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公開番号2024147416
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-16
出願番号2023060421
出願日2023-04-03
発明の名称粉体成膜装置及び粉体成膜方法
出願人株式会社デンソー
代理人弁理士法人服部国際特許事務所
主分類C23C 16/44 20060101AFI20241008BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】粉体成膜装置の内部で粉体の解砕が可能な粉体成膜装置を提供する。
【解決手段】粉体成膜装置100は、所定の成膜温度範囲に加熱された真空条件下で導入された原料ガスを粉体の表面に反応させて成膜する成膜工程と、成膜温度範囲より低い温度で粉体粒子の凝集体をほぐす解砕工程とが行われる。チャンバ50は、真空室200に配置され、成膜工程で原料ガスが粉体貯留部55を通って鉛直方向の上方に流れる。排気ブロック40は、側壁に設けられた排気口41から原料ガスが排気される。解砕ユニット30は、成膜工程で上昇してチャンバ50の上方に退避し、解砕工程で下降して解砕ヘッド36が粉体貯留部55の中に進入するように構成されている。制御部80は、成膜工程のとき、チャンバ50を成膜温度範囲に昇温させ、解砕ユニット30を上昇させ、解砕工程のとき、チャンバ50を解砕可能温度まで降温させ、解砕ユニット30を下降させる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
所定の成膜温度範囲に加熱された真空条件下で鉛直方向の下方から導入された一種類以上の原料ガスを粉体の表面に反応させて成膜する成膜工程と、前記成膜温度範囲より低い温度で粉体粒子の凝集体をほぐす解砕工程とが行われる粉体成膜装置であって、
内部に真空室(200)を形成し、底部に原料ガスの導入口(56)が設けられた真空室筐体(20)と、
前記真空室に配置され、処理対象の粉体が収容された粉体貯留部(55)を有し、成膜工程で前記導入口から導入された原料ガスが前記粉体貯留部を通って鉛直方向の上方に流れるチャンバ(50)と、
前記チャンバを加熱するヒータ(51)と、
前記チャンバの上部に接続され、側壁に設けられた排気口(41)から原料ガスが排気される排気ブロック(40)と、
回転して粉体を解砕する解砕ヘッド(36)が下端部に設けられており、成膜工程で上昇して前記チャンバの上方に退避し、解砕工程で下降して前記解砕ヘッドが前記粉体貯留部の中に進入するように構成された解砕ユニット(30)と、
前記解砕ユニットを昇降させるユニット昇降機構(25)と、
一端が前記解砕ユニットに固定されており、内部を真空に維持しつつ前記解砕ユニットの昇降に追従して伸縮する筒状の伸縮部材(24)と、
前記チャンバの温度、前記ユニット昇降機構の昇降動作、及び、前記解砕ユニットの解砕動作を制御する制御部(80)と、
を備える粉体成膜装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記制御部は、
成膜工程のとき、前記チャンバを前記成膜温度範囲に昇温させ、前記解砕ユニットを上昇させ、
解砕工程のとき、前記チャンバを、前記成膜温度範囲より低く前記解砕ヘッドへの成膜が抑制される解砕可能温度まで降温させ、前記解砕ユニットを下降させる請求項1に記載の粉体成膜装置。
【請求項3】
前記解砕ユニットは、
大気開放された大気側空間と前記真空室に連通する真空側空間とを隔離する隔離ケース(38)と、
前記大気側空間に配置され、回転動力を出力する解砕モータ(31)と、
前記真空側空間に配置され、前記解砕モータの回転動力が伝達されて回転するシャフト(34)と、
前記シャフトの先端に固定された前記解砕ヘッド(36)と、
を含む請求項2に記載の粉体成膜装置。
【請求項4】
前記解砕ユニットは、
前記シャフトの回転支持部における径クリアランスを磁性流体によりシールする磁性体シール(33)をさらに含む請求項3に記載の粉体成膜装置。
【請求項5】
前記ヒータは前記チャンバの径方向外側を囲むように設けられており、
前記ヒータの径方向外側に、前記ヒータからの輻射熱を前記チャンバ側に反射するリフレクタ(52)が設けられている請求項2~4のいずれか一項に記載の粉体成膜装置。
【請求項6】
所定の成膜温度範囲に加熱された真空条件下で鉛直方向の下方から導入された一種類以上の原料ガスを粉体の表面に反応させて成膜する成膜工程と、前記成膜温度範囲より低い温度で粉体粒子の凝集体をほぐす解砕工程とを一つの粉体成膜装置(100)の内部で行う粉体成膜方法であって、
前記粉体成膜装置は、
粉体を解砕する解砕ヘッド(36)が下端部に設けられた解砕ユニット(30)がユニット昇降機構(25)によって昇降可能であり、
一端が前記解砕ユニットに固定された筒状の伸縮部材(24)が、内部を真空に維持しつつ前記解砕ユニットの昇降に追従して伸縮するように構成されており、
前記成膜工程では、
真空室(20)に配置され、処理対象の粉体が収容された粉体貯留部(55)を有するチャンバ(50)が前記成膜温度範囲になるように昇温され、前記解砕ユニットが上昇して前記チャンバの上方に退避し、
導入口(56)から導入された原料ガスが、前記粉体貯留部を通って鉛直方向の上方に流れ、前記チャンバの上部に接続された排気ブロック(40)の側壁に設けられた排気口(41)から排気され、
前記解砕工程では、
前記成膜温度範囲より低く前記解砕ヘッドへの成膜が抑制される解砕可能温度まで前記チャンバが降温され、前記解砕ユニットが下降し、前記解砕ヘッドが前記粉体貯留部の中に進入し回転して粉体を解砕する粉体成膜方法。
【請求項7】
バッチ処理における一バッチの粉体に対し、真空条件下で前記成膜工程と前記解砕工程とが複数回交互に繰り返される請求項6に記載の粉体成膜方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体成膜装置及び粉体成膜方法に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、処理対象物の表面に真空条件下で原料ガスを反応させて成膜する成膜装置及び成膜方法が知られている。例えば特許文献1には、二種類の原料ガスを交互に導入して反応させるALD(原子層体積)法により基板の表面に成膜を行う真空成膜装置及び成膜方法が開示されている。また特許文献2には、プラズマCVD法により粉体の表面に成膜を行う粉体成膜装置及び成膜方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012-184482号公報
特開2022-008248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉体材料にALD成膜を行う場合、粉体を閉じ込めたチャンバ内にガスを供給することで成膜を行う。ここで、粉体粒子の凝集体をほぐす動作を「解砕」という。成膜後の粉体の凝集部を解砕により露出させて再び成膜を行う処理を繰り返すことで、より小さい粒子径の粉体材料への成膜が可能となる。しかし一般的な解砕工程は大気中で行われるため、真空中で行われるALD成膜等と組み合わせて実施するのに適さない。
【0005】
またALD成膜は、例えば300℃程度の成膜温度範囲に加熱された高温真空条件下で行われる。成膜温度範囲に加熱された解砕機構の構造物に原料ガスが触れると、その構造物の表面にも不要な成膜処理がされてしまい、原料ガスのロスが生じることや副生成物が粉体材料に混入することが問題となる。そのため、高温真空条件下の粉体成膜装置の内部で粉体を解砕することが困難であった。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、粉体成膜装置の内部で粉体の解砕が可能な粉体成膜装置及び粉体成膜方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粉体成膜装置は、所定の成膜温度範囲に加熱された真空条件下で鉛直方向の下方から導入された一種類以上の原料ガスを粉体の表面に反応させて成膜する成膜工程と、成膜温度範囲より低い温度で粉体粒子の凝集体をほぐす解砕工程とが行われる。
【0008】
この粉体成膜装置は、真空室筐体(20)と、チャンバ(50)と、ヒータ(51)と、排気ブロック(40)と、解砕ユニット(30)と、ユニット昇降機構(25)と、伸縮部材(24)と、制御部(80)と、を備える。
【0009】
真空室筐体は、内部に真空室(200)を形成し、底部に原料ガスの導入口(56)が設けられている。チャンバ(50)は、真空室に配置され、処理対象の粉体が収容された粉体貯留部(55)を有し、成膜工程で導入口から導入された原料ガスが粉体貯留部を通って鉛直方向の上方に流れる。ヒータ(51)は、チャンバを加熱する。
【0010】
排気ブロック(40)は、チャンバの上部に接続され、側壁に設けられた排気口(41)から原料ガスが排気される。
(【0011】以降は省略されています)

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