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公開番号2024127230
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023036237
出願日2023-03-09
発明の名称黒鉛材料の改質方法及び黒鉛材料
出願人穴織カーボン株式会社
代理人個人,個人
主分類C04B 35/52 20060101AFI20240912BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】簡便な方法によって短時間で市販の黒鉛材料を改質する改質方法と、この改質方法で改質されて高熱膨張係数を有する黒鉛材料を提供する。
【解決手段】通電加熱法によって非酸化性雰囲気下において2300℃~2600℃に加熱した状態で、黒鉛材料に圧縮荷重をかけることにより黒鉛材料を塑性変形させる黒鉛材料の改質方法、特に非酸化性雰囲気下において2300℃~2600℃に加熱した状態で、黒鉛材料にその圧縮強度に対して20%~50%の圧縮荷重をかけることにより、少なくとも加圧方向の熱膨張係数を改質前の黒鉛材料の熱膨張係数に対して5%以上高める改質方法、並びに非酸化性雰囲気下において2300℃~2400℃に加熱した状態で、黒鉛材料にその圧縮強度の20%~30%の圧縮荷重をかけることにより、黒鉛材料の加圧方向及び加圧方向に直交する方向の両方の熱膨張係数を高める改質方法を提供する。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
通電加熱法によって非酸化性雰囲気下において2300℃~2600℃に加熱した状態で、黒鉛材料に圧縮荷重をかけることにより黒鉛材料を塑性変形させることを特徴とする黒鉛材料の改質方法。
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
通電加熱法によって非酸化性雰囲気下において2300℃~2600℃に加熱した状態で、黒鉛材料にその圧縮強度に対して20%~50%の圧縮荷重をかけることにより、少なくとも加圧方向の熱膨張係数を改質前の黒鉛材料の熱膨張係数に対して5%以上高めることを特徴とする黒鉛材料の改質方法。
【請求項3】
通電加熱法によって非酸化性雰囲気下において2300℃~2400℃に加熱した状態で、黒鉛材料にその圧縮強度の20%~30%の圧縮荷重をかけることにより、黒鉛材料の加圧方向及び加圧方向に直交する方向の両方の熱膨張係数を高めることを特徴とする黒鉛材料の改質方法。
【請求項4】
請求項1に記載の黒鉛材料の改質方法によって得られた黒鉛材料であって、塑性変形することによって熱膨張係数が変化したことを特徴とする黒鉛材料。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の黒鉛材料の改質方法によって得られた黒鉛材料であって、少なくとも加圧方向の熱膨張係数が変化したことを特徴とする黒鉛材料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、黒鉛材料の改質方法及び黒鉛材料に関し、特に多結晶黒鉛の熱膨張係数を制御する技術に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
工業材料である黒鉛材料の多くは、人工的に作られる人造黒鉛であり多結晶黒鉛である。一般的な黒鉛材料の製造には、まずコークス粉末などを骨材としてピッチなどをバインダとして混練した粉末素材にした後、成形体とする。その成形体を焼成、黒鉛化する。また、原料として揮発成分を含む生コークスやバルクメソフェース、メソカーボンマイクロビーズを用いて成形品とすることも行われる。黒鉛化には、2500℃以上、多くの場合2800℃~3000℃程度の温度に加熱する。
【0003】
黒鉛材料には、製鋼用電極に多く用いられる押出し人造黒鉛、静水圧で加圧して得られる等方性黒鉛材料(CIP材:Cold Isostatic Press材)と呼ばれる巨視的に等方的な物性を有する人造黒鉛などがある。
黒鉛材料は、様々な産業分野で使用される。とりわけ、非酸化性の雰囲気では非常に高い耐熱性を有するので、高温の炉内部品や装置の部品材料として使用される。特に、このような用途には、等方性黒鉛材料(CIP材)が多く用いられる。例えば、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの半導体単結晶のエピタキシャル成長装置にサセプタ等の部材として使用されている。
【0004】
しかし、黒鉛材料をそのままそれらの部材に使用すると、アンモニアや水素ガスと反応してメタンガスを発生し寸法変化や重量減少が起こり半導体の品質劣化をもたらす。そのため、黒鉛材料の表面に炭化ケイ素(SiC)をコーティングすることが一般に行われてきた。一方、特に炭化ケイ素(SiC)半導体製造においては、より熱的安定性、化学的安定性、耐食性に優れる炭化タンタル(TaC)のコーティングが検討されている。炭化タンタルの黒鉛材料へのコーティングは、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によるのが一般的である。
【0005】
コーティング膜が基材である黒鉛材料から剥がれることなく正常にコートできるためには、黒鉛材料がコーティング膜に近い熱膨張係数(CTE:Coefficeint of Thermal Expansion)を有する必要が有る。
炭化タンタルの熱膨張係数は、7x10
-6
/℃ (概ね6.9~7.8x10
-6
/℃)であり、黒鉛材料の熱膨張係数は、7.0~9.0x10
-6
/℃程度であることが好ましいと考えられる。なお、炭化タンタルの黒鉛材料へのコーティングは炭化水素ガス(例えば、メタンガス、プロパンガス)とTaCl

ガスによるCVD法によって1000~1200℃で行われることが知られている。
【0006】
また、アルミナ、サファイアなどは、7x10
-6
/℃以上の熱膨張係数であり、これらの素材をコーティングする場合も黒鉛材料は7x10
-6
/℃以上の熱膨張係数を有することが好ましい。
7x10
-6
/℃以上の熱膨張係数を有する黒鉛材料であって工業製品に使用できる程度の大きさのものを安定した品質で提供することは、難しい課題であった。
【0007】
高い熱膨張係数を有する黒鉛材料を製造するためには、原料や製造工程を工夫することが一般的に行われる。例えば、特許文献1では、揮発分を一定量に調整した生コークス100重量部に対しピッチ系バインダを40~150重量部加える等の工夫により高い熱膨張係数を有する多結晶黒鉛を製造することが開示されている。しかしながら、このような方法は、安定した再現性を得るにはかなりの工夫が必要である。また、大きなサイズの多結晶黒鉛を得ることには、困難が伴うと考えられる。
【0008】
特許文献2では、800℃から1200℃で焼成した炭素材料を2400℃から3000℃まで昇温し黒鉛化するプロセス中に圧縮荷重を負荷して、塑性変形させて高い熱膨張係数を有する黒鉛材料を得ることを開示している。圧縮荷重を負荷した加圧方向には、高い熱膨張係数が得られるが負加圧方向に直交する直交方向では熱膨張係数が低くなるという欠点がある。すなわち黒鉛材料の熱膨張係数に大きな異方性が生じることになり、とりわけ1つの黒鉛基材の複数方向にコーティングを行う場合は好ましくない。また、黒鉛化するプロセス中に圧縮荷重を負荷するための製造装置が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許第4430448号公報
特開2021-130580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、簡便な方法によって短時間で市販の黒鉛材料を改質する方法を提供する。更に、本改質方法によりコーティングする素材の熱膨張係数に合わせた熱膨張係数を有する黒鉛材料を提供する。とりわけ、炭化タンタルといった熱膨張係数の高い素材をコーティングするのに適した高熱膨張係数を有する黒鉛材料を提供する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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