振テーブルを動かす際の慣性力、および加振テーブルとこれを支持する部材との間に作用する摩擦力が混入していない反力梁の側で測定することを考え、試験体を固定する反力梁を介し、反力壁と前記反力梁との間に設ける反力検出器で計測される第1の水平力と、前記反力梁に接合されたゴム支持材が変形して伝達される第2の水平力との合算値として直接測定する、免震装置の三方向または二方向の動的加力試験機の水平力測定値に摩擦力・慣性力を混入させない技術を発明した。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、構造物または当該構造物の構成部材に関する試験体に対して、鉛直方向と水平方向から力を同時に作用させ、前記試験体の応答を計測する(例えば、3軸加力試験装置、または2軸加力試験装置)加力試験装置において、水平力測定値に摩擦力・慣性力を混入させない技術の発明であって、反力床の上方に設けられる複数の鉛直動的ジャッキと、前記鉛直動的ジャッキの上方に設置され、上面に前記試験体が固定される加振テーブルと、前記試験体の上端を固定する反力梁と、一端が反力壁に固定され、他端が前記加振テーブルに固定される複数の水平動的ジャッキと、一端が前記反力梁に固定され、他端が前記反力壁に固定される反力検出器と、下端が前記反力床に対して相対移動不能に設けられ、上端が前記反力梁に接合されて前記反力梁を支持するゴム支持材と、一端が前記反力梁に固定され、他端が前記反力床に固定された緊張材と、を備え、前記試験体に作用する水平力は、前記反力検出器で計測される第1の水平力と、前記ゴム支持材が変形して伝達される第2の水平力との合算値であることを特徴とする、免震装置の三方向または二方向の動的加力試験機の水平力測定値に摩擦力・慣性力を混入させない技術の発明である。
このような構成によれば、試験体は、加振テーブルの上に設置される。試験体の上端は反力梁で固定される。加振テーブルが、鉛直動的ジャッキ、及び水平動的ジャッキにより動かされると、試験体には、鉛直力に加え、水平力が作用する。試験体に作用する水平力は、反力梁を介し、反力壁と反力梁との間に設けられる反力検出器に、圧縮力または引張力として伝達する。ここで、反力梁は、下端が反力床に対して相対移動不能に設けられているゴム支持材によって、下方から支持されており、反力梁は反力床に対して相対移動が可能な状態となっているため、この水平力の伝達は、ゴム支持材によっては阻害されない。このようにして反力検出器に伝達された水平力は、第1の水平力として計測される。
上記の要領で反力検出器が第1の水平力を検出するに際し、反力検出器は、反力検出器に伝達する水平力の影響を受けて、僅かながら圧縮変形または伸長変形し、反力梁は、この圧縮量、伸長量の分だけ、水平方向に移動する。試験体に伝達した水平力のうち、この、反力検出器の変形及び反力梁の移動のために消費される水平力は、反力検出器によって第1の水平力として計測され得ない。ここで、反力検出器の圧縮量、伸長量は、微小なものであり、これに伴う反力梁の移動量、及びゴム支持材の変形量も、微小なものとなる。ゴム支持材の変形量とゴム支持材に作用する水平力の関係は、変形量が微小である初期変形段階においては基本的に比例関係となる。したがって、この関係を予め把握しておけば、ゴム支持材の変形量を基に、反力梁に伝達される水平力のうち、第1の水平力として反力検出器によって計測されない部分を、第2の水平力、すなわちゴム支持材が変形して伝達される成分として把握することができる。
こうして検出された、反力検出器で計測される第1の水平力と、ゴム支持材が変形して伝達される第2の水平力とを合算することにより、試験体に作用する水平力を、正確に検出することができる。
ここで、第1及び第2の水平力は、水平動的ジャッキによって直接動かされる加振テーブルに対して計測されるものではない。したがって、第1及び第2の水平力には、加振テーブルを動かす際の慣性力や、加振テーブルとこれを支持する部材との間に作用する摩擦力が含まれない。
また、反力梁が、反力床に対し、緊張材によって接続されているため、反力梁の鉛直方向の変位は抑制される一方で、水平方向には剛には拘束されていない。このため、ゴム支持材に作用する水平力は、鉛直方向に緊張材を通して伝達されにくい。これにより、水平力の計測精度が向上する。
以上が相乗し、試験体に作用する水平力を正確に検出することができる。
また、上記のような構成においては、反力梁を支持するに際し、基本的にはゴム支持材と緊張材を設ければ良いため、構成が簡潔なものとなる。
更に、上記のような構成においては、摩擦力と慣性力の影響を受けていないため、水平力の検出をリアルタイムで行うことが可能である。
その結果、試験体に作用する水平力を正確かつリアルタイムに検出可能であり、簡潔な構造で実現することができる加力試験装置を提供することが可能となる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記ゴム支持材が、単層のゴム支承、または複数層からなる積層ゴム支承である。
このような構成によれば、単層のゴム支承、または積層ゴム支承であるゴム支持材は、高い鉛直剛性を有しており、鉛直方向の変形が抑えられる。このため、ゴム支持材に水平力が作用した際に、ゴム支持材の鉛直方向の変形が抑えられ、ゴム支持材は、作用した水平力の分だけ、水平方向にスムーズに変形することができる。したがって、第2の水平力を、正確に、把握することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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