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公開番号2024097731
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-19
出願番号2023009719
出願日2023-01-06
発明の名称電気抵抗溶接用電極
出願人個人
代理人
主分類B23K 11/30 20060101AFI20240711BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】進退部材が容易に傾斜しないようにするとともに、ガイドピンとロボット装置のチャック機構の間の鋼板に弾性変形をおこさせること。
【解決手段】ガイドピン20が、主円筒部8のガイド孔15に挿入された摺動部材22と一体化されて、進退部材23が構成され、鋼板部品2の端部をロボット装置44のチャック機構45で強固に保持するように構成され、ガイドピン20に傾斜部21が形成され、キャップ部9に配置された合成樹脂材料製の支持板16に、ガイドピン20が貫通する通孔17が設けられ、ガイドピン20は、その外周面が通孔17の内周面を擦りながら進退できるように、ガイドピン20の外径寸法と通孔17の内径寸法が設定されていることによって、進退部材23が、電極の中心軸線O-Oに対して実質的に傾斜変位をしないように構成し、ガイドピン20とチャック機構45間の鋼板部品2に曲げ方向または伸び方向の弾性変形を発生させるように構成した。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
鋼板部品が載置される電極本体が、少なくとも主円筒部とそれに一体化されているキャップ部によって構成され、
前記キャップ部は、前記主円筒部に一体化される断面円形の筒状部と、前記電極本体の蓋部材としての機能を果たすとともに前記鋼板部品が載置される端部材によって構成され、
前記端部材から突き出ている断面円形のガイドピンが、前記主円筒部に形成したガイド孔に摺動可能な状態で挿入された摺動部材と一体化されて、進退部材が構成され、
前記鋼板部品の端部をロボット装置のチャック機構で強固に保持するように構成され、
前記鋼板部品が電極本体に載置されるときに、前記ガイドピンが相対的に貫通する下孔が前記鋼板部品に形成されており、
前記ガイドピンの先端部にガイドピンの先端に向かってその直径が徐々に小さくなる傾斜部が形成され、
前記キャップ部の奥部に配置されているとともに合成樹脂材料製とされた支持板に、前記ガイドピンが貫通する断面円形の通孔が設けられ、
前記ガイドピンは、その外周面が前記通孔の内周面を擦りながら進退できるように、前記ガイドピンの外径寸法と前記通孔の内径寸法が設定されていることによって、前記進退部材が、電極の中心軸線に対して実質的に傾斜変位をしないように構成し、
ロボット装置の動作で前記鋼板部品の下孔内周部が前記傾斜部に接触した後、前記鋼板部品の自重で前記下孔内周部が前記傾斜部を擦りながら鋼板部品が前記端部材上に載置されるとき、前記ガイドピンは実質的に傾斜変位をすることなく、前記ガイドピンと前記チャック機構間の鋼板部品に曲げ方向または伸び方向の弾性変形を発生させて、前記ガイドピンが相対的に前記下孔を貫通して前記鋼板部品が前記端部材上に載置されるように構成したことを特徴とする電気抵抗溶接用電極。
続きを表示(約 220 文字)【請求項2】
前記ガイド孔に冷却空気を送り込む通気口が前記主円筒部に設けられ、前記摺動部材に空気通路が形成され、前記ガイドピンの外周面が前記通孔の内周面を擦りながら進退する状態における通気空隙が存置され、
前記支持板は円盤型の形状とされ、その外径寸法は、前記キャップ部の筒状部の内径寸法よりも小さく設定されていることによって、前記支持板の一部が前記キャップ部内の空間に突き出た状態で露出している請求項1記載の電気抵抗溶接用電極。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、電極本体から突き出ているガイドピンと、電極本体内を摺動する摺動部材によって進退部材が形成され、この進退部材の位置状態を改善して、鋼板部品に所要の弾性変形を起こさせる電気抵抗溶接用電極に関している。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
特開平10-118775号公報には、プロジェクションナットを鋼板部品に溶接する電気抵抗溶接用電極が記載され、ガイドピンと摺動部材が一体化された進退部材が、電気抵抗溶接用電極の電極本体内に収容され、しかも、ガイドピンの一部が電極本体から突き出ていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平10-118775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電極においては通常、ロボット装置に保持された自動車のフロアパネルのような鋼板部品を電極本体の上面に載置するのであるが、鋼板部品に開けた下孔の中心軸線と電極ガイドピンの中心軸線が合致した状態で鋼板部品を電極本体側へ移動して、ガイドピンが相対的に下孔を貫通することが求められ、これが実現することによって、プロジェクションナットが下孔と同心状態またはそれと同等の状態で鋼板部品に溶接される。
【0005】
しかしながら、図5に示すように、フロアパネル50に開けた例えば直径5mm程度の下孔51をガイドピン52と同軸状態にすることは、ロボット装置53の動作制御の面から精度的に困難である。このように困難にしている要因は、フロアパネル50のような大型の鋼板部品であると、自重により撓み変形が発生してガイドピン52に対する下孔51の位置にずれが発生するものと考えられる。下孔51とガイドピン52が偏心している状態で鋼板部品50を電極端面側に移動させると、下孔51の内周面がガイドピン52に強く擦りつけられて、ガイドピン52を傾斜させたまま鋼板部品50が電極本体の載置面54に置かれることとなる(図5(A)参照)。特許文献1記載の構造においては、ガイドピン52と摺動部材からなる進退部材は、摺動部材の部分だけが電極のガイド孔を摺動する構造であるため、ガイドピン52に上述のような外力が作用したときに、ガイドピン52が傾斜してしまう、という問題がある。
【0006】
プロジェクションナットを鋼板部品に溶接する場合であれば、上記のように下孔に対してガイドピンが傾斜して偏心していると、図5(B)に示すように、プロジェクションナットのねじ孔が下孔51からずれた偏心位置に溶接されることとなる。以下、本明細書において、プロジェクションナットを単にナットと表現する場合がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、ガイドピンと摺動部材からなる進退部材が収容された電気抵抗溶接用電極において、ガイドピンに鋼板部品の一部が接触しても、進退部材が容易に傾斜しないようにするとともに、ガイドピンとロボット装置のチャック機構の間の鋼板に弾性変形をおこさせることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、
鋼板部品が載置される電極本体が、少なくとも主円筒部とそれに一体化されているキャップ部によって構成され、
前記キャップ部は、前記主円筒部に一体化される断面円形の筒状部と、前記電極本体の蓋部材としての機能を果たすとともに前記鋼板部品が載置される端部材によって構成され、
前記端部材から突き出ている断面円形のガイドピンが、前記主円筒部に形成したガイド孔に摺動可能な状態で挿入された摺動部材と一体化されて、進退部材が構成され、
前記鋼板部品の端部をロボット装置のチャック機構で強固に保持するように構成され、
前記鋼板部品が電極本体に載置されるときに、前記ガイドピンが相対的に貫通する下孔が前記鋼板部品に形成されており、
前記ガイドピンの先端部にガイドピンの先端に向かってその直径が徐々に小さくなる傾斜部が形成され、
前記キャップ部の奥部に配置されているとともに合成樹脂材料製とされた支持板に、前記ガイドピンが貫通する断面円形の通孔が設けられ、
前記ガイドピンは、その外周面が前記通孔の内周面を擦りながら進退できるように、前記ガイドピンの外径寸法と前記通孔の内径寸法が設定されていることによって、前記進退部材が、電極の中心軸線に対して実質的に傾斜変位をしないように構成し、
ロボット装置の動作で前記鋼板部品の下孔内周部が前記傾斜部に接触した後、前記鋼板部品の自重で前記下孔内周部が前記傾斜部を擦りながら鋼板部品が前記端部材上に載置されるとき、前記ガイドピンは実質的に傾斜変位をすることなく、前記ガイドピンと前記チャック機構間の鋼板部品に曲げ方向または伸び方向の弾性変形を発生させて、前記ガイドピンが相対的に前記下孔を貫通して前記鋼板部品が前記端部材上に載置されるように構成したことを特徴とする電気抵抗溶接用電極である。
【0009】
請求項2記載の発明は、
前記ガイド孔に冷却空気を送り込む通気口が前記主円筒部に設けられ、前記摺動部材に空気通路が形成され、前記ガイドピンの外周面が前記通孔の内周面を擦りながら進退する状態における通気空隙が存置され、
前記支持板は円盤型の形状とされ、その外径寸法は、前記キャップ部の筒状部の内径寸法よりも小さく設定されていることによって、前記支持板の一部が前記キャップ部内の空間に突き出た状態で露出している請求項1記載の電気抵抗溶接用電極である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明においては、
進退部材が、キャップ部の端部材から突き出ている断面円形のガイドピンと、主円筒部に形成したガイド孔に摺動可能な状態で挿入された摺動部材が一体化されて構成され、ガイドピンは、その外周面がキャップ部内の支持板に開けられた通孔の内周面を擦りながら進退できるように、ガイドピンの外径寸法と通孔の内径寸法が設定されていることによって、進退部材が、電極の中心軸線に対して実質的に傾斜変位をしないように構成されている。ガイドピンの外径寸法と通孔の内径寸法の差は、ガイドピンを直径方向にがたつかせても、カタカタといった隙間感覚を感じないレベルまで詰められている。つまり、ガイドピンの外周面と通孔の内周面との間には、実質的に隙間がなくて摺動できる状態とされている。
(【0011】以降は省略されています)

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