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公開番号2025093268
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-23
出願番号2024024996
出願日2024-02-05
発明の名称抗菌樹脂、抗菌繊維及びその加工物
出願人株式会社信日康
代理人
主分類C08L 101/00 20060101AFI20250616BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】病原体除染用樹脂に適した励起手段を要しない、新規の抗病原体剤、できればバイオマスを利用した抗病原体剤の開発し、それを含有するポリマーを提供することを課題とする。
【解決手段】バイオマスを炭化して得られバイオナノカーボン(別名;バイオチャール(biochar))であって、該バイオマスが籾殻であり、ケイ素酸化物と炭素との質量の割合が5:95~20:80であることを特徴とする、バイオナノカーボンからなる抗病原体剤を含有する樹脂を提供する。この抗病原体剤はポリマーに混合し固定した場合、水溶性媒体を介して抗病原体効果を発揮することを特徴とする。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
A群から選ばれる樹脂と、バイオマスを炭化して得られバイオナノカーボン(別名;バイオチャール(biochar))であって、該バイオマスが籾殻であり、ケイ素酸化物と炭素との質量の割合が5:95~20:80であることを特徴とする、バイオナノカーボンとを含有することを特徴とする病原体除染用の樹脂。
A群 ポリアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂
続きを表示(約 250 文字)【請求項2】
バイオナノカーボンがポリマーに混合し固定した場合、水溶性媒体を介して抗病原体効果を発揮することを特徴とする、請求項1に記載の病原体除染用の樹脂。
【請求項3】
病原体がウイルス、細菌または真菌であることを特徴とする、請求項1~3いずれか1項に記載の病原体除染用の樹脂。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の除染用の樹脂を加工してなる、加工物。
【請求項5】
加工物が糸、フィルム、エアーフィルターである請求項4に記載の加工物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は除染用の樹脂、該樹脂を加工してなる糸などの加工物に関する。なお、前記除染用とは、微生物やウイルスに汚染され、発病などの生活の不都合を取り除く、あるいは予防する作用を意味する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
微生物あるいはウイルスは、過剰に増殖した場合、種々の疾病の原因となったり、悪臭の発生などの環境の悪化の原因となったりする。このため、該微生物、ウイルスを除去、不活化する除染手段が種々考案されているが、十分というのには程遠い状況にある。これはCOVID対策を見ても明らかであり、アルコール、社会的距離及び換気に頼らざるを得ない状況にある(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.htmlを参照)。また、換気による病原体の低減は汚染されていないきれいな空気が供給されることが前提となった、消極的な除染方法と言える。ここで、「除染」という言葉は、生物兵器等によってバイオテロが実行された場合に、バイオテロによって拡散された病原体を除去、不活化する概念形成により生まれた言葉である(例えば、非特許文献1を参照)。このため、環境全体の病原体を減じる方法の開発が望まれていた。このような方法としては、壁面などに非揮発性除染剤を塗布するようなことが考えられるが、そのような材料は現在のところ存しないのが現状と言える。
【0003】
このような考えられる限りの感染症対策を行っている中でも、ノロウイルスによる集団感染、RSウイルスの流行、レジオネラ菌による感染は防ぐことができず、除染手段の不足は否めない状況にあった
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku.htmlを参照)。すなわち、新たな除染手段の開発が望まれていたと言える。
【0004】
このような状況下、除染のための方法としては、アルコール、次亜塩素酸、二酸化塩素などの除染剤、二酸化チタンなどの光触媒が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。これらに比して、さらに除染活性の高い除染剤として、銀などの金属を担持させたゼオライトが開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。しかしながら、これらの技術では、これら除染剤をポリマーに練り込んだ場合、有効に働くのはポリマー表面に存在する除染剤のみでポリマー中の除染剤は不活性なまま保持されてしまう欠点が存した。これは銀などの被担持成分がゼオライトなどの基体に担持されて初めて除染効果を奏するためであり、基体がポリマー中より移動できない状況では、その効果は表面のみにとどまってしまうためである。
【0005】
一方、人口の増加とともに地球環境が悪化するとともに、穀物などは廃棄物にすると大きな炭素源喪失につながるため、バイオマスとしての資源活用が望まれていた(例えば非特許文献2を参照)。これらのうち、穀物の残渣や木材を原料として製造されるバイカーボンは、土壌改良材としての利用が試みられ、炭素循環の改善の目標が試みられている。バイオカーボンのうち、その粒径がナノメーター単位のものは、特にバイオナノカーボン(別名 バイオチャール(biochar))と称され、磁性、導電性などの種々の特徴ある性質が、その形状や組成から現れることがあり、注目されている。特に、籾殻を燃焼させて得られるバイオカーボンはプラントオパール由来のケイ素酸化物を含むため、例えば、マイクロ波によって発熱するなどの特異的挙動を示す(例えば、特許文献4を参照)ため、その利用分野が広いものと期待されている。しかしながらバイオカーボンについては、土壌に添加することにより、微生物環境が変わることは知られている(例えば、https://doi.org/10.1038/s41598-022-10682-2 nature.com/scientificreports/を参照)が、抗微生物作用については全く知られていない。また、バイオカーボンあるいはバイオチャールは植物を用いて炭化させたものの総称であり、構造としては炭素、グラファイト、グラフェン、グラフェンオキシドなどの複合体であり、時として、ケイ素、カルシウム、マグネシウムなアドの金属を含むことがある。イネ科の植物より得られるバイオカーボン(バイオチャール)は通常プラントオパール由来のケイ素化合物を含むことが普通であり、炭素の含有量に関係なく「籾殻シリカ」と称されることが普通である。又、籾殻を燃焼処理して得られるバイオカーボンはその処理方法により、ケイ素感化物の含有量や炭素の形態がことなり、そのコントロールが重要であることも知られている(例えば、特許文献5を参照)。言い換えれば、その形状、形態、組成がバイオカーボンの特性に大きく影響を与えると言える。
【0006】
すなわち、病原体除染用樹脂に適した励起手段を要しない、新規の抗病原体剤、できればバイオマスを利用した抗病原体剤の開発とそれを含有するポリマーの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
瀬戸康夫;薬学雑誌 ;2009;129(1)53-69
PLOS ONE September 2013,8(9)e75932
【特許文献】
【0008】
特開平10-120518号公報
特開昭60-181002号公報
特開平3-83905号公報
WO2020/108670のパンフレット
特許第6572517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような状況下なされたものであり、病原体除染用樹脂に適した励起手段を要しない、新規の抗病原体剤、できればバイオマスを利用した抗病原体剤の開発し、それを含有するポリマーを提供することを課題とする。
【課題の解決手段】
【0010】
このような状況に鑑みて、本発明者らは、病原体除染用樹脂に適した励起手段を要しない、新規の抗病原体剤、できればバイオマスを利用した抗病原体剤の開発し、それを含有するポリマーを求め、鋭意研究努力を重ねた結果、ナノサイズのバイオカーボンを含有するポリマーにそのような特性を見出し、発明を完成させるに至った。すなわち、本発明はいかに示すとおりである。加えて、かかる新規抗病原体剤はバイオマスを利用したものでもある。したがって、本発明はいかに示すとおりである。
<1>A群から選ばれる樹脂と、バイオマスを炭化して得られバイオナノカーボン(別名;バイオチャール(biochar))であって、該バイオマスが籾殻であり、ケイ素酸化物と炭素との質量の割合が5:95~20:80であることを特徴とする、バイオナノカーボンとを含有することを特徴とする病原体除染用の樹脂。
A群 ポリアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂
<2>バイオナノカーボンがポリマーに混合し固定した場合、水溶性媒体を介して抗病原体効果を発揮することを特徴とする、<1>に記載の病原体除染用の樹脂。
<3>病原体がウイルス、細菌または真菌であることを特徴とする、<1>~<3>いずれか1項に記載の病原体除染用の樹脂。
<4><1>~<3>いずれか1項に記載の除染用の樹脂を加工してなる、加工物。
<5>加工物が糸、フィルム、エアーフィルターである<4>に記載の加工物。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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