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公開番号2024141685
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023053474
出願日2023-03-29
発明の名称透過潜像画像発現構造及び透過潜像画像形成体
出願人独立行政法人 国立印刷局
代理人
主分類B42D 25/333 20140101AFI20241003BHJP(製本;アルバム;ファイル;特殊印刷物)
要約【課題】用紙の伸縮変動の影響を受けず、光量が不足している観察環境下においても潜像画像が明瞭に視認できる透過潜像画像発現構造及びそれを備えた透過潜像画像形成体を提供する。
【解決手段】基材の少なくとも一部に、基画像を分割及び圧縮のうち少なくとも一方によって形成した潜像要素が一定のピッチで複数配列されて成る潜像画像と、潜像要素に対応したレンズ要素又は光遮断要素が複数配置されたフィルタとを含む透過潜像画像発現構造であって、潜像要素は、基材を貫通して形成され、潜像画像とフィルタとを重ねて、透過光下で観察すると基画像が潜像として視認され、観察角度又はフィルタの位置を変化させると潜像が変化して視認されることを特徴とする透過潜像画像発現構造である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基材の少なくとも一部に、基画像を分割及び圧縮のうち少なくとも一方によって形成した潜像要素が一定のピッチで複数配列されて成る潜像画像と、前記潜像要素に対応したレンズ要素又は光遮断要素が複数配置されたフィルタとを含む透過潜像画像発現構造であって、
前記潜像要素は、前記基材を貫通して形成されて成り、
前記潜像画像と前記フィルタを重ねて、透過光下で観察すると前記基画像が潜像として視認され、観察角度又は前記フィルタの位置を変化させると前記潜像が変化して視認されることを特徴とする透過潜像画像発現構造。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
基材の少なくとも一部に、基画像を分割及び圧縮のうち少なくとも一方によって形成した潜像要素が一定のピッチで複数配列されて成る潜像画像と、前記潜像画像に重畳する位置における前記基材の表裏いずれか一方に、前記潜像要素に対応した複数のレンズ要素又は複数の光遮断要素を備えたフィルタとを備えた透過潜像画像形成体において、
前記潜像要素は、前記基材を貫通して形成されて成り、
透過光下で観察すると前記基画像が潜像として視認され、観察角度を変化させると前記潜像が変化して視認されることを特徴とする透過潜像画像形成体。
【請求項3】
前記基画像が複数存在する場合、前記基画像に対応するそれぞれの潜像画像のうち、少なくともひとつは前記基材を貫通して前記潜像要素が形成されて成り、他の潜像画像のうち、少なくともひとつはすかしによって前記潜像要素が形成されて成り、
前記潜像画像と前記フィルタを重ねて、透過光下で観察すると前記基画像が潜像として視認され、観察角度又は前記フィルタの位置を変化させると前記潜像が変化して視認されることを特徴とする請求項1に記載の透過潜像画像発現構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止効果を必要とする銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書等の貴重印刷物の分野において、透過光下で傾けると、画像が変化して視認できる透過潜像画像発現構造及び透過潜像画像発現構造を応用して作製する透過潜像画像形成体に関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年のスキャナ、プリンタ、カラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。そこで、前述したデジタル機器による複製や偽造を防止するため、プリンタやコピー機では再現不可能な様々な偽造防止技術が必要とされている。
【0003】
この偽造防止技術の一つとして、用紙の薄厚又は繊維の粗密によって模様を形成して透過光下で視認させる、いわゆるすかし技術が存在する。このようなすかしの加工技術の例としては、すかしの模様が凹凸形状としてロール部材に形成された円網やダンディロールを用いて、用紙に厚薄を施す技術が古くから行われている。円網やダンディロールによって形成された、相対的に紙の厚さが薄い部分を透過光下で観察すると、透過光量が高くなって明るく視認され、相対的に紙の厚さが厚い部分を透過光下で観察すると、透過光量が低くなって暗く視認される。
【0004】
また、用紙の薄厚又は繊維の粗密によるすかしの構成とは異なり、印刷技術によって、すかしを形成する技術もあり、具体的には、紙基材に浸透することで、光の透過率を上昇させるすかしインキを用いる技術や、紙基材に印刷して光の透過率を低下させる遮光インキを用いる技術がある。
【0005】
このすかし技術は、通常の反射光下での観察では、模様が視認できないことから、貴重印刷物の他のデザインに影響することなく、一定量以上の光さえ存在すれば、あらゆる環境下で模様を確認することで真偽判別が可能であり、知名度も高いことから、貴重印刷物の分野で広く用いられている。
【0006】
前述したすかし技術によって、反射光下では潜像が不可視であることで、貴重印刷物のデザインに影響することがないとともに、偽造の防止を図り、透過光下の観察角度の変化により画像が変化する透過潜像画像発現構造及びそれを備えた透過潜像画像形成体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の透過潜像画像形成体は、基画像を分割及び圧縮の少なくとも一方により形成した潜像要素が一定のピッチで複数配列されて成る潜像画像と、潜像要素に対応した特殊な判別具を重ねることで透過潜像画像が視認され、判別具の位置を変化させると透過潜像画像が動的変化又はチェンジ効果の少なくとも一方によって視認されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6966747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術は、ダンディロールや円網抄紙機等のすき入れ技法によって動的効果を有する潜像要素を付与する場合、乾燥工程で用紙の伸縮変動が発生することによって、本来、判別具使用時にサンプリングされない潜像要素がサンプリングされることがある。その場合、視認される潜像画像が変形したり、ぼやけたりして視認される。また、すかしインキや遮光インキによって模様を形成する場合は、インキのにじみが発生することにより精細な潜像要素を付与することが難しい。さらに、前述のすき入れ及びすかしインキによる潜像要素から成る潜像画像を観察するための環境が悪く、具体的には光量が不足している状態では、潜像画像のコントラストが低下することによってチェンジ効果や動的変化の視認性が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、透過光下の観察角度の変化により画像が変化する透過潜像画像発現構造及びそれを備えた透過潜像画像形成体において、用紙の伸縮変動の影響を受けず、光量が不足している観察環境下においても潜像画像が明瞭に視認できる透過潜像画像発現構造及びそれを備えた透過潜像画像形成体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基材の少なくとも一部に、基画像を分割及び圧縮のうち少なくとも一方によって形成した潜像要素が一定のピッチで複数配列されて成る潜像画像と、潜像要素に対応したレンズ要素又は光遮断要素が複数配置されたフィルタとを含む透過潜像画像発現構造であって、潜像要素は、基材を貫通して形成され、潜像画像とフィルタを重ねて、透過光下で観察すると基画像が潜像として視認され、観察角度又はフィルタの位置を変化させると潜像が変化して視認されることを特徴とする透過潜像画像発現構造である。
(【0011】以降は省略されています)

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