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公開番号2025092987
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-23
出願番号2023208446
出願日2023-12-11
発明の名称アルミニウム合金基板のリサイクル方法、磁気ディスクの製造方法、磁気ディスク及びハードディスクドライブ
出願人株式会社UACJ,古河電気工業株式会社
代理人アインゼル・フェリックス=ラインハルト,個人,個人
主分類C22B 21/00 20060101AFI20250616BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】リサイクル性に優れ、簡便且つ確実に皮膜の除去が可能なアルミニウム合金基板のリサイクル方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金基板と、前記アルミニウム合金基板上に少なくとも1層の皮膜とを有するリサイクル材に物理的加工を施すことにより前記リサイクル材から皮膜を除去してアルミニウム合金材を得る皮膜除去工程を含むアルミニウム合金基板のリサイクル方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
アルミニウム合金基板と、前記アルミニウム合金基板上に少なくとも1層の皮膜とを有するリサイクル材に物理的加工を施すことにより前記リサイクル材から皮膜を除去してアルミニウム合金材を得る皮膜除去工程を含むことを特徴とするアルミニウム合金基板のリサイクル方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記物理的加工が、旋盤を用いて前記リサイクル材の表面と端面を切削加工する方法、又は、砥石を用いて前記リサイクル材の表面を研削加工する方法と旋盤を用いて前記リサイクル材の端面を切削加工する方法との組み合わせである、請求項1に記載のアルミニウム合金基板のリサイクル方法。
【請求項3】
前記物理的加工において、前記リサイクル材の表面及び端面が削られる深さが、前記皮膜の厚さの1.05倍以上である、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金基板のリサイクル方法。
【請求項4】
前記皮膜がNiを含んでいる、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金基板のリサイクル方法。
【請求項5】
前記リサイクル材を構成するアルミニウム合金基板が円環状である、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金基板のリサイクル方法。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のリサイクル方法の皮膜除去工程により得たアルミニウム合金材を、少なくとも一部の原料として使用してアルミニウム合金の溶湯を調製する工程と、
調製した溶湯を加熱保持する工程と、
加熱保持した溶湯を鋳造してアルミニウム合金鋳塊を得る工程と、
前記アルミニウム合金鋳塊を加熱して均質化処理を行う工程と、
前記均質化処理をしたアルミニウム合金鋳塊を圧延してアルミニウム合金板とする圧延工程と、
前記圧延工程により得たアルミニウム合金板を円環状ディスクブランクに加圧平坦化する工程と、
加圧平坦化した前記円環状ディスクブランクに切削加工と研削加工を施してめっき用アルミニウム合金基板を得る工程と、
前記めっき用アルミニウム合金基板に、脱脂、エッチング及びジンケート処理を施すめっき前処理工程と、
めっき前処理を施したアルミニウム合金基板の表面に無電解でのNi-Pめっき処理を施した後、Ni-Pめっき処理を施した表面を研磨して磁気ディスク用アルミニウム合金基板を得る工程と、
前記磁気ディスク用アルミニウム合金基板の表面に、磁性体を付着させて磁性体層を形成する工程と、を含む磁気ディスクの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の磁気ディスクの製造方法によって得られた磁気ディスク。
【請求項8】
請求項7に記載の磁気ディスクを備えるハードディスクドライブ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金基板のリサイクル方法、磁気ディスクの製造方法、磁気ディスク及びハードディスクドライブに関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
コンピュータやデータセンターを始め、各種電子機器の記憶装置としてHDD(ハードディスクドライブ)が広く使用されている。HDDは磁気ディスクが情報の記憶を担っており、該磁気ディスクの基板には磁気ディスク用アルミニウム合金基板が使用されている。磁気ディスク用アルミニウム合金基板には、良好なめっき性を有するとともに機械的特性や加工性が優れたJIS5086合金(3.5質量%以上4.5質量%以下のMg、0.50質量%以下のFe、0.40質量%以下のSi、0.20質量%以上0.70質量%以下のMn、0.05質量%以上0.25質量%以下のCr、0.10質量%以下のCu、0.15質量%以下のTi、0.25質量%以下のZnを含み、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金)によるアルミニウム合金基板が使用され、一例では該アルミニウム合金基板に無電解Ni-Pめっき処理を施した後に、表面を平滑に研磨する工程で製造されている。
【0003】
例えば、JIS5086合金を用いた磁気ディスク用アルミニウム合金基板は、以下の製造工程により製造される。まず、所望の化学成分を含むアルミニウム合金を鋳造し、その鋳塊を均質化した後に熱間圧延し、次いで冷間圧延を施し、磁気ディスクとして必要な厚みの圧延材を作製する。この圧延材は、必要に応じ冷間圧延の途中等に焼鈍を施すことが好ましい。次に、この圧延材を円環状に打ち抜いて円環状ディスクブランクとし、前記製造工程により生じた歪み等を除去するため、円環状ディスクブランクを積層し、両面から加圧しつつ焼鈍を施して平坦化する加圧焼鈍を行う。このようにして作製された円環状ディスクブランクに、前処理として切削加工、研削加工、脱脂処理、エッチング処理、ジンケート処理(Zn置換処理)を施し、次いで下地処理として硬質非磁性金属であるNi-P無電解めっき処理をし、該Ni-Pめっき処理を施した表面を研磨した後に、磁性体をスパッタリングして磁性体層を形成することで磁気ディスク用アルミニウム合金基板が製造される。
【0004】
近年、クラウドサービスの発展に伴い、データセンターの新設や既存のデータセンターにおける大容量HDDへの交換が積極的に進んでいる。そのような昨今の状況から、HDDの大容量化は必要不可欠となっている。HDDの大容量化には、磁気ディスクの搭載枚数を増やすこと、及び磁気ディスク1枚あたりの容量を増やすことが重要である。前者においては磁気ディスクの厚さを薄くする必要があり、後者では磁気ディスク用アルミニウム合金基板表面のNi-Pめっき表面の欠陥を少なくする必要がある。上記両者の方法は技術的には可能であるが、これらの方法を行うと磁気ディスクの製造工程において歩留まりが悪くなる。具体的には、前者について磁気ディスクを薄くすると圧延や研削等においてより高い加工精度が求められることとなり、後者のNi-P表面の欠陥については発生数の閾値がより厳しくなる。つまりは、不良品となる磁気ディスク用アルミニウム合金基板の数量が増えることとなり、今後の磁気ディスクの需要を考慮すると磁気ディスク用アルミニウム合金基板の不良品が増えていくことは容易に予想される。
【0005】
また、近年では環境保全への関心の高まりから、金属製品のリサイクル技術の確立が必要不可欠となってきている。また、金属の種類としては地政学的なリスクが顕在化していることも明らかになってきた。アルミニウムは比較的リサイクルがしやすい金属種ではあるものの、その合金系によりリサイクルの難易度は変わる。例えば、アルミ缶材料であれば同じ合金を集めて原料とすることができるため、容易に再びアルミ缶材料とすることができる。しかしながら、熱交換器用材料として使用されるアルミニウムクラッド材は異なる組成のアルミニウム合金の多層構造を有しており、各層を分離することが不可能である。このため、アルミニウムクラッド材全体を再溶解及び鋳造することが必要となり、再溶解・鋳造時に元々の合金組成から変化してしまうため、リサイクル後の使用範囲が限られてくる可能性がある。
【0006】
一方、磁気ディスク用のアルミニウム合金は、めっき欠陥不具合の改善を目的に高純度の地金を多量に使用し、FeやSi等の含有量を制限した高コストの材料である。そのため、可能な限りリサイクルすることで、高純度の地金の使用量を減らすことが可能となる。これにより、高純度の地金を製造する量を削減でき、少なからず環境保全への一助となる。
【0007】
磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造工程において圧延や研削等で所定の基準を満たさず、磁気ディスク用アルミニウム合金基板が不良品となった場合には、そのまま原料の一部として再利用することが可能である。しかしながら、表面にNi-Pめっき層等の皮膜が形成された磁気ディスク用アルミニウム合金基板の状態で不良品が発生すると、そのリサイクルは複雑となる。すなわち、磁気ディスク用アルミニウム合金基板にはNi-Pめっき層等の皮膜が付与されているため、例えば、HDDの筐体等の鋳物合金として使用することが可能となる。この一方で、前述の通り、高純度の地金を多量に使用したアルミニウム合金を鋳物として再利用することは、リサイクルの効率としては悪く、圧延材、好ましくは再び磁気ディスク用のアルミニウム合金として再利用することが望まれている。
【0008】
このような背景から、アルミニウム合金からのNi-Pめっき層等の皮膜の分離、及びアルミニウム合金基板の回収方法の技術確立が求められている。例えば、特許文献1には、Ni-Pめっきが付与されたままのアルミニウム合金基板を、Al-Si系合金用の原料として再利用する手法が開示されている。この技術ではアルミニウム合金基板の再利用は可能であるものの、高純度の地金を使用したアルミニウム合金基板を効率的に利用することは困難である。
【0009】
特許文献2には、Ni-Pめっき層を除去した後の基板を、再びめっき工程に戻して再利用する手法が開示されている。この技術では、再生したアルミニウム合金基板を再利用可能にする。しかしながら、昨今の磁気ディスク用アルミニウム合金基板はNi-Pめっき表面の欠陥に対する要求が極めて厳しくなっており、Ni-Pめっき層を剥離したアルミニウム合金基板をそのまま再利用すると、表面にダメージを受けた状態でアルミニウム合金基板にめっき処理が施されるため、めっき表面の欠陥が多発する可能性がある。
【0010】
このように、先行技術では、アルミニウム合金基板を高い品質を保った状態で再利用することが不可能であり、近年の高品質が要求される磁気ディスク用に、アルミニウム合金基板を再利用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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