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公開番号2025012114
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023114704
出願日2023-07-12
発明の名称ロイシン及びイソロイシンの分析方法、並びにロイシン及びイソロイシンの分析装置
出願人株式会社島津製作所,国立大学法人島根大学
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類G01N 27/62 20210101AFI20250117BHJP(測定;試験)
要約【課題】新生児マススクリーニングなどのMRM測定において、ロイシンとイソロイシンを識別することができる分析方法を提供する。
【解決手段】タンデム型質量分析装置を用い、ロイシン及びイソロイシンを分析する方法であって、検体に対し、m/zが132>69、132>57、132>56、132>43、132>41、132>39、132>30、132>27のうちの少なくとも一つの多重反応モニタリングトランジションについての第1のMRM測定と、m/zが132>86であるMRMトランジションについての第2のMRM測定とを実施して、ロイシン及びイソロイシン由来のイオンの強度情報を取得する測定ステップと、第1のMRM測定により得られたイオン信号強度と第2のMRM測定により得られた信号強度との比である確認イオン比に基づいて、検体中のロイシンとイソロイシンを識別又は存在割合を決定する処理ステップと、を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
タンデム型質量分析装置を用い、ロイシン及びイソロイシンを分析する方法であって、
検体に対し、m/z 132>69、m/z 132>57、m/z 132>56、m/z 132>43、m/z 132>41、m/z 132>39、m/z 132>30、m/z 132>27のうちの少なくとも一つの多重反応モニタリング(MRM)トランジションについての第1のMRM測定と、m/z 132>86であるMRMトランジションについての第2のMRM測定とを実施して、前記ロイシン及びイソロイシン由来のイオンの強度情報を取得する測定ステップと、
前記第1のMRM測定により得られたイオン信号強度と前記第2のMRM測定により得られた信号強度との比である確認イオン比に基づいて、前記検体中のロイシンとイソロイシンを識別する、又は前記検体中のロイシンとイソロイシンの存在割合を決定する処理ステップと、
を有するロイシン及びイソロイシンの分析方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記測定ステップでは、コリジョンエネルギーを変化させつつ前記第1のMRM測定及び前記第2のMRM測定を実施して、前記ロイシン及びイソロイシン由来のイオンの強度情報を取得し、
前記処理ステップでは、前記確認イオン比のコリジョンエネルギー依存性に基づいてロイシンとイソロイシンを識別する、請求項1に記載のロイシン及びイソロイシンの分析方法。
【請求項3】
前記処理ステップでは、予め求めておいた、確認イオン比と検体中のロイシン又はイソロイシンの存在割合との関係を示す情報を利用して、目的の検体に含まれるロイシン又はイソロイシンの存在割合を推定する、請求項1に記載のロイシン及びイソロイシンの分析方法。
【請求項4】
前記第1のMRM測定のトランジションはm/z 132>69、m/z 132>57、m/z 132>56、m/z 132>43、m/z 132>30、m/z 132>27のうちのいずれか一つである、請求項1に記載のロイシン及びイソロイシンの分析方法。
【請求項5】
前記第1のMRM測定のトランジションはm/z 132>41またはm/z 132>39である、請求項1に記載のロイシン及びイソロイシンの分析方法。
【請求項6】
前記測定ステップでは、前記第1のMRM測定及び前記第2のMRM測定を繰り返し実施し、
前記処理ステップでは、ロイシン及びイソロイシン由来のイオン強度の時間的な変化を示すピークのピークトップの値又はピーク面積値を測定結果として用いる、請求項1に記載のロイシン及びイソロイシンの分析方法。
【請求項7】
フローインジェクション分析法を利用して前記タンデム質量分析装置に検体を導入する、請求項1~6のいずれか1項に記載の分析方法。
【請求項8】
液体クロマトグラフにより検体に含まれる成分を分離して前記タンデム質量分析装置に導入する、請求項1~6のいずれか1項に記載の分析方法。
【請求項9】
検体に対し、m/z 132>69、m/z 132>57、m/z 132>56、m/z 132>43、m/z 132>41、m/z 132>39、m/z 132>30、m/z 132>27のうちの少なくとも一つの多重反応モニタリング(MRM)トランジションについての第1のMRM測定と、m/z 132>86であるMRMトランジションについての第2のMRM測定とを実施するタンデム型質量分析装置である測定部と、
前記測定部での前記第1のMRM測定により得られた信号強度と前記第2のMRM測定により得られた信号強度との比である確認イオン比に基づいて、前記検体中のロイシンとイソロイシンを識別する、又は前記検体中のロイシンとイソロイシンの存在割合を決定する処理部と、
を備えるロイシン及びイソロイシンの分析装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイシン及びイソロイシンの分析方法並びに分析装置に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
新生児の先天性代謝異常症等を早期に発見し治療を行うために、新生児スクリーニング検査が広く実施されている。最近では、質量分析技術の急速な進展に伴い、タンデム型質量分析装置を利用した新生児マススクリーニング検査も普及してきており、新生児の先天性代謝異常症の早期発見に非常に威力を発揮している(非特許文献1参照)。
【0003】
こうした新生児マススクリーニング検査の一つとして、メープルシロップ尿症を診断するためのロイシン及びイソロイシンの分析がある。一般的なロイシン及びイソロイシンの分析では、タンデム型の質量分析装置を用いた多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring:MRM)測定により、ロイシン及びイソロイシン由来のプリカーサーイオンと、m/z 132>86の特徴的なプロダクトイオンとを組み合わせた定量分析が実施されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
重松陽介、「質量分析法による新生児マススクリーニングの実相」、日本質量分析学会、Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan、Vol.64、No.4、2016年、pp.127-131
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、新生児マススクリーニング検査では、大量の検体(分析対象試料)を迅速に分析する必要があることから、オートサンプラにセットされた各試料を順次、移動相とともに、液体クロマトグラフ(LC)のカラムを通すことなく質量分析装置に導入する、フローインジェクション分析(Flow Injection Analysis:FIA)法による測定が行われている。フローインジェクション分析法では、カラムによる成分分離を行うことなく各試料を質量分析装置に導入するため、試料に含まれる様々な物質が同時にMRM測定に供される。
【0006】
しかしながら、ロイシンとイソロイシンは構造異性体の関係にあり、どちらも同じ質量数であるため、FIA法によるMRM測定では、両者を分離して定量することができない。そこで、FIA法によるMRM測定を利用した一次マススクリーニング検査と、カラムによる成分の分離を伴う質量分析(オンカラム分析)を利用した二次マススクリーニング検査によってメープルシロップ尿症を診断している。具体的には、一次検査では、ロイシンとイソロイシンの合算値を所定のカットオフ値とを比較し、該合算値がカットオフ値を下回る場合は陰性(つまり、メープルシロップ尿症ではない)と判定し、上記カットオフ値以上である場合は二次検査を実施する。
【0007】
二次検査では、ロイシン、イソロイシン、及びイソロイシンと光学異性体の関係にあるアロイソロイシンをそれぞれ分離して定量し、ロイシンの定量値と予め設定されたカットオフ値とを比較する。そして、ロイシンの定量値がカットオフ値を下回る場合は陰性と判定する。カットオフ値以上の場合は、さらに、アロイソロイシンが検出されたか否かを判断し、アソイソロインが検出された場合は「要精査」と判定し、アロイソロイシンが検出されなかった場合は「要再検査」と判定する。
【0008】
このように、メープルシロップ尿症の診断では、二段階のマススクリーニング検査が必要になる。一般的に、新生児スクリーニング検査では新生児から採血して試料を調製するため、二次検査の実施は新生児にとって身体的に大きな負担となる。また、一次検査で陰性と判断されなかった新生児の親にとって、二次検査の実施は心理的に大きな負担となる。さらに、一次検査と二次検査が行われる施設は異なっていることが多く、二次検査が実施される施設に検体を送る手間がかかる。そのため、一次検査の段階からロイシン及びイソロイシンを分離して検出し、二次検査に移す検体数を削減するのが望ましい。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、新生児マススクリーニングなどのMRM測定において、ロイシンとイソロイシンを識別することができる分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明のロイシン及びイソロイシンの分析方法は、
タンデム型質量分析装置を用い、ロイシン及びイソロイシンを分析する方法であって、
検体に対し、m/z 132>69、m/z 132>57、m/z 132>56、m/z 132>43、m/z 132>41、m/z 132>39、m/z 132>30、m/z 132>27のうちの少なくとも一つの多重反応モニタリング(MRM)トランジションについての第1のMRM測定と、m/z 132>86であるMRMトランジションについての第2のMRM測定とを実施して、前記ロイシン及びイソロイシン由来のイオンの強度情報を取得する測定ステップと、
前記第1のMRM測定により得られたイオン信号強度と前記第2のMRM測定により得られた信号強度との比である確認イオン比に基づいて、前記検体中のロイシンとイソロイシンとを識別する、又は前記検体中のロイシンとイソロイシンの存在割合を決定する処理ステップと、
を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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