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公開番号2024099356
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-25
出願番号2023003241
出願日2023-01-12
発明の名称胃エストロゲン分泌能を評価するための検査
出願人公立大学法人和歌山県立医科大学
代理人個人,個人,個人
主分類G01N 33/68 20060101AFI20240718BHJP(測定;試験)
要約【課題】高中性脂肪血症に対する新しい対処アプローチを提供すること。
【解決手段】被検者に対して、中鎖脂肪酸を経口投与し、被検者における血液中のエストロゲン量の変化を調べることで、被検者における胃エストロゲン分泌能を評価する方法等に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
被検者に対して中鎖脂肪酸を経口投与し、被検者における血液中のエストロゲン量の変化を調べることで、被検者における胃エストロゲン分泌能を評価する方法。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
中鎖脂肪酸が、中鎖中性脂肪に由来する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
血液中のエストロゲンおよびケトン体、ならびに中性脂肪および/または遊離脂肪酸の量の変化を調べる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
(1a)被検者から血液を採取し、
(2a)該被検者に中鎖脂肪酸を経口投与し、
(3a)投与後、血液中のエストロゲンがピークとなる時間の経過後、該被検者から血液を採取し、
(4a)(1a)と(3a)で採取した血液中のエストロゲンおよびケトン体、ならびに中性脂肪および/または遊離脂肪酸をそれぞれ測定し、そして
(5a)投与した中鎖脂肪酸量あるいは(4a)で測定した血液中のケトン体の増加量を用いて標準化したエストロゲン値の上昇、および中性脂肪値および/または遊離脂肪酸値の低下の程度を指標に胃エストロゲン分泌能を評価する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
中鎖脂肪酸が、中鎖中性脂肪に由来する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
(3a)における血中エストロゲンがピークとなる時間が、30分である、請求項4記載の方法。
【請求項7】
(1b)請求項1から6のいずれか記載の方法により、被検者における胃エストロゲン分泌能を評価し、
(2b)評価した胃エストロゲン分泌能が低下している被検者を、胃エストロゲン分泌能低下性高中性脂肪血症を有する被検者と判定する、胃エストロゲン分泌低下性高中性脂肪血症を有する被検者の選別方法。
【請求項8】
高脂血症が高中性脂肪血症である、請求項7記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
体の脂質量を調節するメカニズムとして、(1)含有脂質量に応じて脂肪組織がレプチンを分泌する脂質貯蔵量の監視、(2)小腸が吸収した脂肪を感知して各種ホルモンを分泌する脂質取込み量の監視、および(3)胃が空腹になるとグレリンを分泌する空腹状態の監視、を行うことで、摂食行動や脂肪の合成、蓄積および消費を調節することが知られている。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
体の脂質量に関連し、上記メカニズム以外に、血液中の中性脂肪値には正常値があり、それが高いと動脈硬化が、低いと心臓のエネルギー不足を引き起こす。そのため、血中中性脂肪値を適正な範囲に調節するメカニズムがあると考えられる。しかし、血中中性脂肪値を監視する臓器や血中中性脂肪値が変化すると分泌されるホルモンや刺激される神経細胞は知られていなかった。そこで、本発明者らは、「血中中性脂肪値が上がると胃の胃酸分泌を担う壁細胞からのエストロゲン分泌が増え、それにより血中中性脂肪値を下げる」という血中中性脂肪濃度の調節モデルを発表した(非特許文献1)。このモデルによると、胃壁細胞からのエストロゲン分泌低下が高脂血症を引き起こすことが導かれる。この事象に関連し、ピロリ菌に感染すると胃酸低下が見られること(非特許文献2)、ピロリ菌感染後、ピロリ菌を除去できなかった人はピロリ菌を除去できた人と比べて血中中性脂肪値が高いこと(非特許文献3)、およびピロリ菌感染経験者はピロリ菌感染経験の無い人よりも血中中性脂肪値が高いこと(非特許文献4)が報告されている。それらを踏まえ、胃がピロリ菌に感染すると胃酸分泌の低下や高脂血症が引き起こされることが知られている。また、胃エストロゲン合成には男性ホルモンであるテストステロンが基質として使われるため、血中男性ホルモン値の低下も胃エストロゲン分泌の低下の原因となり得る。
【0003】
高脂血症とは、中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常をきたし、血液中の値が正常域をはずれた状態を指し、脂質代謝異常症とも称される。これは、動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を招く原因となる。高脂血症の診断基準は、総コレステロール、悪玉LDLコレステロール、または中性脂肪のいずれかが高いか、あるいは善玉HDLコレステロールが低いことがその基準とされている。しかし、総コレステロールが高い人のなかには、悪玉LDLコレステロールが正常であるが、善玉HDLコレステロールのみが高い場合も少なからず含まれているなど、脂質の状態は種々あり、従って、高脂血症の原因も多様である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Ito et al, Commun Biol,4:1364 2021
Waldum et al., Ther Adv Gastroenter, 9:836, 2016
Adachi et al., J Clin Biochem Nutr, 62:17, 2018
Shimamoto et al., PLOS ONE, 15: e0234433, 2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今まで、健康診断によって高脂血症と判断されたとしても、更年期障害を除けば、大半は原因不明であり、対処法は食事の減量を目指した食事指導による経過観察が中心であった。
なお、高脂血症は中性脂肪以外にもコレステロールが高い場合を含めた病態を指すが、血中中性脂肪が高い場合、「高中性脂肪血症」と称される。「高中性脂肪血症」は、体のエネルギー源の一つである血液中の中性脂肪の値が高くなる脂質異常症の一つであり、中性脂肪が過剰になると脂肪肝、肥満、動脈硬化の原因となる。
本発明は、胃エストロゲン分泌の低下に起因する高中性脂肪血症を「胃エストロゲン分泌低下性高中性脂肪血症」と名付け、高中性脂肪血症の新たな診断技術を提供し、それに基づき、高中性脂肪血症に対して、今までの減量という守りの食事指導に、「胃エストロゲン分泌能」に応じた食材を積極的に追加するという攻めの食事指導を加える、より効果的な高中性脂肪血症に対する新しい対処アプローチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、被検者に対して、中性脂肪の静脈注射でなく、中鎖脂肪酸を経口投与し、被検者における血液中のエストロゲン量の変化を調べることで、被検者における胃エストロゲン分泌能を評価できることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
したがって、本発明は、以下の態様を含む。
<胃エストロゲン分泌能を測定する方法>
[1]
被検者に対して中鎖脂肪酸を経口投与し、被検者における血液中のエストロゲン量の変化を調べることで、被検者における胃エストロゲン分泌能を評価する方法。
[2]
中鎖脂肪酸が、中鎖中性脂肪に由来する、[1]記載の方法。
[3]
血液中のエストロゲンおよびケトン体、ならびに中性脂肪および/または遊離脂肪酸の量の変化を調べる、[1]または[2]記載の方法。
[4]
(1a)被検者から血液を採取し、
(2a)該被検者に中鎖脂肪酸を経口投与し、
(3a)投与後、血液中のエストロゲンがピークとなる時間の経過後、該被検者から血液を採取し、
(4a)(1a)と(3a)で採取した血液中のエストロゲンおよびケトン体、ならびに中性脂肪および/または遊離脂肪酸をそれぞれ測定し、そして
(5a)投与した中鎖脂肪酸量あるいは(4a)で測定した血液中のケトン体の増加量を用いて標準化したエストロゲン値の上昇、および中性脂肪値および/または遊離脂肪酸値の低下の程度を指標に胃エストロゲン分泌能を評価する、[1]記載の方法。
[5]
中鎖脂肪酸が、中鎖中性脂肪に由来する、[4]記載の方法。
[6]
(3a)における血中エストロゲンがピークとなる時間が、30分である、[4]記載の方法。
<患者の選別方法>
[7]
(1b)[1]から[6]のいずれか記載の方法により、被検者における胃エストロゲン分泌能を評価し、
(2b)評価した胃エストロゲン分泌能が低下している被検者を、胃エストロゲン分泌能低下性高中性脂肪血症を有する被検者と判定する、胃エストロゲン分泌低下性高中性脂肪血症を有する被検者の選別方法。
[8]
高脂血症が高中性脂肪血症である、[7]記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、胃エストロゲンによる血中中性脂肪値調節モデルを示す模式図である。
図2は、正常ラットおよび胃壁細胞減少モデルラットにおける胃壁細胞マーカーであるATP4B(プロトンポンプβ鎖)とアロマターゼ(エストロゲン合成酵素)の免疫組織染色の結果である。図中、黒く染まっているのは胃粘膜(破線で囲まれた部分)におけるATP4Bおよびアロマターゼを発現する細胞である。
図3は、ラットに中鎖脂肪酸で構成される中性脂肪を経口投与した際の血中のエストロゲン、中性脂肪、ケトン体および遊離脂肪酸の濃度の経時変化を示すグラフである。実線は、MCTオイルを投与した結果、破線は、水を投与した結果(対照)である。個体数 = 6。平均 ± 標準偏差でそれぞれ、有意差が認められた。
図4は、単離胃粘膜におけるテストステロン存在下での中鎖脂肪酸(C10)によるエストロゲン産生を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<胃エストロゲン分泌能を測定する方法>
本発明は、ひとつの形態として、被検者に対して中鎖脂肪酸を経口投与し、被検者における血液中のエストロゲン量の変化を調べることで、被検者における胃エストロゲン分泌能を評価する方法に関する。
【0010】
血糖値を調節するメカニズムとして、血糖値が高いと膵臓からインスリンが、低いとグルカゴンが分泌され、これらが肝臓等に作用して血糖値を適正な範囲に調節することが知られている。
(【0011】以降は省略されています)

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