TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025135246
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-18
出願番号2024032992
出願日2024-03-05
発明の名称タマネギ鱗茎肥大促進方法
出願人雪印種苗株式会社
代理人弁理士法人お茶の水内外特許事務所
主分類C05D 9/02 20060101AFI20250910BHJP(肥料;肥料の製造)
要約【課題】タマネギ鱗茎の肥大を促進すること。
【解決手段】
亜鉛と海藻抽出物を含む葉面散布用肥料を葉面散布する、タマネギ鱗茎肥大促進方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
亜鉛と海藻抽出物を含む葉面散布用肥料をタマネギの葉面に散布する、タマネギ鱗茎肥大促進方法。
続きを表示(約 120 文字)【請求項2】
海藻抽出物は、コンブ目及び/又はヒバマタ目の海藻の抽出物である請求項1記載のタマネギ鱗茎肥大促進方法。
【請求項3】
リン酸が過多である土壌で栽培されるタマネギに行う請求項1記載のタマネギ鱗茎肥大促進方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、タマネギの栽培に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
亜鉛は、植物にとって300以上の酵素の活性に必要であるとされており、植物ホルモンであるオーキシンの生合成や、光合成に関与することが報告されている。特に、亜鉛を必要とする酵素の一つである炭酸脱水酵素は、気体の二酸化炭素を水に溶解できる形に変化させる酵素であり、機能しないと二酸化炭素の取り込みができずに光合成に大きく影響する。
【0003】
作物は、大部分の亜鉛を、根を介して土壌から吸収するため、亜鉛欠乏には土壌のpHや種類、水分等が大きく関係するが、現在の日本農業においては、土壌中リン酸との関係が大きな影響をもつ。日本国内では畑土壌におけるリン酸の過剰蓄積が課題となっており、黒ボク土壌の1割において100mg/100gを、非黒ボク土壌の4割において75mg/100gを超えていると報告されている(農林水産省「農地土壌の現状と課題」)。亜鉛は、リン酸と結合すると不溶態のリン酸亜鉛になることや、VA菌根菌の働きが弱くなることから、リン酸過剰土壌では作物は土壌中から亜鉛や鉄を吸収しにくくなるとされている(Horst Marschner (2005) Mineral nutrition of higher plants、清水武・JA全農肥料農薬部(2018) 要素障害診断事典)。リン酸の過剰蓄積はこのように作物の生育に悪影響も与えることから、例えばトマト栽培においては土壌中のトルオーグリン酸濃度として100mg/100g以上は潜在的過剰状態と表現されている(タキイ種苗(株)ホームページ「病害虫・生理障害」「トマト」「リン酸過剰」)。
一方で、タマネギ栽培においては土壌中の有効態リン酸濃度が低いと収量レベルが低く、トルオーグリン酸80~130mg/100gの範囲で収量レベルが最も高くなることが明らかにされている(非特許文献:相馬・岩渕1982.リン酸肥沃度及びリン酸施肥がタマネギの生育・収量に及ぼす影響.北海道立農試集報47:47-56.)。このことから特にタマネギ栽培においてはリン酸施用が励行されている。しかしながら、土壌分析を行わずにリン酸施用を行う生産者も多く、結果的にリン酸過剰となっている圃場も多い。そういった圃場においては亜鉛欠乏症状が認められる場合もあり、また、欠乏症状が顕在化していない場合でも、亜鉛吸収量不足が原因の一つと考えられる収量の頭打ちが生じている。
このような場合、土壌を介さずに葉面散布により亜鉛を供給することが有効な対策と考えられるが、特許文献1には、ダイズに対し土壌施用よりも葉面散布にて施用する方が吸収効率は高く、更に、海藻抽出物の添加によりその効率が高まることが報告されている。
そこで、発明者らは、特にリン酸過多の土壌において栽培するタマネギに対し、亜鉛を葉面散布することで鱗茎の肥大を促進できることを発見した。更に、亜鉛と海藻抽出物を同時に施用することによってその効果を高められることを発見した。更に、土壌中のリン酸が過多である場合にその効果がより大きいことを発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第5022702号公報
相馬・岩渕1982.リン酸肥沃度及びリン酸施肥がタマネギの生育・収量に及ぼす影響.北海道立農試集報47:47-56.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、タマネギの鱗茎の肥大を促進することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決する方法を鋭意検討し、亜鉛と海藻抽出物を含む葉面散布用肥料を葉面散布することで、タマネギの茎葉の生育を促進し、鱗茎の肥大を促進することを発見した。
そして、本発明による方法は以下のとおりである。
1.亜鉛と海藻抽出物を含む葉面散布用肥料をタマネギの葉面に散布する、タマネギ鱗茎肥大促進方法。
2.海藻抽出物は、コンブ目及び/又はヒバマタ目の海藻の抽出物である1記載のタマネギ鱗茎肥大促進方法。
3.リン酸が過多である土壌で栽培されるタマネギに行う1又は2記載のタマネギ鱗茎肥大促進方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、亜鉛と海藻抽出物を含む葉面散布用肥料を葉面散布することで、ユリ科の中でも特にタマネギの鱗茎の肥大を促進させることができる。さらに、タマネギを栽培する土壌中のリン酸が過多である場合にその効果がより大きい。タマネギの鱗茎の肥大とは、直径又は重量が増大することを示す。本発明のタマネギ鱗茎肥大促進方法は土壌に亜鉛を施用するよりも効率が良く、経済性に優れ、環境負荷が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施例1の結果を示すグラフ。
実験2において、過リン酸石灰を0g混合したときの結果を示す。
実験2において、過リン酸石灰を1g混合したときの結果を示す。
実験2において、過リン酸石灰を3g混合したときの結果を示す。
実験2において、過リン酸石灰を10g混合したときの結果を示す。
実験2において、過リン酸石灰を30g混合したときの結果を示す。
実験2において、左から過リン酸石灰を0g、1g、3g、10g、30gをそれぞれ混合し、葉面散布用肥料を散布しない場合の結果を示す。
実験2において、左から過リン酸石灰を0g、1g、3g、10g、30gをそれぞれ混合し、上記実験2の方法により葉面散布用肥料を散布した場合の結果を示す。
実験4の結果を示すグラフ。
実験5の結果を示すグラフ。
実験5の結果を示すグラフ。
実験6の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[海藻抽出物]
本発明のタマネギ鱗茎肥大促進方法にて使用する海藻抽出物の原料である海藻としては、褐藻類が好ましく、なかでもコンブ目及びヒバマタ目が好ましい。更にチガイソ科及びヒバマタ科が好ましい。最も好適なのはアイヌワカメ(Alaria praelonga)及びアスコフィラムノドサム(Ascophyllum nodosum)である。
海藻抽出物は酸により加水分解されたものの抽出物であり、例えば以下の如くして調製できる。材料となる海藻に希硫酸水や希塩酸水等の酸を加え、これを60℃以上、好ましくは煮沸する温度に加温して加水分解を行う。この場合、用いる酸の種類は硫酸が好ましい。また、希硫酸水や希塩酸水等の酸の濃度は0.5~2Nが好ましい。加温する温度が高いほど、分解速度は早くなるので好ましい。得られた加水分解物に適宜アルカリを加えることによってpHを調整したのち、遠心分離又はろ過により固形分を取り除いて海藻抽出物を得る。好ましい葉面散布用肥料を得るには、この海藻抽出物そのもの又は希釈液に亜鉛を適宜添加すればよい。
得られた海藻抽出物を水溶液のまま葉面散布用に使用しても良い。また海藻抽出物から水を除去したり、更に水等を添加して、海藻抽出物の濃度を調整しても良い。また水溶液の海藻抽出物を乾燥させてもよい。
【0010】
海藻抽出物を乾燥しておくほうが、使用時において、葉面散布用肥料中の海藻抽出物の濃度を調整したり、葉面への散布のしやすさを考慮すると好ましい。海藻抽出物乾燥物の葉面散布用肥料中の含有量は任意であるが、0.1重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましく、3.0重量%以上が更に好ましい。また、20.0重量%以下が好ましく、10.0重量%以下がより好ましく、5.0重量%以下が更に好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

雪印種苗株式会社
タマネギ鱗茎肥大促進方法
28日前
雪印種苗株式会社
細菌性植物病害の防除方法
2か月前
個人
真空パックした堆肥
3か月前
株式会社ビッグウィルマテリアル
有機発酵肥料
3か月前
栗田工業株式会社
畜糞造粒物の製造方法
8日前
公立大学法人大阪
タケ由来ミミズ堆肥
1か月前
日本製鉄株式会社
肥料及び肥料の製造方法
3か月前
学校法人長崎総合科学大学
溶液担持ペレットの製造方法
7日前
雪印種苗株式会社
タマネギ鱗茎肥大促進方法
28日前
住友ベークライト株式会社
被覆材料、被覆肥料、および被覆肥料の製造方法
2日前
片倉コープアグリ株式会社
液状肥料及びその施肥方法
1か月前
株式会社森羊土
きのこ廃培地発酵乾燥資材の使用方法
1か月前
荒川化学工業株式会社
肥料組成物、被覆肥料、樹脂組成物の使用方法、栽培方法及び培養土
13日前
株式会社バイオ技研
有機廃棄物発酵分解促進剤の製造方法及び有機肥料の製造方法
1日前
DIC株式会社
植物育成剤、植物栽培用組成物、及び植物を栽培する方法
3か月前
メタウォーター株式会社
肥料製造システム及び肥料製造方法
7日前
上毛緑産工業株式会社
木材チップと下水汚泥を利用した菌体りん酸肥料の製造方法
17日前
有限会社 岡本製作所
堆肥化診断装置、堆肥化診断システム、堆肥化診断方法及びプログラム
9日前
寿都町
堆肥分解性ブロックの製造方法、堆肥分解性ブロック及び、堆肥分解性ブロックを利用した磯焼け防止方法
1か月前
出光興産株式会社
組成物、組成物の製造方法、組成物の使用方法、肥料組成物、及び肥料組成物の使用方法
3か月前
バテル・メモリアル・インスティテュート
向上されたマイクロチャンネルデバイスまたはメソチャンネルデバイス、及びその添加製造方法
2か月前
茂施農業科技有限公司
再生可能原料をベースにしたフランジカルボン酸を含むポリウレタン放出制御肥料被膜材、およびその使用と製品
今日