特許ウォッチ

公開番号2025176876
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-12-05
出願番号2024083248
出願日2024-05-22
発明の名称プルーフ画像データを作成する方法、プルーフ画像データ作成装置、および、コンピュータープログラム
出願人セイコーエプソン株式会社
代理人弁理士法人明成国際特許事務所
主分類H04N 1/46 20060101AFI20251128BHJP(電気通信技術)
要約【課題】滲みの影響をプルーフ画像データに反映する技術を提供する。
【解決手段】プルーフ画像データを作成する方法は、(a)印刷機を用いて印刷媒体上に印刷される印刷物に関して、印刷物における滲み状態を表す滲みパラメーターを含む印刷特性情報を取得する工程と、(b)印刷物の色を、プルーフ出力装置で再現するための基本プルーフ画像データを取得する工程と、(c)印刷特性情報を用いて基本プルーフ画像データに対して滲み付与処理を適用することによって、滲み状態を模擬した滲み付与プルーフ画像データを作成する工程と、を含む。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項１】
プルーフ画像データを作成する方法であって、
（ａ）印刷機を用いて印刷媒体上に印刷される印刷物に関して、前記印刷物における滲み状態を表す滲みパラメーターを含む印刷特性情報を取得する工程と、
（ｂ）前記印刷物の色を、プルーフ出力装置で再現するための基本プルーフ画像データを取得する工程と、
（ｃ）前記印刷特性情報を用いて前記基本プルーフ画像データに対して滲み付与処理を適用することによって、前記滲み状態を模擬した滲み付与プルーフ画像データを作成する工程と、
を含む方法。
続きを表示（約 1,700 文字）【請求項２】
請求項１に記載の方法であって、
前記工程（ａ）は、前記印刷機と前記印刷媒体の組み合わせに応じて前記印刷特性情報を決定する工程を含む、方法。
【請求項３】
請求項１に記載の方法であって、更に、
（ｄ）前記印刷媒体のテクスチャーを表すテクスチャー情報を用いて前記滲み付与プルーフ画像データに対してテクスチャー付与処理を適用することによって、前記テクスチャーを模擬したテクスチャー付与プルーフ画像データを作成する工程、
を含む方法。
【請求項４】
請求項３に記載の方法であって、
前記テクスチャー情報は、画素毎のテクスチャー値を含み、
前記印刷特性情報は、前記テクスチャー値の凹凸を低減するための凹凸補正係数を含み、
前記工程（ｄ）は、
前記テクスチャー値を前記凹凸補正係数で補正した補正テクスチャー情報を作成する工程と、
前記補正テクスチャー情報を用いて前記滲み付与プルーフ画像データに対して前記テクスチャー付与処理を適用する工程と、
を含む、方法。
【請求項５】
請求項３に記載の方法であって、
前記滲みパラメーターは、滲み範囲を規定する滲み範囲パラメーターを含み、
前記工程（ｃ）は、
（ｃ１）前記基本プルーフ画像データで表される基本プルーフ画像のエッジを抽出する工程と、
（ｃ２）前記エッジに隣接し前記滲み範囲に亘る滲み対象領域において、前記基本プルーフ画像データの画素値に滲みを付与する工程と、
を含む、方法。
【請求項６】
請求項５に記載の方法であって、
前記滲み付与処理は、前記テクスチャー情報に依存するテクスチャー依存モードを含み、
前記テクスチャー情報は、画素毎のテクスチャー値を含み、
前記テクスチャー依存モードにおいて、前記工程（ｃ２）は、
前記滲み対象領域の各画素について、前記テクスチャー値と閾値との大小関係に応じて前記滲みを付与するか否かを決定する工程と、
前記滲み対象領域のうち、前記滲みを付与すると判定される画素について、前記基本プルーフ画像データの画素値に前記滲みを付与する工程と、
を含む、方法。
【請求項７】
請求項５に記載の方法であって、
前記滲みパラメーターは、前記印刷物におけるインクの滲み易さを規定する滲み強度係数を含み、
前記工程（ｃ）は、前記滲み強度係数に応じて前記滲み付与処理後の画素値を決定する工程を含む、方法。
【請求項８】
請求項７に記載の方法であって、
前記滲み強度係数は、前記エッジから離れるほど小さくなるように設定される、方法。
【請求項９】
プルーフ画像データ作成装置であって、
印刷機を用いて印刷媒体上に印刷される印刷物に関して、前記印刷物における滲み状態を表す滲みパラメーターを含む印刷特性情報を取得する印刷特性情報取得部と、
前記印刷物の色を、プルーフ出力装置で再現するための基本プルーフ画像データを取得する基本プルーフ画像取得部と、
前記印刷特性情報を用いて前記基本プルーフ画像データに対して滲み付与処理を適用することによって、前記滲み状態を模擬した滲み付与プルーフ画像データを作成する滲み処理部と、
を備えるプルーフ画像データ作成装置。
【請求項１０】
プルーフ画像データを作成するコンピュータープログラムであって、
（ａ）印刷機を用いて印刷媒体上に印刷される印刷物に関して、前記印刷物における滲み状態を表す滲みパラメーターを含む印刷特性情報を取得する処理と、
（ｂ）前記印刷物の色を、プルーフ出力装置で再現するための基本プルーフ画像データを取得する処理と、
（ｃ）前記印刷特性情報を用いて前記基本プルーフ画像データに対して滲み付与処理を適用することによって、前記滲み状態を模擬した滲み付与プルーフ画像データを作成する処理と、
をコンピューターに実行させるコンピュータープログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本開示は、プルーフ画像データを作成する方法、プルーフ画像データ作成装置、および、コンピュータープログラムに関する。
続きを表示（約 2,500 文字）【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、印刷物を校正するためのプルーフ画像を作成する方法が開示されている。この従来技術では、印刷媒体に１００％濃度で印刷した印刷物の表面の２次元空間上の濃度分布に基づいて画像を補正することによって、プルーフ画像を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開平０９－２７０９３０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、本開示の発明者は、布地などの特定の印刷媒体に印刷した印刷物ではインクの滲みの影響が大きいため、プルーフ画像の作成時に滲みの影響を考慮すべきことを見出した。滲みは、印刷媒体上に着弾したインクが印刷媒体に染み込む前に、インクが広がったり、隣接する別のインクと混ざったり、印刷媒体の凹凸の影響を受けてインクが流れたりして生じる。そこで、印刷物の状態を忠実に再現するためには、滲みの影響をプルーフ画像データに反映することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本開示の第１の形態によれば、プルーフ画像データを作成する方法が提供される。この方法は、（ａ）印刷機を用いて印刷媒体上に印刷される印刷物に関して、前記印刷物における滲み状態を表す滲みパラメーターを含む印刷特性情報を取得する工程と、（ｂ）前記印刷物の色を、プルーフ出力装置で再現するための基本プルーフ画像データを取得する工程と、（ｃ）前記印刷特性情報を用いて前記基本プルーフ画像データに対して滲み付与処理を適用することによって、前記滲み状態を模擬した滲み付与プルーフ画像データを作成する工程と、を含む。
【０００６】
本開示の第２の形態によれば、プルーフ画像データ作成装置が提供される。このプルーフ画像データ作成装置は、印刷機を用いて印刷媒体上に印刷される印刷物に関して、前記印刷物における滲み状態を表す滲みパラメーターを含む印刷特性情報を取得する印刷特性情報取得部と、前記印刷物の色を、プルーフ出力装置で再現するための基本プルーフ画像データを取得する基本プルーフ画像取得部と、前記印刷特性情報を用いて前記基本プルーフ画像データに対して滲み付与処理を適用することによって、前記滲み状態を模擬した滲み付与プルーフ画像データを作成する滲み処理部と、を備える。
【０００７】
本開示の第３の形態によれば、プルーフ画像データを作成するコンピュータープログラムが提供される。このコンピュータープログラムは、（ａ）印刷機を用いて印刷媒体上に印刷される印刷物に関して、前記印刷物における滲み状態を表す滲みパラメーターを含む印刷特性情報を取得する処理と、（ｂ）前記印刷物の色を、プルーフ出力装置で再現するための基本プルーフ画像データを取得する処理と、（ｃ）前記印刷特性情報を用いて前記基本プルーフ画像データに対して滲み付与処理を適用することによって、前記滲み状態を模擬した滲み付与プルーフ画像データを作成する処理と、をコンピューターに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
印刷物の校正を行う印刷システムを示す説明図。
プルーフ画像データ作成装置の構成を示すブロック図。
プルーフ画像作成処理の流れを示す説明図。
印刷条件設定画面を示す説明図。
基本プルーフ画像の例を示す説明図。
テクスチャー情報の例を示す説明図。
印刷特性情報の例を示す説明図。
テクスチャー依存モードによる滲み付与処理の一例を示す説明図。
テクスチャー依存モードによる滲み付与処理の他の例を示す説明図。
テクスチャー非依存モードによる滲み付与処理の一例を示す説明図。
印刷特性情報に応じた滲み付与処理の違いを示す説明図。
テクスチャー付与処理の例を示す説明図。
テクスチャー情報の凹凸補正を伴うテクスチャー付与処理を示す説明図。
プルーフ画像データの作成処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
図１は、印刷物の校正を行う印刷システム５００を示す説明図である。この印刷システム５００は、入力画像データIMに従って印刷物PMの印刷を行う印刷機３００と、入力画像データIMを用いてプルーフ画像データを作成するプルーフ画像データ作成装置１００と、校正用印刷装置２００と、クラウドサーバー４００とを備える。校正には、校正用印刷装置２００を用いて校正刷りHPを印刷するハードプルーフと、プルーフ画像データに従って表示装置１５０にプルーフ画像SPを表示するソフトプルーフとがある。ハードプルーフでは、校正用印刷装置２００が「プルーフ出力装置」に相当し、ソフトプルーフでは表示装置１５０が「プルーフ出力装置」に相当する。プルーフ出力装置から出力される画像を、「出力画像」とも呼ぶ。ハードプルーフでは校正刷りHPが「出力画像」に相当し、ソフトプルーフではプルーフ画像SPが「出力画像」に相当する。
【００１０】
プルーフ画像データ作成装置１００は、ハードプルーフとソフトプルーフのうちの少なくとも一方を実行可能に構成される。ハードプルーフでは、プルーフ画像データ作成装置１００で作成されたプルーフ画像データに従って校正用印刷装置２００が校正刷りHPを印刷する。校正用印刷装置２００がインクジェットプリンターである場合には、プルーフ画像データ作成装置１００は、プルーフ画像データに色変換処理やハーフトーン処理を適用して印刷用のドットデータを作成し、このドットデータを校正用印刷装置２００に供給して校正刷りHPの印刷を実行させる。ソフトプルーフでは、プルーフ画像データ作成装置１００で作成されたプルーフ画像データに従って表示装置１５０にプルーフ画像SPが表示される。本開示は、ハードプルーフとソフトプルーフのいずれにも適用可能である。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許