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公開番号2024139790
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023050691
出願日2023-03-28
発明の名称装飾用物の洗浄方法
出願人株式会社グランドライン
代理人個人
主分類B08B 3/02 20060101AFI20241003BHJP(清掃)
要約【課題】金箔のように剥離しやすいデリケートな修飾用薄膜で修飾された仏像などに付着した油煙などの汚れを除去する際に、金箔が傷ついたり剥がれたりして損傷することを回避する。
【解決手段】洗浄液を20℃以上の霧にして、洗浄対象物全体に吹き付ける。霧化した洗浄液を吹き付けることで、刷毛や布などの洗浄用具が金箔に触れず、非接触での洗浄を可能とする。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
修飾用薄膜で装飾された表面に油分を含む汚れが付着した装飾用物の洗浄方法であって、
洗浄液を20℃以上の霧にして前記装飾用物の表面に吹き付ける洗浄工程の後、
リンス液を用いたすすぎ処理を行う装飾用物の洗浄方法。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記洗浄液はアルカリ性または酸性の洗浄液であり、
前記洗浄工程後、中和液を霧化して前記装飾用物の表面に吹き付ける中和工程を実施した後、前記すすぎ処理を行い、
前記洗浄工程と前記中和工程において、液を霧化した霧を、エア圧力0.05MPa未満の低圧で周辺温度より高い温風で前記装飾用物の表面に突き付ける請求項1に記載の装飾用物の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄工程において、ブロア式低圧温風スプレーガンを用いて、ファンを備えるブロアに気体を風量1m

/分以上で供給して昇温させた温風としながら前記洗浄液を20℃以上に霧化し、エア圧力0.05MPa未満の低圧で周辺温度より高い温風で前記霧を前記装飾用物の表面に吹き付ける請求項2に記載の装飾用物の洗浄方法。
【請求項4】
前記中和工程において、ブロア式低圧温風スプレーガンを用いて、ファンを備えるブロアに気体を風量1m

/分以上で供給して昇温させた温風としながら前記中和液を20℃以上に霧化し、エア圧力0.05MPa未満の低圧で周辺温度より高い温風で前記霧を前記装飾用物の表面に吹き付ける請求項3に記載の装飾用物の洗浄方法。
【請求項5】
前記装飾用物は、前記修飾用薄膜として金箔が施され、飾り物として静置された環境で前記汚れが付着した装飾用物である請求項1から4のいずれかに記載の装飾用物の洗浄方法。
【請求項6】
前記装飾用物は、リンス液を入れた容器に浸漬できない状態で洗浄され、
前記すすぎ処理として、リンス液を霧化した霧を、エア圧力0.05MPa未満の低圧で周辺温度よりの高い温風で前記装飾用物の表面に吹き付ける請求項1から4のいずれかに記載の装飾用物の洗浄方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、油煙のような油を含む汚れで表面が汚れた装飾用物の洗浄方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
室内などに飾られる造形物(装飾用物)は、木、金属、鉱物、樹脂などを材として造形され、表面に塗料や箔などの装飾用薄膜が施されて外観が美麗に装飾されることが多い。こうした装飾用物は、長期間、飾られている間に表面に埃などの汚れが付着する。特に仏像仏具は、金箔が施されることが多いが、灯明や線香由来の油煙が付着することで表面が汚れて黒ずむ。
【0003】
油煙で汚れた仏像仏具の洗浄方法として、アルカリ性洗剤を泡立てた泡で表面を覆って泡洗浄した後、酸性の洗浄剤を泡立てた泡で表面を覆ってさらに汚れを除去しつつ中和処理を行った後、リンス液として水を噴射してすすぎ処理を行う洗浄方法がある(特許文献1)。あるいは、水銀や漆を用いて金メッキされた金具について、酸性洗浄液に液浴させた後、アルカリ性の水溶液で中和処置を行い、水洗浄する方法も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平5-185051号公報
特開2007-321241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金箔に油煙のような汚れが付着している場合、汚れを除去するためには、ある程度の洗浄力が必要となる。特許文献1の洗浄方法は、アルカリ性洗浄液を泡立てた泡で被洗浄物の表面を覆う。この方法では、泡が細部に行き渡って汚れを浮き上がらせ、浮き上がらせた汚れを包み込むことで汚れが除去される。
【0006】
特許文献1の泡洗浄は、柔らかい泡で包むことでデリケートな金箔を傷めることなく金箔が施された表面の汚れを除去できる。一方、泡洗浄を行うために、一定の洗浄力がある洗浄液を泡立てて用いるため、洗浄力が高い洗浄液を用いることで金箔を傷めたり剥離させたりしてしまう恐れもある。特に、泡が潰れ(消泡し)て液体となった洗浄液が金箔のような薄膜と材との間に入り込むと金箔を剥離させてしまうリスクが高まる。特許文献1の洗浄方法では、泡を吸引したり拭き取ったりすることで、この問題に対応している。
【0007】
しかし、金箔は薄さが約0.1μmと、装飾用薄膜の中でも特に薄くて剥がれやすい。このため、洗浄液で洗浄した後、液を拭き取る際に傷つけたり剥離したりしやすく、金箔を傷つけたり剥離させないように洗浄液を拭き取るためには、丁寧で繊細に作業する必要があり、作業時間が長くなり、また熟練も要する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、かかる課題に対し、霧状にした洗浄液を低圧の風でふわふわと吹き付けることで、金箔のような薄く剥離しやすい装飾用薄膜が施されている装飾用物から油分を含む汚れを除去する洗浄方法を開発した。本明細書において装飾用薄膜には、塗料により形成された塗膜が含まれるものとする。塗料により形成された塗膜は、概ね数μmから数十μmの厚さがあるが、本発明は、1μmに満たない特に薄い修飾用薄膜に好適に適用でき、中でも金箔が施された修飾用物に好適に適用できる。
【0009】
本発明では、金箔のような薄膜で装飾された装飾用物の表面に、油分を含む汚れを除去する洗浄液を霧化して温風で柔らかく吹き付ける。本明細書において霧化するとは、平均粒径が概ね半径100μm以下(すなわち概ね、霧雨の大きさ)とすることを意味するものとし、より小さな半径(例えば雲粒と同等の半径10μm以下、さらに霧と同等の半径5μm以下)としてもよい。
【0010】
「柔らかく吹き付ける」とは、金箔のようなデリケートな薄膜を剥離させないような強度であることを意味するものとする。具体的には、風圧が0.05PMa未満というような低圧の風を送りながら、霧化した液を装飾用物の表面に吹き付けるとよい。霧化した液を吹き付ける際の風の風量は毎分1~3m

以上とすることが好ましい。また、霧化した液を装飾用物に運ぶ風は温風とし、温風としては周辺温度より高ければよいが20℃以上であることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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