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公開番号2024033869
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2022137753
出願日2022-08-31
発明の名称スラグのエージング方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C04B 5/00 20060101AFI20240306BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】エージング処理施設に粒度や空隙率の互いに異なるスラグを積み付けて、堆積物を形成する場合であっても、堆積物の互いに異なる箇所でのスラグの粒度や空隙率のバラツキを抑制してスラグのエージングのバラツキを低減することができ、また、エージング後のスラグを使用した製品の膨張を抑制することのできるスラグのエージング方法を提供する。
【解決手段】エージング処理施設1,10に積み付けたスラグのエージング方法であって、エージング処理施設1,10に積み付けるスラグと堆積物3を形成しているスラグとのうち、少なくとも一方のスラグの少なくとも二箇所からスラグをサンプリングして粒度と空隙率との少なくとも一方を算出する算出工程と、スラグの粒度と空隙率との少なくとも一方に基づいて二箇所のうち、第一箇所におけるスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方を調整する調整工程とを有する。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
エージング処理施設にスラグを積み付けて形成した堆積物に対し、水蒸気を供給して前記スラグのエージングを行うスラグのエージング方法であって、
前記エージング処理施設に積み付けるスラグと、前記堆積物を形成しているスラグとのうち、少なくとも一方のスラグにおける互いに異なる少なくとも二箇所からスラグをサンプリングし、前記サンプリングしたスラグの粒度と空隙率との少なくとも一方をそれぞれ算出する算出工程と、
前記算出工程で算出したスラグの粒度と空隙率との少なくとも一方に基づいて、前記二箇所のうち、第一箇所における前記スラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方を調整する調整工程と、
を有するスラグのエージング方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記サンプリングしたスラグは、前記エージング処理施設に積み付けるスラグである、請求項1に記載のスラグのエージング方法。
【請求項3】
前記調整工程では、互いに異なる少なくとも二箇所からサンプリングした前記エージング処理施設に積み付けるスラグの空隙率同士の差が10%未満になるように、前記二箇所のうち、前記第一箇所における前記エージング処理施設に積み付けるスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方が調整される、
請求項2に記載のスラグのエージング方法。
【請求項4】
前記調整工程では、前記算出工程で算出した互いに異なる少なくとも二箇所からサンプリングした前記エージング処理施設に積み付けるスラグの粒度と空隙率との少なくとも一方に基づいて、前記サンプリングした前記エージング処理施設に積み付けるスラグのそれぞれに水蒸気を供給した場合の圧力損失を推定し、かつ、前記圧力損失同士の差が1000Pa/m未満になるように、前記二箇所のうち、前記第一箇所における前記エージング処理施設に積み付けるスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方が調整される、請求項2に記載のスラグのエージング方法。
【請求項5】
前記サンプリングしたスラグは、前記堆積物を形成しているスラグである、請求項1に記載のスラグのエージング方法。
【請求項6】
前記調整工程では、互いに異なる少なくとも二箇所からサンプリングした前記堆積物を形成しているスラグの空隙率同士の差が10%未満になるように、前記堆積物を形成しているスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方が調整される、
請求項5に記載のスラグのエージング方法。
【請求項7】
前記調整工程では、前記算出工程で算出した互いに異なる少なくとも二箇所からサンプリングした前記堆積物を形成しているスラグの粒度と空隙率との少なくとも一方に基づいて、前記サンプリングした前記堆積物を形成しているスラグのそれぞれに水蒸気を供給した場合の圧力損失を推定し、かつ、前記圧力損失同士の差が1000Pa/m未満になるように、前記堆積物を形成しているスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方が調整される、請求項5に記載のスラグのエージング方法。
【請求項8】
前記調整工程では、前記堆積物の外周部に積み付けるスラグの平均粒径が、前記堆積物の外周部以外に積み付けるスラグの平均粒径以下となるように、前記堆積物の外周部に積み付けるスラグの平均粒径が調整される、
請求項2に記載のスラグのエージング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、スラグに水和処理を行って当該スラグを使用した製品の膨張を抑制するスラグのエージング方法に関し、特に、水蒸気によってスラグのエージングを行う方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
鉄鋼業では、高炉、予備処理プロセス(例えば混銑車)、転炉、電気炉等からスラグが副生される。これらのうち、予備処理プロセス、転炉、電気炉から副生されるスラグを特に製鋼スラグと称する。製鋼工程では、溶銑中に含まれる燐や珪素などを除去するため、副原料として多量の石灰が投入される。そのため、製鋼スラグ中には、未溶解の石灰や、冷却時に晶出した石灰が遊離の酸化カルシウム(以下、f-CaOと記す。)として残留している。このf-CaOは水和反応によって水酸化カルシウム(以下、Ca(OH)

と記す。)となり、f-CaOと比較して約2倍程度に体積膨張する。したがって、製鋼スラグ中のf-CaOが水和して体積膨張すると、製鋼スラグが粉化し、その粉化の影響で製鋼スラグの粒度が規定の粒度を外れてしまう懸念がある。また、製鋼スラグの出荷後に膨張してしまう懸念がある。
【0003】
製鋼スラグの用途としては、路盤材やコンクリート用細骨材などがある。これらの用途において、水和反応によって製鋼スラグ中のf-CaOが体積膨張すると、路盤が隆起したり、コンクリートに亀裂が生じたりする可能性がある。そのため、上述した用途に使用される製鋼スラグは、JIS A 5015に規定される膨張特性を満たすことが要求されている。現状では、製鋼スラグの出荷前に大気エージングや蒸気エージングを行って製鋼スラグの体積を安定化させている。こうすることによって、製鋼スラグの出荷後における膨張や粉化のリスクを低減している。なお、大気エージングとは、スラグヤードなどで製鋼スラグを長期間保管することによって空気中の水分と製鋼スラグ中のf-CaOとを水和反応させる製鋼スラグのエージング方法を意味している。蒸気エージングとは、製鋼スラグに水蒸気を供給することによって上述した水和反応を生じせる製鋼スラグのエージング方法を意味している。
【0004】
特許文献1に蒸気エージング方法の一例が記載されており、その方法では、蒸気エージング設備に積み付けた製鋼スラグに水蒸気を供給している期間に、製鋼スラグの堆積状態を変化させてスラグのエージングを実施するようになっている。具体的には、蒸気エージング設備の浸透性層に複数の蒸気配管と複数のガス配管とが埋設されており、ガス配管から高圧の空気を吹き込むことによって、製鋼スラグのうち、少なくとも粒度の小さい細粒スラグの位置を変えて水蒸気の通過する経路を変化させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-152601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
製鋼工程で生じた製鋼スラグは、具体的には、冷却された後、予め設定された大きさに粉砕される。また、スラグのエージングを行う処理施設(以下、エージング処理施設と記す。)に積み付けるスラグ(以下、単にスラグと記す。)や、当該スラグよりも粒度の小さいスラグ(以下、細粒スラグと記す。)など、様々な粒度に大別されてスラグの仮置き場に載置される。仮置き場に載置するスラグの量や、スラグを載置する期間、仮置き場の場所などの条件は様々であり、同じ仮置き場においてもスラグの粒度偏析が生じる可能性がある。そのため、異なる仮置き場に載置されているスラグや、同じ仮置き場の互いに異なる箇所に載置されているスラグの状態、つまり、スラグの粒度や空隙率には、バラツキがある可能性がある。したがって、このように粒度や空隙率にバラツキのあるスラグをエージング処理施設に積み付けて堆積物を形成すると、当該堆積物においても、スラグの粒度や空隙率が互いに異なる部分、つまり、空隙率にバラツキが生じる可能性がある。そのため、前記堆積物に水蒸気を供給すると、前記スラグの空隙率が他の箇所よりも大きい部分から水蒸気が抜けてしまい、堆積物における互いに異なる箇所でのスラグのエージングにバラツキが生じる可能性がある。
【0007】
特許文献1に記載の蒸気エージング方法は、堆積物中において、高圧の空気が吹き込まれた箇所での細粒スラグの位置を変化させるものであり、堆積物全体としてスラグの粒度や空隙率のバラツキを抑制することはできず、未だ改良の余地があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、エージング処理施設に粒度や空隙率の互いに異なるスラグを積み付けて、堆積物を形成する場合であっても、堆積物における互いに異なる箇所でのスラグの粒度や空隙率のバラツキを抑制してスラグのエージングのバラツキを低減することができ、また、エージング後のスラグを使用した製品の膨張を抑制することのできるスラグのエージング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、
[1]エージング処理施設にスラグを積み付けて形成した堆積物に対し、水蒸気を供給して前記スラグのエージングを行うスラグのエージング方法であって、前記エージング処理施設に積み付けるスラグと、前記堆積物を形成しているスラグとのうち、少なくとも一方のスラグにおける互いに異なる少なくとも二箇所からスラグをサンプリングし、前記サンプリングしたスラグの粒度と空隙率との少なくとも一方をそれぞれ算出する算出工程と、前記算出工程で算出したスラグの粒度と空隙率との少なくとも一方に基づいて、前記二箇所のうち、第一箇所における前記スラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方を調整する調整工程と、を有するスラグのエージング方法。
[2]前記サンプリングしたスラグは、前記エージング処理施設に積み付けるスラグである、上記の[1]に記載のスラグのエージング方法。
[3]前記調整工程では、互いに異なる少なくとも二箇所からサンプリングした前記エージング処理施設に積み付けるスラグの空隙率同士の差が10%未満になるように、前記二箇所のうち、前記第一箇所における前記エージング処理施設に積み付けるスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方が調整される、上記の[2]に記載のスラグのエージング方法。
[4]前記調整工程では、前記算出工程で算出した互いに異なる少なくとも二箇所からサンプリングした前記エージング処理施設に積み付けるスラグの粒度と空隙率との少なくとも一方に基づいて、前記サンプリングした前記エージング処理施設に積み付けるスラグのそれぞれに水蒸気を供給した場合の圧力損失を推定し、かつ、前記圧力損失同士の差が1000Pa/m未満になるように、前記二箇所のうち、前記第一箇所における前記エージング処理施設に積み付けるスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方が調整される、上記の[2]に記載のスラグのエージング方法。
[5]前記サンプリングしたスラグは、前記堆積物を形成しているスラグである、上記の[1]に記載のスラグのエージング方法。
[6]前記調整工程では、互いに異なる少なくとも二箇所からサンプリングした前記堆積物を形成しているスラグの空隙率同士の差が10%未満になるように、前記堆積物を形成しているスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方が調整される、上記の[5]に記載のスラグのエージング方法。
[7]前記調整工程では、前記算出工程で算出した互いに異なる少なくとも二箇所からサンプリングした前記堆積物を形成しているスラグの粒度と空隙率との少なくとも一方に基づいて、前記サンプリングした前記堆積物を形成しているスラグのそれぞれに水蒸気を供給した場合の圧力損失を推定し、かつ、前記圧力損失同士の差が1000Pa/m未満になるように、前記堆積物を形成しているスラグの粒度と締まり具合とのうち、少なくとも一方が調整される、上記の[5]に記載のスラグのエージング方法。
[8]前記調整工程では、前記堆積物の外周部に積み付けるスラグの平均粒径が、前記堆積物の外周部以外に積み付けるスラグの平均粒径以下となるように、前記堆積物の外周部に積み付けるスラグの平均粒径が調整される、上記の[2]に記載のスラグのエージング方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、堆積物における互いに異なる箇所でのスラグの空隙率のバラツキを低減することができる。そのため、堆積物全体として水蒸気が抜けにくくなり、スラグのエージングのバラツキを低減することができる。また、エージング後のスラグを使用した製品の膨張を抑制することができる。さらに、水蒸気のロス、すなわち、エネルギのロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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