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公開番号2025168513
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-07
出願番号2025146621
出願日2025-09-04
発明の名称感情・覚醒チェックリスト(EACL)を用いた評価を二次元化する感情変化の可視化方法およびこの方法を利用した香料作成方法
出願人小川香料株式会社
代理人個人,個人
主分類A61B 5/16 20060101AFI20251030BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】 外部刺激による人の心理状態の変化を評価する方法および心理状態を変える香料の作成方法の提供。
【解決手段】 ラッセル円環モデル上の座標軸で、EACL(Emotion and Arousal Checklist、感情・覚醒チェックリスト)の感情・覚醒因子の評価を解析することによって、客観的に外部刺激による人の心理状態の変化を評価する。
【選択図】 図6
特許請求の範囲【請求項1】
外部刺激による被験者の心理状態を評価する方法であって、
(1-1)EACL(Emotion and Arousal Checklist、感情・覚醒チェックリスト)の感情・覚醒因子(恐怖、怒り、悲しみ、嫌悪、喜び、エネルギー覚醒+、エネルギー覚醒-、緊張覚醒+、緊張覚醒-)とラッセルの円環モデル上の感情用語とを対応させるステップ;
(1-2)ラッセル円環モデル上の座標軸で、上記で対応済のEACLの感情・覚醒因子の座標値を決定するステップ;
(2)外部刺激による被験者の心理状態をEACLの感情・覚醒因子で評価し、外部刺激による各感情・覚醒因子の変動値を算出するステップ;
(3)ステップ1-2で求めた各因子の各座標値に、ステップ2で求めた感情・覚醒因子の変動値を乗ずることにより各座標値の補正値を得て、これらを積算するステップ;
(4)ステップ3で得られた積算された座標値をラッセル円環モデル上に位置付けるステップ、からなる、前記評価方法。
続きを表示(約 2,200 文字)【請求項2】
前記ステップ1-1において、EACL尺度の「恐怖」をラッセル円環モデルの「AFRAID(恐れ)」、EACL尺度の「怒り」をラッセル円環モデルの「ANGRY(怒り)」、EACL尺度の「嫌悪」をラッセル円環モデルの「ANNOYED(不愉快)」、「DISTRESSED(悩み)」及び「FRUSTRATED(フラストレーション)」のいずれかから選択する1種、EACL尺度の「緊張覚醒(+)」をラッセル円環モデルの「TENSE(緊張)」、EACL尺度の「喜び」をラッセル円環モデルの「PLEASD(喜び)」、「HAPPY(嬉しい)」及び「GLAD(幸福感)」のいずれかから選択する1種、EACL尺度の「エネルギー覚醒(+)」をラッセル円環モデルの「DELIGHTED(愉快)」、EACL尺度の「悲しみ」をラッセル円環モデルの「SAD(哀しみ)」、「GLOOMY(憂うつ)」及び「DEPRESSED(落ち込む)」のいずれかから選択する1種、EACL尺度の「エネルギー覚醒(-)」をラッセル円環モデルの「DROOPY(けだるい)」、「TIRED(疲れ)」及び「BORED(退屈)」のいずれかから選択する1種、EACL尺度の「緊張覚醒(-)」をラッセル円環モデルの「RELAXED(くつろぎ)」、「CALM(落ち着き)」、「AT EASE(安心)」及び「SERENE(穏やか)」のいずれかから選択する1種、にそれぞれ当てはめる、請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記ステップ1-1を、EACL尺度の「恐怖」、「怒り」、「嫌悪」、「緊張覚醒(+)」、「喜び」、「エネルギー覚醒(+)」、「悲しみ」、「エネルギー覚醒(-)」、「緊張覚醒(-)」をラッセル円環モデルの「AFRAID(恐れ)」、「ANGRY(怒り)」、「ANNOYED(不愉快)」、「TENSE(緊張)」、「PLEASED(喜び)」、「DELIGHTED(愉快)」、「SAD(哀しみ)」、「DROOPY(けだるい)」、「RELAXED(くつろぎ)」にそれぞれ当てはめることを特徴とする請求項1または2に記載の評価方法。
【請求項4】
前記ステップ1-2で、喜びの座標値を(1.00,0.23)としたときに、恐怖、怒り、嫌悪、覚醒緊張(+)、エネルギー覚醒(+)、悲しみ、エネルギー覚醒(-)及び緊張覚醒(-)のEACL尺度名のラッセル円環モデルの座標値を、それぞれ、(-0.75,0.80)、(-0.68,0.57)、(-0.92,0.41)、(-0.83,0.59)、(0.73,0.72)、(-0.75,-0.54)、(-0.48,-0.79)及び(0.77,-0.49)とする、請求項3に記載の評価方法。
【請求項5】
外部刺激による被験者の感情変化を評価するために、コンピュータに
(1-1)EACL(Emotion and Arousal Checklist、
感情・覚醒チェックリスト)の感情・覚醒因子(恐怖、怒り、悲しみ、嫌悪、喜び;エネルギー覚醒+、エネルギー覚醒-、緊張覚醒+、緊張覚醒-)とラッセルの円環モデル上の感情用語とを対応させるステップ;
(1-2)ラッセル円環モデル上の座標軸で、上記で対応済のEACLの感情・覚醒因子の座標値を決定するステップ;
(2)外部刺激によるEACLの各感情・覚醒因子の評価点の変動(変動値)を算出するステップ;
(3)ステップ1-2で求めた各因子の各座標値に、ステップ2で求めた感情・覚醒因子の変動値を乗ずることにより各座標値の補正値を得て、これらを積算するステップ;
(4)ステップ3で得られた積算された座標値をラッセル円環モデル上に位置付けるステップ
を実行させるための、感情評価プログラム。
【請求項6】
下記のステップを行うことを特徴とする調香方法。
(a)ラッセルの円環モデルの平面上の第一象限の感情を「インビゴレーション」、同第二象限の感情を「フラストレーション」、同第三象限の感情を「ディプレッション」、同第四象限の感情を「リラクゼーション」とし、これらの中から調整したい感情効果を選択するステップ;
(b)調整したい感情効果を被験者にもたらす香料の1つ以上を請求項1に記載の方法で選択するステップ;
(c)ステップ(b)で選択された1つ以上の香料を香料組成物に配合することを特徴とするステップ;
(d)ステップ(c)で調香された香料組成物の感情効果を請求項1に記載の方法で確認するステップ;及び
(e)ステップ(d)で得られた評価を基にステップ(b)で選択された1つ以上の香料のそれぞれの配合量を調整するステップ。
【請求項7】
請求項6に記載の調香方法で製造された香料組成物。
【請求項8】
請求項1または2に記載の評価方法で、香料、香粧品及び飲食品を評価する方法。
【請求項9】
請求項7に記載の香料組成物を添加した香粧品または飲食品。
【請求項10】
請求項9に記載の香粧品または飲食品の製造方法であって、請求項7に記載の香料組成物を香粧品または飲食品の製造工程中に添加する、前記製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、香り、味、食感、色彩、音楽などの外部刺激から誘発される感情の変化を測定し、この結果を活用した製品開発方法に関する。
香りが消費者の購入意欲や行動などの消費者反応に大きな影響を与えることは広く知られている(非特許文献1)。そのため、香粧品の技術分野では、各商品の有する香りが消費者の購買行動にどのようは影響をもたらすのかという観点の研究もおこなわれており、香りによる感情の変化を測定する方法が強く求められている。
一方、人の感情を客観的に評価、表現するための様々な評価方法が存在している。
続きを表示(約 2,600 文字)【0002】
たとえば、ラッセルの円環モデルは被験者の感情を視覚的に表現するために考案されたものである。具体的には、X軸(快-不快軸)、Y軸(覚醒-沈静軸)平面上に、28種の感情(詳細は後記する。)をそれぞれの関係性を考慮して環状に配置したモデル(図1)であり、被験者の感情を同モデル上にプロットすることで、被験者の被験時の感情状態の相対位置を直感的に理解することが可能となるものである。その簡便性と評価の解釈が容易なため、心理学や教育現場など多方面で活用されている(非特許文献2)。
このラッセルの円環モデルを使えば、楽しいという感情表現に含まれている種々の感情を把握することができる。たとえば、「スポーツをして楽しかった」、「音楽を聴いて楽しかった」の「楽しかった」という同じ感情表現でも、被験者に同モデル上にプロットさせることで、スポーツをして楽しかった場合には楽しいという感情の中に興奮や愉快や嬉しいという感情が含まれており、音楽を聴いて楽しかった場合には、幸福感、満足感、安心などの感情が含まれていることが理解できることもある。このように、ラッセルの心理評価では主観的な感情の位置を正確にプロットできるため、感情用語以上の情報を得ることができるが、その評価は定性的で、斯かる感情の定量的な評価は十分にできないという課題があった。
【0003】
この課題を解決する目的で、あらかじめ7項目に分類された感情を「まったく感じない」から「非常に強く感じる」までの9段階の採点法で評価し、それらの評価点数を特定のアルゴリズムで変換し、ラッセル円環モデル様の快-不快軸(X軸)/動-静軸(Y軸)平面図にプロットする方法(特許文献1)や、ラッセル円環モデルの28の尺度における強度を評価し、そのプロットを結んだ面積の重心を計算して感情を定量的に評価する感情重心推定法が考案されている(非特許文献3)。
【0004】
しかし、これらの方法は、前者については、感情をわずか7項目で評価分析するため評価精度に問題がある点で、また、後者については、ラッセルが考案した28種の感情に関する用語(感情用語ということがある。)を直接用いて評価するため、感情項目の評価点のプロットの尺度など入念な事前のすり合わせが必要で、評価結果をX軸(快-不快軸)、Y軸(覚醒-沈静軸)平面上にプロットする計算も煩雑なことから、検体数や被験者数が多い場合には不向きである点で、香りで誘発される感情を総合的に評価、表現するという需要を必ずしも満たすというものではなかった。
より適切な感情用語を使った評価をするために、ラッセルの円環モデルを使用し、現代日本人の感情表現を考慮した食品摂取時の情動変化量の定量化も試みられている(非特許文献4)。
【0005】
また、商品の特徴を勘案して、ラッセル円環モデルで使用される28個以外の評価ワードの感情評価用語が検討されている。例えば、外用組成物を使用した際の感情変化を客観的に評価するための用語を選定する方法(特許文献2)や、現代日本人の基本感情と覚醒
を同時に評価できるEACL(Emotion and Arousal Checklist、感情・覚醒チェックリスト)(非特許文献5)などが提案されている。
【0006】
なかでも、EACLを用いる評価手法は、現代日本人が共有する感情、情動表現から、短期的、長期的心理状態のどちらも測定できるように選定された9因子33個の評価用語(詳細は後記する。)を使用し、項目ごとに4段階(「全く感じない」から「非常に感じる」まで)のアンケート調査を行う方法である。その感情表現はいずれも直感的でわかりやすく、感情表現の意味をすり合わせするなどの事前準備も必要がなく、定量性もある優れた評価方法である。感情の変化測定の信頼性、妥当性は高く、過去1か月程度の長期的な心理状態の測定にも使用できるため、使用の継続性が求められる香粧品の評価に特に適している(非特許文献6)。
【0007】
しかし、EACLの評価結果から、感情、情動に関する9因子毎の評価点の強弱や評価前後の動き(各因子毎に、評価前後で感情が強くなったか弱くなったか)を把握することはできるが、斯かる評価結果から総合的な感情や、感情の変化を導く解析方法は知られていなかった。また、「EACL」で得られた評価結果を、広く知られている「ラッセルの円環モデル」を介して読み取ることも十分に試みられていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2024-053804号公報
特開2023-095407号公報
【非特許文献】
【0009】
関西大学商学論集 第69巻第3号第37~55頁(2024年12月)
Journal of Personality and Social Psychology;39(6),1161-1178(1980)
日本感性工学会論文誌第18巻第3号,pp.187-193(2019年)
日本認知心理学会第19回大会 PI-B05(2022年)
心理学研究第85巻第6号,pp.579-589(2015年)
心理学研究第93巻第5号,pp.469-475(2022年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
香り、味、食感、色彩、音楽などの外部刺激を受けた感情やその変化を測定し、客観的に評価、表現することを可能にすることにより、これの結果を製品開発に有効に活用することができる、新たな手法が求められている。
本発明は、感情、情動に関する日本人に適した評価用語を用い様々な目的で広く使用されているEACLの評価結果を使用した、直感的に感情の変化を理解できる新たな方法を提供するものである。そして、斯かる方法を使用することによって、性別や年齢が異なる多層の被験者の心理状態を客観的に俯瞰でき、従来は困難だった商品開発への感情評価の活用が容易になり、より魅力的な商品を提供することができることとなる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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