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公開番号2025041675
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-26
出願番号2024212140,2021534939
出願日2024-12-05,2019-12-18
発明の名称リソソーム標的化のための二官能性分子ならびに関連する組成物および方法
出願人ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
代理人個人,個人,個人
主分類C07K 19/00 20060101AFI20250318BHJP(有機化学)
要約【課題】リソソーム標的化のための二官能性分子を提供する。
【解決手段】二官能性分子であって、細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1の部分と、リソソーム標的化分子に特異的に結合する第2の部分と、を含む、二官能性分子が提供される。
【選択図】図19
特許請求の範囲【請求項1】
二官能性分子であって、
細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1の部分と、
リソソーム標的化分子に特異的に結合する第2の部分と、を含む、二官能性分子。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
前記第1の部分のみの存在下での前記細胞表面分子または細胞外分子の分解と比べて相
対的に、前記細胞表面分子または細胞外分子の分解を増強する、請求項1の二官能性分子

【請求項3】
前記第1の部分が、細胞表面分子に特異的に結合する、請求項1または請求項2に記載
の二官能性分子。
【請求項4】
前記細胞表面分子が細胞表面受容体である、請求項3に記載の二官能性分子。
【請求項5】
前記細胞表面受容体が成長因子受容体である、請求項4に記載の二官能性分子。
【請求項6】
前記細胞表面分子が癌細胞上に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の二官能
性分子。
【請求項7】
前記細胞表面分子が腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原である、請求項6に記載の二官
能性分子。
【請求項8】
前記細胞表面分子が免疫細胞上に存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の二官
能性分子。
【請求項9】
前記免疫細胞が、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、単球、好中球、樹
状細胞、T細胞、B細胞、肥満細胞、好塩基球および好酸球からなる群から選択される、
請求項8に記載の二官能性分子。
【請求項10】
前記細胞表面分子が抑制性免疫受容体である、請求項8に記載の二官能性分子。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/782,19
3号、および2019年11月7日に出願された米国仮特許出願第62/932,347
号の利益を主張するものであり、これらの出願は参照によりその全体が本明細書に組み込
まれる。
続きを表示(約 7,100 文字)【0002】
政府支援の声明
本発明は、国立衛生研究所により授与された契約CA227942、GM059907
、およびGM123636下で政府支援を受けてなされたものである。政府は本発明に一
定の権利を有する。
【発明の概要】
【0003】
細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1部分と、リソソーム標的化分子
に特異的に結合する第2部分とを含む、二官能性分子が提供される。二官能性分子は、例
えば、エンドソーム/リソソーム経路を介した細胞表面および細胞外分子(例えば、タン
パク質)の標的化された分解に使用される。二官能性分子を含む組成物およびキット、な
らびに二官能性分子を使用する方法も提供される。二官能性分子を作製する方法も提供さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示の一実施形態による、二官能性分子およびその使用の概略図である。
一実施形態による、マンノース-6-リン酸N-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したマンノース-6-リン酸グリカンへのアクセスが可能になる。
一実施形態による、マンノース-6-ホスホネートN-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したマンノース-6-ホスホネートグリカンへのアクセスが可能になる。ホスホン酸基は、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して血清安定性が優れていることが以前に示された、加水分解に対して安定なリン酸基のバリアントである。
一実施形態による、マンノース-6-カルボキシレートN-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したマンノース-6-カルボキシレートグリカンへのアクセスが可能になる。カルボキシレート基は、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して血清安定性が優れていることが以前に示された、加水分解に対して安定なリン酸基のバリアントである。マンノース-6-カルボキシレートグリカンは、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して、陽イオン非依存性M6PR(CIM6PR)に対して0.3の相対結合親和性が以前に示された。受容体とリガンドの相互作用を化学的に調整する能力により、生物学的適用をより細かく制御して、オフターゲット結合イベントを減らすことができる。
一実施形態による、マンノース-6-アクリレートN-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したマンノース-6-アクリレートグリカンへのアクセスが可能になる。アクリレート基は、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して血清安定性が優れていることが以前に示された、加水分解に対して安定なリン酸基のバリアントである。マンノース-6-アクリレートグリカンは、マンノース-6-リン酸グリカンと比較して、CIM6PRに対して0.7の相対結合親和性が以前に示された。受容体とリガンドの相互作用を化学的に調整する能力により、生物学的適用をより細かく制御して、オフターゲット結合イベントを減らすことができる。
一実施形態によるグルコース-6-ホスホネートN-カルボキシ無水物を合成するためのスキーム。この経路により、N-カルボキシ無水物重合におけるモノマーとして使用するための、例えばセリン残基に結合したグルコース-6-ホスホネートグリカンへのアクセスが可能になる。グルコース-6-ホスホネート残基は、マンノース含有グリカンと比較して、CIM6PRに対する結合親和性が著しく弱い。
一実施形態による、マンノース-6-ホスホネートイソチオシアネートを合成するためのスキーム。この経路により、マンノース-6-ホスホネートイソチオシアネート(M6Pn-ITC)へのアクセスが可能になり、それを例えば、タンパク質中のリジン残基に直接コンジュゲートすることができる。所定のタンパク質内の複数のアミノ酸(例えば、リジン)に対する、複数のM6Pn-ITCのコンジュゲートにより、M6Pnグリカンの多価提示が可能になる。
一実施形態による、M6Pリガンドをディスプレイするための足場(scaffold)を合成するための一般的なNCA重合スキームの図である。他のアミノ酸由来NCAとのコポリマーも同様に容易に合成され、複数のM6Pリガンド残基を有する様々な構造および組成を有する多数のポリマーへのアクセスを提供する。その後、これらの材料を脱保護して、完全なポリペプチド/グリカン構造が提供される。
一実施形態による、マンノース-6-ホスホネートペプチドオリゴマーの固相ペプチド合成のためのスキーム。示されるように、M6Pリガンドをディスプレイするための足場は、M6P、M6Pnなどのアミノ酸から出発して、固相ペプチド合成を使用して合成することもできる。この合成経路は、NCA重合経路と比較してポリペプチド長および組成のより大きな制御を可能にし、NCA重合由来材料と比較して特別な合成条件を必要としない。
ビオチンキャップで官能化されたM6Pnポリマーが、細胞外ニュートラアビジン-647(NA 647:ビオチンが強く結合するタンパク質)が分解のために細胞外空間からリソソームへ移行することを仲介できることを示す実験の概略図(上)および蛍光イメージング結果(下)。タンパク質とリソソーム染色色素の両方の共局在化が観察される。
いくつかの細胞株が、M6Pnポリマー依存的様式でNA647の取り込みを示すことを実証するデータ。これらの結果を考慮すると、M6PR(例えば、CIM6PR)を有する任意の細胞株が、この方法によるリソソームへのタンパク質のシャトリングを可能にし、本研究で試験した細胞株に限定されないことが予測される。
非変性ゲルポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を使用して、M6Pポリマーによるタンパク質(抗体を含む)の官能化を監視できることを示すデータ。この例では、最初に目的のタンパク質を反応性アルキン(例えば、ビシクロ[6.1.0]ノニン、BCN)で標識し、続いてアジド含有ポリマーとインキュベートすることによって官能化を行った(生体直交(bio-orthogonal)銅フリー歪み促進クリック反応)。
ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーをリソソームにシャトルすることができることを示す、概略図(上)および蛍光イメージングデータ(下)。この例では、マウスIgG-488を、ポリ(M6Pn)タグを有する抗マウスIgG抗体とインキュベートし、タンパク質およびリソソーム染色色素の両方を共局在化させた(マージ)。
ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを細胞内区画にシャトルすることができることを示す、概略図(上)およびデータ(下)。この例では、組換えヒトapoE4を、マウス由来抗ヒトapoE4抗体、抗マウスIgG抗体、またはポリ(M6Pn)タグを有する抗マウス抗体とインキュベートした。M6Pn含有二次抗体では、有意により多くの取り込みが観察される。
ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するデータ。この例では、M6Pnタグを有するセツキシマブと共に細胞をインキュベートすることによってEGFR分解を評価した。試験されたすべての細胞株について、セツキシマブまたは疑似ポリマー(GalNAc)を有するセツキシマブと比較して総EGFRの喪失が観察される。EGFはEGFR分解についてのポジティブコントロールである。レーン1:コントロール。レーン2:EGF(100ng/mL、1時間、+コントロール)。レーン3:セツキシマブ。レーン4:セツキシマブ-GalNAcコンジュゲート。レーン5:セツキシマブ-M6Pコンジュゲート(長)。レーン6:セツキシマブ-M6Pコンジュゲート(短)。コントロールのパーセントをデンシトメトリーによって計算した。
ポリ(M6Pn)標識抗体断片がそれらの結合パートナーをリソソームにシャトルできることを示すデータ。この例では、M6Pnタグを有するセツキシマブ由来Fab部分と共に細胞をインキュベートすることによってEGFR分解を評価した。セツキシマブFab単独または疑似ポリマーを有するセツキシマブFab(GalNAc)と比較して総EGFRの喪失が観察される。
ポリ(M6Pn)標識抗体がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するデータ。この例では、CD71(トランスフェリン受容体)の分解を、CD71に対する一次マウス由来抗体、抗マウスIgG抗体、またはポリ(M6Pn)タグを有する抗マウス抗体と共に細胞をインキュベートすることによって評価した。M6Pタグを含む系は、有意により多くの分解をもたらす。
ポリ(M6Pn)標識抗体断片がそれらの結合パートナーを分解のためにシャトルすることができることを実証するデータ。この例では、PDL1分解を、M6Pタグを有する抗PDL1抗体または抗PDL1抗体と共に細胞をインキュベートすることによって評価した。分解は、M6P標識抗PDL1抗体でのみ観察される。
二重特異性抗体である二官能性分子を使用した標的細胞外タンパク質分解の概略図。この例では、CIM6PRと所定の標的とに対する二重特異性抗体であり、これはエンドソームの低下したpHにおいて標的から離れる。このストラテジーにより、所定の二重特異性抗体が受容体とサイクルし、抗体の分解なしに、カーゴおよび標的をリソソームに連続的に送達することが可能になる。
本開示の実施形態による、二官能性分子の第2の部分が結合し得るリソソーム標的化分子の概略図である。この例では、リソソーム標的化分子は、実質的に排他的に肝臓細胞(liver cells)(例えば肝細胞(hepatocytes))上に発現されるアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)である。右側に示されるように、ASGPRは、原形質膜とエンドソームとの間で構成的にリサイクルされ、それにより、リソソームにおける分解のために細胞外糖タンパク質を細胞内へ運ぶ。左下には、抗体(例えば、肝細胞の表面に発現する分子または肝細胞の細胞外空間に存在する分子に結合する抗体)である第1の部分と、ASGPRに結合するための多価ASGPRリガンドを含む第2の部分とを含む、例示的な二官能性分子が示されている。この例では、第2の部分は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)のポリマー、特に、示されているポリ(GalNAc-co-Ala)ポリマーを含む。
標的分子に結合する第1の部分(この例では、抗体)および図20に示されるGalNAc含有ポリマーを含む第2の部分を含む二官能性分子を使用した、HEPG2(肝細胞癌)細胞への標的分子の移入を示す概略図およびデータ。
HUH7(肝細胞癌)細胞におけるASGPRを介した効率的な細胞取り込みを実証する概略図およびデータ。
図20に示されるGalNAc含有ポリマーを含む第2の部分にコンジュゲート化したセツキシマブ(第1の部分)を含む二官能性分子を使用した、HEP3B(肝細胞癌)細胞におけるEGFRの効率的な分解を示す概略図およびデータ。M6PRリガンドを含む第2の部分にコンジュゲート化されたセツキシマブ(第1の部分)を含むコンジュゲートについてのEGFR分解データも示される。
図20に示されるGalNAc含有ポリマーを含む第2の部分にコンジュゲートしたセツキシマブ第1の部分)を含む二官能性分子を使用した、HEPG2細胞におけるEGFRの効率的な分解を示すデータ。M6PRリガンドを含む第2の部分にコンジュゲートされたセツキシマブ(第1の部分)を含むコンジュゲートについてのEGFR分解データも示される。
HEP3B細胞におけるEGFR分解を経時的に評価する経時研究からのデータ。
上記のセツキシマブ・コンジュゲートを使用したHEP3B細胞の処理によって膜EGFRの大部分が分解されるが、残留EGFRは細胞の内部にあることを示す免疫蛍光データ。
トラスツズマブ単独またはGalNAc含有ポリマーにコンジュゲート化したトラスツズマブの存在下での、HUH7およびHEPG2細胞におけるHER2の分解の程度を示すウエスタンブロットのデータ。
【発明を実施するための形態】
【0005】
細胞表面分子または細胞外分子に特異的に結合する第1部分と、リソソーム標的化分子
に特異的に結合する第2部分とを含む、二官能性分子が提供される。二官能性分子は、例
えば、エンドソーム/リソソーム経路を介した細胞表面および細胞外分子(例えば、タン
パク質)の標的化された分解に使用される。二官能性分子を含む組成物およびキット、な
らびに二官能性分子を使用する方法も提供される。二官能性分子を作製する方法も提供さ
れる。
【0006】
本開示の二官能性分子、組成物、キットおよび方法がより詳細に記載される前に、二官
能性分子、組成物、キットおよび方法は、記載される特定の実施形態に限定されずしたが
って当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。二官能性分子、組成物、
キットおよび方法の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書
で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定すること
を意図するものではないことも理解されたい。
【0007】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値の間の、文脈上そうではないと
明確に指示されない限りは下限値の単位の10分の1までの各介在値、およびその記載さ
れる範囲内の任意の他の記載値または介在値が、二官能性分子、組成物、キットおよび方
法内に包含されることを理解されたい。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独
立してより小さい範囲内に含まれてもよく、これらもまた、記載される範囲内の特に除外
された限界を別にして、二官能性分子、組成物、キットおよび方法内に包含される。記載
された範囲が片方または両方の限界値を含む場合、それら含まれた限界値のいずれかまた
は両方を除外する範囲もまた、二官能性分子、組成物、キットおよび方法に含まれる。
【0008】
ある特定の範囲は、数値の前に用語「約」が付された状態で本明細書に提示される。「
約」という用語は、それが先行する正確な数字、およびその用語が先行する数字に近接ま
たは近似する数字に文言的サポートを提供するために本明細書において使用される。ある
数が、特定の列記された数に近接または近似するか否かを決定するにあたり、近接または
近似するが列記されていない数は、それが提示されている文脈において具体的に列記され
た数と実質的に等価な数であり得る。
【0009】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、二
官能性分子、組成物、キットおよび方法が属する当業者に一般に理解される意味と同じ意
味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の二官能性分子、組成物
、キットおよび方法もまた、二官能性分子、組成物、キットおよび方法の実施または試験
に使用することができるが、代表的な例示的な二官能性分子、組成物、キットおよび方法
がここで説明される。
【0010】
本明細書に引用されるすべての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が参照
により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細
書に組み込まれ、刊行物が引用されるところの関連する方法および/または材料を開示か
つ記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。刊行物の引用は、出願日前のそ
の開示についてのものであり、提供される刊行年は、個別に確認を必要とし得る実際の刊
行年とは異なる場合があるので、二官能性分子、組成物、キットおよび方法はその刊行物
よりも先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
(【0011】以降は省略されています)

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