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公開番号
2024170049
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-06
出願番号
2023086992
出願日
2023-05-26
発明の名称
電力変換器
出願人
株式会社デンソー
,
トヨタ自動車株式会社
,
株式会社ミライズテクノロジーズ
代理人
弁理士法人サトー
主分類
H02M
7/48 20070101AFI20241129BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】加熱用の電源を用いることなく、且つ半導体素子の特性を劣化させることなく熱抵抗を推定できる電力変換器を提供する。
【解決手段】電力変換器1bは、NチャネルMOSFET2及び3が直列に接続されたアームを複数備える。オン電圧・熱抵抗推定部13は、温度検出部6、電圧検出部7及び電流検出部8を介して、FET3が発熱する前の温度,ドレイン電圧及び通電電流を検出し、駆動部9は、発熱量を一定以下に制限する条件でFET2及び3のゲートにPWM信号を出力してFET3を発熱させる。そして、発熱させた後の温度,ドレイン電圧及び通電電流を検出し、発熱する前後の温度,ドレイン電圧及び通電電流に基づいて熱抵抗を推定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
電圧駆動型である半導体素子(2,3)が2個直列に接続されたアームを備え、誘導性負荷(15)をパルス信号により駆動する電力変換器であって、
前記半導体素子の温度を検出する温度検出部(6,10,14)と、
前記半導体素子の導通端子間電圧を検出する電圧検出部(7)と、
前記半導体素子の通電電流を検出する電流検出部(8)と、
前記2つの半導体素子の一方を熱抵抗の推定対象である対象素子(3)とし、他方を対象外素子(2)とすると、
前記対象素子が発熱していない状態の温度,導通端子間電圧及び通電電流を検出し、
前記対象素子と前記対象外素子とを排他的にオンさせるように、且つ前記対象素子の発熱量を一定以下に制限する条件で、前記対象素子の導通制御端子にパルス信号を印加することで当該対象素子を発熱させる発熱制御部(9,9a,9b,9c,9d)を有し、発熱した状態の温度,導通端子間電圧及び通電電流を検出し、発熱によって生じる温度差,導通端子間電圧及び通電電流に基づいて、前記熱抵抗を推定する熱抵抗推定部(13)とを備える電力変換器。
続きを表示(約 610 文字)
【請求項2】
前記発熱制御部(9a~9d)は、前記対象素子への初期通電期間において、前記対象素子の発熱を促進するように前記パルス信号を印加する請求項1記載の電力変換器。
【請求項3】
前記発熱制御部(9a)は、前記初期通電期間において前記パルス信号のデューティ比を一時的に大きくし、前記初期通電期間が終了すると前記デューティ比を通常時の値に低下させる請求項2記載の電力変換器。
【請求項4】
前記発熱制御部(9b)は、前記初期通電期間において前記パルス信号のパルス幅を一時的に大きくし、前記初期通電期間が終了すると前記パルス幅を通常時の値に低下させる請求項2記載の電力変換器。
【請求項5】
前記発熱制御部(9c)は、前記対象素子への初期通電期間において、
前記対象外素子をフルオンさせた状態で、
前記対象素子の閾値電圧を超えて、且つ前記パルス信号の振幅値未満となる電圧を印加し、前記初期通電期間が終了すると、通常のパルス信号を印加する請求項1記載の電力変換器。
【請求項6】
前記誘導性負荷が、回転機(MG)の固定子巻線である際に、
前記発熱制御部(9d)は、前記回転機の出力トルクがゼロとなるように、前記固定子巻線に通電する電流をベクトル制御するパルス信号を印加する請求項1から5の何れか一項に記載の電力変換器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子が2個直列に接続されたアームを備える電力変換器に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
例えばインバータ等の電力変換器に使用されるパワーMOSFET等の半導体素子は、熱応力による疲労破壊が生じたり、熱サイクルにより変形が生じて放熱性が劣化することで、過昇温状態となったり熱破壊に至るおそれがある。その対策として、半導体素子の信頼性試験を実施して信頼性マージンを確保するように設計保障したり、半導体素子の放熱経路の熱抵抗を計測することで放熱経路の劣化度を評価し、素子の破壊を未然に防止すること等が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2017-195714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放熱経路の熱抵抗を計測する手法の1つとして、半導体素子を予め加熱した後、冷却する過程の熱応答から熱抵抗を推定するものがある。特許文献1では、加熱用に別電源を用いることや、駆動用電源を使用することが開示されているが、発熱により劣化が生じた場合の対策については具体的な記載がない。また、特許文献1では、過渡熱測定を実施するので、導出が複雑でns~μsオーダーの高応答な電圧測定系が必要になる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱用の電源を用いることなく、且つ半導体素子の特性を劣化させることなく熱抵抗を推定できる電力変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の電力変換器によれば、半導体素子が2個直列に接続されたアームを備え、誘導性負荷(15)をパルス信号により駆動する。2つの半導体素子の一方を熱抵抗の推定対象である対象素子(3)とし、他方を対象外素子(2)とすると、熱抵抗推定部(13)は、対象素子が発熱していない状態の温度,導通端子間電圧及び通電電流を検出し、対象素子と対象外素子とを排他的にオンさせるように、且つ発熱制御部(9,9a,9b,9c,9d)によって、対象素子の発熱量を一定以下に制限する条件で対象素子の導通制御端子にパルス信号を印加して当該素子を発熱させる。そして、発熱した状態の温度,導通端子間電圧及び通電電流を検出し、発熱によって生じる温度差,導通端子間電圧及び通電電流に基づいて熱抵抗を推定する。
【0007】
このよう構成すれば、加熱用の電源を用いることなく熱抵抗を推定できる。また、対象素子を発熱させる際においても、発熱量を一定以下に制限する条件で対象素子を駆動するので、半導体素子の特性の劣化を、仕様上無視できる程度に留めながら熱抵抗を推定できる。
【0008】
請求項2記載の電力変換器によれば、発熱制御部(9a~9d)は対象素子への初期通電期間において、その発熱を促進するようにパルス信号を印加する。具体的には、初期通電期間においてパルス信号のデューティ比を一時的に大きくし、初期通電期間が終了するとデューティ比を通常時の値に低下させる(請求項3)。また、初期通電期間においてパルス信号のパルス幅を一時的に大きくし、初期通電期間が終了するとパルス幅を通常時の値に低下させる(請求項4)。
【0009】
このように構成すれば、初期通電期間と当該機関の終了後において、パルス信号のデューティ比やパルス幅を変化させることで、初期通電期間における対象素子の発熱を促進することができる。
【0010】
請求項6記載の電力変換器によれば、誘導性負荷が、回転機(MG)の固定子巻線である際に、発熱制御部(9d)は、回転機の出力トルクがゼロとなるように、固定子巻線に通電する電流をベクトル制御するパルス信号を印加する。このように構成すれば、例えば回転機が電気自動車の走行駆動用電動機である場合等に、例えば車両が停車中の場合には、回転子を回転させることなく熱抵抗を推定できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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