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公開番号
2025081787
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-28
出願番号
2022052813
出願日
2022-03-29
発明の名称
植物付与水溶液の製造方法
出願人
ケイワート・サイエンス株式会社
代理人
弁理士法人たかはし国際特許事務所
主分類
C05D
9/00 20060101AFI20250521BHJP(肥料;肥料の製造)
要約
【課題】石、礫、砂等に含有されている二酸化ケイ素を原料にせず、植物を原料として、簡便に効率よく低エネルギーで、植物付与水溶液を製造する方法を提供すること。
【解決手段】籾殻に含有されているケイ素化合物を水で抽出して得られた植物付与水溶液、又は、該植物付与水溶液から水を留去してなる濃縮水溶液を含有させる、植物付与水溶液の製造方法であって、
該籾殻を、酸素の存在下で燃焼させず、二酸化ケイ素を生成させる工程を行なわず、かつ、炭化させずに抽出対象物として、該籾殻に含有されている水溶性ケイ素化合物を、該水溶性を維持したまま抽出することを特徴とする植物付与水溶液の製造方法、及び、該製造方法で製造された植物付与水溶液。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
籾殻に含有されているケイ素化合物を水で抽出して得られた植物付与水溶液、又は、該植物付与水溶液から水を留去してなる濃縮水溶液を含有させる、植物付与水溶液の製造方法であって、
該籾殻を、酸素の存在下で燃焼させず、二酸化ケイ素を生成させる工程を行なわず、かつ、炭化させずに抽出対象物として、該籾殻に含有されている水溶性ケイ素化合物を、該水溶性を維持したまま抽出することを特徴とする植物付与水溶液の製造方法。
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【請求項2】
籾殻に含有されているケイ素(Si)元素を、籾殻に含有されている前記水溶性ケイ素化合物の化学構造を維持したまま水で抽出して得る、請求項1に記載の植物付与水溶液の製造方法。
【請求項3】
前記抽出対象物が、籾殻灰でも籾殻由来の燻炭でもない籾殻自体であるか、又は、籾殻のクチクラ層を破壊した後のものである請求項1又は請求項2に記載の植物付与水溶液の製造方法。
【請求項4】
前記籾殻のクチクラ層の破壊を、花粉に含有されているタンパク質、及び、植物に病気を起こさせる微生物が有しているタンパク質からなる群より選ばれたクチクラ分解酵素によって行う請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の植物付与水溶液の製造方法。
【請求項5】
既に籾殻に含有されている水溶性ケイ素化合物を、20℃以上180℃以下の水で抽出する請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の植物付与水溶液の製造方法。
【請求項6】
抽出直後の前記水溶性ケイ素化合物の濃度が、抽出直後の前記植物付与水溶液全体に対して、ケイ素(Si)原子の含有量に換算して10質量ppm以上になるように抽出する請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の植物付与水溶液の製造方法。
【請求項7】
前記植物付与水溶液中、又は、前記濃縮水溶液中のケイ素(Si)濃度を調節することによって、植物付与水溶液全体に対して、ケイ素(Si)原子の含有量に換算して1.0質量ppm以上2000ppm以下になるようにする請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の植物付与水溶液の製造方法。
【請求項8】
更に、前記抽出後に、籾殻に含有されている、リグニン、及び/又は、着色成分若しくは籾殻臭成分を除去する請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の植物付与水溶液の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の植物付与水溶液の製造方法で製造されたものであることを特徴とする植物付与水溶液。
【請求項10】
使用時に、ケイ素(Si)原子の含有量に換算して0.1質量ppm以上600質量ppm以下である請求項9に記載の植物付与水溶液。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾殻を原料として、特定の方法で抽出したケイ素化合物を含有する植物付与水溶液の製造方法に関し、更に詳しくは、籾殻を抽出対象物として、該籾殻に含有されている水溶性ケイ素化合物を、該水溶性を維持したまま抽出して得られる水溶性ケイ素化合物を含有する植物付与水溶液の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
籾殻には多くの「ケイ素元素(Si)を分子内に有するケイ素化合物」が含有されていることが知られている。
【0003】
特許文献1には、籾殻灰と石灰原料を水に懸濁して反応させて得られたケイ酸カルシウム水和物結晶を、成型して乾燥させる、耐火断熱材の製造方法が記載されている。
しかし、特許文献1では、籾殻を酸化雰囲気化で、例えば600℃に加熱して燃焼・灰化させることで、白色で非晶質の籾殻灰を得て、それを原料としている(特許文献1の請求項1、実施例1等)。
【0004】
また、特許文献2には、酸化性物質を含む水系溶液に、籾殻を浸漬し、酸素存在下に加熱して酸化させるアモルファスシリカの製造方法が記載されている。
しかし、特許文献2では、籾殻を空気の存在下において、加熱することによって酸化し、籾殻中の有機材料を十分に減少させ、それを原料としている(特許文献2の請求項9、[0010]、[0016]、[0020]等)。
【0005】
特許文献3には、籾殻をアルコール等の水性溶媒で抽出した抽出物等を有効成分とするキノコ菌糸生長促進及び子実体形成促進剤が記載されている。
しかし、特許文献3は、籾殻中の有機物質を生長促進等に利用しているのであって、ケイ素(Si)と言う元素には全く着目しておらず、ケイ素(Si)を積極的に抽出するものではなかった。すなわち、ケイ素化合物の取得を目的とする発明ではなかった。
【0006】
また、特許文献4には、籾殻灰をケイ酸塩前駆体と反応させて、特定のモル比を有するケイ酸塩の製造法が記載されている。
しかし、特許文献4も、原料として籾殻灰を使用しているのであって(特許文献4の請求項1等)、籾殻に存在する水溶性ケイ素化合物の状態で抽出すると言う技術思想については記載も示唆もない。
【0007】
特許文献5には、籾殻を焼成して得られるシリカ灰を、C/Siのモル比が0.2以上2.0以下となるように混合して原料を製造し、該原料に不活性ガス雰囲気下でマイクロ波を照射することにより前記原料を加熱し、シリカを還元して金属シリコンを得る製造方法が記載されている。
しかし、特許文献5では、籾殻を焼成して得られるシリカ灰を得て、それを原料としている(特許文献5の請求項1、[0050]実施例1等)。
【0008】
一方、地球上で代表的なケイ素化合物である二酸化ケイ素は、主に石英として岩石又は礫の中に存在しており、中でも、大きく透明な結晶を水晶、砂状になったものをケイ砂と言って、種々のケイ素(Si)含有物の原料として使用されている(種々の用途に利用されている)。また、二酸化ケイ素を高温で加熱し、一旦融解させて得られる石英ガラスも、種々の用途に利用されている。
また、電子材料等に使用されるケイ素(Si)は、天然に存在する石英やケイ砂(主成分はSiO
2
)を原料とし、コークス等と共に加熱することにより、化学反応:SiO
2
+2C→Si+2COによって得られている。
また、化学反応:SiO
2
+2NaOH→Na
2
SiO
3
+H
2
Oで得られるケイ素含有物は、水ガラスとして種々の製品の原料として使用されている。
【0009】
このように、現在、ケイ素含有物は、殆どが天然の岩石や礫や砂に含まれるSiO
2
に対して化学反応や物理反応をさせて得ており、また、単体ケイ素やケイ素含有物は、それらを融解させて上記反応式を利用して得ている。
また、水溶性ケイ素化合物を水に溶解させて得られる植物付与水溶液も、二酸化ケイ素(SiO
2
)を出発物質として製造されている。
【0010】
実際、「ケイ素(Si)に全く着目していない特許文献3」を除いては、殆どの先行技術は、一旦、籾殻を空気中で燃焼し灰化して二酸化ケイ素(SiO
2
)等の非水溶性無機物として、それを製造原料としている。
すなわち、従来技術では、「ケイ素含有物が無機物であること」に固執するあまり、また、「ケイ素(Si)の無機材料への応用」に固執するあまり、原料である籾殻を、燃焼させたり、炭化させたりしてしまい、ケイ素(Si)を、「籾殻と言う植物由来物に本来含有されている水溶性物質」の形態を崩さずに取り出そうと言う発想はなかった。
(【0011】以降は省略されています)
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