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公開番号2025014838
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-30
出願番号2023117732
出願日2023-07-19
発明の名称廃棄物を利用した生分解性樹脂の海洋生分解速度制御方法
出願人国立大学法人群馬大学
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C08L 101/00 20060101AFI20250123BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】本発明は、生分解性樹脂に対する海洋生分解速度を制御する技術を開発することを課題とする。
【解決手段】本発明は、甲殻類または昆虫類の殻を、生分解性樹脂の近傍に存在させるかまたは生分解性樹脂に接触させることを含む、海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御方法を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
甲殻類または昆虫類の殻を、生分解性樹脂の近傍に存在させるかまたは生分解性樹脂に接触させることを含む、
海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御方法。
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
甲殻類または昆虫類の殻が、カニ殻である、請求項1に記載の生分解速度の制御方法。
【請求項3】
生分解性樹脂が、ポリヒドロキシアルカン酸、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ならびに天然高分子およびその誘導体から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1に記載の生分解速度の制御方法。
【請求項4】
生分解性樹脂が、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、およびセルロースから選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1に記載の生分解速度の制御方法。
【請求項5】
甲殻類または昆虫類の殻を含む、海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御剤。
【請求項6】
生分解性樹脂、および請求項5に記載の生分解速度の制御剤を含む、海洋における生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物。
【請求項7】
生分解性樹脂に、生分解速度の制御剤が積層されたものである、請求項6に記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項6または7に記載の生分解性樹脂組成物で形成された成形品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を利用した生分解性樹脂の海洋生分解速度制御方法等に関し、詳しくは、甲殻類または昆虫類の殻を利用した生分解性樹脂の海洋生分解速度制御方法等に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバリレート)(PHBV)等の微生物産生ポ
リエステルは、海洋環境中でも優れた生分解性を示す材料である。一方、その優れた生分解性故に、PHBVは材料として使用している間に生分解が進み、その物性が担保されない場合がある。生分解性プラスチックのさらなる普及のためには、その分解速度を制御する技術の開発が必要である。
【0003】
生分解性プラスチックの分解速度を低下させる手法として以下の手法が知られている。
特許文献1には、生分解性プラスチックの分解酵素の活性抑制剤である非イオン性界面活性剤を臨界ミセル濃度以上の濃度で生分解性プラスチック表面に塗布することで生分解性プラスチックの分解を制御する方法が提案されている。特許文献2、3、4には、カルボジイミド化合物や紫外線吸収剤および酸化防止剤を添加することによる生分解性プラスチックの分解を制御する方法が提案されている。特許文献5には生分解速度制御助剤を配合した後、活性エネルギー線を照射することで生分解性プラスチックの分解を制御する方法が提案されている。特許文献6には抗菌性金属イオンを添加することにより生分解測度制御する方法が提案されている。特許文献7には無機あるいは有機フィラーを配合することで、分解を抑制させる方法が提案されている。特許文献8には生分解性樹脂を積層させて得られる使用中は劣化しにくく、使用後には自然環境下で速やかに分解される生分解性積層体が開示されている。特許文献9、10には天然抗菌剤を生分解性プラスチックに分散させることで分解速度を減少させる手法が提案されている。特許文献11には生分解性樹脂とカーボンブラックの添加量を増減させ、生分解性を抑制させる手法が提案されている。特許文献12には生分解性樹脂とキチンとを混合することで、生分解速度を制御する方法が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載されている方法では、生分解性の発現のために界面活性剤を取り除く必要がある。特許文献2、3、4に記載されている方法では、添加した化合物の生分解性が担保されておらず、非生分解性物質が一部残存する可能性がある。特許文献5に記載されている方法も同様で、活性エネルギーの照射により架橋した部分が、残存する可能性がある。特許文献6、7、9、10、11、12に記載されている方法では、生分解性プラスチックに化合物あるいはフィラーを添加することによる物性低下が懸念される。特許文献8では海洋環境中での分解性が評価されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2010-227006
特開2007-302758
特開2004-155993
特開2003-313436
特開2006-291091
特開平05-117507
特開平04-146953
特開2021-154559
特開2020-500792
特開2001-323177
特開2005-002165
特開2004-010749
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記状況を鑑み、本発明は、生分解性樹脂に対する海洋生分解速度を制御する技術を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、甲殻類または昆虫類の殻を、生分解性樹脂の近傍に存在させるかまたは生分解性樹脂に接触させることで、生分解性樹脂の海洋生分解速度を制御できることを知見した。より具体的には、甲殻類または昆虫類の殻を、生分解性樹脂の近傍に存在させるかまたは生分解性樹脂に接触させることで、生分解性樹脂を分解する微生物の増殖が抑制され、樹脂の海洋生分解性が抑制されることを知見した。このような知見に基づき、本発明は完成されたものである。
すなわち、本発明の要旨は以下に関する。
【0008】
[1] 甲殻類または昆虫類の殻を、生分解性樹脂の近傍に存在させるかまたは生分解性樹脂に接触させることを含む、
海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御方法。
[2] 甲殻類または昆虫類の殻が、カニ殻である、[1]に記載の生分解速度の制御方法。
[3] 生分解性樹脂が、ポリヒドロキシアルカン酸、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ならびに天然高分子およびその誘導体から選ばれる1種または2種以上を含む、[1]または[2]に記載の生分解速度の制御方法。
[4] 生分解性樹脂が、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、およびセルロースから選ばれる1種または2種以上を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の生分解速度の制御方法。
[5] 甲殻類または昆虫類の殻を含む、海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御剤。
[6] 生分解性樹脂、および[5]に記載の生分解速度の制御剤を含む、海洋における生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物。
[7] 生分解性樹脂に、生分解速度の制御剤が積層されたものである、[6]に記載の生分解性樹脂組成物。
[8] [6]または[7]に記載の生分解性樹脂組成物で形成された成形品。
【0009】
なお、本発明は、以下の構成を採用することも可能である。
[9] 海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御のための、甲殻類または昆虫類の殻の使用。
[10] 海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御における使用のための、甲殻類または昆虫類の殻。
[11] 海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御剤の製造における、甲殻類または昆虫類の殻の使用。
[12] 海洋における生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物の製造における、甲殻類または昆虫類の殻の使用。
[13] 甲殻類または昆虫類の殻を製剤化することを含む、海洋における生分解性樹脂の生分解速度の制御剤の製造方法。
[14] 生分解性樹脂組成物と、甲殻類または昆虫類の殻とを混合することを含む、海洋における生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、生分解性樹脂の海洋生分解速度を制御することができる。また、本発明により、生分解性樹脂の海洋生分解速度の制御剤、海洋生分解速度が制御された生分解性樹脂組成物、および該生分解性樹脂組成物で形成された成形品等が提供される。
すなわち、本発明の方法によれば、優れた生分解性をもつがそれ故に使用中の生分解に伴う物性低下が懸念される生分解性樹脂と、甲殻類または昆虫類の殻とを共存させることで、生分解性樹脂表面の菌叢が変わり、生分解性樹脂の海洋生分解性を低下させた。したがって、生分解性速度が高い生分解性樹脂の生分解性を制御し、通常使用条件では機械的特性を保つが、一定条件の下で速やかに生分解する材料を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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