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公開番号2025107490
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-17
出願番号2025081940,2021086879
出願日2025-05-15,2021-05-24
発明の名称有害生物防除組成物
出願人日本化薬株式会社
代理人
主分類A01N 37/06 20060101AFI20250710BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】 人に対する安全性が担保された成分により、低濃度で農園芸有害生物の防除を達成できる有害生物防除剤を提供することである。更に、果樹類、花卉類等の外観が重要な作物に対して使用した場合においても外観が損なわれるような薬害の危険性を極力軽減した有害生物防除剤を提供する事である。特に、農業上の重要有害生物であるハダニ類に対して低濃度散布にて十分な防除効力を有する有害生物防除剤を提供することにある。
【解決手段】 (a)グリセリンの重合数3~10、エステル化率50%以上、かつ、構成する脂肪酸の炭素鎖長が12~22から選ばれる少なくとも1種を含むポリグリセリン脂肪酸エステル、及び(b)親水基がポリオール構造を含んでいる脂肪酸エステルであるノニオン性界面活性剤を含有する有害生物防除組成物。
【選択図】なし

特許請求の範囲【請求項1】
(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び(b)ノニオン性界面活性剤を含有する有害生物防除組成物であって、
(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの重合数3~10、エステル化率50%以上で、構成する脂肪酸の炭素鎖長が12~22であり、
(b)ノニオン性界面活性剤はグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群から選択される1種の脂肪酸エステルである、有害生物防除剤。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸がラウリン酸、オレイン酸、エルカ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の有害生物防除組成物。
【請求項3】
(b)ノニオン性界面活性剤がポリオキシエチレン化グリセリン脂肪鎖エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の有害生物防除組成物。
【請求項4】
(b)ノニオン性界面活性剤を構成する脂肪酸が、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項5】
(b)ノニオン性界面活性剤のHLBが5~17である、請求項1~4のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項6】
(b)ノニオン性界面活性剤の組成物中の成分含有質量が(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルより少ない、請求項1~5のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項7】
殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤及び植物成長調節剤から選ばれる農薬有効成分を含まない、請求項1~6のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項8】
有害生物が、カメムシ目、ダニ目、及びアザミウマ目、から選ばれる動物目に属する生物の一種または二種以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物を水で希釈して得られた散布液。
【請求項10】
請求項9に記載の散布液に他の農薬を含めて得られた散布液。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有害生物防除組成物に関する。詳しくは、安全性が高いポリグリセリン脂肪酸エステルを有効主成分とし、添加剤としてノニオン性界面活性剤を含む農園芸作物における散布組成物に関するものである。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
農園芸作物を安定して供給するために、害虫や病気の防除は必須である。現在それらの病害虫を防除するために、経済性や防除効果が優れているという理由から、化学合成農薬が広く使われている。しかしながら、化学合成農薬は継続して使用され続けると、対象病害虫が薬剤抵抗性を発達させてしまう場合がある。また近年、消費者の農薬に対する意識が高まり、人体や環境に対して安全性の高い農薬が求められている。天敵等の生物農薬やフィルム等を用いた物理的防除による病害虫防除は有効性が確認されているものもあるが、現状は費用対効果が満足されていない。
【0003】
そのような状況の中で、化学合成農薬とは異なり、物理的な作用による有害生物防除組成物が報告されている。例えば、有効成分として、特許文献1では水溶性高分子、特許文献2では炭素数8~10の中鎖脂肪酸トリグリセライド、特許文献3ではソルビタン脂肪酸エステルをそれぞれ用いた有害生物防除組成物が記載されている。しかしながら、これら記載の組成物は充分な効果を発揮するためには高い有効成分濃度であることが必要であり、また、それにより引き起こされる作物への悪影響(以下、本明細書において「薬害」と言う。)が懸念されるため、適用可能な作物が限られている。
【0004】
近年ではこれら課題に対して改善された組成物が報告されている。特許文献4には、HLBが5以下であり、且つ常温で液体のポリグリセリン脂肪酸エステル及びノニオン界面活性剤を含有する有害生物防除組成物が開示されており、ハダニ類、アブラムシ類に対して1000倍という高希釈液においても高い防除効果を示すことが記載されている。また、特許文献5には、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含む、植物害虫及び/又は植物病害用の防除剤であって、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルが、炭素数8~10の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸と、3~10個のグリセリンが重合した少なくとも1種のポリグリセリンとのエステルであることを特徴とする、前記防除剤が開示されており、ダニ類、アザミウマ類、アブラムシ類、コナジラミ類、灰色カビ病、うどんこ病等幅広い有害生物に対して、記載の組成物を水により500倍に希釈して用いることにより一様に高い防除効果を示すことが記載されている。このように種々ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることで比較的低い散布液濃度で有害生物の防除を可能とすることが示されており、薬害が発生する危険性を低く抑えることができている。しかしながら、これら薬剤においても花卉類等の一部作物に対しては薬害が発生する危険性が拭い去れていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平7-126105号公報
特開平11-29411号公報
特開2006-137728号公報
WO2011/108220号公報
WO2014/058065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における課題を鑑みてなされたものであり、人に対する安全性が担保された成分により、低濃度で農園芸有害生物の防除を達成できる有害生物防除剤を提供することである。更に、果樹類、花卉類等の外観が重要な作物に対して使用した場合においても外観が損なわれるような薬害の危険性を極力軽減した有害生物防除剤を提供する事である。特に、農業上の重要有害生物であるハダニ類に対して低濃度散布にて十分な防除効力を有する有害生物防除剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、食品添加物として人体及び環境への安全性が知られているポリグリセリン脂肪酸エステルに着目し、脂肪酸エステル系のノニオン性界面活性剤を組み合わせることにより、有効成分であるポリグリセリン脂肪酸エステルの対象有害生物への付着選択性を向上させ、植物に対する薬害の危険性を抑えつつ、有害生物に対して低濃度で高い防除効果が得られることを見出して、本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本発明は下記(1)~(11)の構成を有する発明に関するものである。
(1)(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び(b)ノニオン性界面活性剤を含有する有害生物防除組成物であって、
(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの重合数3~10、エステル化率50%以上で、構成する脂肪酸の炭素鎖長が12~22であり、
(b)ノニオン性界面活性剤はグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルからなる群から選択される1種の脂肪酸エステルである、有害生物防除剤。
(2)(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸がラウリン酸、オレイン酸、エルカ酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む、(1)に記載の有害生物防除組成物。
(3)(b)ノニオン性界面活性剤がポリオキシエチレン化グリセリン脂肪鎖エステル、ポリオキシエチレン化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(1)又は(2)に記載の有害生物防除組成物。
(4)(b)ノニオン性界面活性剤を構成する脂肪酸が、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、(1)~(3)のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
(5)(b)ノニオン性界面活性剤のHLBが5~17である、(1)~(4)のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
(6)(b)ノニオン性界面活性剤の組成物中の成分含有質量が(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルより少ない、請求項1~5のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
(7)殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤及び植物成長調節剤から選ばれる農薬有効成分を含まない、(1)~(6)のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
(8)有害生物が、カメムシ目、ダニ目、及びアザミウマ目、から選ばれる動物目に属する生物の一種または二種以上である、(1)~(7)のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物。
(9)(1)~(8)のいずれか1項に記載の有害生物防除組成物を水で希釈して得られた散布液。
(10)(9)に記載の散布液に他の農薬を含めて得られた散布液。
(11)(9)又は(10)に記載の散布液を、有害生物もしくは有害生物の発生する作物に直接散布することを特徴とする有害生物の防除方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有害生物防除組成物は、農園芸作物に対する有害生物、特に、ハダニ類に対して、優れた防除効果を示す。また、有効成分であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、分解により毒性の低い脂肪酸と多価アルコールとなることから、環境負荷が少なく安全性が高い。そのため、これら成分の多くが食品添加物として使用実績があり、人体に対する安全性が保証されており、本発明農薬組成物の安全性は極めて高い。本発明有害生物防除組成物は、公知の組成物と比較して同等以下の成分濃度で有害生物を防除することが可能であるため、薬剤コスト面で有利となる。また、成分濃度が低いため、農作物に対する薬害の危険性を軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の有害防除組成物は、(a)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び(b)ノニオン性界面活性剤を含有する有害生物防除組成物(以下、本明細書において「本発明有害生物防除組成物」又は「本発明組成物」とも言う。)であり、従来の物理的な作用による有害生物防除剤と比べて、植物に対する薬害の危険性を軽減しつつ、害虫に対して優れた防除効果を示すという知見に基づいて完成されたものである。本明細書において「有害生物防除」とは、カメムシ目、ダニ目、及びアザミウマ目等の動物目に属する害虫及び植物病害の原因菌に対し直接的に作用し、例えば有害生物に薬剤が被覆又は一部付着することで活動を妨げること、または害虫の気門を封鎖することなどにより、物理的にそれらの有害生物を衰弱又は致死させ、防除する組成物のことを示す。
(【0011】以降は省略されています)

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