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公開番号2025131540
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-09
出願番号2025025804
出願日2025-02-20
発明の名称フッ素系樹脂圧電フィルムおよびその製造方法
出願人株式会社クレハ
代理人弁理士法人鷲田国際特許事務所
主分類C08J 7/00 20060101AFI20250902BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】透明性が高く、圧電定数が高く、なおかつ面内方向への圧電定数の変動が小さいフッ素系樹脂圧電フィルムを提供すること。
【解決手段】リタデーションが100nm以上2000nm以下であり、内部ヘイズが1.7%未満であり、進相軸方向に定められた21点の測定点で測定された圧電定数d33の平均値が6.0pC/N以上40.0pC/N以下、かつ前記圧電定数d33の標準偏差が2.0pC/N以下である、フッ素系樹脂圧電フィルム。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
フッ素系樹脂圧電フィルムであって、
リタデーションが100nm以上2000nm以下であり、
内部ヘイズが1.7%未満であり、
進相軸方向に定められた21点の測定点で測定された圧電定数d
33
の平均値が6.0pC/N以上40.0pC/N以下、かつ前記圧電定数d
33
の標準偏差が2.0pC/N以下である、
フッ素系樹脂圧電フィルム。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
進相軸方向に定められた11点の測定点で測定された厚さの平均が10μm以上300μm以下である、
請求項1に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
【請求項3】
測定温度260℃、測定時のせん断速度50s
-1
で測定された溶融粘度ηが600Pa・s以上4000Pa・s以下である、
請求項1に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
【請求項4】
前記フィルムを平面視したときの最大幅および最小幅の算術平均値である大きさが100μm以上である異物の数が7個/0.25m

以下である、
請求項1に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
【請求項5】
フッ化ビニリデンの単独重合体を含む、
請求項1に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
【請求項6】
フッ素系樹脂を加熱溶融する工程と、
前記溶融しているフッ素系樹脂をフィルム状に成膜する工程と、
前記成膜されたフィルムを、2.5倍以上6.0倍以下に一軸延伸する工程と、
前記成膜されたフィルムを、分極させる工程と、
を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記溶融しているフッ素系樹脂を、ろ過精度10μm以上40μm以下のフィルターでろ過する工程を有する、
請求項6に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記成膜されたフィルムを、表面温度が125℃以下である冷却ロールに接触させて冷却する工程を有する、
請求項6に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
【請求項9】
分極ロールと複数の針状電極との間を通過するフィルムに対し、前記複数の針状電極のそれぞれと前記分極ロールとの間の直流放電により分極処理をする工程を有する、フッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法であって、
前記複数の針状電極はいずれも、前記針状電極の先端と前記分極ロールの表面との間の距離が5mm以上30mm以下となる位置に配置され、かつ、最近接する針状電極同士の距離が15mm超100mm以下となるように配置される、
フッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記複数の針状電極は、前記フィルムが通過する方向(MD方向)とは直交する方向(TD方向)に列状に配置されて電極列を構成する、
請求項9に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系樹脂圧電フィルムおよびその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
フッ素系樹脂フィルムは、分極処理により高い圧電性を有する圧電フィルムになることが知られている(特許文献1など)。フッ素系樹脂を材料とする圧電体は、透明性が高いことから透明タッチパネルなどに使用される。
【0003】
フッ素系樹脂フィルムの分極処理方法として、針状電極と金属ロール(搬送用ロールと区別するため「分極ロール」と呼ぶことがある)との間にフッ素系樹脂フィルムを通過させながら、直流電圧を印加する方法が知られている(特許文献2など)。この際、フッ素系樹脂フィルムの表面全体に分極処理をする必要があるため、フッ素系樹脂フィルムの搬送方向(MD方向)とは直交する方向(TD方向)に複数の針状電極をフィルム面に垂直になるように列状に配置して、これらの針状電極から分極ロールに直流放電し、分極ロールと針状電極との間を通過するフッ素系樹脂フィルムを分極処理する方法が開示されている(特許文献3など)。
【0004】
タッチパネルなどに使用される圧電フィルムは、大面積の圧電フィルムとして量産化されているが、センサーなどに使用される圧電フィルムは小面積であることが多く、大面積の圧電フィルムを小さく裁断して使用されることが多い。そのため、圧電フィルムの品質を担保するため、フィルム全体の圧電定数の変動が小さいことが要求される。これらの課題に対し、特許文献3では、分極処理を行う際の、複数の針状電極のそれぞれとフッ素系樹脂フィルムとの間の距離を一定にして、フッ素系樹脂フィルムの圧電定数d
33
の変動を小さくしようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開昭60-047034号公報
特開2019-067908号公報
特開2016-219804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、フッ素系樹脂フィルムを均一に分極処理して、面内方向への圧電定数の変動を小さくするためには、針状電極を密に配置することが望ましいと考えた。そこで、本発明者らは、針状電極の電極間の距離を小さくして分極処理を試みた。ところが、電極間の距離を小さくすると針状電極からの放電により発生する電界同士が干渉し、電界の強度に斑が生じて均一な分極処理がなされず、かえってフィルム面内における圧電定数の変動が大きくなることが判明した。
【0007】
特許文献3には、面内方向への圧電定数の変動を小さくしたフッ素系樹脂フィルムが記載されている。しかし、特許文献3に記載されたフッ素系樹脂フィルムは透明性が低く、また圧電定数も低かった。このように、高い透明性と、高い圧電定数と、圧電定数の変動の小ささと、を満たすフッ素系樹脂圧電フィルムは未だ得られていなかった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、透明性が高く、圧電定数が高く、なおかつ面内方向への圧電定数の変動が小さいフッ素系樹脂圧電フィルム、およびその製造方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態は、下記[1]~[5]のフッ素系樹脂圧電フィルムに関する。
[1]フッ素系樹脂圧電フィルムであって、リタデーションが100nm以上2000nm以下であり、内部ヘイズが1.7%未満であり、進相軸方向に定められた21点の測定点で測定された圧電定数d
33
の平均値が6.0pC/N以上40.0pC/N以下、かつ前記圧電定数d
33
の標準偏差が2.0pC/N以下である、フッ素系樹脂圧電フィルム。
[2]進相軸方向に定められた11点の測定点で測定された厚さの平均が10μm以上300μm以下である、[1]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
[3]測定温度260℃、測定時のせん断速度50s
-1
で測定された溶融粘度ηが600Pa・s以上4000Pa・s以下である、[1]または[2]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
[4]前記フィルムを平面視したときの最大幅および最小幅の算術平均値である大きさが100μm以上である異物の数が7個/0.25m

以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
[5]フッ化ビニリデンの単独重合体を含む、[1]~[4]のいずれかに記載のフッ素系樹脂圧電フィルム。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態は、下記[6]~[14]のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法に関する。
[6]フッ素系樹脂を加熱溶融する工程と、前記溶融しているフッ素系樹脂をフィルム状に成膜する工程と、前記成膜されたフィルムを、2.5倍以上6.0倍以下に一軸延伸する工程と、前記成膜されたフィルムを、分極させる工程と、を有する、[1]~[5]のいずれかに記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[7]前記溶融しているフッ素系樹脂を、ろ過精度10μm以上40μm以下のフィルターでろ過する工程を有する、[6]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[8]前記成膜されたフィルムを、表面温度が125℃以下である冷却ロールに接触させて冷却する工程を有する、[6]または[7]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[9]分極ロールと複数の針状電極との間を通過するフィルムに対し、前記複数の針状電極のそれぞれと前記分極ロールとの間の直流放電により分極処理をする工程を有する、フッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法であって、前記複数の針状電極はいずれも、前記針状電極の先端と前記分極ロールの表面との間の距離が5mm以上30mm以下となる位置に配置され、かつ、最近接する針状電極同士の距離が15mm超100mm以下となるように配置される、[6]~[8]のいずれかに記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[10]前記複数の針状電極は、前記フィルムが通過する方向(MD方向)とは直交する方向(TD方向)に列状に配置されて電極列を構成する、[9]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[11]前記列状に配置された針状電極間の距離が等間隔である、[10]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[12]前記MD方向には複数の前記電極列が配置される、[9]~[11]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[13]ある電極列を構成する針状電極と前記電極列と隣接する電極列を構成する針状電極とは、MD方向に重ならないように配置され、前記電極列における隣接する針状電極間を等間隔に分割した点を通り、前記電極列の垂線と前記電極列と隣接する電極列との交点に、前記隣接する電極列を構成する針状電極が配置される、[12]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[14]前記電極列の数は、前記電極列を構成する針状電極における隣接する針状電極間を分割した分割数の整数倍である、[13]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
[15]フッ素系樹脂を加熱溶融する工程と、前記溶融しているフッ素系樹脂をフィルム状に成膜する工程と、前記成膜されたフィルムを2.5倍以上6.0倍以下に一軸延伸する工程と、を有し、前記分極処理をする工程において、前記成膜されたフィルムを分極させると、を有する、[9]に記載のフッ素系樹脂圧電フィルムの製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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