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公開番号2025091428
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-19
出願番号2022047140
出願日2022-03-23
発明の名称アルミニウム原子を含有するシリカ粒子を含むセメンチング組成物及びセメンチング方法
出願人日産化学株式会社
代理人弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
主分類C04B 28/02 20060101AFI20250612BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】 油田及びガス油田に用いられ、100℃以上、特に150℃以上もの高温環境下においてもセメントスラリーからの遊離水の発生を抑制できるセメンチング組成物であり、セメンチング組成物を混練する際に塩水を使用した場合であっても、地下の充填箇所に到達するまでの間において十分な流動性を確保し、遊離水の発生を抑制してなる十分な安定性を有するセメンチング組成物を提供すること。
【解決手段】セメント、シリカ粒子、及び塩水を含み、油田及びガス油田に用いる塩水混練セメンチング用組成物であって、該シリカ粒子はアルミニウム原子がシリカ(SiO2)の質量に対してAl2O3換算で0.1~4.0質量%の割合で含有されるシリカ粒子である、上記セメンチング組成物、好ましい態様において前記シリカ粒子は、窒素ガス吸着法により測定して得られる比表面積径(等価球換算粒子径)が5~200nmの粒子であり、前記塩水は塩分を0.1~4.0質量%含有する水溶液であり、前記塩水は塩分含有陸水、又は海水である、セメンチング組成物。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
セメント、シリカ粒子、及び塩水を含み、油田及びガス油田に用いる塩水混練セメンチング用組成物であって、
該シリカ粒子はアルミニウム原子がシリカ(SiO

)の質量に対してAl



換算で0.1~4.0質量%の割合で含有されるシリカ粒子である、上記セメンチング組成物。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記シリカ粒子が、窒素ガス吸着法により測定して得られる比表面積径(等価球換算粒子径)が5~200nmの粒子である、請求項1に記載のセメンチング組成物。
【請求項3】
前記塩水が、塩分を0.1~4.0質量%含有する水溶液である、請求項1又は請求項2に記載のセメンチング組成物。
【請求項4】
前記塩水が、塩分含有陸水、又は海水である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセメンチング組成物。
【請求項5】
塩分濃度3.6質量%、シリカ濃度1質量%に設定した前記シリカ粒子の塩水分散液を20℃、1時間保管する塩水耐性試験において、(該試験後におけるシリカ粒子の動的光散乱法による平均粒子径)/(該試験前におけるシリカ粒子の動的光散乱法による平均粒子径)で表される比が1.0~100である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のセメンチング組成物。
【請求項6】
前記シリカ粒子が、セメントに対して、シリカ固形分として0.01%~10%BWOC(BWOCは、セメントの乾燥固形分に基づく質量%を意味する)の割合にて含有される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のセメンチング組成物。
【請求項7】
さらにセメント遅硬剤及びその他添加剤を含み、
前記セメントに対して、前記シリカ粒子をシリカ固形分として0.01%~10%BWOCの割合で、前記塩水を30~60%BWOCの割合で、前記セメント遅硬剤を0.1~5%BWOCの割合で、及びその他の添加剤を0.001~10%BWOCの割合で、それぞれ含有するセメンチング組成物であって、
前記その他の添加剤は、脱水調整剤、消泡剤、速硬剤、低比重骨材、高比重骨材、セメント分散剤、セメント強度安定剤、及び逸泥防止剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の添加剤である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のセメンチング組成物。
【請求項8】
油田又はガス油田の掘削において、100℃以上300℃以下の高温・高圧環境下から石油又はガスを採掘するにあたり、地層とケーシングパイプとの空隙部を油井セメントで充填するためのセメンチング材料として、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のセメンチング組成物を用いることを特徴とする、セメンチング工法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のセメンチング組成物を坑井中に導入する工程、及び前記セメンチング組成物を凝結させる工程、を含む、
セメンチング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高温・高圧の環境にある油田及びガス油田のフィールドの坑井掘削時に使用するセメンチング用セメントスラリーにおいて、該スラリーからの遊離水の発生を抑制することにより優れた流動性を実現するセメント組成物に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
油田やガス田等の坑井掘削では、坑井仕上の際、坑井内に内枠として挿入したケーシングパイプの固定や補強、腐食防止、また地下水の坑井内への流入防止のため、ケーシングパイプと地層(坑壁)との空隙(環状の間隙:annulas(アニュラス)などとも称されることがある)にセメントスラリーを注入するセメンチング作業が実施される。セメンチングとは、坑井内の様々な箇所、あるいはケーシング内・外に、セメント及び水あるいは添加剤を含む溶解水で作られたセメントスラリーを適用すること指し、プライマリー及びセカンダリーセメンチングに分別される。プライマリーセメンチングは、前述したように、ケーシング降下後にケーシングアニュラス部(外側)にセメントを充填するセメンチングを指し、通常のケーシングに際しては必ず実施される。またセカンダリーセメンチングは、その後の二次的なセメンチングであり、必要に応じて局所的に実施されるセメンチングを指す。
【0003】
油田やガス田等の坑井掘削は、ビット(削孔用具)による掘削作業と上記のセメンチング作業が繰り返し実施され、油井が深くなるに従い、作業現場の温度は上昇し、圧力も上昇することとなる。近年、掘削技術が向上し、深さ500~1000m以上の深層の油田及びガス油田層の掘削が行われており、高温・高圧環境下においてもセメンチングが可能となるセメントスラリーの設計が求められる。また近年、油田及びガス油田層の生産層を水平に掘り進んで生産量を増やすことができる、水平坑井の頻度が増している。水平坑井は、従来の垂直井、傾斜井と異なり、掘削中の泥水性状やセメンチングに使用するセメントスラリーデザインに注意を払う必要が生じている。
【0004】
セメンチング用セメントスラリーは、上述したような坑井条件に合わせて設計され、セメントと水に加え、セメント速硬剤、セメント遅硬剤、低比重骨材、高比重骨材、セメント分散剤、セメント脱水調整剤、セメント強度安定剤、逸泥防止剤などの添加剤を加えて調製される。
またセメンチングに使用されるセメント(油井セメント、地熱井セメントなどとも称する)は、一般構造用のセメントとは異なる要求性能を有し、例えば高温・高圧下でもスラリー流動性や強度発現性といった施工性と耐久性を備えることが要求される。
こうした要求性能を考慮した規格として、API規格(American Petroleum Institute(アメリカ石油協会)が定めた石油に関する規格)では、各種の油井セメントがクラス別・耐硫酸塩別に規定され、中でもクラスGセメントは、油井掘削用として最も使用されているセメントである。
しかし、上記のAPI規格を満たしていても、海水などの塩水使用環境下や高温及び高圧の環境下では、セメントスラリーからの遊離水の発生量が増大し、その結果、セメントスラリーの流動性やセメント強度が損なわれるといった問題があり、上記の坑井環境下においても遊離水の発生を抑制できる手段が求められている。
【0005】
セメントスラリーからの遊離水の抑制を図った提案として、例えば、窒素吸着による比表面積値(BET(N

))が10~500m

/gであり、水蒸気吸着による比表面積値(BET(H

O))が5~65m

/gであるシリカ粒子を含有するセメンチング組
成物が開示されている(特許文献1参照)。
また、海水を使用したモルタルにおいて初期強度と長期強度の発現を図った提案として、例えば、セメントと海水と骨材と特定組成を有するモルタル混和剤とを混合させた海水配合モルタルが開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2020/059213号
特開2012-017215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、油田及びガス油田に用いられ、100℃以上、特に150℃以上もの高温環境下においても、セメントスラリーからの遊離水の発生を抑制できるセメンチング組成物を提供することを課題とするものであり、更にセメンチング組成物を混練する際に塩水を使用した場合に、地下の充填箇所に到達するまでの間において十分な流動性を確保し、遊離水の発生を抑制してなる十分な安定性を有するセメンチング組成物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は第1観点として、セメント、シリカ粒子、及び塩水を含み、油田及びガス油田に用いる塩水混練セメンチング用組成物であって、該シリカ粒子はアルミニウム原子がシリカ(SiO

)の質量に対してAl



換算で0.1~4.0質量%の割合で含有されるシリカ粒子である、上記セメンチング組成物、
第2観点として、前記シリカ粒子が、窒素ガス吸着法により測定して得られる比表面積径(等価球換算粒子径)が5~200nmの粒子である、第1観点に記載のセメンチング組成物、
第3観点として、前記塩水が、塩分を0.1~4.0質量%含有する水溶液である、第1観点又は第2観点に記載のセメンチング組成物、
第4観点として、前記塩水が、塩分含有陸水、又は海水である、第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載のセメンチング組成物、
第5観点として、塩分濃度3.6質量%、シリカ濃度1質量%に設定した前記シリカ粒子の塩水分散液を20℃、1時間保管する塩水耐性試験において、(該試験後におけるシリカ粒子の動的光散乱法による平均粒子径)/(該試験前におけるシリカ粒子の動的光散乱法による平均粒子径)で表される比が1.0~100である、第1観点乃至第4観点の何れか一つに記載のセメンチング組成物、
第6観点として、前記シリカ粒子が、セメントに対して、シリカ固形分として0.01%~10%BWOC(BWOCは、セメントの乾燥固形分に基づく質量%を意味する)の割合にて含有される、第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載のセメンチング組成物、第7観点として、さらにセメント遅硬剤及びその他添加剤を含み、前記セメントに対して、前記シリカ粒子をシリカ固形分として0.01%~10%BWOCの割合で、前記塩水を30~60%BWOCの割合で、前記セメント遅硬剤を0.1~5%BWOCの割合で、及びその他の添加剤を0.001~10%BWOCの割合で、それぞれ含有するセメンチング組成物であって、前記その他の添加剤は、脱水調整剤、消泡剤、速硬剤、低比重骨材、高比重骨材、セメント分散剤、セメント強度安定剤、及び逸泥防止剤からなる群より選ばれた少なくとも1種の添加剤である、第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載のセメンチング組成物、
第8観点として、油田又はガス油田の掘削において、100℃以上300℃以下の高温・高圧環境下から石油又はガスを採掘するにあたり、地層とケーシングパイプとの空隙部を油井セメントで充填するためのセメンチング材料として、第1観点乃至第7観点のいずれ
か一つに記載のセメンチング組成物を用いることを特徴とする、セメンチング工法、及び第9観点として、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のセメンチング組成物を坑井中に導入する工程、及び
前記セメンチング組成物を凝結させる工程、を含む、セメンチング方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のセメンチング組成物は、100℃以上、特に150℃以上300℃以下の高温油層における掘削時に使用したとき、強度低下の原因になるセメンチング組成物(セメントスラリー)からの遊離水の発生を抑制することができ、且つ、現場で塩水(特には海水)を使用する場合に優れた流動性を実現し、また施工不備(例えば、セメントがやせ細って地層との隙間が埋められず、ケーシングの固定が不十分になる)を抑制することができる。
従って、本発明のセメンチング組成物を用いることにより、高温環境下であっても、坑井仕上を安定して、生産性よくセメンチングを実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明はセメント、シリカ粒子、及び塩水を含み、油田及びガス油田に用いる塩水混練セメンチング用組成物を対象とする。
以下、本発明のセメンチング組成物に使用される各成分について詳述する。
(【0011】以降は省略されています)

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