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公開番号2025115148
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-06
出願番号2024009517
出願日2024-01-25
発明の名称高温流体の加熱移送装置および高温流体の加熱装置
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類F17D 5/06 20060101AFI20250730BHJP(ガスまたは液体の貯蔵または分配)
要約【課題】高い安全性を確保しながら、特殊な部材を用いることなく小型化可能な、二重管構造の高温流体の加熱移送装置および高温流体の加熱装置を提供する。
【解決手段】本発明は、内部を高温流体が流れる内管または加熱管と、これらを囲繞して形成される空間に断熱層を設けつつ不活性ガスを流す外管または耐圧筐体とからなる二重管構造を有し、さらに、高温流体および不活性ガスの圧力測定手段と、これらを略等圧に制御する圧力制御手段と、圧力測定結果に基づいて損傷を検知する内外流路損傷検知手段と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
高温流体を配管で移送する配管移送部と、前記高温流体の全移送区間のうちの一部区間で前記高温流体を加熱する流体加熱部とからなる、高温流体の加熱移送装置であって、
(a)前記配管移送部は、
(a1)内部に前記高温流体を流す内管と、
(a2)該内管を外側から囲繞して環状空間を形成し該環状空間に不活性ガスを流す外管と、
(a3)前記環状空間で前記内管の外周面を覆う断熱層と、
を備え、
(b)前記流体加熱部は、
(b1)前記配管移送部の内管と連通し、前記高温流体を内部に流して加熱する1本または複数本の加熱管と、
(b2)該加熱管を外側から囲繞して緩衝空間を形成し、該緩衝空間と前記配管移送部の環状空間とを連通して前記不活性ガスを流す耐圧筐体と、
(b3)前記緩衝空間で、前記1本の加熱管の外周面もしくは前記複数本の加熱管の集合体の外側、または、前記耐圧筐体の内周面、のいずれか一つの箇所、またはこれらを組み合わせたそれぞれの箇所を覆う断熱層と、を設けてなり、
(c)前記加熱移送装置には、
(c1)前記内管、前記環状空間、前記加熱管、および前記緩衝空間のそれぞれの内部圧力を測定する圧力測定手段と、
(c2)前記圧力測定手段による測定結果に基づいて、前記配管移送部の前記内管と前記環状空間との間で、および、前記流体加熱部の前記加熱管と前記緩衝空間との間で、それぞれ内部圧力同士を略等圧に制御する圧力制御手段と、
(c3)前記圧力測定手段による測定結果に基づいて、前記内管、前記外管、前記加熱管、または前記耐圧筐体の損傷を検知する内外流路損傷検知手段と、を備え、
および/または、
(c4)前記配管移送部の環状空間または前記流体加熱部の緩衝空間で、前記高温流体に由来するガス成分の濃度を測定するガス濃度測定手段と、
(c5)該ガス濃度測定手段による測定結果に基づいて、前記内管または前記加熱管の損傷を検知する内部流路損傷検知手段と、を備える、
高温流体の加熱移送装置。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記圧力制御手段による圧力制御範囲が、前記配管移送部の前記内管の内部圧力に対する前記環状空間の内部圧力の比で、0.25以上1.5以下であり、前記流体加熱部の前記加熱管の内部圧力に対する前記緩衝空間の内部圧力の比で、0.25以上1.5以下である、請求項1に記載の高温流体の加熱移送装置。
【請求項3】
高温流体を内部に流して加熱する1本または複数本の加熱管と、該加熱管を外側から囲繞して緩衝空間を形成し該緩衝空間に不活性ガスを流す耐圧筐体とを設けてなる、高温流体の加熱装置であって、
(d)前記緩衝空間において、断熱層が、
(d1)前記1本の加熱管の外周面もしくは前記複数本の加熱管の集合体の外側、
または、
(d2)前記耐圧筐体の内周面、
のいずれか一つの箇所、またはこれらを組み合わせたそれぞれの箇所を覆うように配設され、
(e)前記加熱装置には、
(e1)前記加熱管および前記緩衝空間のそれぞれの内部圧力を測定する圧力測定手段と、
(e2)前記圧力測定手段による測定結果に基づいて、前記加熱管の内部圧力と前記緩衝空間の内部圧力とを略等圧に制御する圧力制御手段と、
(e3)前記圧力測定手段による測定結果に基づいて、前記加熱管または前記耐圧筐体の損傷を検知する内外流路損傷検知手段と、を備え、
および/または、
(e4)前記緩衝空間で、前記高温流体に由来するガス成分の濃度を測定するガス濃度測定手段と、
(e5)該ガス濃度測定手段による測定結果に基づいて、前記加熱管の損傷を検知する内部流路損傷検知手段と、を備える、
高温流体の加熱装置。
【請求項4】
前記圧力制御手段による圧力制御範囲が、前記加熱管の内部圧力に対する前記緩衝空間の内部圧力の比で、0.25以上1.5以下である、請求項3に記載の高温流体の加熱装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高温流体の加熱移送装置および高温流体の加熱装置に関し、詳しくは、高い安全性を確保しながら高温流体の加熱および移送が可能な二重管構造を有する、高温流体の加熱移送装置および高温流体の加熱装置に関するものである。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策のために、エネルギー効率の高効率化や二酸化炭素排出量の少ない燃料への転換が進められている。このような背景から、高温流体の移送の分野でも、エネルギー効率の高効率化のために、より高温の流体の移送が求められている。
【0003】
通常、工業的に扱われる高温流体には、環境や人体に有害な化学物質(有毒物、環境破壊物質、等の液体または気体)や、可燃性の危険物(燃料油、燃料ガス、等の可燃物)が含まれる場合も多い。一方、高温流体の配管移送では、配管壁の高温腐食による孔あき、および高圧流体と外部環境との内外圧力差による配管壁の高温クリープ破断等の設備トラブルの可能性がある。しかし、このような設備トラブルにより、有害で危険な内部流体が直ちに外部に開放されるのは好ましくない。
【0004】
このような問題に対し、例えば特許文献1では、高温高圧流体が流れる配管において、配管の温度上昇を抑制して配管内壁面の高温腐食を防止し、熱伸び量を低減または該熱伸び量に対する拘束を緩和して熱応力を低減する高温流体用配管構造が提案されている。具体的には、図9に示すように、内部を高温流体が通流する耐熱管30と、該耐熱管30の外周を覆って設けられた断熱層32と、該断熱層32の外側に設けられて該断熱層32を外側から囲繞し、前記流体を密閉する耐圧管34とを三層に設ける。これにより、耐熱管30内を流れる高温流体からの熱は、耐熱管30の外周と耐圧管34の内周との間に充填された断熱層32によって遮熱され、外殻を構成する耐圧管34の温度は大幅に低くなり、配管の熱伸びが減少する。なお、外殻を構成する耐圧管34は、フランジ37部でボルト等により長手方向に接続される。さらに、前記耐熱管30の一端を前記耐圧管34の一端の内周に第1の支持部材35を介して固定し、該耐熱管30の他端を該耐圧管34の内周に第2の支持部材36を介して半径方向に相対移動不能に、かつ長手方向には相対移動可能に取付ける。これにより、耐熱管30が熱によって、自由端部で拘束されることなく伸長でき、かかる熱伸びの拘束による熱応力が大幅に減少し、かかる熱応力による配管の破損の発生が防止される。また、断熱層32、33の内部と耐熱管30の内部とは該耐熱管30に穿設された多数の小孔31によって連通されているので、両空間の圧力バランスがなされ、断熱層32、33内の圧力が過大となることはない。
【0005】
また、特許文献2では、高温ガスタービン排気ダクトに関し、ダクトを二重構造とし、クラックが発生しても、燃焼ガスの外部への漏れを防止することができる発明が開示されている。具体的には、図10に示すように、ガスタービン40は、圧縮機41、タービン部42からなり、高温の燃焼ガスは排気ダクト系50から排熱回収ボイラへ流出し、一部はバイパススタック54より流出する。排気ダクト系50は、内側ダクト51と外側ダクト52の二重構造であり、両ダクトの隙間53には、空気配管43より圧縮機41から、または空気配管45よりファン44から、冷却空気供給ポート46を経て冷却空気を流し、冷却する。排気ダクト系50では、二重構造の内側ダクト51は耐熱の役割を、外側ダクト52は耐圧の役割をそれぞれ受け持つ。例えば、内側ダクト51が熱変形しても外側ダクト52との支持部材で吸収し、また、内側ダクト51にクラックが生じ、ガスが多少漏れても冷却空気と外側ダクト52により保護され、外には漏れない。
【0006】
特許文献3では、流体の加熱効率を向上させるとともに、高圧流体の加熱も可能な小型の電磁誘導加熱装置に関する発明が開示されている。具体的には、図11に示すような構成を有する電磁誘導加熱装置である。まず、筒状絶縁部材62が、筒状絶縁部材62の流体の出口となる出口側開口62eを除き、円筒壁部60aと底壁部60bとからなる外殻部材の有底筒状容器60、および同じく外殻部材である基盤61により囲繞されている。また、外殻部材には、筒状絶縁部材62の流体の入口となる入口側開口62iよりも出口側開口62eの近くに、外殻部材の内側に流体を流入する流入口61aが設けられる。さらに、筒状絶縁部材62の外周に誘導加熱コイル64が巻回され、筒状絶縁部材62の内側に発熱磁性体63が流路を形成して配設される。このような構成を有する同文献に記載の発明では、主に次のような効果を奏するとする。すなわち、(1)被加熱流体が環状空間と筒内空間で2段階に亘って加熱されるため、加熱効率が高い。(2)環状空間と筒内空間とは共通の空間を構成するため、両空間の間に圧力差がなく、筒状絶縁部材に応力が発生せず割れ等の破損も生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平11-304085号公報
特開平11-013483号公報
特開2018-085226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、断熱層32、33の内部と耐熱管30の内部とを圧力バランスさせるために耐熱管30に多数の小孔31を穿設させるため、耐圧管34が損傷した場合の、環境に有害または危険な内部流体の漏洩等に対処できない。また、特許文献2に記載の発明は、二重構造の内側ダクト51で耐熱の役割を、外側ダクト52で耐圧の役割をそれぞれ分担するものの、内側ダクト51の両側の圧力バランスは図れないため、ダクト壁の破断および内部流体の漏洩の回避には改善の余地がある。特許文献3に記載の発明は、二重管構造の加熱装置であり、環状空間と筒内空間との圧力差をなくして内管に応力を発生させない構造とするが、特許文献1に記載の発明と同様に、外殻部材の損傷による環境への有害または危険な内部流体の漏洩等に対処できない。また、特許文献3に記載の発明は、流体の加熱装置であって、流体の加熱移送装置に関するものでもない。
【0009】
以上のとおり、特許文献1~3では、高温流体の配管移送での、配管壁の高温腐食による孔あき、および、内外圧力差による配管壁の高温クリープ破断、等の設備トラブル、これに伴う環境に有害または危険な内部流体の漏洩に対して十分な解決策が得られない。また、上記のような設備トラブルや内部流体の漏洩問題は、設備停止や人的被害発生等に至る前に、またはトラブル発生の初期段階に検知できることが望ましいが、特許文献1~3には、そのような検知の方策については何ら記載されていない。
また一般的に、耐熱性および耐圧性等を含む厳重な内部流体の漏洩対策が施された高温流体の加熱装置および高温流体の加熱移送装置は、大型化しやすく、また、往々にして特殊な部材を用いるため高価であるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記のような問題に鑑み、高い安全性を確保しながら特殊な部材を用いることなく小型化可能な二重管構造の高温流体の加熱移送装置および高温流体の加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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