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公開番号
2025109930
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-25
出願番号
2025084765,2022500316
出願日
2025-05-21,2021-01-29
発明の名称
FormII型の還元型補酵素Q10結晶の製造方法
出願人
株式会社カネカ
代理人
弁理士法人平木国際特許事務所
主分類
C07C
41/40 20060101AFI20250717BHJP(有機化学)
要約
【課題】本発明は、安定型の結晶形である還元型補酵素Q10のFormII型結晶を得るための効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の製造方法は、エタノールと還元型補酵素Q10とを含有する混合液に、FormII型結晶の種晶を添加する工程、及び、FormII型結晶を析出させることを含み、種晶添加前の還元型補酵素Q10の溶存濃度C
i
が、種晶添加時の温度T
i
での、FormII型結晶の飽和濃度以上且つFormI型結晶の飽和濃度未満であり、結晶析出工程が、前記混合液の温度T
p
を、還元型補酵素Q10の溶存濃度C
p
が、FormII型結晶の飽和濃度以上であり且つFormI型結晶の飽和濃度未満となるように調節することを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
エタノールと還元型補酵素Q10とを含有する混合液に、FormII型の還元型補酵素Q10結晶を種晶として添加すること、及び、
前記種晶の添加後の前記混合液中でFormII型の還元型補酵素Q10結晶を析出させることを含み、
前記種晶の添加前の前記混合液中の還元型補酵素Q10の溶存濃度C
i
が、前記種晶を添加する時点での前記混合液の温度T
i
において、FormII型結晶の飽和濃度以上であり且つFormI型結晶の飽和濃度未満であり、
前記結晶を析出させる工程において、前記混合液の温度T
p
を、前記混合液中の還元型補酵素Q10の溶存濃度C
p
が、FormII型結晶の飽和濃度以上であり且つFormI型結晶の飽和濃度未満となるように、調節することを含む、
ことを特徴とする、FormII型の還元型補酵素Q10結晶の製造方法。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
エタノールが水を含んでいてもよく、水とエタノールとの総量に対して、エタノール濃度がZ(v/v)%であり、前記Zは90~100であり、
前記C
i
及び前記C
p
の単位を重量%、前記T
i
及び前記T
p
の単位をKとしたとき、
前記C
i
及び前記C
p
が1.5重量%以上である場合において、
下記の条件
(式1) A
II
・T
i
+B
II
≦logC
i
<A
I
・T
i
+B
I
(式2) A
II
・T
p
+B
II
≦logC
p
<A
I
・T
p
+B
I
(式3) A
I
=0.0089・Z-0.6754
(式4) B
I
=-2.3607・Z+172.70
(式5) A
II
=0.0086・Z-0.6844
(式6) B
II
=-2.3178・Z+178.26
を全て満足する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記T
i
が20℃以上43℃以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記T
i
が20℃以上32℃未満である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記T
p
が5℃以上43℃以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記結晶を析出させることが、前記T
p
を一定の温度に保持することを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記結晶を析出させることが、前記T
p
を経時的に低下させることを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記結晶を析出させることが、
前記T
p
を20℃以上43℃以下の範囲の一定の温度に保持すること、及び
続いて、前記混合液の温度を25℃以下であり且つ前記一定の温度未満の温度に、-15℃/時間以下の速度で低下させること
を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性に優れたFormII型の還元型補酵素Q10結晶の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
補酵素Qは、細菌から哺乳動物まで広く生体に分布する必須成分であり、生体内の細胞中におけるミトコンドリアの電子伝達系構成成分として知られている。補酵素Qは、ミトコンドリア内で酸化と還元を繰り返すことで、電子伝達系における伝達成分としての機能を担っているほか、還元型補酵素Qは抗酸化作用を持つことが知られている。ヒトでは、補酵素Qの側鎖が繰り返し構造を10個持つ補酵素Q10が主成分であり、生体内においては、通常、40~90%程度が還元型として存在している。補酵素Qの生理的作用としては、ミトコンドリア賦活作用によるエネルギー生産の活性化、心機能の活性化、細胞膜の安定化効果、抗酸化作用による細胞の保護効果等が挙げられている。
【0003】
現在製造・販売されている補酵素Q10の多くは酸化型補酵素Q10であるが、近年では、酸化型補酵素Q10に比べて高い経口吸収性を示す還元型補酵素Q10も市場に登場し、用いられるようになってきている。
【0004】
還元型補酵素Q10を得る一般的な方法は既に開示されている(特許文献1)。さらに、還元型補酵素Q10を結晶として得る方法についても、いくつかの方法が知られている。例えば、還元型補酵素Q10をアルコール溶液及び/又はケトン溶液中において晶出させ、結晶を製造する方法(特許文献2)や、還元型補酵素Q10の高濃度液相を貧溶媒中に添加することで結晶化を行う方法(特許文献3)などが報告されている。
【0005】
一方、特許文献4には、還元型補酵素Q10に結晶多形現象が見られることが記載されており、新たに出現した結晶形(以下、この結晶をFormII型の還元型補酵素Q10結晶、又は、FormII型結晶と呼称する)は従来の還元型補酵素Q10(以下、この結晶をFormI型の還元型補酵素Q10結晶、又は、FormI型結晶と呼称する)より非常に安定で、その他の物理特性にも優れていると報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平10-109933号公報
WO2003/006409号公報
特開2003-089669号公報
WO2012/176842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献4には、FormII型の還元型補酵素Q10結晶の取得方法として、特定の条件で晶析を行う方法が記載されているが、長時間を要する上に回収量が少ない場合があり、必ずしも工業的には最適とはいえない方法である。また、予備検討の結果、晶析時にいったんFormI型結晶が析出すると、その後はFormII型結晶に優先してFormI型結晶が析出し、FormII型結晶の回収率が低くなることが分かった。そのため、FormII型の還元型補酵素Q10結晶を高い回収率で効率的に取得するためには、FormII型結晶のみを選択的に析出させる必要がある。
そこで本発明は、安定型の結晶形であるFormII型の還元型補酵素Q10結晶を得るための効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、エタノール中では、FormII型の還元型補酵素Q10結晶の飽和濃度が、FormI型の還元型補酵素Q10結晶の飽和濃度よりも低いことを見出した。そしてこの知見に基づき、以下の方法により、FormII型の還元型補酵素Q10結晶を効率よく得ることができることを見出した。
(1)エタノールと還元型補酵素Q10とを含有する混合液に、FormII型の還元型補酵素Q10結晶を種晶として添加すること、及び、
前記種晶の添加後の前記混合液中でFormII型の還元型補酵素Q10結晶を析出させることを含み、
前記種晶の添加前の前記混合液中の還元型補酵素Q10の溶存濃度C
i
が、前記種晶を添加する時点での前記混合液の温度T
i
において、FormII型結晶の飽和濃度以上であり且つFormI型結晶の飽和濃度未満であり、
前記結晶を析出させる工程において、前記混合液の温度T
p
を、前記混合液中の還元型補酵素Q10の溶存濃度C
p
が、FormII型結晶の飽和濃度以上であり且つFormI型結晶の飽和濃度未満となるように、調節することを含む、
ことを特徴とする、FormII型の還元型補酵素Q10結晶の製造方法。
(2)エタノールが水を含んでいてもよく、水とエタノールとの総量に対して、エタノール濃度がZ(v/v)%であり、前記Zは90~100であり、
前記C
i
及び前記C
p
の単位を重量%、前記T
i
及び前記T
p
の単位をKとしたとき、
前記C
i
及び前記C
p
が1.5重量%以上である場合において、
下記の条件
(式1) A
II
・T
i
+B
II
≦logC
i
<A
I
・T
i
+B
I
(式2) A
II
・T
p
+B
II
≦logC
p
<A
I
・T
p
+B
I
(式3) A
I
=0.0089・Z-0.6754
(式4) B
I
=-2.3607・Z+172.70
(式5) A
II
=0.0086・Z-0.6844
(式6) B
II
=-2.3178・Z+178.26
を全て満足する、(1)に記載の製造方法。
(3)前記T
i
が20℃以上43℃以下である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記T
i
が20℃以上32℃未満である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(5)前記T
p
が5℃以上43℃以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法によれば、FormII型の還元型補酵素Q10結晶を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、99.5(v/v)%、95(v/v)%、90(v/v)%の各エタノール濃度の含水エタノール中での、FormI型結晶、及び、FormII型結晶の溶解度を、温度(K)をx軸、還元型補酵素Q10結晶の溶解度(重量%)をy軸としてプロットしたグラフである。
図2は、99.5(v/v)%含水エタノール中でのFormI型結晶及びFormII型結晶の溶解度を、温度(K)をx軸、還元型補酵素Q10結晶の溶解度(重量%)の自然対数をy軸としてプロットしたグラフである。
図3は、95(v/v)%含水エタノール中でのFormI型結晶及びFormII型結晶の溶解度を、温度(K)をx軸、還元型補酵素Q10結晶の溶解度(重量%)の自然対数をy軸としてプロットしたグラフである。
図4は、90(v/v)%含水エタノール中でのFormI型結晶及びFormII型結晶の溶解度を、温度(K)をx軸、還元型補酵素Q10結晶の溶解度(重量%)の自然対数をy軸としてプロットしたグラフである。
図5は、温度T(K)とFormI型結晶の溶解度(飽和濃度)C
I
(重量%)との関係式(式7)logC
I
=A
I
・T+B
I
における定数A
I
の、エタノール濃度との相関関係を確認するため、エタノール濃度をx軸、A
I
の値をy軸としてプロットしたグラフである。
図6は、上記式7における定数B
I
の、エタノール濃度との相関関係を確認するため、エタノール濃度をx軸、B
I
の値をy軸としてプロットしたグラフである。
図7は、温度T(K)とFormI型結晶の溶解度(飽和濃度)C
I
(重量%)との関係式(式8)logC
II
=A
II
・T+B
II
における定数A
II
の、エタノール濃度との相関関係を確認するため、エタノール濃度をx軸、A
II
の値をy軸としてプロットしたグラフである。
図8は、上記式8における定数B
II
の、エタノール濃度との相関関係を確認するため、エタノール濃度をx軸、B
II
の値をy軸としてプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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