TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025112295
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-31
出願番号2025006963
出願日2025-01-17
発明の名称フッ素系樹脂圧電フィルムおよびその製造方法、ならびに積層圧電体
出願人株式会社クレハ
代理人弁理士法人鷲田国際特許事務所
主分類C08J 5/18 20060101AFI20250724BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】透明性が高いフッ素系樹脂圧電フィルム、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】測定温度260℃、測定時のせん断速度50s-1で測定された溶融粘度ηが600Pa・s以上4000Pa・s以下であるフッ素系樹脂圧電フィルム。前記フッ素系樹脂圧電フィルムは、内部ヘイズが1.2%未満であり、リタデーションが100nm以上2000nm以下であり、圧電定数d33が5.0pC/N以上40.0pC/N以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
測定温度260℃、測定時のせん断速度50s
-1
で測定された溶融粘度ηが600Pa・s以上4000Pa・s以下であるフッ素系樹脂圧電フィルムであって、
内部ヘイズが1.2%未満であり、リタデーションが100nm以上2000nm以下であり、圧電定数d
33
が5.0pC/N以上40.0pC/N以下である、
フッ素系樹脂圧電フィルム。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
JIS B 0601:2001に準じて測定された表面高さ粗さRzが小さい側の表面のRzで、0.50μm以下である、
請求項1に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
【請求項3】
前記フィルムを平面視したときの最大幅および最小幅の算術平均値である大きさが100μm以上である異物の数が7個/0.25m

以下である、
請求項1に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
【請求項4】
フッ化ビニリデンに由来する構成単位を主成分として含む、
請求項1に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
【請求項5】
測定温度260℃、測定時のせん断速度50s
-1
で測定された溶融粘度ηが600Pa・s以上4000Pa・s以下であるフッ素系樹脂を加熱して溶融する工程と、
前記溶融されたフッ素系樹脂を押出してフィルム状に成膜する工程と、
前記成膜されたフィルムを、表面温度が125℃以下の冷却ロールに接触させて冷却する工程と、
前記冷却されたフィルムを、延伸する工程と、
前記冷却されたフィルムを、分極させる工程と、
を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記溶融する工程では、前記フッ素系樹脂の融点より75℃以上高く、105℃高い温度以下の温度で前記フッ素系樹脂を溶融する、
請求項5に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記溶融する工程で溶融された前記フッ素系樹脂を、ろ過精度10μm以上40μm以下のフィルターでろ過する工程を有する、
請求項5に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムを含む積層圧電体であって、
全光線透過率が80%以上である、
積層圧電体。
【請求項9】
前記フッ素系樹脂圧電フィルムの少なくとも一方の面上に配置された、表面抵抗率が1.0×10
-1
Ω/sq.以上1.0×10

Ω/sq.以下の電極層をさらに含む、
請求項8に記載の積層圧電体。
【請求項10】
前記電極層が金属膜、金属酸化物膜、金属ナノワイヤ、金属メッシュ、導電性高分子化合物、カーボンナノチューブおよびグラフェンからなる群より選択される少なくとも1種類を含む、
請求項9に記載の積層圧電体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系樹脂圧電フィルムおよびその製造方法、ならびに積層圧電体に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等の表示装置の前面にタッチパネルを設置した表示および入力装置が広く利用され、携帯電話機等の携帯機器および家庭電化製品の操作パネル等に用いられている。タッチパネルを用いた表示および入力装置は、ユーザーが画面上の表示を押すことで機器を操作するため、タッチパネルに用いられる圧電フィルムには検出感度を高めるため高い圧電性とディスプレイの画像を正確に視認するために高い透明性が求められる。
【0003】
特許文献1および特許文献2に記載されているように、フッ素系樹脂フィルムには、分極処理により圧電性を付与させることができる。フッ素系樹脂フィルムの製造方法として、フッ素系樹脂を溶解させた溶液を用いて溶液キャスト法により製造する方法(特許文献1等)と、フッ素系樹脂を熱溶融させて押出成形する方法(特許文献2)と、が知られている。タッチパネル等に使用される圧電フィルムには、高い透明性と圧電性が望まれる。なお、本明細書において、フッ素系樹脂圧電フィルムまたは圧電フィルムとは、後述の方法により測定された圧電定数d
33
が1.0pC/N以上であるフッ素系樹脂フィルムを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2015/064324号
特開平05-102548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶液キャスト法により成膜されたフッ素系樹脂フィルムからは、延伸せずに分極処理して圧電フィルムが製造されているが、熱溶融押出法により成膜されたフッ素系樹脂フィルムからは、フィルムを延伸処理した後に分極処理して圧電フィルムが製造されている。
【0006】
溶液キャスト法では、フッ素系樹脂の溶解に多量の極性有機溶媒を用いるため、溶媒の回収が必要であり製造コストが割高になるだけでなく、有機溶媒による作業環境や自然環境への影響について配慮することも必要になる。また、フッ素系樹脂の溶解に極性有機溶媒が使用されるため、フッ素系樹脂フィルムに前記溶媒が残留すると圧電フィルムの製造工程における分極化が妨げられる虞がある。そのため、有機溶媒を用いず、熱溶融させたフッ素系樹脂を押出成形して成膜することが好ましい。
【0007】
一方、フッ素系樹脂を熱溶融させて押出成形する方法では、高温まで加熱すると樹脂が変性して、分解物(異物)が発生したりするなどの不具合が生じる虞がある。
【0008】
前記樹脂の分解等の変性を抑制しつつ熱溶融法による押出成形をするには、溶融粘度の低いフッ素系樹脂を用いることが好ましい。しかしながら、熱溶融した前記樹脂を押出成形して成膜したフッ素系樹脂フィルムは透明性が低く、このフッ素系樹脂フィルムから作製したフッ素系樹脂圧電フィルムも透明性が低いという課題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、透明性が高いフッ素系樹脂圧電フィルム、およびその製造方法、ならびに積層圧電体を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態は、下記[1]~[4]のフッ素系樹脂圧電フィルムに関する。
[1]測定温度260℃、測定時のせん断速度50s
-1
で測定された溶融粘度ηが600Pa・s以上4000Pa・s以下であるフッ素系樹脂圧電フィルムであって、
内部ヘイズが1.2%未満であり、リタデーションが100nm以上2000nm以下であり、圧電定数d
33
が5.0pC/N以上40.0pC/N以下である、
フッ素系樹脂圧電フィルム。
[2]JIS B 0601:2001に準じて測定された表面高さ粗さRzが小さい側の表面のRzで、0.50μm以下である、
[1]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
[3]前記フィルムを平面視したときの最大幅および最小幅の算術平均値である大きさが100μm以上である異物の数が7個/0w.25m

以下である、
[1]または[2]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
[4]フッ化ビニリデンに由来する構成単位を主成分として含む、
[1]~[3]のいずれかに記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許