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公開番号2024151598
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-25
出願番号2023065065
出願日2023-04-12
発明の名称走行中の車両の状態のモニタリング装置
出願人住友ゴム工業株式会社
代理人個人,個人
主分類B60C 23/06 20060101AFI20241018BHJP(車両一般)
要約【課題】タイヤの共振周波数を精度よく推定する技術を提供する。
【解決手段】モニタリング装置は、取得部と、推定部と、フィルタリング部と、補正部とを備える。取得部は、車両に装着されるタイヤの回転情報を表す時系列のデータを、車両の走行中に取得する。推定部は、時系列のデータに基づき、タイヤの共振周波数を推定した推定共振周波数を導出する。フィルタリング部は、時系列のデータを可変バンドパスフィルタに通すことにより、タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を時系列のデータから抽出する、または、時系列のデータを可変バンドストップフィルタに通すことにより、タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を時系列のデータから除去する。補正部は、所定の周波数帯域における時系列のデータのスペクトルの面積に基づいて、推定共振周波数を補正する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
走行中の車両の状態をモニタリングするモニタリング装置であって、
前記車両に装着されるタイヤの回転情報を表す時系列のデータを、前記車両の走行中に取得する取得部と、
前記時系列のデータを可変バンドパスフィルタに通すことにより、前記タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから抽出する、または、前記時系列のデータを可変バンドストップフィルタに通すことにより、前記タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから除去する、フィルタリング部と、
前記周波数成分に基づき、前記タイヤの共振周波数を推定した推定共振周波数を導出する推定部と、
前記所定の周波数帯域における前記時系列のデータのスペクトルの面積に基づいて、前記推定共振周波数を補正する補正部と
を備える、
モニタリング装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記フィルタリング部は、前記時系列のデータを可変バンドパスフィルタに通すことにより、前記所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから抽出し、
前記補正部は、前記可変バンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数から低周波側の第1の周波数帯域における前記時系列のデータのスペクトルの面積と、前記中心周波数から高周波側の第2の周波数帯域における前記時系列のデータのスペクトルの面積との比である補正指標を算出し、前記補正指標に基づいて前記推定共振周波数を補正する、
請求項1に記載のモニタリング装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記推定共振周波数と、前記補正指標との線形関係を特定する係数にさらに基づき、前記推定共振周波数を補正する、
請求項1または2に記載のモニタリング装置。
【請求項4】
前記第1の周波数帯域及び前記第2の周波数帯域の幅は、6Hz以上、12Hz以下である、
請求項2に記載のモニタリング装置。
【請求項5】
前記補正部に補正された前記推定共振周波数に基づいて、前記タイヤの減圧を検出する減圧検出部
をさらに備える、
請求項1または2に記載のモニタリング装置。
【請求項6】
走行中の車両の状態をモニタリングするプログラムであって、
前記車両に装着されるタイヤの回転情報を表す時系列のデータを、前記車両の走行中に取得することと、
前記時系列のデータを可変バンドパスフィルタに通すことにより、前記タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから抽出する、または、前記時系列のデータを可変バンドストップフィルタに通すことにより、前記タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから除去することと、
前記周波数成分に基づき、前記タイヤの共振周波数を推定した推定共振周波数を導出することと、
前記所定の周波数帯域における前記時系列のデータのスペクトルの面積に基づいて、前記推定共振周波数を補正することと
を1または複数のコンピュータに実行させる、
プログラム。
【請求項7】
走行中の車両の状態をモニタリングする方法であって、
前記車両に装着されるタイヤの回転情報を表す時系列のデータを、前記車両の走行中に取得することと、
前記時系列のデータを可変バンドパスフィルタに通すことにより、前記タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから抽出する、または、前記時系列のデータを可変バンドストップフィルタに通すことにより、前記タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから除去することと、
前記周波数成分に基づき、前記タイヤの共振周波数を推定した推定共振周波数を導出することと、
前記所定の周波数帯域における前記時系列のデータのスペクトルの面積に基づいて、前記推定共振周波数を補正することと
を含む、
方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の車両の状態のモニタリング装置、プログラム及び方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
車両を快適に走行させるためには、タイヤの空気圧が調整されていることが重要である。空気圧が適正値を下回ると、乗り心地や燃費が悪くなるという問題が生じ得るからである。このため、従来、タイヤの減圧を自動的に検出するシステム(Tire Pressure Monitoring System;TPMS)が研究されている。タイヤが減圧しているという情報は、例えば、運転者への警報に用いることができる。
【0003】
タイヤの減圧を検出する方式には、タイヤに圧力センサを取り付ける等して、タイヤの空気圧を直接的に計測する方式の他、他の指標値を用いてタイヤの減圧を間接的に評価する方式がある。このような間接的な評価方式の1つとしては、共振周波数方式(Resonance
Frequency Method;RFM)が知られている。RFMは、減圧により車輪速信号に含まれ
るタイヤの共振周波数特性が変化することを利用するものである。
【0004】
タイヤの共振周波数の推定方法の1つには、例えば時系列データとして取得される車輪速信号を、K次の自己回帰(autoregressive; AR)モデルに基づいて時系列解析する方法がある。しかしながら、ARモデルを適用する帯域幅内にタイヤの共振ピークとは異なるノイズピークが存在すると、ARモデルに基づいて導出される共振周波数は、そのようなノイズピークに引っ張られて、真のタイヤの共振周波数からずれてしまう。そうかといって、ノイズピークを避けるため、ARモデルを適用する帯域幅を狭く設定すると、共振周波数の推定精度の悪化に繋がりかねない。
【0005】
特許文献1は、上記点を課題として、共振周波数の探索範囲を維持したまま、走行中の車両の振動状態に関するセンシングデータからノイズの影響をキャンセルして、共振周波数を精度よく算出することができる技術を開示する。具体的には、車輪速のセンシングデータを、固定バンドパスフィルタに通すことによりセンシングデータの第1周波数帯域の成分を抽出する。第1周波数帯域は、タイヤの共振周波数付近の帯域であり、探索範囲がある程度広い。次に、抽出された第1周波数帯域の成分を、可変バンドパスフィルタに通すことにより、第1周波数帯域よりも狭い、第2周波数帯域の周波数成分を抽出する。抽出された第2周波数帯域の周波数成分に基づき、ノイズの影響を低減しつつ、タイヤの共振周波数が推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2020-026160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
可変バンドパスフィルタでは、当該フィルタを通過するセンシングデータのスペクトルの面積が最大となるよう、その通過周波数帯域が定められる。このため、ねじり共振周波数の付近に、ねじり共振ピークよりも大きい、または大きさが近い振幅のノイズが存在すると、可変バンドパスフィルタの通過周波数帯域がノイズに近い方向にずれる可能性がある。この場合、特許文献1に開示される方法により推定されるねじり共振周波数は、ノイズの影響を受けるおそれがある。
【0008】
本発明は、ノイズの影響を低減し、タイヤの共振周波数を精度よく推定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1観点に係るモニタリング装置は、走行中の車両の状態をモニタリングするモニタリング装置であって、取得部と、フィルタリング部と、推定部と、補正部とを備える。取得部は、前記車両に装着されるタイヤの回転情報を表す時系列のデータを、前記車両の走行中に取得する。フィルタリング部は、前記時系列のデータを可変バンドパスフィルタに通すことにより、前記タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから抽出する、または、前記時系列のデータを可変バンドストップフィルタに通すことにより、前記タイヤの共振周波数付近の所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから除去する。推定部は、前記周波数成分に基づき、前記タイヤの共振周波数を推定した推定共振周波数を導出する。補正部は、前記所定の周波数帯域における前記時系列のデータのスペクトルの面積に基づいて、前記推定共振周波数を補正する。
【0010】
第2観点に係るモニタリング装置は、第1観点に係るモニタリング装置であって、前記フィルタリング部は、前記時系列のデータを可変バンドパスフィルタに通すことにより、前記所定の周波数帯域の周波数成分を前記時系列のデータから抽出し、前記補正部は、前記可変バンドパスフィルタの通過帯域の中心周波数から低周波側の第1の周波数帯域における前記時系列のデータのスペクトルの面積と、前記中心周波数から高周波側の第2の周波数帯域における前記時系列のデータのスペクトルの面積との比である補正指標を算出し、前記補正指標に基づいて前記推定共振周波数を補正する。
(【0011】以降は省略されています)

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