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公開番号2024172429
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023090142
出願日2023-05-31
発明の名称二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収方法
出願人株式会社東芝,東芝エネルギーシステムズ株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B01D 53/62 20060101AFI20241205BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】二酸化炭素回収設備を好適に暖気することが可能な二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、二酸化炭素回収システムは、発電設備の排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収設備を備える。前記システムはさらに、前記二酸化炭素の回収のために前記二酸化炭素回収設備に熱を供給する熱供給部を備える。前記システムはさらに、前記発電設備の停止から起動までの間に、前記二酸化炭素回収設備の事前暖気が行われるように、または、前記発電設備が発電していたときと同じ前記二酸化炭素回収設備の温度状態であるホットスタンバイの状態になるように、前記熱供給部から前記二酸化炭素回収設備への熱の供給を制御する制御部を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
発電設備の排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収設備と、
前記二酸化炭素の回収のために前記二酸化炭素回収設備に熱を供給する熱供給部と、
前記発電設備の停止から起動までの間に、前記二酸化炭素回収設備の事前暖気が行われるように、または、前記発電設備が発電していたときと同じ前記二酸化炭素回収設備の温度状態であるホットスタンバイの状態になるように、前記熱供給部から前記二酸化炭素回収設備への熱の供給を制御する制御部と、
を備える二酸化炭素回収システム。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記熱供給部は、前記排ガスの熱を蓄熱し、蓄熱された熱を前記二酸化炭素回収設備に放熱する蓄熱装置を含む、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記発電設備の定格運転中に、前記排ガスの熱を前記蓄熱装置に蓄熱させる、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記二酸化炭素回収設備の事前暖気が行われるように、または、前記二酸化炭素回収設備がホットスタンバイの状態になるように、前記蓄積装置に蓄積された熱を前記二酸化炭素回収設備に放熱させる、請求項2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記二酸化炭素回収設備の事前暖気を行う事前暖気モードと、前記二酸化炭素回収設備をホットスタンバイの状態にするホットスタンバイモードとを設定可能である、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記発電設備の停止時間に基づいて、前記事前暖気モードまたは前記ホットスタンバイモードを設定する、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記発電設備の起動時から前記二酸化炭素回収設備が前記二酸化炭素を回収できるように、前記蓄熱装置から前記二酸化炭素回収設備への熱の供給を制御する、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記発電設備の前記排ガスから熱を回収する排熱回収ボイラをさらに備え、
前記二酸化炭素回収設備は、前記排熱回収ボイラから排出された前記排ガスから前記二酸化炭素を回収する、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記熱供給部は、前記発電設備と前記排熱回収ボイラとの間の流路から前記排ガスを供給されるか、前記排熱回収ボイラから抽気された前記排ガスを供給されるか、前記排熱回収ボイラと前記二酸化炭素回収設備との間の流路から前記排ガスを供給されるか、または、前記排ガスの熱から得られた熱を有する流体を供給される、請求項8に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
前記熱供給部は、前記発電設備と前記二酸化炭素回収設備との間の流路から、熱交換器を介して前記排ガスを供給される、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
地球温暖化を背景として、発電時に二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギー発電の普及が求められている。例えば、風力発電や太陽光発電は、技術的成熟度が高いことや、コストが低減されたことなどを理由に、急速に利用が拡大している。しかしながら、電力系統では、周波数を一定に保つ必要があり、様々な周期で変動する電力需要に対して電力供給量を調整する必要がある。火力発電設備などの同期電源は、回転体の慣性力によってミリ秒単位の微小な負荷変動を吸収できるため、電力系統を安定化させる調整力の役割を担うことができる。
【0003】
そこで、再生可能エネルギー発電設備と火力発電設備とを含む電力系統を構築することが考えられる。この場合、この電力系統でカーボンニュートラルを達成するためには、火力発電設備の排ガスから二酸化炭素を分離回収するCCS(Carbon Dioxide Capture and Storage)技術の導入が必要となる。
【0004】
CCS設備では、アミン吸収液を用いて排ガスから二酸化炭素を回収する化学吸収法が用いられることが多い。化学吸収法では、アミン吸収液が吸収できる二酸化炭素の量が温度によって変化する性質を利用して、排ガスから二酸化炭素を回収する。具体的には、吸収塔内で低温(例えば40℃程度)のアミン吸収液と排ガスとを接触させて、二酸化炭素をアミン吸収液に吸収させる。二酸化炭素を吸収したアミン吸収液は、吸収塔から再生塔へと送られ、再生塔内で高温(例えば120℃程度)に加熱されて、二酸化炭素と分離される。そのため、アミン吸収液から二酸化炭素を分離するためには、アミン吸収液を加熱するための熱エネルギーが必要となる。電力系統が火力発電設備を含む場合には、火力発電用の蒸気を火力発電設備から抽気し、抽気された蒸気を用いてアミン水溶液を加熱することが多い。
【0005】
このように、アミン吸収液を用いるCCS設備では、再生塔に熱が供給され、再生塔内でアミン吸収液が加熱される。CCS設備の起動時など、再生塔の温度が低いと、再生塔内でアミン吸収液から二酸化炭素を十分に分離できなくなり、その結果、吸収塔内でアミン吸収液により二酸化炭素を十分に回収できなくなる。そのため、再生塔の温度が低い場合には、再生塔の温度を高めるための熱が再生塔に供給される。これを、CCS設備の暖気と呼び、具体的には再生塔の暖気と呼ぶ(一方、CCS設備が、二酸化炭素の回収を開始できる状態に維持されていることを、CCS設備のホットスタンバイと呼ぶ)。しかしながら、再生塔の暖気には、長い時間(例えば数時間)を要する場合がある。この場合、再生塔の暖気が完了するまでの間、CCS設備での二酸化炭素の回収量が少なくなってしまう。
【0006】
一方、再生可能エネルギー発電により得られた電力を、送電時の電力ロスの少ないマイクログリッドで送電することが検討されている。しかしながら、マイクログリッドでは、大規模集中型の電力系統と比べて、再生可能エネルギー発電の不安定性による電力供給の変動が顕著となり、電力の需要と供給のバランスを保つ調整力が必要となる。そのため、マイクログリッドでは、負荷変動速度が速く、急速な起動が可能な、化石燃料焚きの小型発電設備(数MW級)が用いられることが多い。化石燃料焚きの小型発電設備の例は、ガスエンジンによる発電設備や、航空機転用型ガスタービンによる発電設備である。このような小型発電設備は、電力系統の安定化のために、急速な負荷変動やピーク需要に応じた頻繁な起動や停止を余儀なくされる。具体的には、小型発電設備が、電力需要の変化に対して急速に起動または停止することとなる。
【0007】
化石燃料焚きの小型発電設備がマイクログリッドに導入される場合、マイクログリッドでカーボンニュートラルを達成するためには、小型発電設備用にCCS設備を導入する必要がある。しかしながら、小型発電設備は、頻繁な起動や停止を余儀なくされるため、小型発電設備の起動に伴いCCS設備を起動させ、小型発電設備の停止に伴いCCS設備を停止させると、再生塔の暖気(またはホットスタンバイ)も頻繁に行われることになる。その結果、CCS設備での二酸化炭素の回収量が、再生塔の暖気に起因して減少してしまう。また、火力発電設備から抽気された蒸気が再生塔の暖気に用いられると、発電効率が低下し、発電コストが増加してしまう。
【0008】
二酸化炭素の回収に必要な熱エネルギーを削減するための技術として、蓄熱技術が注目されている。例えば、発電以外で発生する熱を蓄熱材に蓄熱し、蓄熱された熱をリボイラを介して再生塔に供給する方法が知られている。また、蓄熱材に蓄熱された熱を適切なタイミングでリボイラに供給することで、火力発電設備の負荷変動とCCS設備の時定数とを合わせる方法が知られている。これらの方法によれば、二酸化炭素の回収に必要な熱エネルギーを削減することや、火力発電設備の急速な負荷変動による熱エネルギーの損失を削減することが可能となる。しかしながら、これらの方法は、CCS設備の暖気に起因する二酸化炭素の回収量の減少に対処することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2009-018977号公報
特開2021-181786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
化石燃料焚きの小型発電設備がマイクログリッドに導入される場合、電力の需要と供給のバランスを保つために、小型発電設備は、頻繁な起動や停止を余儀なくされる。また、小型発電設備用にCCS設備がマイクログリッドに導入される場合、CCS設備の暖気が必要となる。マイクログリッドの構成によっては、CCS設備の暖気時間は、CCS設備の運転時間に対して無視できない程度の長さとなる。CCS設備は、暖気中は二酸化炭素を十分に回収することができない。そのため、CCS設備の暖気時間が長くなると、CCS設備における二酸化炭素の回収効率が低下してしまう。
(【0011】以降は省略されています)

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