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公開番号2024087798
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-01
出願番号2023212643
出願日2023-12-18
発明の名称エンジンに用いられるピストン
出願人ヤマハ発動機株式会社
代理人弁理士法人ATEN
主分類F02F 3/00 20060101AFI20240624BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】ピストン1は、ピストン頂部壁10に作用する燃焼圧による応力の平準化とスラスト力に対するピストン1の強度の確保を両立しながら軽量化する。
【解決手段】ピストン1は、一対のピンボス連結部50、ピストンリング支持部60および一対のサイドウォール部70を有する。ピストン1は、スラスト側部11が、反スラスト側部12と比較して、一対のピンボス連結部50のスラスト方向長さが長く、一対のサイドウォール部70の肉厚が厚く、ピストンリング支持部60のピストン頂部壁と一対のピストンスカート壁の間の部分の肉厚が薄くなり、反スラスト側部12が、スラスト側部11と比較して、一対のピンボス連結部50のスラスト方向長さが短く、一対のサイドウォール部70の肉厚が薄く、ピストンリング支持部60のピストン頂部壁10と一対のピストンスカート壁40の間の部分の肉厚が厚くなるように形成される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
シリンダ孔内に配置され、燃焼室からの燃焼圧を受ける円柱状のピストン頂部壁と、
ピストンピンが挿入される一対のピンボス部と、
前記シリンダ孔の内壁に沿って形成され、前記シリンダ孔の内壁からスラスト力を受ける一対のピストンスカート壁であって、前記一対のピストンスカート壁のうちの一方のピストンスカート壁であって、エンジンが往復運動する際に他方のピストンスカート壁より大きい前記スラスト力を受けるスラスト側のピストンスカート壁と、前記一対のピストンスカート壁のうちの他方のピストンスカート壁である反スラスト側のピストンスカート壁とからなる前記一対のピストンスカート壁と、
前記一対のピンボス部と前記ピストン頂部壁との間に位置する一対のピンボス連結部と、
少なくとも1つのピストンリングを支持する少なくとも1つのピストンリング溝が形成され、ピストン頂部壁の周縁部に接続されるピストンリング支持部と、
前記一対のピンボス部と前記一対のピストンスカート壁との間に位置する一対のサイドウォール部と、
を備えたエンジンに用いられるピストンであって、
前記ピストンピンの中心軸線を通り前記ピストン頂部壁の中心軸線であるピストン軸線に平行な第1平面で前記ピストンを2分割した場合に、前記スラスト側の前記ピストンスカート壁を含む一方の前記ピストンの部分をスラスト側部と定義し、前記反スラスト側の前記ピストンスカート壁を含む他方の前記ピストンの部分を反スラスト側部と定義すると、
前記一対のピンボス連結部は、前記スラスト方向の最大長さが、前記一対のピンボス部の前記第1平面に直交するスラスト方向の最大長さよりも長くなるように形成され、
前記スラスト側部は、前記反スラスト側部と比較して、前記一対のサイドウォール部の肉厚が厚く、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンリング支持部の肉厚が薄く、前記一対のピンボス連結部の前記スラスト方向の最大長さが長くなるように形成されており、
前記反スラスト側部は、前記スラスト側部と比較して、前記一対のサイドウォール部の肉厚が薄く、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンリング支持部の肉厚が厚く、前記一対のピンボス連結部の前記スラスト方向の最大長さが短くなるように形成されることを特徴とするエンジンに用いられるピストン。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記スラスト側部は、前記反スラスト側部と比較して、前記一対のサイドウォール部の肉厚が厚く、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンリング支持部の肉厚が薄く、前記一対のピンボス連結部の前記スラスト方向の最大長さが長く、前記一対のピンボス連結部の前記ピストンピンの中心軸線に平行なピストンピン方向の最大長さが短くなるように形成され、
前記反スラスト側部は、前記スラスト側部と比較して、前記一対のサイドウォール部の肉厚が薄く、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンリング支持部の肉厚が厚く、前記一対のピンボス連結部の前記スラスト方向の最大長さが短く、前記一対のピンボス連結部の前記ピストンピン方向の最大長さが長くなるように形成されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンに用いられるピストン。
【請求項3】
前記ピストンリング支持部は、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分が、前記反スラスト側部よりも前記スラスト側部の肉厚が薄くなるように形成されると共に、前記スラスト側部および前記反スラスト側部の両方とも、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンの周方向中央部の肉厚が、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンの周方向両端部の各々の肉厚よりも厚くなるように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンに用いられるピストン。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンに用いられるピストンに関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、エンジンに用いられるピストンがある。エンジンに用いられるピストンは、燃焼圧がピストン頂部壁に作用することで往復運動する。その際、ピストンのピストンスカート壁にはシリンダ孔の内壁からスラスト力が作用する。特に、スラスト側部には、反スラスト側部よりも大きいスラスト力が作用する。また、ピストン頂部壁には、燃焼圧による応力が作用する。
【0003】
そのため、エンジンに用いられるピストンは、燃焼圧により作用する応力やスラスト力に対する強度の確保が求められる。また、エンジンに用いられるピストンは、軽量化することが望まれている。例えば、特許文献1は、強度を確保しつつ、軽量化したエンジンに用いられるピストンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2014-062507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、燃焼圧による応力は、ピストン頂部壁の一部に集中して作用する。エンジンに用いられるピストンは、さらに、ピストン頂部壁に作用する燃焼圧による応力の平準化が望まれている。
【0006】
本発明は、エンジンに用いられるピストンにおいて、ピストン頂部壁に作用する燃焼圧による応力の平準化とスラスト力に対するピストンの強度の確保を両立しながら、ピストンを軽量化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一実施形態のエンジンに用いられるピストンは、以下の構成を有する。
シリンダ孔内に配置され、燃焼室からの燃焼圧を受ける円柱状のピストン頂部壁と、ピストンピンが挿入される一対のピンボス部と、前記シリンダ孔の内壁に沿って形成され、前記シリンダ孔の内壁からスラスト力を受ける一対のピストンスカート壁であって、前記一対のピストンスカート壁のうちの一方のピストンスカート壁であって、エンジンが往復運動する際に他方のピストンスカート壁より大きい前記スラスト力を受けるスラスト側のピストンスカート壁と、前記一対のピストンスカート壁のうちの他方のピストンスカート壁である反スラスト側のピストンスカート壁とからなる前記一対のピストンスカート壁と、前記ピンボス部と前記ピストン頂部壁との間に位置する一対のピンボス連結部と、前記ピストン頂部壁の周縁部に接続されて、少なくとも1つのピストンリングを支持する少なくとも1つのピストンリング溝が形成されるピストンリング支持部と、前記一対のピンボス部と前記一対のピストンスカート壁との間に位置する一対のサイドウォール部と、を備えたエンジンに用いられるピストンであって、前記ピストンピンの中心軸線を通り前記ピストン頂部壁の中心軸線であるピストン軸線に平行な第1平面で前記ピストンを2分割した場合に、前記スラスト側の前記ピストンスカート壁を含む一方の前記ピストンの部分をスラスト側部と定義し、前記反スラスト側の前記ピストンスカート壁を含む他方の前記ピストンの部分を反スラスト側部と定義すると、前記一対のピンボス連結部は、前記スラスト方向の最大長さが、前記一対のピンボス部の前記第1平面に直交するスラスト方向の最大長さよりも長くなるように形成され、前記スラスト側部は、前記反スラスト側部と比較して、前記一対のサイドウォール部の肉厚が厚く、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンリング支持部の肉厚が薄く、前記一対のピンボス連結部の前記スラスト方向の最大長さが長くなるように形成されており、前記反スラスト側部は、前記スラスト側部と比較して、前記一対のサイドウォール部の肉厚が薄く、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンリング支持部の肉厚が厚く、前記一対のピンボス連結部の前記スラスト方向の最大長さが短くなるように形成されることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、ピストンは、燃焼圧がピストン頂部壁に作用することで往復運動する。その際、ピストンの一対のピストンスカート壁にはシリンダ孔の内壁からスラスト力が作用する。特に、スラスト側部には、反スラスト側部よりも大きいスラスト力が作用する。また、ピストン頂部壁には、燃焼圧による応力が作用する。燃焼圧による応力は、ピストン頂部壁の一部に集中して作用する。ピストン頂部壁は、一対のピンボス連結部により一対のピンボス部に接続される。そのため、従来は、ピストン頂部壁における一対のピンボス連結部が接続される部分に燃焼圧による応力が集中する。
この構成では、ピストン頂部壁と一対のピンボス部との間に位置する一対のピンボス連結部のスラスト方向の最大長さを、一対のピンボス部のスラスト方向の最大長さよりも長くしている。そのため、ピストン頂部壁から一対のピンボス連結部に作用する燃焼圧による応力を分散して、ピストン頂部壁に作用する燃焼圧による応力を平準化することができる。
そして、反スラスト側部と比較して、ピストンスカート壁に作用するスラスト力が大きいスラスト側部は、一対のサイドウォール部の肉厚が厚くなるように形成されることでスラスト側部の強度を確保し、一対のピンボス連結部のスラスト方向の長さを長くすることでスラスト側部のピンボス連結部の強度を確保できるため、ピストンリング支持部のピストン頂部壁とスラスト側のピストンスカート壁の間に位置する部分の肉厚が薄くなるよう形成されることでスラスト側部を軽量化している。スラスト側部と比較して、ピストンスカート壁に作用するスラスト力が小さいまたはスラスト力が作用しない反スラスト側部は、一対のサイドウォール部の肉厚が薄くなるように形成されることで反スラスト側部を軽量化する一方で、ピストンリング支持部のピストン頂部壁と反スラスト側のピストンスカート壁の間に位置する部分の肉厚が厚くなるように形成されることで反スラスト側部の強度を確保できるため、一対のピンボス連結部のスラスト方向の長さを短くすることにより一対のピンボス連結部を軽量化しつつ反スラスト側部のピストン頂部壁の強度の低下を抑制している。これにより、ピストン頂部壁に作用する燃焼圧による応力を平準化しつつ、スラスト力に対する強度を確保できる。また、スラスト側部のピストンリング支持部および反スラスト側部の一対のサイドウォール部の肉厚を薄くして、ピストンを軽量化することができる。
以上から、エンジンに用いられるピストンにおいて、ピストン頂部壁に作用する燃焼圧による応力の平準化とスラスト力に対するピストンの強度の確保を両立しながら、ピストンを軽量化できる。
なお、ピストンリング支持部のピストン頂部壁と一対のピストンスカート壁の間に位置する部分とは、ピストン軸線方向においてピストンリング支持部のピストン頂部壁と一対のピストンスカート壁の間に位置する部分を意味する。また、ピストン軸線方向においてピストンリング支持部のピストン頂部壁と一対のピストンスカート壁の間に位置する部分は、ピストン周方向において一対のピンボス連結部および一対のサイドウォール部の間に位置する部分、つまり、ピストン周方向において一対のピンボス連結部および一対のサイドウォール部のうちの一方から他方に至るまで位置するピストンリング支持部の部分である。
【0009】
(2)本発明の一実施形態のエンジンに用いられるピストンは、(1)の構成に加えて、以下の構成を有していてもよい。
前記スラスト側部は、前記反スラスト側部と比較して、前記一対のサイドウォール部の肉厚が厚く、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンリング支持部の肉厚が薄く、前記一対のピンボス連結部の前記スラスト方向の最大長さが長く、前記一対のピンボス連結部の前記ピストンピンの中心軸線に平行なピストンピン方向の最大長さが短くなるように形成され、前記反スラスト側部は、前記スラスト側部と比較して、前記一対のサイドウォール部の肉厚が薄く、前記ピストン頂部壁と前記一対のピストンスカート壁の間に位置する部分の前記ピストンリング支持部の肉厚が厚く、前記一対のピンボス連結部の前記スラスト方向の最大長さが短く、前記一対のピンボス連結部の前記ピストンピン方向の最大長さが長くなるように形成される。
【0010】
この構成によると、反スラスト側部と比較して、作用するスラスト力が大きいスラスト側部は、一対のピンボス連結部のスラスト方向の長さが長くなるように形成されることで、スラスト力に対するスラスト側部のピストンの強度を確保する一方で、一対のピンボス連結部のピストンピン方向の長さが短くなるように形成されることでピストンを軽量化している。スラスト側部と比較して、作用するスラスト力が小さいまたはスラスト力が生じない反スラスト側部は、一対のピンボス連結部のスラスト方向の長さが短くなるように形成されることでピストンを軽量化する一方で、一対のピンボス連結部のピストンピン方向の長さが長くなるように形成されることで、スラスト力に対するピストンの強度を確保している。
以上から、エンジンに用いられるピストンにおいて、ピストン頂部壁に作用する燃焼圧による応力の平準化とスラスト力に対するピストンの強度の確保の向上を両立しながら、ピストンをより軽量化できる。
(【0011】以降は省略されています)

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