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公開番号2024121631
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-06
出願番号2023028836
出願日2023-02-27
発明の名称石材調建材パネル
出願人個人
代理人弁理士法人プロテック,個人
主分類C04B 41/71 20060101AFI20240830BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】(1)実用的な接着性・表面強度、不燃性、意匠性を兼ね備えた乾式建材パネルを提供する。(2)さらに、柔軟性のある基材を用いて、十分な曲げ性能及び不燃性を有し、非平面の壁面にも適用可能な乾式建材パネルを提供する。(3)さらに、それらの乾式建材パネル表面に石材調の装飾を施したものを提供する。
【解決手段】(1)セメントに水と酢酸ビニル系樹脂を所定範囲の割合で混合することにより、所望の接着性・表面強度、不燃性、意匠性を兼ね備えた建材パネルを作製できることを確認した。(2)セメントに水と酢酸ビニル系樹脂を所定範囲の割合で混合することにより、不燃性の柔軟性のある基材に塗布してもなお、所望の接着性・表面強度、不燃性、曲げ性能、意匠性を兼ね備えた建材パネルを作製できることを確認した。(3)これら建材パネル表面にUV印刷により石材調の装飾を施す。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ケイ酸カルシウム板からなるパネル基材と、
当該パネル基材上に形成された、下記の配合で混合された塗布材料が固化された厚さ0.1~3.0mmの塗布層とを有する建材パネルであって、
当該塗布層の上面に、UV印刷による石材調の装飾層を有する建材パネル。
セメント材料:700重量部
骨材:700重量部
水:290重量部
酢酸ビニル系樹脂からなるバインダー:116~174重量部
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
石膏にガラス繊維を混入した芯材の表裏面付近において当該表裏面に沿ってガラス繊維不織布を埋設した可撓性を有する石膏ボードからなるパネル基材と、
当該パネル基材上に形成された、下記の配合で混合された塗布材料が固化された厚さ0.1~3.0mmの塗布層とを有する建材パネルであって、
当該塗布層の上面に、UV印刷による石材調の装飾層を有する建材パネル。
セメント材料:700重量部
骨材:700重量部
水:290重量部
酢酸ビニル系樹脂からなるバインダー:116~174重量部
【請求項3】
建材パネルの製造方法であって、
施工対象壁面に応じた所定寸法のケイ酸カルシウム板からなるパネル基材を準備し、
下記の配合で混合された塗布材料を混錬して、モルタル材料を作製し、
セメント材料:700重量部
骨材:700重量部
水:290重量部
酢酸ビニル系樹脂からなるバインダー:116~174重量部
前記パネル基材表面に前記モルタル材料を厚さ0.1~3.0mmで塗布し、乾燥させ、
当該塗布層の上面に、UV印刷により石材調の装飾を施し、
前記装飾後のパネルを所定寸法に切断し、
当該パネル上の塗布材が所定の接着性・表面強度を有することを検査し、
当該検査に合格したものを完成品として得る
建材パネルの製造方法。
【請求項4】
前記接着性・表面強度の検査は、完成品として得られた建材パネルを切断し、切断片に衝撃を与えた際の塗布材のこぼれ・剥がれの程度に基づくことを特徴とする請求項3に記載の建材パネルの製造方法。
【請求項5】
建材パネルの製造方法であって、
施工対象壁面に応じた所定寸法の、石膏にガラス繊維を混入した芯材の表裏面付近において当該表裏面に沿ってガラス繊維不織布を埋設した可撓性を有する石膏ボードからなるパネル基材を準備し、
下記の配合で混合された塗布材料を混錬して、モルタル材料を作製し、
セメント材料:700重量部
骨材:700重量部
水:290重量部
酢酸ビニル系樹脂からなるバインダー:116~174重量部
前記パネル基材表面に前記モルタル材料を厚さ0.1~3.0mmで塗布し、乾燥させ、
当該塗布層の上面に、UV印刷により石材調の装飾を施し、
前記装飾後のパネルを所定寸法に切断し、
当該パネル上の塗布材が所定の接着性・表面強度を有することを検査し、
当該パネルを所定の曲率半径で曲げた際に、当該パネル上の塗布材が所定の曲げ性能を有することを検査し、
当該2つの検査に合格したものを完成品として得る
建材パネルの製造方法。
【請求項6】
前記接着性・表面強度の検査は、完成品として得られた建材パネルを切断し、切断片に衝撃を与えた際の塗布材のこぼれ・剥がれの程度に基づくものであり、
前記曲げ性能の検査は、完成品として得られた建材パネルを所定の曲率半径まで曲げた際の塗布材表面のひび割れ、脱落、欠けの程度に基づくものであることを特徴とする請求項5に記載の建材パネルの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル状の基材の表面にセメント、樹脂等からなる塗り材を塗布した建材パネルに関するものである。さらには、その建材パネル表面に石材調の装飾を施した建材パネルに関するものである。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
建築物の壁面は、セメントに骨材、砂、水等を混合したスラリー状のモルタルを塗布(左官工事)し、自然乾燥させる工法が一般的であった(湿式工法)。
一方で、所定寸法の板状部材の表面に予めこれらを塗布して乾燥・固定させた乾式建材パネル(装飾パネル)を現場に持ち込んで施工する工法も採用されている。建材表面が塗り上がった状態で製品として流通するため、湿式工法に比べると外壁内壁問わず施工が容易で施工期間が短いという利点、並びに、建材表面の仕上り具合が施工前に確認できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2018-506491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乾式建材パネルには、以下の2つないし3つの性能が求められる。
(A)接着性・表面強度
パネル基材とその上に塗られる材料との接着性(剥がれにくさ)と、塗布した表面にひび割れ、脱落、欠けなどが生じないような表面強度とが必要とされる。運搬・施工時に受ける振動等にも耐え得る接着性・表面強度が求められる。パネル基材の材質と必要な接着性・表面強度の程度に応じて、無機材料・有機材料のバインダーを適宜選定して利用する。
(B)不燃性
パネル基材及び塗布材料からなる建築材料として、可能な限り高い不燃性を有することが望ましく、法令等に規定する不燃材料、防火材料といった基準に適合することは尚好ましい。
上記(A)、(B)は、建材として必須の性能である。しかしながら、接着性・表面強度に優れる有機材料のバインダーを用いると不燃性が低下するというトレードオフの関係にある。また、これらの性能を保ちつつ、建材パネル表面の外観、意匠性を損なわないことも商品としては重要である。
(C)曲げ性能
平らな壁面のみならず、曲がった壁面にもモルタル仕上げを要する場合がある。この場合、あらかじめ施工する壁面に合った湾曲形状のパネル基材を用意して乾式建材パネルを作製することは技術的に可能であるが、採寸の精度や加工の手間といった問題から実用的な方法ではなかった。一方、柔軟性のある基材を用いて建材パネルを作製し、施工現場で壁面に沿った形状に湾曲させて施工する方法が考えられるが、塗布材料の接着性・表面強度が十分でないと、湾曲させた際に塗布したモルタルにひび割れ、脱落、欠けなどが生じてしまう恐れがある。これを防ぐためにバインダーを増量すれば、不燃性が低下するというトレードオフがある。また、パネル基材として、柔軟性がありかつ不燃性を有する材料はこれまで知られていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、以下の課題を解決することを目的とする。
(1)実用的な接着性及び表面強度、不燃性、意匠性を兼ね備えた乾式建材パネルを提供する。
(2)さらに、柔軟性のあるパネル基材を用いて、十分な曲げ性能及び不燃性を有し、非平面の壁面にも適用可能な乾式建材パネルを提供する。
(3)さらに、上記(1)、(2)の乾式建材パネル表面に石材調の装飾を施したものを提供する。石材調の建材パネルを提供するには、パネル基材に本石や擬石を薄くスライスしたものを貼り合わせる方法があるが、重量がかさむ上、強力な接着剤が必要なため不燃性を損なってしまう。パネル基材に石材調のセラミックシート、塩化ビニルシートなどを貼付する方法もあるが、本石より風合いが大幅に劣ってしまう。そこで、石材調の良好な風合いと不燃性を兼ね備えた石材調の建材パネルを提供する方法を模索した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記3つの課題を解決するため、本発明者は以下の知見を得た。
(1)セメントに水と酢酸ビニル系樹脂(酢酸ビニルエチレン共重合体;Ethylene-vinyl acetate, EVA)を所定範囲の割合で混合することにより、所望の接着性・表面強度、不燃性、意匠性を兼ね備えた建材パネルを作製できることを確認した。
(2)セメントに水と酢酸ビニル系樹脂(酢酸ビニルエチレン共重合体;Ethylene-vinyl acetate, EVA)を所定範囲の割合で混合することにより、不燃性の柔軟性のある基材に塗布してもなお、所望の接着性・表面強度、不燃性、曲げ性能、意匠性を兼ね備えた建材パネルを作製できることを確認した。
(3)また、上記(1)、(2)で作製した乾式建材パネル表面にUV印刷(紫外線硬化性インクを用いた印刷)で石材調の装飾を施すことで、本石を用いた場合に劣らない風合いを有し、かつ、軽量で不燃性ある石材調の建材パネルを簡単な工程で作製できることを確認した。
以下に、具体的な材料と配合について説明する。
【0007】
(1)第1の発明
パネル基材
ケイ酸カルシウム板を用いる。施工対象壁面に応じて所定寸法のものを用意する。
不燃性、軽量、耐湿性、加工容易、低価格といった利点がある。
セメント・骨材等
セメントは、ポルトランドセメント、白セメント等を混合して利用する。
骨材は、寒水石などを利用する。
バインダー
酢酸ビニル系樹脂を用いる。
以上の材料を所定割合で混合してパネル基材に塗布し乾燥・固定することで、所望の水準の接着性・表面強度、不燃性、意匠性を兼ね備えた乾式建材パネルを作製できることが確認された。
性能試験
製品としての信頼性担保のため、作製した乾式建材パネルのうち、パネル上の塗布材が所定の接着性・表面強度を有することを検査し、不良品を排除することとした。
(2)第2の発明
パネル基材
可撓性石膏ボードを用いる。石膏にガラス繊維を混入した芯材の表裏面付近にガラス繊維不織布を埋設したボードである。施工対象壁面に応じて所定寸法、所定曲率のものを用意する。
不燃性、軽量、加工容易といった利点がある。
セメント・骨材等
セメントは、ポルトランドセメント、白セメント等を混合して利用する。
骨材は、寒水石を利用する。
バインダー
酢酸ビニル系樹脂を用いる。
以上の材料を所定割合で混合してパネル基材に塗布し乾燥・固定することで、所望の水準の接着性・表面強度、不燃性、曲げ性能、意匠性を兼ね備えた乾式建材パネルを作製できることが確認された。
性能試験
製品としての信頼性担保のため、作製した乾式建材パネルのうち、パネル上の塗布材が所定の接着性・表面強度を有することを検査し、さらに所定の曲げ性能の検査し、不良品を排除することとした。
【0008】
(3)第3の発明
上記(1)、(2)で作製した乾式建材パネル表面にUV印刷(紫外線硬化性インクを用いた印刷)で石材調の装飾を施すことで、本石を用いた場合に劣らない、凹凸有する素材感ある風合いを有し、かつ、軽量で不燃性ある石材調の建材パネルを簡単な工程で作製できる。
UV印刷に用いるインクは建材パネル全体に比べると微量であり、UV印刷を施したことにより建材パネルの不燃性が損なわれることはない。
【発明の効果】
【0009】
以上、説明したように、本発明の建材パネルによれば、
(1)実用的な接着性及び表面強度、不燃性、意匠性を兼ね備えた乾式建材パネル
(2)さらに、柔軟性のあるパネル基材を用いて、十分な曲げ性能及び不燃性を有し、非平面の壁面にも適用可能な乾式建材パネル
(3)さらに、上記(1)、(2)の乾式建材パネル表面に石材調の装飾を施したもの
が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
可撓性石膏ボードの構造を示す図。
第1形態の試験体に塗布された材料の配合を示す表。
塗布材の接着性・表面強度、パネル全体の不燃性の試験結果を示す表。
第2実施形態の試験体に塗布された材料の配合を示す表。
塗布材の接着性・表面強度、パネル全体の不燃性、曲げ性能の試験結果を示す表。
【発明を実施するための最良の形態】
(【0011】以降は省略されています)

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