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公開番号2025156592
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-14
出願番号2025134235,2024010099
出願日2025-08-12,2018-06-08
発明の名称DNAが編集された真核細胞を製造する方法、および当該方法に用いられるキット
出願人国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
主分類C12N 15/09 20060101AFI20251002BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】 真核細胞においてCRISPR-Cas3システムを確立すること。
【解決手段】 DNAが編集された真核細胞を製造する方法であって、真核細胞にCRISPR-Cas3システムを導入することを含み、CRISPR-Cas3システムが以下の(A)~(C)を含む方法。
(A)Cas3タンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、
(B)カスケードタンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および
(C)crRNA、該crRNAをコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
DNAが編集された真核細胞(ただし、ヒト体内に存在する状態の細胞、ヒト生殖細胞、およびヒト胚細胞を除く)または動物(ただし、ヒトを除く)を製造する方法であって、真核細胞(ただし、ヒト体内に存在する状態の細胞、ヒト生殖細胞、およびヒト胚細胞を除く)または動物(ただし、ヒトを除く)に、真核細胞内または動物内でDNAを編集できるCRISPR-Cas3システムを導入することを含み、CRISPR-Cas3システムが以下の(A)~(C)を含む方法(ただし、CRISPR-Cas3システムがタイプI-Dの場合を除く)。
(A)Cas3タンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、
(B)カスケードタンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および
(C)プレcrRNA、該crRNAをコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
DNAが編集された植物を製造する方法であって、植物に、植物内でDNAを編集できるCRISPR-Cas3システムを導入することを含み、CRISPR-Cas3システムが以下の(A)~(C)を含む方法(ただし、CRISPR-Cas3システムがタイプI-Dの場合を除く)。
(A)Cas3タンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、
(B)カスケードタンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および
(C)プレcrRNA、該crRNAをコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター
【請求項3】
真核細胞、動物、または植物にCRISPR-Cas3システムを導入した後に、カスケードタンパク質を構成するタンパク質によりcrRNAが切断される工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Cas3タンパク質および/またはカスケードタンパク質に核移行シグナルが付加されている、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
核移行シグナルがバイパルタイト核移行シグナルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
DNAが編集された真核細胞または動物の製造に用いるためのキットであって、真核細胞内または動物内でDNAを編集できるCRISPR-Cas3システムを構成する以下の(A)から(C)を含むキット(ただし、CRISPR-Cas3システムがタイプI-Dの場合を除く)。
(A)Cas3タンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、
(B)カスケードタンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および
(C)プレcrRNA、該crRNAをコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチド含む発現ベクター
【請求項7】
DNAが編集された植物の製造に用いるためのキットであって、植物内でDNAを編集できるCRISPR-Cas3システムを構成する以下の(A)から(C)を含むキット(ただし、CRISPR-Cas3システムがタイプI-Dの場合を除く)。
(A)Cas3タンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、
(B)カスケードタンパク質、該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および
(C)プレcrRNA、該crRNAをコードするポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチド含む発現ベクター
【請求項8】
Cas3タンパク質および/またはカスケードタンパク質に核移行シグナルが付加されている、請求項6または7に記載のキット。
【請求項9】
核移行シグナルがバイパルタイト核移行シグナルである、請求項8に記載のキット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAが編集された真核細胞、動物、および植物を製造する方法、ならびに当該方法に用いられるキットに関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
細菌、古細菌は、外来から侵入しようとするファージなどの生物を特異的に認識し、排除する適応免疫機構を有している。CRISPR-Casシステムと呼ばれるこのシステムは、まず、外来生物のゲノム情報を自己ゲノムに取り込む(アダプテーション)。そして、再度同じ外来生物が侵入しようとする際に、自己ゲノムに取り込まれた情報とゲノム配列の相補性を利用して外来ゲノムを切断し、排除する(インターフェアランス)。
【0003】
最近になって、上記のCRISPR-Casシステムを、「DNA編集用の道具」として用いた、ゲノム編集(DNA編集)技術が開発されるようになってきた(非特許文献1)。
【0004】
CRISPR-Casシステムは、DNAを切断する過程で働くエフェクターが、複数のCasからなる「クラス1」と、単一のCasからなる「クラス2」とに大別される。とりわけ、クラス1のCRISPR-Casシステムとしては、Cas3およびカスケード複合体(カスケードとcrRNAとの複合体を意味する。以下同様。)が関与する「タイプI」が広く知られており、クラス2のCRISPR-Casシステムとしては、Cas9が関与する「タイプII」が広く知られている(以下、CRISPR-Casシステムに関して、「クラス1タイプI」および「クラス2タイプII」をそれぞれ単に「タイプI」および「タイプII」と称することもある。)。そして、これまでのDNA編集技術において広範に用いられていたのは、Cas9が関与するクラス2のCRISPR-Casシステムである(以下、「CRISPR-Cas9システム」と呼ぶこともある。)。例えば、非特許文献1は、Cas9を用いてDNAを切断する、クラス2のCRISPR-Casシステムを報告している。
【0005】
一方、Cas3およびカスケード複合体を用いてDNAを切断する、クラス1のCRISPR-Casシステム(以下、「CRISPR-Cas3システム」と呼ぶこともある。)については、多くの努力にも拘らず、真核細胞においてゲノム編集の成功例の報告はなされていない。例えば、非特許文献2および3では、単に、CRISPR-Cas3システムを用いることにより、無細胞系で標的DNAが完全に分解されたことや、特定の大腸菌株を選択的に除去することができたことを報告しているが、これらはゲノム編集の成功を意味するものではなく、また、真核細胞では何ら実証されていない。また、特許文献1においては、CRISPR-Cas3システムが、Cas3のヘリカーゼ活性とエキソヌクレアーゼ活性により、大腸菌において標的DNAを分解してしまうことから(実施例5、図6)、真核細胞においては、Cas3に代えて、FokIヌクレアーゼを用いてゲノム編集を行うことを提案している(実施例7、図7、図11)。また、特許文献2では、CRISPR-Cas3システムは、大腸菌において標的DNAを分解してしまうことから(図4)、cas3を欠失させたり、不活性化されたCas3(Cas3’とCas3’’)を使用することで、プログラム化可能な遺伝子抑制に再目的化することを提案している(例えば、実施例15、請求項4(e))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2015-503535号公報
特表2017-512481号公報
【非特許文献】
【0007】
Jinek M et al. (2012) A Programmable Dual-RNA Guided DNA Endonuclease in Adaptive Bacterial Immunity, Science, Vol.337 (Issue 6096), pp.816-821
Mulepati S & Bailey S (2013) In Vitro Reconstitution of an Escherichia coli RNA-guided Immune System Reveals Unidirectional, ATP-dependent Degradation of DNA Target, Journal of Biological Chemistry, Vol.288 (No.31), pp.22184-22192
Ahmed A. Gomaa et al. (2014) Programmable Reomoval of Bacterial Strains by Use of Genome Targeting CRISPR-Cas Systems, mbio. asm. org, Volume 5, Issue 1, e00928-13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、真核細胞においてCRISPR-Cas3システムを確立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、遂に、真核細胞においてCRISPR-Cas3システムを確立することに成功した。最も広く利用されているCRISPR-Cas9システムは、様々な真核細胞においてゲノム編集に成功しているが、このシステムでは、通常、crRNAとして成熟crRNAが用いられている。しかしながら、驚くべきことに、CRISPR-Cas3システムでは、成熟crRNAを用いた場合には、真核細胞においてゲノム編集が困難であり、通常、システムの構成要素としては用いられないプレcrRNAを用いることで初めて、効率的なゲノム編集が可能であった。すなわち、CRISPR-Cas3システムを真核細胞で機能させるためには、カスケードを構成するタンパク質によるcrRNAの切断が重要であることが判明した。このプレcrRNAを用いたCRISPR-Cas3システムは、タイプI-Eのシステムのみならず、タイプI-FおよびタイプI-Gのシステムにも広く適用することが可能であった。また、Cas3に核移行シグナル、特に、バイパルタイト核移行シグナルを付加することにより、真核細胞におけるCRISPR-Cas3システムのゲノム編集効率をさらに向上させることができた。また、本発明者は、CRISPR-Cas3システムによれば、CRISPR-Cas9システムと異なり、PAM配列を含むか、その上流域において、大きな欠失をもたらすことが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、真核細胞におけるCRISPR-Cas3システムに関し、より詳しくは、以下の発明を提供するものである。
(【0011】以降は省略されています)

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