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公開番号2024052846
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-12
出願番号2024026942,2023108793
出願日2024-02-26,2023-06-30
発明の名称焼結体の製造方法
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C04B 35/488 20060101AFI20240405BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】
高温領域での精密な温度制御を必須とすることなく、なおかつ、ジルコニアの組成物の安定化元素の含有量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を満たす焼結体が得られる、短時間焼結による焼結体の製造方法、を提供することを目的とする。
【解決手段】
安定化元素を含有するジルコニアの組成物を昇温開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温工程、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温工程、及び、該第二到達温度で保持する保持工程、を有する安定化元素を含有するジルコニアの焼結体の製造方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
安定化元素を含有し、安定化元素の含有量が2.5mol%以上8mol%以下であり、立方晶及び正方晶の少なくともいずれかを主相とし、BET比表面積が5m

/g以上であるジルコニアの仮焼体を昇温開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温工程、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温工程、及び、該第二到達温度で保持する保持工程、を有する安定化元素を含有するジルコニアの焼結体の製造方法。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
前記保持工程における保持時間が20分未満である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第二到達温度と前記第一到達温度の差が300℃以上600℃以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
第一到達温度まで昇温速度に対する第二到達温度まで昇温速度が0.15以上1.0以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記昇温開始温度が室温から500℃のいずれかの温度である上請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第二到達温度から、800℃以上1200℃以下のいずれかの降温温度まで降温して焼結体を焼結炉から取出す降温工程、を有する請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記安定化元素がイットリウム、カルシウム、セリウム、マグネシウム、プラセオジウム、イッテルビウム、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記組成物が、ジルコニウム及びハフニウム以外の遷移金属元素、並びに、ランタノイド系希土類元素の少なくともいずれかの着色元素を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記着色元素が、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、エルビウム(Er)、テルビウム(Tb)及びイッテルビウム(Yb)の群から選ばれる1以上である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
安定化元素を含有し、安定化元素の含有量が2.5mol%以上8mol%以下であり、立方晶及び正方晶の少なくともいずれかを主相とし、BET比表面積が5m

/g以上であるジルコニアの仮焼体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ジルコニアの焼結体の製造方法、特に短時間でジルコニアの焼結体を製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
ジルコニアを主成分とする焼結体は、クラウンやブリッジ等の歯科補綴材用途に適用されている。焼結体は、室温から最高到達温度までの昇温、最高到達温度での保持及び最高到達温度からの降温を含み、最高到達温度での保持に2時間以上、かつ、合計で7時間以上を要する焼結(以下、「通常焼結」ともいう。)により、自然歯と同等な審美性を得ていた。そのため、これらの焼結体の製造には長い焼結時間が必要であった。
【0003】
これに対し、近年、通常焼結と比べて焼結に要する時間が短い焼結方法(以下、「短時間焼結」ともいう。)であっても、通常焼結で得られる焼結体(以下、「通常焼結体」ともいう。)と同等の審美性を有する焼結体が得られる短時間焼結の方法が検討されている。
【0004】
短時間焼結では、主として昇温速度を改良することで、最高温度での保持時間を短縮し、焼結に要する時間の短縮が検討されている。例えば、特許文献1では、3段階の昇温工程を含む、短時間焼結が開示されている。また、特許文献2では、最高温度の75%から90%までの温度域に達するまでの昇温速度を速くする昇温工程を含み、その後の昇温速度を遅くすることで最高温度での保持時間を短縮した、短時間焼結が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2021/048674号
国際公開第2019/166938号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の短時間焼結は、1200℃を超えた高温領域での昇温速度の切り替えを必須とし、なおかつ、1200℃を超えた高温領域では焼結による緻密化挙動が急激に進行しているため、精密な温度制御を必要とする。しかしながら、高温領域における昇温速度の切り替えは、焼結炉のヒーターが昇温プログラムに追随しきれず、精密な温度制御が困難であり、なおかつ、このような制御に対応できる焼結炉は特殊な焼成炉に限られている。また、特許文献2の短時間焼結で得られる焼結体は、通常焼結体と比べて透光性が低く、歯科補綴材として要求される透光性を有していない。更には、特許文献2の方法では、イットリウム含有量が高い安定化ジルコニアの焼結体の透光性が、通常焼結体と比べて特に低下する。
【0007】
本開示は、高温領域での精密な温度制御を必須とすることなく、なおかつ、ジルコニアの組成物の安定化元素の含有量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を有する焼結体を得ることができる、短時間焼結によるジルコニアの焼結体の製造方法、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、短時間焼結における昇温工程に着目した。その結果、特定の昇温速度及び到達温度によって最高到達温度まで昇温することによって、高温領域での精密な温度制御を必須とすることなく、なおかつ、通常焼結体と同様な審美性を呈する焼結体が得られることを見出した。さらに、このような製造方法は、ジルコニアの組成物の安定化元素の含有量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を有するジルコニアの焼結体が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は特許請求の範囲のとおりであり、また、本開示の要旨は以下のとおりである。
[1] 安定化元素を含有するジルコニアの組成物を昇温開始温度から800℃以上1400℃未満のいずれかの第一到達温度まで昇温速度150℃/分以上で昇温する第一昇温工程、前記第一到達温度から1400℃以上1580℃未満のいずれかの第二到達温度まで昇温速度30℃/分超200℃/分未満で昇温する第二昇温工程、及び、該第二到達温度で保持する保持工程、を有する安定化元素を含有するジルコニアの焼結体の製造方法。
[2] 前記保持工程における保持時間が20分未満である、上記[1]に記載の製造方法。
[3] 前記第二到達温度と前記第一到達温度の差が300℃以上600℃以下である上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 第一到達温度まで昇温速度に対する第二到達温度まで昇温速度が0.15以上1.0以下である、上記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[5] 前記昇温開始温度が室温から500℃のいずれかの温度である上記[1]乃至[4のいずれかひとつに記載の製造方法。
[6] 前記第二到達温度から、800℃以上1200℃以下のいずれかの降温温度まで降温して焼結体を焼結炉から取出す降温工程、を有する上記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[7] 前記取出した焼結体を大気雰囲気で、自然放冷及び冷却ガスの吹き付けの少なくともいずれかにより降温する、上記[6]に記載の製造方法。
[8] 前記冷却ガスが空気、アルゴン、窒素及びヘリウムの群から選ばれる1以上である上記[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9] 二珪化モリブデン、炭化ケイ素、ランタンクロマイト及びカーボンの群から選ばれる1以上からなるヒーターを備えた焼結炉を使用して焼結する、上記[1]乃至[8]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[10] 前記組成物がジルコニアの成形体又は仮焼体である上記[1]乃至[9]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[11] 前記安定化元素がイットリウム、カルシウム、セリウム、マグネシウム、プラセオジウム、イッテルビウム、エルビウム及びテルビウムの群から選ばれる1以上である、上記[1]乃至[10]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[12] 前記安定化元素の含有量が2.5mol%以上8mol%以下である、上記[1]乃至[11]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[13] 前記組成物のT+C相率が65%以上である、上記[1]乃至[12]のいずれかひとつに記載の製造方法。
[14] 前記組成物が、ジルコニウム及びハフニウム以外の遷移金属元素、並びに、ランタノイド系希土類元素の少なくともいずれかの着色元素を含む、上記[1]乃至[13]のいずれかひとつに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、高温領域での精密な温度制御を必須とすることなく、なおかつ、ジルコニアの組成物の安定化元素の含有量によらず、歯科補綴材として要求される透光性を満たす焼結体が得られる、短時間焼結による焼結体の製造方法、を提供するという目的を達する。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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