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公開番号
2025102117
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-08
出願番号
2023219352
出願日
2023-12-26
発明の名称
抗菌剤組成物
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人アルガ特許事務所
主分類
A01N
43/80 20060101AFI20250701BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約
【課題】特に水周り環境において優れた抗菌効果を発揮する抗菌剤組成物の提供。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)水不溶性アクリル系ポリマー
(B)溶剤
(C)抗菌剤
を含有する抗菌剤組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)水不溶性アクリル系ポリマー
(B)溶剤
(C)抗菌剤
を含有する抗菌剤組成物。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
成分(A)の含有量が0.1~40質量%である請求項1記載の抗菌剤組成物。
【請求項3】
成分(B)の含有量が0.05質量%以上である請求項1又は2記載の抗菌剤組成物。
【請求項4】
成分(C)の含有量が0.01質量%以上である請求項1~3のいずれか1項記載の抗菌剤組成物。
【請求項5】
成分(A)が下記の式から成る1種以上の構成単位を有する、請求項1~4のいずれか1項記載の抗菌剤組成物。
TIFF
2025102117000009.tif
36
170
(式はホモポリマーもしくは2成分以上から成るコポリマーを指し、式中、R
1
は水素原子又はメチル基を示し、X
1
が酸素原子の時、-Y
1
は炭素数1以上18以下のアルキル基または末端がメチル基またはエチル基であるポリオキシエチレン(EO)鎖または末端が4級アンモニウム基である炭素数1または2のアルキル鎖または水素原子であり、X
1
がNHの時、-Y
1
は炭素数1以上8以下のアルキル基またはイソブチルメチルケトン基であり、nは繰り返し単位である。)
【請求項6】
成分(A)が単体もしくは2種類以上の混合物から成る、請求項1~5のいずれか1項記載の抗菌剤組成物。
【請求項7】
成分(B)が炭素数1~4のアルコール類または当該アルコール類と水との混合物から成る請求項1~6のいずれか1項記載の抗菌剤組成物。
【請求項8】
成分(C)が酸化銀、銀錯体、第4級アンモニウム塩、イソチアゾリン系抗菌剤、ビグアニド系抗菌剤である請求項1~7のいずれか1項記載の抗菌剤組成物。
【請求項9】
薬剤耐性菌を含む微生物に対する請求項1~8のいずれか1項記載の抗菌剤組成物。
【請求項10】
微生物がスタフィロコッカス属(Staphylococcus)細菌、大腸菌群(Escherichia coli)、エンテロコッカス属(Enterococcus)細菌、クレブシエラ属(Klebsiella)細菌、アシネトバクター属(Acinetobacter)細菌、シュードモナス属(Pseudomonas)細菌及びエンテロバクター属(Enterobacter)細菌から選ばれる請求項9記載の抗菌剤組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌剤組成物及び抗菌方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
抗菌薬の投与は微生物に起因する感染症の治癒、患者の予後の改善に大きく寄与する。その一方で、近年、抗菌薬への耐性を持つ様々な薬剤耐性菌が確認され、感染症の治療が困難になるケースが増えている。薬剤耐性菌は、対策を怠れば2050年には年間死者数が1,000万人に達すると試算されている(非特許文献1)。特に病院内において薬剤耐性菌の感染を抑制するには、薬剤耐性菌のリザーバーとされている水周り(非特許文献2)や、患者並びに医療従事者等様々なヒトが高頻度に接触する表面を定期的に清掃することで対象表面から薬剤耐性菌を除去することが必要であるが、その煩雑性や清掃後の対象表面での再増殖性等が課題となっている。
対象とする病院内水周りの清掃インターバルは1日1回が一般的であり、高頻度に薬剤耐性菌が付着する水周りで低菌数を維持するには不十分である。そこで、この清掃から清掃までの間、対象表面における細菌の増殖を抑える抗菌技術が必要とされる。また、水周り環境における細菌の増殖を抑えるためには水耐久性が求められる。
【0003】
水不溶性のアクリル系ポリマーの一つであるPMEA:ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)は、タンパク質付着抑制材料としてECMO(体外式膜型人工肺)等の血液と接触する医療機器の表面コーティングに用いられている(例えば、特許文献1)。また、市販の水不溶性アクリル系ポリマーはヘアスタイリング剤としてスタイリング性の向上を目的に配合されているものがある(例えば、特許文献2)。
一方、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(BIT)等は大腸菌や黄色ブドウ球菌等の細菌に対して抗菌効果があり、抗菌剤として用いられている。しかし、これらの抗菌剤を水と接触する表面に散布処理しても容易に流されてしまうため、対象表面の抗菌性を維持する手段としては効果が不十分である。
そこで水不溶性アクリルポリマーをバインダーとし、抗菌剤を担持させた表面を形成すれば、対象表面に抗菌性を付与出来る事が期待される。一方、上述した抗菌剤とアクリル系ポリマーとを混合させた抗菌効果に関する報告は確認されていない。PMEAにポリアクリル酸を混合して得られたエラストマー表面を用いることで、黄色ブドウ球菌(S.aureus)及び大腸菌(E.coli)の生残菌数がそれぞれ96.1%、93.2%減少した報告(非特許文献3)は存在するが、排水によって絶えず微生物が供給される可能性のある水周り環境においてこの効果は不十分だと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2020/013009号
国際公開第2020/013860号
【非特許文献】
【0005】
Tackling a crisis for the health and wealth of nations: The review on antimicrobial resistance (2016)
Nature medicine (2020) 941-951
Chemical engineering journal (2021) 127967
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に水周り環境において優れた水耐久性と抗菌効果を発揮する抗菌剤組成物を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、水不溶性のアクリル系ポリマーを基剤に溶解させた溶解液と抗菌剤を混合し表面処理を行うと、水耐久性が高い処理膜が形成され、且つ優れた抗菌効果を発揮することを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の1)~3)に係るものである。
1)次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)水不溶性アクリル系ポリマー
(B)溶剤
(C)抗菌剤
を含有する抗菌剤組成物。
2)上記抗菌剤組成物を用いて対象表面上に形成された処理膜。
3)上記抗菌剤組成物を対象表面に適用する、抗菌方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対象表面に対して、高い水耐久性と抗菌性を付与することができ、対象表面を介した薬剤耐性菌等の感染を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の抗菌剤組成物は、成分(A)として水不溶性アクリル系ポリマーを含有する。ここで、本明細書において「水不溶性」とは、水単体には溶解せず、アルコール等の有機溶媒に溶解する性質をいう。
アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル基を有するモノマーに由来する構成単位を含むポリマーである。「(メタ)アクリル基」は、アクリル基とメタクリル基の両方を意味する。
水不溶性アクリル系ポリマーは、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。また、2成分以上の混合物でも良い。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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