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公開番号2024158955
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023074622
出願日2023-04-28
発明の名称インクジェット印刷方法
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類B41J 2/11 20060101AFI20241031BHJP(印刷;線画機;タイプライター;スタンプ)
要約【課題】非吸液性印刷媒体への印刷においても、得られる印刷物の印刷ムラを抑制することができ、かつ、ベタ埋まり性に優れるインクジェット印刷方法を提供する。
【解決手段】二色以上のインクを用いるインクジェット印刷方法であって、一色目に吐出されるインクの分滴率が、二色目以降に吐出されるインクの分滴率より大きい条件で、二色以上のインクを印刷媒体に付与して画像を形成する工程を含む、インクジェット印刷方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
二色以上のインクを用いるインクジェット印刷方法であって、一色目に吐出されるインクの分滴率が、二色目以降に吐出されるインクの分滴率より大きい条件で、二色以上のインクを印刷媒体に付与して画像を形成する工程を含む、インクジェット印刷方法。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
一色目に吐出されるインクの分滴率が50%以上である、請求項1に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項3】
二色目以降に吐出されるインクの分滴率が0%以上30%以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項4】
インクジェットヘッドの方式がラインヘッド方式である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項5】
印刷媒体の搬送方向に対して平行な方向における解像度が600dpi以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項6】
印刷媒体の搬送方向に対して垂直な方向における解像度が600dpi以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項7】
印刷媒体上に着弾したインクドットの直径が20μm以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項8】
印刷媒体の搬送速度が10m/min以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項9】
前記工程により形成される画像が二次色以上の画像である、請求項1~8のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。
【請求項10】
前記インクが水系インクである、請求項1~9のいずれか1項に記載のインクジェット印刷方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式による印刷は、製版が不要であり、バリアブル(可変)情報に対応しやすく、また、印刷媒体への印刷の際に該印刷媒体に対して非接触であるという多くの利点があるため、オフィス用途、家庭用途に加え、近年では、印刷枚数が格段に大きい商業印刷用途への展開も進んでいる。
商業印刷用途では、印刷本紙のような低吸液性印刷媒体に加えて、樹脂フィルムといった非吸液性印刷媒体への対応が求められる。
このような要望に対し、非吸液性印刷媒体でも速やかに画像形成が完了するような方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、インク付き量を減らすことなく、印刷ムラを起こさない高画質な高速印字可能なインクジェット記録方法の提供を目的として、水系インクを用いたワンパス型のインクジェット記録方法において、表面張力が35mN/m以下の水系インクを、該水系インクの吸収速度が0.05ml/m
2
ms
1/2
以上1ml/m
2
ms
1/2
以下である印刷用塗工紙に印字して画像を形成するに際し、印字開始から0.5秒以内に乾燥を開始するインクジェット記録方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2009-285926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、インクジェット記録方式による印刷は大量印刷への適用が難しいと考えられてきたが、インクの改良や乾燥方法の工夫で、印刷速度の向上や各種材質の印刷媒体への対応が図られている。しかしながら、樹脂フィルム等の非吸液性印刷媒体へのインクジェット記録方式による印刷においては、インクジェットインクの液体成分の残留を解消しにくい非吸液印刷媒体に対しては、インクの乾燥が不十分な一部の領域でインクドットの合一が抑制できず、印刷ムラが発生するという問題がある。また、非吸液性印刷媒体へのインクジェット記録方式による印刷においては、該印刷媒体上でのインクの濡れ広がり性が低く、ベタ埋まり性といった印刷品質が低下するという問題がある。しかしながら、このような問題に対して、特許文献1の技術では十分に満足できるものではなく、改善の余地がある。このように、非吸液性印刷媒体、具体的には樹脂フィルムを用いるインクジェット記録方式による印刷においても、印刷ムラを抑制することができ、かつ、ベタ埋まり性に優れる技術の開発が望まれていた。
本発明は、非吸液性印刷媒体への印刷においても、得られる印刷物の印刷ムラを抑制することができ、かつ、ベタ埋まり性に優れるインクジェット印刷方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、二色以上のインクを用いるインクジェット印刷において、一色目に吐出されるインクの分滴率が、二色目以降に吐出されるインクの分滴率より大きい条件で、二色以上のインクを印刷媒体に付与して画像を形成する工程を含むことにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、二色以上のインクを用いるインクジェット印刷方法であって、一色目に吐出されるインクの分滴率が、二色目以降に吐出されるインクの分滴率より大きい条件で、二色以上のインクを印刷媒体に付与して画像を形成する工程を含む、インクジェット印刷方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非吸液性印刷媒体への印刷においても、得られる印刷物の印刷ムラを抑制することができ、かつ、ベタ埋まり性に優れるインクジェット印刷方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[インクジェット印刷方法]
本発明のインクジェット印刷方法(以下、「本発明の印刷方法」ともいう)は、二色以上のインクを用いるインクジェット印刷方法であって、一色目に吐出されるインクの分滴率が、二色目以降に吐出されるインクの分滴率より大きい条件で、二色以上のインクを印刷媒体に付与して画像を形成する工程を含む、印刷方法である。
【0009】
本発明において「吐出されるインクが分滴する」とは、インクジェットヘッドからインクを吐出する1回の吐出命令に基づいて吐出されたインクが2滴以上に分離して印刷媒体に付与されることを意味する。
本発明において「分滴率」とは、インクジェットヘッドからインクを吐出する1回の吐出命令に基づいて吐出されたインクをインクジェット吐出観察装置(インクジェットヘッドから吐出されるインクが静止したように見えるようにストロボ発光の間隔を調節し、該静止したように見えるインクを動画撮影カメラ(フレームレート:24fps以上60fps以下)で撮影する装置)により、特定の20個のノズルについてインクが分滴して吐出されているかを確認し、観察したノズル20個に対する分滴が確認されたノズルの個数の割合として、以下の式から算出される。
分滴率(%)=(分滴が確認されたノズルの個数/20)×100
本発明において「非吸液性」とは、印刷媒体と純水との接触時間100msにおける該印刷媒体の吸水量を指標として、該吸水量が0g/m
2
以上10g/m
2
以下であることを意味する。該吸水量は、自動走査吸液計(例えば、熊谷理機工業株式会社製 KM500win)を用いて、23℃、相対湿度50%の条件下で、純水の接触時間100msにおける転移量を該吸水量として測定できる。
【0010】
本発明によれば、非吸液性印刷媒体への印刷においても、得られる印刷物の印刷ムラを抑制することができ、かつ、ベタ埋まり性に優れる。その理由は必ずしも定かではないが、以下のように考えられる。
一般に、二次色以上の印刷ムラは、二色以上のインクが不均一に混ざった状態で塗膜を形成すると発生する傾向にある。これは、一色目に印刷媒体に付与されるインク滴1つ当たりの体積が大きいと、該インク滴の表面積が小さくなり、付与された印刷媒体上での乾燥に時間がかかるため、二色目以降のインクが更に印刷媒体に付与されたときに各色のインクの一部が互いに混ざり合うことに起因する。
本発明においては、一色目に吐出されるインクの分滴率が、二色目以降に吐出されるインクの分滴率より大きい条件で、二色以上のインクを印刷媒体に付与して画像を形成する工程を含むことにより、一色目に印刷媒体に付与されるインク滴1つ当たりの体積が小さいため、付与された印刷媒体上で一色目のインクが速やかに乾燥する。そのため、二色目以降のインクが更に印刷媒体上に付与されるときには、一色目のインクは印刷媒体上で既に塗膜を形成している状態となり、各色のインクが混ざり合うことを抑制することができるため、印刷ムラが抑制された良好な画像を形成することができると考えられる。
また、一色目に吐出されるインクが分滴していると印刷媒体に付与されるインク滴の数が多くなるため、濡れ広がり性が低い非吸液性印刷媒体上でも該印刷媒体の表面を良好に被覆することができる。いったん一色目のインクによる塗膜が形成されれば非吸液性印刷媒体の表面は被覆されてしまうので二色目以降のインクは濡れ広がり性も良好になり、非吸液性印刷媒体への印刷であってもベタ埋まり性が向上して印刷品質に優れる印刷物を得ることができると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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