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公開番号2024131626
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-30
出願番号2023042008
出願日2023-03-16
発明の名称伝送装置、電力系統保護システム、遅延補正方法、及びプログラム
出願人日本電気株式会社
代理人個人
主分類H02H 3/28 20060101AFI20240920BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】IP伝送時の伝送遅延の設定を実際のシステム稼働前に行うことができる電力系統保護システムを提供する。
【解決手段】伝送装置11は、タイマ部111と、測定部112と、設定部113と、送受信部114と、制御部115とを備える。IPネットワーク30を用いたIP伝送の開始前に受信したキャリア信号に応じて、測定部112、212は、第1・第2遅延時間を所定回数測定し、設定部113、213は、IPネットワーク30の第1・第2遅延量として、測定部112、212により所定回数測定した第1・第2遅延時間の平均値である第1・第2平均遅延時間を設定する。制御部115は、IPネットワークを用いたデータのIP伝送中、第1・第2遅延量に基づいて、IPネットワーク30による第1遅延量と第2遅延量との遅延差を短縮するように、送受信部114、214のデータの受信タイミングを制御する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
電力系統を保護するための保護リレー装置に接続され、他の保護リレー装置に接続された他の伝送装置との間でIPネットワークを介してデータを送受信する伝送装置であって、
前記他の伝送装置にキャリア信号を送信する際に該キャリア信号にタイムスタンプを挿入するとともに、前記他の伝送装置からキャリア信号を受信する際に該キャリア信号内のタイムスタンプを検知するタイマ部と、
前記IPネットワークを用いたデータのIP伝送の開始前に受信したキャリア信号に応じて、前記キャリア信号の受信時に検知した前記タイムスタンプと、該キャリア信号の受信時刻とから遅延時間を測定する測定部と、
前記他の伝送装置から前記伝送装置への前記キャリア信号の上り伝送時の前記IPネットワークの第1遅延量として、前記測定部により所定回数測定した前記遅延時間の平均である第1平均遅延時間を設定する設定部と、
前記他の伝送装置に前記第1平均遅延時間を送信するとともに、前記伝送装置から前記他の伝送装置への前記キャリア信号の下り伝送時の前記IPネットワークの第2遅延量として、前記他の伝送装置において所定回数測定した前記遅延時間の平均である第2平均遅延時間を受信する送受信部と、
前記IPネットワークを用いた前記データのIP伝送中に、前記IPネットワークの前記第1遅延量と前記第2遅延量との遅延差を短縮するように、前記送受信部の前記データの受信タイミングを制御する制御部と、
を備える、伝送装置。
続きを表示(約 3,400 文字)【請求項2】
前記制御部は、前記遅延差に基づいて、設定すべき前記第1平均遅延時間を増減させるように前記設定部を制御する、
請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記所定回数は、前記IPネットワークの正規分布に基づいて設定される、
請求項1又は請求項2に記載の伝送装置。
【請求項4】
電力系統を保護するための保護リレー装置を備える電力系統保護システムであって、
送電線の第1端子側に接続された第1遮断器を制御する第1保護リレー装置と、
前記第1保護リレー装置に接続され、IPネットワークを介して他の伝送装置とデータのIP伝送を行うように構成された第1伝送装置と、
前記送電線の第2端子側に接続された第2遮断器を制御する第2保護リレー装置と、
前記第2保護リレー装置に接続され、前記IPネットワークを介して前記第1伝送装置とデータのIP伝送を行うように構成された第2伝送装置と、
を備え、
前記第1伝送装置と前記第2伝送装置の各々は、
他方の伝送装置にキャリア信号を送信する際に該キャリア信号にタイムスタンプを挿入するとともに、前記他方の伝送装置からキャリア信号を受信する際に該キャリア信号内のタイムスタンプを検知するタイマ部と、
前記IPネットワークを用いた前記データのIP伝送の開始前に受信したキャリア信号に応じて、前記キャリア信号の受信時に検知した前記タイムスタンプと、該キャリア信号の受信時刻とから遅延時間を測定する測定部と、
前記他方の伝送装置から自伝送装置への前記キャリア信号の上り伝送時の前記IPネットワークの第1遅延量として、前記測定部により所定回数測定した前記遅延時間の平均である第1平均遅延時間を設定する設定部と、
前記他方の伝送装置に前記第1平均遅延時間を送信するとともに、前記自伝送装置から前記他方の伝送装置への前記キャリア信号の下り伝送時の前記IPネットワークの第2遅延量として、前記他方の伝送装置において所定回数測定した前記遅延時間の平均である第2平均遅延時間を受信する送受信部と、
前記IPネットワークを用いたデータのIP伝送中に、前記IPネットワークの前記第1遅延量と前記第2遅延量との遅延差を短縮するように、前記送受信部の前記データの受信タイミングを制御する制御部と、
を含む、電力系統保護システム。
【請求項5】
前記第1伝送装置と前記第2伝送装置の各々の前記制御部は、前記遅延差に基づいて、設定すべき前記第1平均遅延時間及び前記第2平均遅延時間の少なくとも一方を増減させるように前記設定部を制御する、
請求項4に記載の電力系統保護システム。
【請求項6】
前記所定回数は、前記IPネットワークの正規分布に基づいて設定される、
請求項4又は請求項5に記載の電力系統保護システム。
【請求項7】
前記第1保護リレー装置及び前記第2保護リレー装置の各々は、前記IPネットワークを用いたデータのIP伝送中における前記電力系統の異常を判定する判定部を含み、
前記第1伝送装置と前記第2伝送装置の各々の前記設定部は、前記判定部により前記電力系統の異常が検出された場合であっても、前記制御部により制御された前記送受信部の前記データの受信タイミングを保持する、
請求項4又は請求項5に記載の電力系統保護システム。
【請求項8】
前記電力系統の伝送ルートが変更された場合には、前記第1伝送装置と前記第2伝送装置の各々において、
前記測定部は、前記遅延時間を再度所定回数測定し、
前記設定部は、前記測定部により再度所定回数測定された遅延時間に基づいて、前記第1遅延量及び前記第2遅延量として、前記IPネットワークの前記第1及び第2平均遅延時間を再度設定し、
前記制御部は、再度設定した前記IPネットワークの前記第1遅延量と前記第2遅延量との遅延差を短縮するように、前記送受信部の前記データの受信タイミングを再度制御する、
請求項4又は請求項5に記載の電力系統保護システム。
【請求項9】
電力系統を保護するための第1及び第2保護リレー装置と、前記第1及び第2保護リレー装置にそれぞれ接続され、他方の保護リレー装置に接続された他方の伝送装置との間でIPネットワークを介してデータを送受信する第1及び第2伝送装置とを備える電力系統保護システムにおける前記第1及び第2伝送装置において実行される遅延補正方法であって、
前記IPネットワークを用いたIP伝送の開始前に、前記第1伝送装置から前記第2伝送装置へのIPネットワークを介したキャリア信号の送信時に前記第1伝送装置により前記キャリア信号にタイムスタンプを挿入し、前記第2伝送装置による前記キャリア信号の受信時に前記タイムスタンプを検知することにより得られる第1遅延時間を所定回数測定し、
前記第2伝送装置から前記第1伝送装置への前記キャリア信号の伝送時の前記IPネットワークの第1遅延量として、前記所定回数測定した前記第1遅延時間の平均である第1平均遅延時間を前記第1伝送装置に設定し、
前記IPネットワークを用いたIP伝送の開始前に、前記第2伝送装置から前記第1伝送装置への前記IPネットワークを介したキャリア信号の送信時に前記第2伝送装置により前記キャリア信号にタイムスタンプを挿入し、前記第1伝送装置による前記キャリア信号の受信時に前記タイムスタンプを検知することにより得られる第2遅延時間を所定回数測定し、
前記第1伝送装置から前記第2伝送装置への前記キャリア信号の伝送時の前記IPネットワークの第2遅延量として、前記所定回数測定した前記第2遅延時間の平均である第2平均遅延時間を前記第2伝送装置に設定し、
前記IPネットワークを用いたデータのIP伝送中に、前記IPネットワークの前記第1遅延量と前記第2遅延量との遅延差を短縮するように、前記第1及び第2伝送装置の各々において前記データの受信タイミングを制御する、
遅延補正方法。
【請求項10】
電力系統を保護するための第1及び第2保護リレー装置と、前記第1及び第2保護リレー装置にそれぞれ接続され、他方の保護リレー装置に接続された他方の伝送装置との間でIPネットワークを介してデータを送受信する第1及び第2伝送装置とを備える電力系統保護システムに用いられるコンピュータに、
前記IPネットワークを用いたIP伝送の開始前に、前記第1伝送装置から前記第2伝送装置へのIPネットワークを介したキャリア信号の送信時に前記第1伝送装置により前記キャリア信号にタイムスタンプを挿入し、前記第2伝送装置による前記キャリア信号の受信時に前記タイムスタンプを検知することにより得られる第1遅延時間を所定回数測定する処理と、
前記第2伝送装置から前記第1伝送装置への前記キャリア信号の伝送時の前記IPネットワークの第1遅延量として、前記所定回数測定した前記第1遅延時間の平均である第1平均遅延時間を前記第1伝送装置に設定する処理と、
前記IPネットワークを用いたIP伝送の開始前に、前記第2伝送装置から前記第1伝送装置への前記IPネットワークを介したキャリア信号の送信時に前記第2伝送装置により前記キャリア信号にタイムスタンプを挿入し、前記第1伝送装置による前記キャリア信号の受信時に前記タイムスタンプを検知することにより得られる第2遅延時間を所定回数測定する処理と、
前記第1伝送装置から前記第2伝送装置への前記キャリア信号の伝送時の前記IPネットワークの第2遅延量として、前記所定回数測定した前記第2遅延時間の平均である第2平均遅延時間を前記第2伝送装置に設定する処理と、
前記IPネットワークを用いたデータのIP伝送中に、前記IPネットワークの前記第1遅延量と前記第2遅延量との遅延差を短縮するように、前記第1及び第2伝送装置の各々において前記データの受信タイミングを制御する処理と、
を実行させるプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、伝送装置、電力系統保護システム、遅延補正方法、及びプログラムに関し、特に、電力系統の保護に際してデータ伝送にIP(Internet Protocol)ネットワークを利用する伝送装置、電力系統保護システム、遅延補正方法、及びプログラムに関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
電力保安網(伝送網)には、送電線等における事故の発生などの緊急事態を検出して、当該送電線等を電力送電網から切り離す電力系統保護システムが設けられている。この電力系統保護システムでは、各保護リレー装置により各端子の電流値データを示すキャリア(CR)信号が下流の保護リレー装置に伝達される電流差動方式が多用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
電力系統保護システムは、各保護リレー装置において計測される伝送網の各端子の流入電流値の和に基づいて、上記事故等の発生を判定している。そのため、電流値データの同時性が重要であり、伝送網の上り下りの伝送遅延の時間差の要件が厳しい(例えば、200μs以下)。したがって、電力保安網では、この要件を満たすことができる光PDH(Plesiochronous Digital Hierarchy)伝送が広く用いられていた。
【0004】
また、電力系統保護システムでは、各保護リレー装置のデータ伝送をIP化する代替装置等がないため、現状では電力保安網において光PDH伝送を継続して利用せざるを得ない。しかしながら、光PDH伝送の技術は1980年代に構築されたものであり、かなり古い技術であり、この技術を採用している伝送装置を維持するための部品の確保が難しくなっている。そのため、電力系統保護システムの各保護リレー装置の伝送装置を最新技術であるIPネットワークを利用したIP伝送装置に置き換える必要がある。
【0005】
ここで、特許文献1には、IPネットワークにおいて、他ディジタル保護継電装置(保護リレー装置)から自ディジタル保護継電装置(保護リレー装置)に送信されたアナログデータと自ディジタル保護継電装置で取り込んだアナログデータの同時性を確保するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5592849号公報
【非特許文献】
【0007】
芹澤善積、「電力安定供給のための情報通信技術」、2005年3月号、46巻3号、P.294-299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、上りデータ伝送と下りデータ伝送において遅延時間が異なる場合について考慮されておらず、上り下りの伝送遅延時間が異なる状況が想定され得るIPネットワークへの適用が困難であった。
【0009】
また、電力系統保護システムによる送電線の事故等の監視フローが実行されているときに各保護リレー装置間で電流値データを送受信する場合には、通常IP伝送時のジッタ吸収処理と伝送遅延処理とを同時に行う必要がある。この場合、通常の事故等監視時においては電力系統保護システム全体の処理負荷が増大してしまうという問題もある。
【0010】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、電力系統保護システムの事故監視フローにおけるIP伝送時の伝送遅延の設定を実際のシステム稼働前に行うことにより、IP伝送における伝送遅延の時間差の要件を満たすことができるとともに、電力系統を保護するためのシステム稼働時の処理負荷を軽減することができる伝送装置、電力系統保護システム、遅延補正方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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