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公開番号
2025105366
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-10
出願番号
2024001583,2023223673
出願日
2024-01-10,2023-12-28
発明の名称
プロモーター活性の予測方法とその予測結果に基づくプロモーターの改変方法
出願人
グランドグリーン株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
15/67 20060101AFI20250703BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】 本開示は、所望の転写活性を有するように改変されたプロモーター配列の取得方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 所望の転写活性を有するように改変されたプロモーター配列の取得方法であって、改変の対象となる元のプロモーター配列を用意すること、前記プロモーター配列に基づきゲノム編集技術により作成可能な複数の改変プロモーター配列のセットを生成すること、生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の転写活性を機械学習モデルによって予測すること、ならびに所望の活転写性を有すると予測された改変プロモーター配列を選択することを含む、方法が提供される。
【選択図】 図2
特許請求の範囲
【請求項1】
所望の活性を有するように改変されたプロモーター配列の取得方法であって、
改変の対象となる元のプロモーター配列を用意すること、
前記プロモーター配列に基づきゲノム編集技術により作成可能な複数の改変プロモーター配列のセットを生成すること、
生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性を機械学習モデルによって予測すること、
所望の活性を有すると予測された改変プロモーター配列を選択すること
を含む、方法。
続きを表示(約 950 文字)
【請求項2】
所望の活性が、元のプロモーター配列よりも高い遺伝子発現誘導活性、または元のプロモーター配列よりも低い遺伝子発現誘導活性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プロモーター配列が植物細胞のプロモーター配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
元のプロモーター配列が、コアプロモーター配列とその上流の配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ゲノム編集技術がCRISPR/Cas系を用いたゲノム編集技術である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の改変プロモーター配列のセットが、2つのPAM認識配列に基づき設計されるガイドRNA配列の組合せが誘導する切断により生じる配列欠失により生成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
改変プロモーター配列のセットが、少なくとも1000の異なる配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
機械学習モデルが、植物細胞における複数のプロモーター配列の遺伝子発現誘導活性データを教師データとして、プロモーター配列から遺伝子発現誘導活性を予測するように訓練された回帰モデルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性をコンピューターディスプレイ上でビジュアライズする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
所望の活性を有するように改変されたプロモーター配列を予測する情報処理装置であって、
改変の対象となる元のプロモーター配列の入力を受け付ける配列入力部、
前記プロモーター配列に基づきゲノム編集技術により作成可能な複数の改変プロモーター配列のセットを生成する改変配列生成部、
生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性を機械学習モデルによって予測する活性予測部、
所望の活性を有すると予測された改変プロモーター配列を選択する配列選択部
を含む、情報処理装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロモーター活性の予測とその予測結果に基づくプロモーターの改変に関する。
続きを表示(約 5,800 文字)
【背景技術】
【0002】
現在、ゲノム編集によって植物に形質を付与する場合には、コーディングリージョン(CDS)内に変異を導入し、フレームシフトにより遺伝子の機能を欠損させるloss-of-functionの方法が主である。
【0003】
一方で、標的の遺伝子の発現量を上昇させることで機能強化を図ったり、(発現をゼロにするのではなく)僅かに残すことでノックアウトのサイドエフェクトを抑制するような方法が考えられる。トランスジーンを導入することで機能増強した研究や、RNAiによって機能解析をした知見が応用可能になることから、このような方法は、ゲノム編集で付与できる形質のバリエーションを大きく広げることと期待され、重要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Zhang, Yi, et al. "Applications and potential of genome editing in crop improvement." Genome biology 19 (2018): 1-11.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのような方法の1つとして考えられるのが、CDSではなく、プロモーター領域を編集するという方法である。遺伝子発現強度を決定しているのはプロモーターやエンハンサーといった領域であることから、この領域の塩基配列を改変することで、遺伝子の機能はそのままに、発現量を上下できると考えられる。
【0006】
実際、RNA-seq法で測定されるmRNAレベルでの遺伝子発現量の幅(ダイナミックレンジ)は非常に大きい。1つの細胞内に数コピー程度しか含まれないmRNAがあるのに対し、10
5
コピー程度含まれるmRNAもある。このような遺伝子発現量の差は、主としてプロモーターやエンハンサーによりもたらされると考えられ、プロモーター領域の塩基配列を改変する方法のポテンシャルを示していると考えられる。よって、ゲノム編集により、遺伝子発現量を精密に制御する技術の提供が、本開示に係る目的の1つである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
プロモーターやエンハンサーといった領域は、「この部分がこの機能を有する」という配列-機能の対応関係が、CDSに比べると曖昧である。TATAボックスに代表されるような、高度に保存されたコンセンサス配列をもつCis制御エレメントがいくつか発見されており、データベース化されている。例えば、理化学研究所のPromoterCADや農業・食品産業技術総合研究機構のNEW PLACEのようなソフトウェアは、このような知見を元にCis制御エレメントを検索し、転写因子がプロモーターに結合するか推測するシステムであるが、発現量を予測し、設計するという目的からすると、その精度は不十分である。
【0008】
そこで、本発明者らは、個別のエレメントを登録するデータベース方式ではなく、塩基配列と発現量の関係をマシンラーニングにより学習させる方式を開発した。その結果、実測値と予測値との相関を示す決定係数としてR
2
=0.75という高い値が得られた。そして、予測システムを利用して配列を設計し、植物を使用した実験を行って、予測の精度を実証した。任意の塩基配列をコンピューターに与えて、転写活性を予測することができれば、発現量を「設計」することができるようになる。本開示において示されるように、本発明者らは、コンピューターによる予測に基づき、遺伝子のプロモーターを編集することで、遺伝子の機能(発現量)を上昇または低下させることができることを実証した。
【0009】
本開示は、これらの知見を基礎とするものであり、以下の態様を包含する:
[態様1]
所望の活性を有するように改変されたプロモーター配列の取得方法であって、
改変の対象となる元のプロモーター配列を用意すること、
前記プロモーター配列に基づきゲノム編集技術により作成可能な複数の改変プロモーター配列のセットを生成すること、
生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性を機械学習モデルによって予測すること、
所望の活性を有すると予測された改変プロモーター配列を選択すること
を含む、方法。
[態様2]
所望の活性が、元のプロモーター配列よりも高い遺伝子発現誘導活性、または元のプロモーター配列よりも低い遺伝子発現誘導活性である、態様1に記載の方法。
[態様3]
プロモーター配列が植物細胞のプロモーター配列である、態様1に記載の方法。
[態様4]
元のプロモーター配列が、コアプロモーター配列とその上流の配列を含む、態様1に記載の方法。
[態様5]
ゲノム編集技術がCRISPR/Cas系を用いたゲノム編集技術である、態様1に記載の方法。
[態様6]
複数の改変プロモーター配列のセットが、2つのPAM認識配列に基づき設計されるガイドRNA配列の組合せが誘導する切断により生じる配列欠失により生成される、態様5に記載の方法。
[態様7]
改変プロモーター配列のセットが、少なくとも1000の異なる配列を含む、態様1に記載の方法。
[態様8]
機械学習モデルが、植物細胞における複数のプロモーター配列の遺伝子発現誘導活性データを教師データとして、プロモーター配列から遺伝子発現誘導活性を予測するように訓練された回帰モデルである、態様1に記載の方法。
[態様9]
生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性をコンピューターディスプレイ上でビジュアライズする工程をさらに含む、態様1に記載の方法。
[態様10]
所望の活性を有するように改変されたプロモーター配列を予測する情報処理装置であって、
改変の対象となる元のプロモーター配列の入力を受け付ける配列入力部、
前記プロモーター配列に基づきゲノム編集技術により作成可能な複数の改変プロモーター配列のセットを生成する改変配列生成部、
生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性を機械学習モデルによって予測する活性予測部、
所望の活性を有すると予測された改変プロモーター配列を選択する配列選択部
を含む、情報処理装置。
[態様11]
命令が格納された非一時的なコンピューター可読媒体であって、命令がプロセッサーによって実行されると、以下のステップ:
改変の対象となる元のプロモーター配列の入力を受け付けるステップ、
前記プロモーター配列に基づきゲノム編集技術により作成可能な複数の改変プロモーター配列のセットを生成するステップ、
生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性を機械学習モデルによって予測するステップ、
所望の活性を有すると予測された改変プロモーター配列を選択するステップ
を実行することができる、コンピューター可読媒体。
[態様12]
コンピューターに、
改変の対象となる元のプロモーター配列の入力を受け付ける機能、
前記プロモーター配列に基づきゲノム編集技術により作成可能な複数の改変プロモーター配列のセットを生成する機能、
生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性を機械学習モデルによって予測する機能、
所望の活性を有すると予測された改変プロモーター配列を選択する機能
を実現させる、プログラム。
[態様13]
所望の遺伝子の発現量を調節するための細胞のゲノム編集方法であって、
態様1に記載の方法により所望の活性を有する改変プロモーター配列を取得すること、
ゲノム編集の対象となる細胞を用意すること、
前記改変プロモーター配列を生じるように前記細胞のゲノムを編集すること
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、人工合成遺伝子の構造を示す概略図である。高発現グループから7プロモーター、中程度グループから8プロモーター、低発現グループから4プロモーターをそれぞれ選び、ルシフェラーゼ(LUC)遺伝子に接続した人工合成遺伝子を作成した。プロモーターは19種類の様々な配列パターンを持つ。下流のLUC遺伝子と上流のカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sエンハンサーの配列は各人工遺伝子で共通である。
図2は、LUC遺伝子の発現量の実測値と、プロモーター強度の予測値の関係を示す散布図である。縦軸は予測されたプロモーター強度を示す。値が高いほど、下流の遺伝子の発現量が大きくなると期待される。横軸はLUC発現量の実測値を示す。ただし、ポジティブコントロールであるCaMVプロモーターの転写活性で標準化した。
図3は、予測された転写活性に対応するLUC発現量を計算して比較した結果を示している。縦軸にLUCの発現量をプロットした。ただし、ポジティブコントロールの発光強度を1とした相対値で示している。ポジティブコントロールとして、高い転写活性を示すことが知られているカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーターを使用した。横軸に19種類のプロモーターの番号を示した。プロモーター番号3~10は高い発現強度が予測された「高発現」グループ、プロモーター番号13~21は同「中程度」グループ、プロモーター番号22~25は同「低発現」グループに分類した。黒い棒グラフがLUCアッセイの実測値を示す。白色の棒グラフは、本開示の予測システムによる転写活性予測値を示す。
図4は、転写活性を低下させることのできる編集パターンを探索した結果を示している。プロモーター番号3、4、5、6、9、10、21番について、転写活性を低下させることのできる編集パターンを探索した。黒色の三角形のプロットで、予測された新しい転写活性に基づいて計算されたLUCアッセイのスコア(発現量)の予測値を示した。その結果、元のプロモーターに比して、14%~1%程度の転写活性となることが予測された。
図5は、図4に重ね合わせて、網かけの棒グラフで新しいプロモーターのLUCの発現量の実測値を示している。非常に低い発現量となったため、縦軸を拡大して示した。プロモーター5番については欠損値となった。測定値の得られた6個のプロモーターについて、いずれも大幅な発現量の低下が認められ、予測値と一致した。
図6は、編集後に転写活性の予測値が上昇するものを探索した結果を示している。プロモーター番号13、17、22、23、24、25について、転写活性が上昇するものを選び、予測される発現量を白色の円で示した。元のプロモーターに比して、7.4~125倍のLUC発現量が予測された。
図7は、理論的なプロモーター配列をもつ遺伝子を人工的に合成し、プロトプラストに対し同様にトランスフェクションし発現量をプレートリーダーで測定した結果を示している。6個のプロモーター中、5個で発現量が元のプロモーターに比して上昇したものの、予測値を超えて発現量が上昇したものは13番のみであった。
図8は、入力された塩基配列Xの全体像を分析するためのビジュアライズ方法の一例を示している。縦軸は予測された転写活性、横軸は塩基配列の位置に対応している。
図9は、別の方法によるビジュアライズの例を示している。縦軸は、標的の遺伝子から近い位置に設計されたガイドRNA(近位ガイド)の位置、横軸は、遠い位置に設計されたガイドRNA(遠位ガイド)の位置に対応している。各位置のプロットの色は、転写活性の推測された値に基づいて変更される。例えば、カラーチャートで、明るい灰色は転写活性が高いと推測されたもの、黒色は低いと推測されたものといった着色が行われる。
図10は、特定のダイズ遺伝子について、転写活性を高める検討を行った結果を示している。ダイズのある遺伝子のプロモーターを基に、遺伝子の発現を上昇させるためのゲノム編集後のプロモーター配列を2種類作成した(edit1、edit2)。edit1の転写活性は2.950119と予測された。また、LUC発現量は線形回帰により、Pコントロールに対し13.2%と予測された。このプロモーターのLUCアッセイの実測値はPコントロールに対し19.0%であった。edit2の転写活性は2.432977と予測された。また、LUC発現量はPコントロールに対し7.27%と予測された。このプロモーターのLUCアッセイの実測値はPコントロールに対し41.6%であった。
図11は、所望の活性を有するように改変されたプロモーター配列を予測する情報処理装置の例示的な構成を示している。
図12は、コンピューターに、改変の対象となる元のプロモーター配列の入力を受け付ける機能、前記プロモーター配列に基づきゲノム編集技術により作成可能な複数の改変プロモーター配列のセットを生成する機能、生成された前記改変プロモーター配列のセットに含まれる個々の改変プロモーター配列の活性を機械学習モデルによって予測する機能、所望の活性を有すると予測された改変プロモーター配列を選択する機能を実現させる、プログラムの例示的なフローチャートを示している。
図13は、本開示の態様の実装に用いられ得るコンピューターの概略構成である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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