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公開番号2025114590
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-05
出願番号2025067241,2021562674
出願日2025-04-16,2020-12-02
発明の名称色素性乾皮症F群治療薬
出願人国立大学法人東海国立大学機構
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12N 15/113 20100101AFI20250729BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】これまでに疾患原因変異が特定されていない色素性乾皮症F群の治療手段を提供すること。
【解決手段】本発明は、XPF遺伝子のイントロン領域の一部とハイブリダイズすることができる塩基配列を有し、XPF遺伝子の異常な転写後修飾を抑制する活性を有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩、およびそれを有効成分として含む色素性乾皮症F群の治療薬または治療用組成物を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
XPF遺伝子のイントロン領域の一部とハイブリダイズすることができる塩基配列を有し、XPF遺伝子の異常な転写後修飾を抑制する活性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、その5’末端及び/又は3’末端が化学修飾されていても良いアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
配列番号63で表される変異型イントロン1配列を有するXPF遺伝子の転写後修飾において、配列番号63で表される塩基配列における193番目のグアニンの5’側の5’スプライス部位および1658番目のグアニンの3’側の3’スプライス部位を用いる異常スプライシングを抑制する、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
【請求項3】
配列番号63で表される塩基配列における155番目~217番目の塩基配列内の、連続する15~30ヌクレオチドからなる配列とハイブリダイズすることができる、請求項1または2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
【請求項4】
配列番号63で表される塩基配列における155番目~217番目の塩基配列内の、連続する15~30ヌクレオチドからなる配列に90%以上相補的な配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
【請求項5】
配列番号65~82および101~108のいずれかで表される塩基配列(配列中、uはtに置き換えても良い。)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
【請求項6】
1つ以上の糖修飾ヌクレオシドを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
【請求項7】
糖修飾ヌクレオシドが、4’-(CH



-O-2’架橋(式中、nは1または2である)または2’-O-メチル化を含むヌクレオシドである、請求項6に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
【請求項8】
1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
【請求項9】
修飾ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項8に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
【請求項10】
配列番号1~18、37~60および112~123のいずれかで表される塩基配列からなる、請求項1~9のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、色素性乾皮症F群の治療薬、その有効成分であるアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩などに関する。
続きを表示(約 4,800 文字)【背景技術】
【0002】
色素性乾皮症(XP)は、太陽光中の紫外線に起因する光DNA損傷などをゲノム中から取り除くヌクレオチド除去修復機構(NER)や、損傷バイパス合成(TLS)に関与する遺伝子の先天的な異常により発症する。XP患者は、光線過敏、日光露光部の色素異常、および高いがん発生率のほか、神経症状などを有し、日本人の有病率は出生25,000人に1名程度と見積もられている。これまでに疾患原因変異が報告されている遺伝子としては、XPA~XPG遺伝子のほか、TLSポリメラーゼをコードするPOLH遺伝子が知られている。それぞれの変異を有するXP症例は、XP-A~XP-G群およびXP-V(バリアント)群の相補性群に分類される。XP症例中に占める各相補群の割合は人種により異なるが、日本人集団では、XP-A群、ついでXP-V群の異常が多く見られる。
【0003】
XPの相補性群のうち、TLS欠損となるバリアント群以外は、NERの欠損を示す。NERは、DNA損傷の認識形態により、全ゲノム修復(GG-NER)と転写共役修復(TC-NER)に分かれる。XP-C/E群ではGG-NERのみの欠損を示し、XP-A/B/D/F/G群ではGG-NERおよびTC-NER両方の欠損を示す。XP症例では、これらNERの欠損によりDNA損傷がゲノム中に蓄積することでゲノムの不安定化を招き、若年で皮膚がんを好発する。神経症状は相補性群や疾患原因変異により発症時期が異なるが、特にA群日本人創始者変異(IVS3-1G>C)を持つ症例では、XPAタンパク質の発現が喪失することでNERの全機能を失い、重篤な神経症状を示す。
【0004】
XPは全身性の遺伝性疾患であり、現在有効な治療法は開発されていない。乳幼児期の重度な日焼けを発端に皮膚科を受診することで、XPと診断されることが多い。また遺伝子検査等により大まかな予後が判明する。日光暴露を避け皮膚がんの予防に努めることが可能であるが、予後やQOLに大きな影響を与える神経症状の進行緩和については、有効な手立ては存在しない。
【0005】
XPの確定診断に関しては、患者の皮膚パッチより樹立した線維芽細胞を用いたDNA修復活性測定法が知られている。これには、光DNA損傷箇所の除去の後の修復DNA合成を検出することでGG-NERの活性を測定する不定期DNA合成(UDS)試験と、DNA損傷後に転写活性の高い領域のRNA合成回復能(RRS)を検討することでTC-NER活性を評価する方法がある(非特許文献1および2)。患者由来細胞でUDS/RRSを評価し、あわせて既知のどのXP遺伝子でこれらの活性が回復するかを調査することで、相補性群の特定が可能である(非特許文献3および4)。
【0006】
XP-F群患者が保持する遺伝子変異については、非特許文献5において、患者個別の変異としてXPF遺伝子(ERCC4)のエキソン領域における変異が報告されている。しかし、XPF遺伝子のイントロン領域における変異については開示されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Nakazawa, Y. et al. DNA Repair 2010, 37(5):714-27
Limsirichaikul, S. et al. Nucleic Acids Res. 2009, 37(4), e31
Jia N. et al. Nature Protoc. 2015, 10(1), 12-24
Nakazawa, Y. et al. Nature Genetics 2012, 44(5), 586-92
Kashiyama, Y. et al. The American Journal of Human Genetics 2013, 83 92:807-819
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
XP-F群については、疾患原因変異が特定されていない症例があり、これまでその治療を行うことはできなかった。本発明の目的は、そのようなXP-F群の治療手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、XP-F群患者の疾患原因である2種類の新規イントロン内部変異を同定した。1つ目は、新規日本人創始者変異であり、イントロン深部(エキソン1-イントロン1境界から約100bp下流)に存在し、新たにU1核内低分子リボ核タンパク質(U1 snRNP)結合配列を生じさせることで、異常な代替スプライシングによる遺伝子発現量低下を引き起こしていることが示された。2つ目は、イントロン深部(エキソン8-イントロン8境界部位から数百bp下流)の1塩基置換変異であり、それにより病的なポリA付加配列(切断・ポリアデニル化因子結合配列)が形成され、不完全な転写終結とmRNAの不安定化が引き起こされることで疾患発症に至ることが示された。本発明者らは、さらに鋭意研究し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]XPF遺伝子のイントロン領域の一部とハイブリダイズすることができる塩基配列を有し、XPF遺伝子の異常な転写後修飾を抑制する活性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、その5’末端及び/又は3’末端が化学修飾されていても良いアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[2]配列番号63で表される変異型イントロン1配列を有するXPF遺伝子の転写後修飾において、配列番号63で表される塩基配列における193番目のグアニンの5’側の5’スプライス部位および1658番目のグアニンの3’側の3’スプライス部位を用いる異常スプライシングを抑制する、[1]に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[3]配列番号63で表される塩基配列における155番目~217番目の塩基配列内の、連続する15~30ヌクレオチドからなる配列とハイブリダイズすることができる、[1]または[2]に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[4]配列番号63で表される塩基配列における155番目~217番目の塩基配列内の、連続する15~30ヌクレオチドからなる配列に90%以上、好ましくは95%以上、最適には完全に相補的な配列を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[5]配列番号65~82および101~108のいずれかで表される塩基配列(配列中、uはtに置き換えても良い。)を含む、[1]~[4]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[6]1つ以上の糖修飾ヌクレオシドを含む、[1]~[5]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[7]糖修飾ヌクレオシドが、4’-(CH



-O-2’架橋(式中、nは1または2である)または2’-O-メチル化を含むヌクレオシドである、[6]に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[8]1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む、[1]~[7]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[9]修飾ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、[8]に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[10]配列番号1~18、37~60および112~123のいずれかで表される塩基配列からなる、[1]~[9]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[11]配列番号64で表される変異型イントロン8配列を有するXPF遺伝子の転写後修飾において、配列番号64で表される塩基配列における324番目~329番目のポリA付加配列を用いる異常ポリアデニル化を抑制する、[1]に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[12]配列番号64で表される塩基配列における309番目~343番目の塩基配列内の、連続する15~30ヌクレオチドからなる配列とハイブリダイズすることができる、[1]または[11]に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[13]配列番号64で表される塩基配列における309番目~343番目の塩基配列内の、連続する15~30ヌクレオチドからなる配列に90%以上、好ましくは95%以上、最適には完全に相補的な配列を含む、[1]、[11]および[12]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[14]配列番号83~100のいずれかで表される塩基配列(配列中、uはtに置き換えても良い。)を含む、[1]および[11]~[13]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[15]1つ以上の糖修飾ヌクレオシドを含む、[1]および[11]~[14]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[16]糖修飾ヌクレオシドが、4’-(CH



-O-2’架橋(式中、nは1または2である)および2’-O-メチル化を含むヌクレオシドである、[15]に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[17]1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む、[1]および[11]~[16]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[18]修飾ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、[17]に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[19]配列番号19~36のいずれかで表される塩基配列からなる、[1]および[11]~[18]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[20]化学修飾が、オリゴヌクレオチドの輸送に適した分子構造体の付加である、[1]~[19]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[21][1]~[20]のいずれかに記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩を含む、色素性乾皮症F群の治療用医薬組成物。
[22]患者に対して[1]~[20]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩の有効量を投与することを含む、色素性乾皮症F群の治療方法。
[23]色素性乾皮症F群の治療に使用するための[1]~[20]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩。
[24]色素性乾皮症F群の治療用医薬組成物の製造のための、[1]~[20]のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学上許容される塩の使用。
(【0011】以降は省略されています)

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