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公開番号2025157279
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-15
出願番号2025109684,2020151170
出願日2025-06-27,2020-09-09
発明の名称PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインとヒトPD-L1に対する抗体との併用療法
出願人エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
代理人園田・小林弁理士法人
主分類C07K 16/28 20060101AFI20251007BHJP(有機化学)
要約【課題】がんの新規治療法を提供する。
【解決手段】がん若しくは腫瘍の治療における使用のため、転移の予防若しくは治療における使用のため、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける使用のための医薬の製造のための、PD-1又はT細胞標的化IL-2変異体免疫サイトカインの使用を含み、ここで、PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインは、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせて投与される。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
がんの治療における併用療法としての使用のための、転移の予防若しくは治療における併用療法としての使用のための、又はT細胞活性などの免疫応答若しくは機能を刺激することにおける併用療法としての使用のための、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインであって、
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする
PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
がんの治療における使用のための、請求項1に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
【請求項3】
乳がん、肺がん、結腸がん、卵巣がん、メラノーマがん、膀胱がん、腎がん、腎臓がん、肝臓がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、黒色腫、膵臓がん、胃がん、食道がん、中皮腫、前立腺がん、白血病、リンパ腫、骨髄腫の治療における使用のための、請求項2に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
【請求項4】
転移の予防又は治療における使用のための、請求項1に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
【請求項5】
腫瘍免疫など、免疫関連疾患を治療すること又はその進行を遅延させることにおける使用のための、請求項1に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
【請求項6】
T細胞活性などの免疫応答又は機能を刺激することにおける使用のための、請求項1に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
【請求項7】
i)腫瘍における腫瘍増殖の阻害;及び/又は
ii)腫瘍を有する対象の生存期間中央値及び/又は全生存期間を向上させること
における使用のための、ヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインであって;
ここで、PD-1が、免疫細胞、特にT細胞上に、又は腫瘍細胞環境において提示され、
ここで、併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、
a)配列番号5の重鎖可変ドメインVH及び配列番号6の軽鎖可変ドメインVL、及び配列番号2のポリペプチド配列、又は
b)配列番号7若しくは配列番号8若しくは配列番号9のポリペプチド配列、又は
c)配列番号7、及び配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列、又は
d)配列番号12、及び配列番号13及び配列番号14のポリペプチド配列
を含むことを特徴とし、
かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、
a)配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVL、又は
b)配列番号19の重鎖可変ドメインVH及び配列番号20の軽鎖可変ドメインVL
を含むことを特徴とする
PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
【請求項8】
併用療法で使用されるPD1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ、併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体が、配列番号15の重鎖可変ドメインVH及び配列番号16の軽鎖可変ドメインVLを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
【請求項9】
併用療法で使用されるPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインが、配列番号7、配列番号8及び配列番号9のポリペプチド配列を含むことを特徴とし、かつ併用療法で使用されるヒトPD-L1に結合する抗体がアテゾリズマブである、請求項1から8のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
【請求項10】
免疫サイトカインの抗体成分及び抗体が、ヒトIgG1サブクラス又はヒトIgG4サブクラスのものであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のヒトPD-L1に結合する抗体と組み合わせたPD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカイン。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特異的PD-1標的化IL-2変異体免疫サイトカインと、ヒトPD-L1に結合する特異的抗体との併用療法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
発明の背景
がんは経済先進国における死因の第1位であり、発展途上国における死因の第2位である。化学療法の最近の進歩と、がん細胞の増殖シグナルの伝達及び制御を妨げる分子レベルを標的とした薬剤の開発にもかかわらず、進行がん患者の予後は一般的に不良なままである。その結果、許容できない毒性を引き起こすことなく生存率を高めるために既存の治療法に追加することができる新規治療法を開発するための持続的かつ緊急の医学的必要性がある。
【0003】
IL-2及びPD-1を標的としたIL-2ベースの免疫サイトカイン
インターロイキン2(IL-2)は、リンパ球及びナチュラルキラー(NK)細胞を活性化するサイトカインである。IL-2は抗腫瘍活性を有することが示されている;しかしながら、高レベルのIL-2は肺毒性を導き、IL-2の抗腫瘍活性は、多くの抑制性フィードバックループにより制限される。
【0004】
その抗腫瘍効果に基づき、高用量IL‐2(アルデスロイキン、プロロイキン(登録商標)として市販)治療は、米国で転移性腎細胞癌(RCC)及び悪性黒色腫の患者、欧州連合で転移性RCC患者での使用が承認されている。しかしながら、IL-2の作用機序の結果として、IL-2の全身的かつ非標的化された適用は、Treg細胞及びAICDの誘導を介して抗腫瘍免疫をかなり損なう可能性がある。全身性IL-2治療のさらなる懸念は、重度の心血管系、肺水腫、肝臓、消化管(GI)、神経系及び血液学的事象を含む、静脈内投与時の重度の副作用に関連している(プロロイキン(アルデスロイキン)製品概要[SmPC]:http://www.medicines.org.uk/emc/medicine/19322/SPC/(2013年5月27日にアクセス))。低用量IL-2レジメンは、最適以下の治療結果を犠牲にしながらも、患者において試験されている。まとめると、IL‐2を利用した治療アプローチは、その適用に伴う責任を克服できれば、がん治療に有用である可能性がある。PD-1標的化抗原結合部分及びIL-2ベースのエフェクター部分を含むイムノコンジュゲートは、例えば、国際公開第2018/184964号(A1)に記載されている。
【0005】
PD-1及びPD-1抗体
プログラム細胞死タンパク質1(PD-1又はCD279)は、CD28、CTLA-4、ICOS及びBTLAをも含む、受容体のCD28ファミリーの阻害性メンバーである。PD-1は細胞表面受容体であり、活性化B細胞、T細胞、骨髄細胞に発現している(Okazaki et al (2002) Curr. Opin. Immunol. 14: 391779-82; Bennett et al. (2003) J Immunol 170:711-8)。PD‐1の構造は単量体1型膜貫通蛋白質であり、1つの免疫グロブリン可変様細胞外ドメインと、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)及び免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を含む細胞質ドメインとからなる。PD-1に対する2つのリガンド、PD-Ll及びPD-L2が同定されており、これらは、PD-1に結合するとT細胞活性化を下方制御することが示されている(Freeman et al (2000) J Exp Med 192: 1027-34; Latchman et al (2001) Nat Immunol 2:261-8; Carter et al (2002) Eur J Immunol 32:634-43))。PD-LlとPD-L2は両方ともPD-1に結合するB7ホモログであるが、他のCD28ファミリーメンバーには結合しない。PD-1の1つのリガンドであるPD-Llは、様々なヒトがんに豊富に存在する(Dong et al (2002) Nat. Med 8:787-9)。PD-1とPD-L1の間の相互作用は、腫瘍浸潤リンパ球の減少、T細胞受容体を介した増殖の減少、及びがん性細胞による免疫回避をもたらす(Dong et al. (2003) J. MoI. Med. 81:281-7; Blank et al. (2005) Cancer Immunol. Immunother. 54:307-314; Konishi et al. (2004) Clin. Cancer Res. 10:5094-100)。免疫抑制は、PD-1とPD-L1の局所的な相互作用を阻害することで逆転させることができ、PD-1とPD-L2の相互作用も同様に遮断されると、その効果は相加的である(Iwai et al. (2002) Proc. Nat 7. Acad. ScL USA 99: 12293-7; Brown et al. (2003) J. Immunol. 170:1257-66)。PD-1に結合する抗体は、例えば、国際公開第2017/055443号(A1)に記載されている。
【0006】
PD-L1及びPD-L1抗体
T細胞に対する2つの異なるシグナルの共刺激又は提供は、抗原提示細胞(APC)による静止Tリンパ球のリンパ球活性化の広く受け入れられたモデルである。Lafferty et al., Aust. J. Exp. Biol. Med. Sci.
53
: 27-42 (1975)。
【0007】
このモデルはさらに、非自己からの自己の区別と免疫寛容とを提供する。Bretscher et al., Science 169: 1042-1049 (1970); Bretscher, P.A., P.N.A.S. USA 96: 185-190 (1999); Jenkins et al., J. Exp. Med. 165: 302-319 (1987)。一次シグナル、又は抗原特異的シグナルは、主要組織適合性複合体(MHC)との関連で提示される外来抗原ペプチドの認識に続いて、T細胞受容体(TCR)を介して伝達される。二次シグナル、又は共刺激シグナルは、抗原提示細胞(APC)上に発現される共刺激分子によりT細胞に送達され、T細胞を誘導してクローン増殖、サイトカイン分泌、及びエフェクター機能を促進する。Lenschow et al., Ann. Rev. Immunol.
14
:233 (1996)。共刺激がない場合、T細胞は抗原刺激に対して不応性となり、効果的な免疫応答を開始せず、さらに外来抗原に対する枯渇又は寛容をもたらす可能性がある。
【0008】
TCRシグナルの強度は実際にT細胞の活性化及び分化に対して定量的な影響を有するため、単純な2シグナルモデルは過度の単純化となり得る。Viola et al., Science 273: 104-106 (1996); Sloan-Lancaster, Nature363: 156-159 (1993)。さらに、T細胞の活性化は、TCRシグナル強度が高い場合、共刺激シグナルがない場合においても起こり得る。さらに重要なことに、T細胞は正及び負の両方の二次共刺激シグナルを受け取る。このような正及び負のシグナルの調節は、宿主の防御免疫応答を最大化し、一方で免疫寛容を維持し、自己免疫を防ぐために重要である。
【0009】
負の二次シグナルはT細胞寛容の誘導に必要であると思われ、一方正のシグナルはT細胞の活性化を促進する。単純な2シグナルモデルは依然としてナイーブリンパ球の有効な説明を提供するが、宿主の免疫応答は動的な過程であり、共刺激シグナルが抗原曝露T細胞にも提供され得る。
【0010】
共刺激の機構は、共刺激シグナルの操作が、細胞に基づく免疫応答を増強するか又は終了させる手段を提供することを示しているため、治療上興味深いものである。最近、T細胞の機能障害又はアネルギーが、抑制受容体、すなわちプログラム死1ポリペプチド(PD-1)発現の誘導及び維持と同時に起こることが発見された。結果として、治療標的のPD-1と、PD-1との相互作用を介してシグナル伝達する他の分子、例えばプログラム死リガンド1(PD-L1)及びプログラム死リガンド2(PD-L2)は、非常に興味深い分野である。PD-L1シグナル伝達の阻害は、がん並びに急性及び慢性(例えば持続性)感染を含む感染の治療のためのT細胞免疫(例えば,腫瘍免疫)を増強する手段として提案されてきた。しかしながら、この経路において標的に向けられた最適な治療は未だ商品化されておらず、重要な満たされていない医学的必要性が存在している。PD-L1に対する抗体は、例えば国際公開第2010/077634号に記載されている。
【発明の概要】
(【0011】以降は省略されています)

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