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公開番号
2025177165
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-12-05
出願番号
2024083747
出願日
2024-05-23
発明の名称
アントラサイクリン系抗癌剤により誘発される心毒性を予防及び/又は治療するための組成物
出願人
国立大学法人大阪大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
A61K
31/122 20060101AFI20251128BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】本発明は、ミトコンドリアDNAの核様体凝集抑制剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ビタミンK
1
及び/又はビタミンK
2
を含有するミトコンドリアDNAの核様体凝集抑制剤に関する。本発明はまた、前記核様体凝集抑制剤を含有する、アントラサイクリン系抗癌剤の使用により誘発される心毒性を予防及び/又は治療するための医薬組成物、並びにビタミンK
1
及び/又はビタミンK
2
を有効成分として含有するアントラサイクリン系抗癌剤由来の副作用の予防及び/又は軽減用食品組成物にも関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ビタミンK
1
及び/又はビタミンK
2
を含有するミトコンドリアDNAの核様体凝集抑制剤。
続きを表示(約 800 文字)
【請求項2】
ビタミンK
1
及び/又はビタミンK
2
が、フィロキノン又はメナキノン-4である、請求項1に記載の核様体凝集抑制剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の核様体凝集抑制剤を含有する、アントラサイクリン系抗癌剤により誘発される心毒性を予防及び/又は治療するための医薬組成物。
【請求項4】
心毒性が、呼吸不全に起因する心毒性である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
核様体凝集抑制剤を、アントラサイクリン系抗癌剤の投与前に投与することを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
アントラサイクリン系抗癌剤が、ドキソルビシンである、請求項3~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ビタミンK
1
及び/又はビタミンK
2
を有効成分として含有する、アントラサイクリン系抗癌剤により誘発される心毒性の予防及び/又は軽減用食品組成物。
【請求項8】
アントラサイクリン系抗癌剤の投与前に摂取することを特徴とする、請求項7に記載の食品組成物。
【請求項9】
アントラサイクリン系抗癌剤により誘発される心毒性を予防及び/又は治療するための化合物のスクリーニング方法であって、
(i)被験化合物とHeLa細胞を混合し、そこにアントラサイクリン系抗癌剤を添加した後、SYBR GreenIにより前記処理後のHeLa細胞の核様体を染色し、被験化合物を含まない対照群との比較に基づいて、被験化合物による核様体の凝集の程度を評価する工程、及び
(ii)上記(i)の評価に基づいて、対照群よりも核様体の凝集を抑制する化合物を選定する工程
を含む、スクリーニング方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンK
1
及び/又はビタミンK
2
を含有するミトコンドリアDNAの核様体凝集抑制剤に関する。本発明はまた、前記核様体凝集抑制剤を含有する、アントラサイクリン系抗癌剤により誘発される心毒性を予防及び/又は治療するための医薬組成物、並びにビタミンK
1
及び/又はビタミンK
2
を有効成分として含有するアントラサイクリン系抗癌剤由来の副作用の予防及び/又は軽減用食品組成物にも関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
癌の予防又は治療薬については数多くの研究及び製品開発が行われており、実際に医療現場で使用されている薬剤も数多く存在している。中でも、アントラサイクリン系抗癌剤は、効果の高い化学療法剤であり、それ故、白血病、リンパ腫、乳癌、子宮癌、卵巣癌、膀胱癌、肺癌等の多くの癌の処置に用いられ、多くの場合、小児癌の処置レジメンに用いられている。
【0003】
一方、アントラサイクリン系抗癌剤の使用による副作用は、心毒性により引き起こされる心合併症(例、心筋症、左室機能低下、心不全等)に関連するが、該心毒性は、用量依存性で、累積暴露から生じる場合もある。個々にバラツキがあるが、累積投与量の増加とともに進行性の心機能障害が発生し、例えば、ドキソルビシンでは200mg/m
2
で拡張機能障害が、400~600mg/m
2
で収縮機能障害が発生するとされる。拡張障害のみでは多くは無症候であるが、収縮機能障害では多くは心不全の兆候や症状を伴う。また、アントラサイクリン系抗癌剤は、心臓前駆細胞(cardiac progenitor cell)にも影響し、小児において治療後、10年、20年の後に発生する遅発性の心機能低下を引き起こすともされる(非特許文献1)。そして、癌患者の生存期間の長さに加えてQOL(Quality of life)の向上も重要な治療効果であると考えるのが近年の癌治療における流れであり、抗癌剤の副作用をいかにして軽減するかは重要な問題である。
【0004】
かかる副作用の発生を回避するため、又は副作用の症状を軽減するため、例えば1回当たりの抗癌剤の投与量を減らすことで対応できる場合がある。しかし、抗癌剤の投与量を減少させればその抗癌効果を低下させることになり、ひいては治療期間の長期化を招くことにもなる。さらに、低用量ながらも長期間に渡って抗癌剤を投与することにより、結果的に総投与量が通常投与よりも増加してしまい、副作用の症状が予想以上に悪化するおそれもある。従って、抗癌剤の効果を低減させないためにも、その投与量を減らすことなく副作用を軽減できる薬剤の開発が強く求められている。
【0005】
これまでに、アントラサイクリン系抗癌剤による心毒性の予防又は発生頻度を抑える戦略として、
(1)アントラサイクリンリポソーム製剤(例、ドキシル)を使用すること、
(2)抗酸化薬(例、ビタミンE、ピペリジンニトロキシド、プロブコール等)や鉄キレート剤(例、デクスラゾキサン)を併用すること、
(3)心血管系薬(例、カルシウム拮抗薬、β遮断薬(カルベジロール)、レニンアンギオテンシン系阻害薬)を併用すること、
(4)標的療法を行うこと等
が行われてきたが、心毒性抑制効果が不十分であること、また、別の副作用が発現する等の問題が残されていた(非特許文献1、2)。具体的には、デクスラゾキサンは、抗癌剤を受けている癌患者の心毒性及び心不全の発症を低減することにより認可された唯一の薬物であるが、その臨床効果にも拘わらず、ドキソルビシン、エピルビシン等のアントラサイクリン系抗癌剤300mg/m
2
~500mg/m
2
の蓄積用量を既に受けた転移乳癌患者の処置にしか認可されておらず、小児及び青年への使用は認可されていない。また、デクスラゾキサンの使用により、アントラサイクリン系抗癌剤の抗腫瘍活性を妨害すること、続発性悪性腫瘍を誘発すること、血液及び骨髄障害を誘発すること等の欠点を有することも報告されている。
【0006】
非特許文献3、4にはそれぞれ、ドキソルビシンのようなDNAインターカレーターがミトコンドリアDNAにインターカレートすることにより、ミトコンドリアDNAの核様体の巨大化(凝集体又は核様体クラスター)を誘導することが記載され、それが顕著な臨床毒性に関与している可能性が高いことが示唆されている。
【0007】
本発明者らは、ミトコンドリア分裂因子Drp1を抑制すると、ミトコンドリア融合に伴い多数の核様体が集合し、巨大なクラスターを形成することを見出した(非特許文献5)。また、本発明者らは、Drp1遺伝子を欠損したマウス心筋では,上記知見からの予想通りに核様体が細胞内で凝集しており、この時、ミトコンドリア内で呼吸鎖が不均一に分配し、その結果心筋全体の呼吸活性が低下すると共に、筋原線維の形成が不全となり、新生児期の心機能不全から致死となることを報告した(非特許文献6)。これらの結果から、核様体の構造制御がマウス新生児期の心筋の成長に必須であること、また、ミトコンドリアの膜とDNAの協調的なダイナミクスが生体内で重要な機能を持つことが初めて明らかになった。
【0008】
一方、ビタミンKは、脂溶性ビタミンの一種であり、ビタミンKは一般に、γ-グルタミルカルボキシラーゼ(GGCX)の補酵素として働き、血液凝固や骨形成に関与していることが知られている。ビタミンKは、天然には大きく分類して2種類が存在し、植物が合成するビタミンK
1
(フィロキノン:以下、「PK」と称することもある。)と腸内細菌等の微生物が産生し、発酵食品や動物体内に多く含まれるビタミンK
2
(メナキノン-n(n=1~14):以下、「MK-n」と称することもある。)に大別される。ビタミンKは、2-メチル-1,4-ナフトキノン(ビタミンK
3
,メナジオン:以下、「MD」と称することもある。)を共通構造として、その3位炭素に長さや不飽和度の異なる側鎖が結合した構造を有する(非特許文献7)。しかし、現在までに、ビタミンKが、ミトコンドリアDNAの核様体の凝集抑制効果を有することは知られておらず、また、アントラサイクリン系抗癌剤により誘発される心毒性に対して予防又は治療効果を示す報告例も皆無である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
杏林医会誌, 2014, Vol.45, 31-34
Progress in Cardiovascular Diseases, 2007, Vol.49, 330-352
Oncogene, 2009, Vol.28, 3880-3891
Toxicol. Appl. Pharmacol., 2016, Vol.302, 31-40
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2013, Vol.110, 11863-11868
Mol. Cell. Biol., 2015, Vol.35, 211-223
化学と生物, 2018, Vol.56, No.1, 26-32
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アントラサイクリン系抗癌剤の投与量を減らすことなく、また、抗癌作用を有意に妨害せずに、同抗癌剤による心毒性を効果的に予防及び/又は治療(軽減)することを課題とし、具体的には、アントラサイクリン系抗癌剤により誘発される心毒性を予防及び/又は治療するための医薬組成物、及び食品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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