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公開番号
2025134517
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-17
出願番号
2024032482
出願日
2024-03-04
発明の名称
試料中の標的物質の検出
出願人
国立大学法人大阪大学
代理人
弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類
C12Q
1/25 20060101AFI20250909BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】一態様において、試料中の標的物質の新たな検出方法を提供する。
【解決手段】 試料中の標的物質の検出方法であって、標的物質と結合可能な部分を有する酵素Aと、酵素Aの作用により不活性型から活性型となることが可能な不活性型の酵素Bと、酵素Bの作用により不活性型から活性型となることが可能であり、酵素Bを不活性型から活性型とすることが可能な不活性型の酵素Cと、酵素B及び/又は酵素Cの作用によりシグナルを発することが可能なレポータ物質Dとを、前記試料と接触させることを含む方法に関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
試料中の標的物質の検出方法であって、
標的物質と結合可能な部分を有する酵素Aと、
酵素Aの作用により不活性型から活性型となることが可能な、不活性型の酵素Bと、
酵素Bの作用により不活性型から活性型となることが可能であり、酵素Bを不活性型から活性型とすることが可能な、不活性型の酵素Cと、
酵素B及び/又は酵素Cの作用によりシグナルを発することが可能な、レポータ物質Dとを、前記試料と接触させることを含む、方法。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
酵素Bは、前記標的物質に結合可能な部分を有し、かつ、酵素A及び酵素Bは、共に前記標的物質に結合可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酵素Aは、不活性型の酵素Bと共に前記標的物質と結合することで酵素Bを活性化することが可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
酵素B及び酵素Cを用いてシグナルを増幅することを含む、標的物質の検出方法であって、
酵素Bは、酵素Cにより不活性型から活性型となるものであり、
酵素Cは、酵素Bにより不活性型から活性型となるものであり、
酵素Bと酵素Cと間の酵素反応により増幅されて得られる酵素B及び/又は酵素Cの酵素活性を利用、測定、又は検出することを含む、方法。
【請求項5】
酵素B及び酵素Cは、それぞれ独立して、蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)、リン酸化酵素(キナーゼ)、脱リン酸化酵素、グリコシル化酵素、アセチル化酵素、スクシニル化酵素、プロピアニル化酵素、メチル化酵素、ユビキチン化酵素、ニトロシル化酵素、及び脂質化酵素からなる群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
試料中の標的物質を検出するためのデバイスであって、
試薬部と、前記試薬部が形成された基材とを備え、
前記試薬部は、
標的物質と結合可能な部分を有する酵素Aと、
酵素Aの作用により不活性型から活性型となることが可能な、不活性型の酵素Bと、
酵素Bの作用により不活性型から活性型となることが可能であり、酵素Bを不活性型から活性型とすることが可能な、不活性型の酵素Cと、
酵素B及び/又は酵素Cの作用によりシグナルを発することが可能な、レポータ物質Dとを含む、デバイス。
【請求項7】
試料中の標的物質を検出するための試薬であって、
標的物質と結合可能な部分を有する酵素Aと、
酵素Aの作用により不活性型から活性型となることが可能な、不活性型の酵素Bと、
酵素Bの作用により不活性型から活性型となることが可能であり、酵素Bを不活性型から活性型とすることが可能な、不活性型の酵素Cと、
酵素B及び/又は酵素Cの作用によりシグナルを発することが可能な、レポータ物質Dとを含む、試薬。
【請求項8】
試料中の標的物質を検出するためのシステムであって、
請求項1から4のいずれかに記載の検出方法、又は、請求項6に記載のデバイスにより発せられる発光シグナルを取得する撮像端末と、
前記撮像端末で得られた発光シグナルデータを処理する情報処理手段とを含み、
前記撮像端末と前記情報処理手段とは、ネットワークを介して双方向に通信が可能である、システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、試料中の標的物質の検出において、酵素によるシグナル増幅を利用することを含む、検出の方法、デバイス、試薬、及びシステムに関する。
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【背景技術】
【0002】
生体サンプルや環境サンプル中の微量分子の検出技術は、ウイルス感染の有無の診断や環境中への有害物質、有害微生物の漏出の検査など様々な場面で広く求められる技術である。特定タンパク質の検出では、抗体を用いて検出対象を基板上に固定し比色定量するELISA法や、検査対象に対する抗体の結合により化学発光タンパク質の発光特性が変化する、発光バイオセンサーを用いた方法が利用されている(非特許文献1)。また、タンパク質相互作用を利用した低分子検出についてはプロテアーゼの活性を用いてシグナルを蓄積させる技術が報告されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
Alexander Grawe et al., Bioluminescence Goes Dark: Boosting the Performance of Bioluminescent Sensor Proteins Using Complementation Inhibitors. ACS Sensors 2022.
Viktor Stein et al., Protease-based synthetic sensing and signal amplification. PNAS 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ELIZA法については抗体への結合によって対象タンパク質が濃縮されることから検査対象の濃度が低い場合でも検出することが可能(Boster社のPicokineELISAキットで10pg/ml)であるものの、検査が(i)抗体へのサンプルへの結合、(ii)洗浄、(iii)検出、の複数のステップに分かれ煩雑であるため、一般家庭での自己診断などに用いることが難しい。
発光バイオセンサーを用いた方法では、検査サンプルをバイオセンサーと混ぜた後に発光基質を加え、その際に生じる化学発光の強度やスペクトルの変化を測定する。この方法はELIZA法と比べて操作が簡便で、発光の検出に市販のスマートフォンを用いることで一般家庭での診断にも応用可能であると考えられる。しかし、検査で用いられる反応系中の発光バイオセンサーの濃度は通常数nMであり、ウイルス粒子や血中サイトカインの検査のように対象の濃度が数pM~数十pM程度しかない場合には適用が困難である。
検査対象への結合を利用してプロテアーゼの活性を制御し、切断された基質を蓄積させる手法は、検出下限が数百fMの高感度を達成できるという報告があるが(非特許文献2)、そのために要する時間は10~15時間ほどで、なおかつシグナル変化量が微量であるため、ウイルス検査のように迅速さが求められる分野への利用には向かない。
【0005】
そこで、本開示は、酵素によるシグナル増幅を利用することを含む、試料中の標的物質の検出を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一態様において、試料中の標的物質の検出方法であって、標的物質と結合可能な部分を有する酵素Aと、酵素Aの作用により不活性型から活性型となることが可能な、不活性型の酵素Bと、酵素Bの作用により不活性型から活性型となることが可能であり、酵素Bを不活性型から活性型とすることが可能な不活性型の酵素Cと、酵素B及び/又は酵素Cの作用によりシグナルを発することが可能なレポータ物質Dとを、前記試料と接触させることを含む、方法に関する。
【0007】
本開示は、その他の態様において、酵素B及び酵素Cを用いてシグナルを増幅することを含む、標的物質の検出方法であって、酵素Bは、酵素Cにより不活性型から活性型となるものであり、酵素Cは、酵素Bにより不活性型から活性型となるものであり、酵素Bと酵素Cと間の酵素反応により増幅されて得られる酵素B及び/又は酵素Cの酵素活性を利用、測定、又は検出することを含む、方法に関する。
【0008】
本開示は、その他の態様において、試料中の標的物質を検出するためのデバイスであって、試薬部と、前記試薬部が形成された基材とを備え、前記試薬部は、標的物質と結合可能な部分を有する酵素Aと、酵素Aの作用により不活性型から活性型となることが可能な不活性型の酵素Bと、酵素Bの作用により不活性型から活性型となることが可能であり、酵素Bを不活性型から活性型とすることが可能な不活性型の酵素Cと、酵素B及び/又は酵素Cの作用によりシグナルを発することが可能なレポータ物質Dとを含む、デバイスに関する。
【0009】
本開示は、さらにその他の態様において、試料中の標的物質を検出するための試薬であって、標的物質と結合可能な部分を有する酵素Aと、酵素Aの作用により不活性型から活性型となることが可能な不活性型の酵素Bと、酵素Bの作用により不活性型から活性型となることが可能であり、酵素Bを不活性型から活性型とすることが可能な不活性型の酵素Cと、酵素B及び/又は酵素Cの作用によりシグナルを発することが可能なレポータ物質Dとを含む、試薬に関する。
【0010】
本開示は、さらにその他の態様において、試料中の標的物質を検出するためのシステムであって、本開示の標的物質の検出方法又は本開示のデバイスにより発せられる発光シグナルを取得する撮像端末と、前記撮像端末で得られた発光シグナルデータを処理する情報処理手段とを含み、前記撮像端末と前記情報処理手段とは、ネットワークを介して双方向に通信が可能である、システムに関する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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