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公開番号
2024166211
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2024151437,2020112673
出願日
2024-09-03,2020-06-30
発明の名称
ガラス積層体用樹脂
出願人
日本ポリエチレン株式会社
代理人
弁理士法人 津国
主分類
C08F
8/44 20060101AFI20241121BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】 耐衝撃性・透明性・接着性のバランスに優れるアイオノマーを含むガラス積層体用樹脂を提供する。
【解決手段】 エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(A)と、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(B)を必須構成単位として含む共重合体(P)中の、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されてなり、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G
*
=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度であることを特徴とするアイオノマーを含むガラス積層体用樹脂である。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
エチレン及び/又は炭素数3~20のα-オレフィンに由来する構造単位(A)と、
カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基を有するモノマーに由来する構造単位(B)を必須構成単位として含む共重合体(P)中の、カルボキシル基及び/又はジカルボン酸無水物基の少なくとも一部が周期表1族、2族、又は12族から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含有する金属含有カルボン酸塩に変換されてなり、
回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G
*
=0.1MPaにおける位相角δが、50度~75度であることを特徴とするアイオノマーを含むガラス積層体用樹脂。
続きを表示(約 780 文字)
【請求項2】
前記共重合体(P)の
13
C-NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり50個以下であることを特徴とする、請求項1に記載のガラス積層体用樹脂。
【請求項3】
前記共重合体(P)の
13
C-NMRにより算出されるメチル分岐数が、炭素1,000個当たり5個以下であることを特徴とする、請求項1に記載のガラス積層体用樹脂。
【請求項4】
前記共重合体(P)が、共重合体中に前記構造単位(B)を2~20mol%含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のガラス積層体用樹脂。
【請求項5】
前記構造単位(A)が、エチレンに由来する構造単位であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス積層体用樹脂。
【請求項6】
前記共重合体(P)が周期表第8~11族の遷移金属を含む遷移金属触媒を用いて製造されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス積層体用樹脂。
【請求項7】
前記遷移金属触媒がリンスルホン酸又はリンフェノール配位子とニッケル又はパラジウムからなる遷移金属触媒であることを特徴とする、請求項6に記載のガラス積層体用樹脂。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のガラス積層体用樹脂を用いることを特徴とするガラス積層体用樹脂膜。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のガラス積層体用樹脂を用いることを特徴とするガラス中間膜用樹脂膜。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載のガラス積層体用樹脂を用いることを特徴とする太陽電池封止材用樹脂膜。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アイオノマーを用いたガラス積層体用樹脂に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
エチレン系アイオノマーは、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体をベース樹脂とし、ナトリウムや亜鉛等の金属イオンで分子間結合した樹脂である(特許文献1)。強靭で弾性に富み、かつ柔軟性があり、耐摩耗性、及び透明性等の特徴がある。
現在、市販されているエチレン系アイオノマーとしては、Dupont社が開発したエチレン-メタクリル酸共重合体のナトリウム塩や亜鉛塩「Surlyn(登録商標)」、及び、三井・ダウポリケミカル社が販売している「ハイミラン(登録商標)」等が知られている。
【0003】
しかしながら、これら現在市販されているエチレン系アイオノマーに用いられるベース樹脂のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体には、いずれもエチレンと不飽和カルボン酸等の極性基含有モノマーを、高圧ラジカル重合法により重合した極性基含有オレフィン共重合体が用いられている。高圧ラジカル重合法は、比較的極性基含有モノマーの種類を選ばずに安価に重合可能であるという利点がある。しかし、この高圧ラジカル重合法で製造される極性基含有オレフィン共重合体の分子構造は、図1に示すイメージ図のように、多くの長鎖分岐及び短鎖分岐を不規則に有する構造であり、強度的には不十分であるという欠点がある。そのため、高圧ラジカル重合法により重合した極性基含有オレフィン共重合体をベース樹脂とした従来の市販アイオノマーは耐衝撃性が不十分であった。
【0004】
一方、従来より、触媒を用いた重合方法を用いて、図2に示すイメージ図のように、分子構造が直鎖状の極性基含有オレフィン共重合体を製造する方法が模索されていたが、極性基含有モノマーは一般的に触媒毒となるため重合が難しく、実際に、工業的に安価で安定的な方法で、所望の物性を有する極性基含有オレフィン共重合体を得ることは長年難しいとされていた。
しかしながら近年、本願出願人等により開発された新触媒及び新製造方法を用いることにより、分子構造が実質的に直鎖状の極性基含有オレフィン共重合体を、工業的に安価で安定的に得る方法が提案されている。
そして、エチレン系アイオノマーのベース樹脂となる極性基含有オレフィン共重合体の製造方法として、後周期遷移金属触媒を用い、エチレンとアクリル酸t-ブチルの共重合体を製造し、得られた極性基含有オレフィン共重合体を熱又は酸処理を行うことでエチレンーアクリル酸共重合体に変性した後、金属イオンと反応させ二元アイオノマーを製造することに成功したことが本願出願人等により報告されている(特許文献2)。
【0005】
エチレン系アイオノマーは、ガラス積層体の樹脂層としても利用されており、用途としては、合わせガラス中間膜や太陽電池封止材が挙げられる。合わせガラスは、2枚以上のガラス板を樹脂製の中間膜を介して接着した積層ガラスである。合わせガラスは、自動車のフロントガラス、計器のモニターガラス、建材用ガラスとして利用されている。中間膜を設けることで、中間膜の柔軟性とガラスへの接着性によって、ガラスのひび割れ防止や割れた時の破片の飛散防止といった安全性の面で利点が生まれる。このため合わせガラス中間膜には、透明性、耐衝撃性、及びガラスへの接着性が求められている。エチレン系アイオノマーを中間膜として用いた合わせガラスは、特許文献3、特許文献4に記載されている。
【0006】
太陽電池封止材は、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セル及びインターコネクタからなる発電素子の表裏両面に接着してこの素子を密封する材料である。この封止材を介して発電素子は太陽電池モジュールの受光層と裏面層に接着する。受光層としては一般的にはカバーガラスと呼ばれるガラス層が用いられ、裏面層としては耐候性樹脂フィルムが用いられる。太陽電池モジュールにおける封止材は、受光層を通過した入射光が太陽電池セルに損失無く到達するための高い透明性と、発電素子を外界からの衝撃から保護する機能が求められる。特許文献5には、エチレン系アイオノマーにシランカップリング剤を添加して接着性を向上させた太陽電池封止材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
米国特許第3264272号明細書
特開2016-79408号公報
特開2018-193261号公報
特開2016-188158号公報
特開2009-248377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、合わせガラス中間膜や太陽電池封止材には、高い耐衝撃性と高い透明性とガラスへの高い接着性が求められている。アイオノマーは検討されている材料の一つであるが、特許文献3、4では、エチレン系アイオノマーにシランカップリング剤を添加して接着性を向上させた合わせガラスが記載されているものの、アイオノマー樹脂単体を改良することで接着性を向上する例はこれまでにないため、コストや生産性の面で改良の余地があった。また、耐衝撃性に関しても依然として十分とは言えず、樹脂単体の改良で耐衝撃性を向上した例もない。特許文献5記載のアイオノマーでも、樹脂単体で接着強度を向上させた例ではなく、耐衝撃性に関しても依然として十分とは言えず、樹脂単体の改良で耐衝撃性を向上した例もない。
【0009】
本願は、かかる従来技術の状況に鑑み、耐衝撃性・透明性・接着性のバランスに優れるアイオノマーを含むガラス積層体用樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決のため本発明者らが検討を重ねた結果、特定のアイオノマー樹脂を用いることで、耐衝撃性、透明性、接着性など求められる物性に対し予想以上に格段に優れた効果を有することを見出した。
特許文献2記載のエチレン系アイオノマーは、ベース樹脂が実質的に直鎖状の分子構造を有すると共にアイオノマーとしての機能も有する、従来にはない新規のエチレン系アイオノマーであり、その物性等は従来の多分岐型の分子構造を有するエチレン系アイオノマーとは大きく異なり、特有の特性及び適した用途についても未知であった。本発明は、実質的に直鎖状のエチレン系アイオノマーを含む樹脂が、ガラス積層体に用いる樹脂層として求められる物性の改良に関し優れた効果を有することを見出したことに基づくものである。
(【0011】以降は省略されています)
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