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公開番号2024024163
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-02-22
出願番号2022126787
出願日2022-08-09
発明の名称廃電池の処理方法
出願人住友金属鉱山株式会社
代理人弁理士法人山内特許事務所
主分類C22B 7/00 20060101AFI20240215BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】廃電池からニッケルおよび/またはコバルトを含有する溶液を得る処理方法を提供する。
【解決手段】1)廃電池を無害化し、破砕して破砕物を得る前処理工程、2)破砕物にアルカリを添加し、Li、Al、F、Pを含むアルカリ浸出液と、Niおよび/またはCoを含有するアルカリ浸出残渣を得るアルカリ浸出工程、3)アルカリ浸出残渣を酸と還元剤に接触させ、Niおよび/またはCoを還元し酸溶液に浸出した還元浸出液を得る還元浸出工程、4)還元浸出液に硫化剤を添加し、Cuを硫化物で除去した硫化後液を得る硫化工程、5)硫化後液に酸化剤と中和剤を添加してFe、P、Alを沈殿させて除去し、酸化中和液を得る酸化中和工程、6)酸化中和液をイオン交換樹脂に接触させてFをイオン交換樹脂に吸着させて分離し、Niおよび/またはCoを含有するイオン交換後液を得るイオン交換工程をその順に実行する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
廃電池からニッケルおよび/またはコバルトを含有する溶液を得る処理方法であって、
1)廃電池を無害化し、破砕して破砕物を得る前処理工程、
2)前記破砕物にアルカリを添加し、Li、Al、F、Pを含むアルカリ浸出液と、Niおよび/またはCoを含有するアルカリ浸出残渣を得るアルカリ浸出工程、
3)前記アルカリ浸出残渣を酸と還元剤に接触させ、Niおよび/またはCoを還元し酸溶液に浸出した還元浸出液を得る還元浸出工程、
4)前記還元浸出液に硫化剤を添加し、Cuを硫化物で除去した硫化後液を得る硫化工程、
5)前記硫化後液に酸化剤と中和剤を添加してFe、P、Alを沈殿させて除去し、酸化中和液を得る酸化中和工程、
6)前記酸化中和液をイオン交換樹脂に接触させてFをイオン交換樹脂に吸着させて分離し、Niおよび/またはCoを含有するイオン交換後液を得るイオン交換工程
をその順に実行する
ことを特徴とする廃電池の処理方法。
続きを表示(約 290 文字)【請求項2】
前記前処理工程は、廃電池を加熱して無害にする無害化工程を含む
ことを特徴とする請求項1記載の廃電池の処理方法。
【請求項3】
前記前処理工程は、無害化工程を終えた廃電池を破砕する破砕工程を含む
ことを特徴とする請求項1記載の廃電池の処理方法。
【請求項4】
前記アルカリ浸出工程において、アルカリ浸出を3回以上5回以下繰り返す
ことを特徴とする請求項1記載の廃電池の処理方法。
【請求項5】
前記廃電池が、廃リチウムイオン電池である
ことを特徴とする請求項1記載の廃電池の処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、廃電池の処理方法に関する。さらに詳しくは、ニッケルおよび/またはコバルトを含む廃電池からニッケルおよび/またはコバルトを含む溶液を得る廃電池の処理方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリット自動車などの車両及び携帯電話、スマートフォンや、パソコンなどの電子機器には、軽量で大出力であるという特徴を有するリチウムイオン電池が搭載されている。
リチウムイオン電池は、アルミニウムや鉄等の金属製あるいは塩化ビニルなどのプラスチック製の外装缶の内部に、銅箔からなる負極集電体の表面に黒鉛等の負極活物質を固着させた負極材と、アルミニウム箔からなる正極集電体にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着させた正極材を、ポリプロピレンの多孔質樹脂フィルム等からなるセパレータとともに装入し、六フッ化リン酸リチウム(LiPF

)等の電解質を含んだ有機溶媒を電解液として含浸させた構造である。
【0003】
リチウムイオン電池は上記のような車両や電子機器等の中に組み込まれて使用されると、やがて自動車や電子機器等の劣化、あるいはリチウムイオン電池の寿命などで使用できなくなり、廃リチウムイオン電池となる。なお、廃リチウムイオン電池には、最初から製造工程内で不良品などとして発生したものも含まれる。
これらの廃リチウムイオン電池には、ニッケル、コバルトや銅などの有価成分が含まれており、資源の有効活用のためにも、有価成分を回収して再利用することが望まれる。
【0004】
一般に、金属で作製された装置や部材、材料から有価成分を効率よく回収しようとする場合、炉等に投入して高温で熔解し、有価物を含むメタルとそれ以外のスラグとに分離する乾式処理が一般的で、従来から広く行われている。
たとえば特許文献1には、廃電池を焙焼して酸化する予備酸化工程と酸化された廃電池を熔融して有価金属を分離する乾式工程とを実行する乾式処理を用いて有価金属の回収を行う方法が記載されている。特許文献1の方法を廃リチウムイオン電池に適用すれば、ニッケルやコバルトを含む銅合金を得ることができる。
【0005】
この乾式処理は、炉を用いて高温に加熱するためにエネルギーを大量に消費するという短所があるが、様々な不純物を一括して分離できる利点がある。しかも、乾式処理で得られるスラグは、化学的に安定な性状であり、環境に影響する懸念が少なく、処分しやすい利点もある。
しかしながら、乾式処理で廃リチウムイオン電池を処理した場合、一部の有価成分、とくにコバルトのほとんどがスラグに分配され、コバルトの回収ロスとなることが避けられないという問題があった。
また、乾式処理で得たメタルは、有価成分が共存した合金であり、再利用するためには、この合金から成分ごとに分離し、不純物を除去する精製が必要となっていた。
【0006】
乾式法で一般的に用いられてきた元素分離の方法には、高温の熔解状態から徐冷することで、たとえば銅と鉛との分離や鉛と亜鉛との分離を行う方法がある。しかしながら、廃リチウムイオン電池のように銅とニッケルが主な成分である場合、銅とニッケルは全組成範囲で均一熔融する性質を持つため、徐冷しても銅とニッケルが層状に混合固化するのみで分離することはできない。
さらに、一酸化炭素(CO)ガスを用いてニッケルを不均化反応させ銅やコバルトから揮発させて分離する精製もあるが、有毒性のCOガスを用いるため安全性の確保が難しいという問題がある。
【0007】
また、工業的に行われてきた銅とニッケルを分離する方法として混合マット(硫化物)を粗分離する方法がある。この方法は、製錬工程で銅とニッケルを含むマットを生成させ、これを上述の場合と同様に徐冷することで、銅を多く含む硫化物とニッケルを多く含む硫化物とに分離するものである。
しかしながら、この分離方法でも銅とニッケルの分離は粗分離程度にとどまり、純度の高いニッケルや銅を得るためには、別途電解精製等の処理が必要となる。
その他にも、塩化物を経て蒸気圧差を利用する方法も検討されてきた。しかしながら、有毒な塩素を大量に取り扱うプロセスとなるため、装置の腐食対策や安全対策等が大掛かりなものとなり工業的に適した方法とは言い難い。
このように、湿式法と比して乾式法での各元素分離精製は、粗分離レベルに留まるかあるいは高コストという欠点を有している。
【0008】
特許文献2には、酸や中和や溶媒抽出などの方法を用いる湿式処理が記載されている。この湿式処理は、消費するエネルギーが少なく、混在する有価成分を個々に分離して高純度な品位で回収できる利点がある。
しかしながら、湿式処理を用いて廃リチウムイオン電池を処理する場合、廃リチウムイオン電池に含有される電解液成分の六フッ化リン酸アニオンは、高温、高濃度の硫酸でも完全に分解させることができない難処理物であり、有価成分を浸出した酸溶液に混入することになる。
この六フッ化リン酸アニオンは、水溶性の炭酸エステルであることから、有価物を回収した後の水溶液からリンやフッ素を回収することも困難となり、公共海域等への放出抑制のために種々の対策を講じることが必要になるなど環境面での制約も大きい。
【0009】
さらに、酸だけで廃リチウムイオン電池から有価成分を効率的に浸出して精製に供することができる溶液を得ることは容易でない。廃リチウムイオン電池本体は、電池としての強度を持つ構造体でもあり、酸などで浸出され難く、完全に有価成分を浸出させることは容易でない。
また、酸化力の強い酸を用いるなどして強引に浸出すると、有価成分と共に工業的には回収対象でないアルミニウムや鉄、マンガン等の不純物成分までもが浸出されてしまい、不純物を中和等で処理するための中和剤のコストが増加し、発生する排水量や澱物量が増加する問題が生じる。
さらに、廃リチウムイオン電池には電荷が残留していることがあり、そのまま処理しようとすると、発熱や爆発等を引き起こす恐れがあるため、残留電荷を放電するなどの無害化の処理の手間がかかる。
【0010】
このように湿式処理だけを用いて廃リチウムイオン電池を処理することも、必ずしも有利な方法とは言えなかった。
そこで、上述の乾式処理や湿式処理を単独で用いた場合は処理が困難な廃リチウムイオン電池を乾式処理と湿式処理を組み合わせた方法、つまり廃リチウムイオン電池を焙焼するなど乾式処理により不純物をできるだけ除去して均一な廃リチウムイオン電池の熔解物を得、このような熔解物を湿式処理して有価成分とそれ以外の成分とに分けようとする方法も行われてきた。
しかしながら、廃リチウムイオン電池を焙焼する等の乾式処理によって廃リチウムイオン電池を熔解してメタルとし、これを再び溶解させるのには、エネルギーや薬品コストがかかる。
それに加えてリチウムイオン電池には部材として多量の黒鉛すなわちCが使われている。Cは再利用が難しいが、一方、燃料としても利用できるため、上述の乾式処理を含む処理方法では、高温で燃焼して処理することが一般である。しかし燃焼による二酸化炭素の発生は、近年は環境面で抑制すべきとされており、環境面でも優れた処理方法とは云えなかった。
(【0011】以降は省略されています)

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