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公開番号2024086356
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-27
出願番号2022201445
出願日2022-12-16
発明の名称ゲルめっきシステム及びゲルめっき方法
出願人株式会社日立製作所
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類C25D 5/02 20060101AFI20240620BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】健全なめっき層を形成できるゲルめっきシステム及びゲルめっき方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るゲルめっきシステム1は、めっき対象物10に接触させる陰極端子3と、前記めっき対象物10の表面に接触するとともに、前記めっき対象物10の表面にめっき層12を形成させるための金属又は金属イオンを含有するゲルめっき組成物11に接触させる陽極2と、前記陽極2と前記陰極端子3との間に定電流のパルス電流を印加する定電流パルス印加装置4と、前記ゲルめっき組成物11に関するゲルめっきデータが格納されたデータベースDBを備えるとともに、前記ゲルめっきデータに基づいて水素ガスが発生しないように前記パルス電流の条件を設定し、前記条件により前記定電流パルス印加装置4を制御する制御装置5と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
めっき対象物に接触させる陰極端子と、
前記めっき対象物の表面に接触するとともに、前記めっき対象物の表面にめっき層を形成させるための金属又は金属イオンを含有するゲルめっき組成物に接触させる陽極と、
前記陽極と前記陰極端子との間に定電流のパルス電流を印加する定電流パルス印加装置と、
前記ゲルめっき組成物に関するゲルめっきデータが格納されたデータベースを備えるとともに、前記ゲルめっきデータに基づいて水素ガスが発生しないように前記パルス電流の条件を設定し、前記条件にしたがって前記定電流パルス印加装置を制御する制御装置と、
を備える
ことを特徴とするゲルめっきシステム。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
請求項1に記載のゲルめっきシステムにおいて、
前記条件は、前記パルス電流を印加することによって上昇する電位が水素発生電位に到達する前、又は到達したときに前記パルス電流の印加を停止し、前記電位が金属析出電位以下に低下した後、再度、前記パルス電流を印加するという操作を前記定電流パルス印加装置に繰り返し行わせる
ことを特徴とするゲルめっきシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のゲルめっきシステムにおいて、
前記データベースは、前記めっき対象物の材質に関する材質データを格納しており、
前記制御装置は、前記材質データ及び前記条件に基づいて、水素発生量及び水素発生速度のうちの少なくとも一方の予測を行い、前記予測に基づいて水素が発生しないように前記条件の調整を行う
ことを特徴とするゲルめっきシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のゲルめっきシステムにおいて、
前記制御装置が、めっきを行う範囲及び量を決定する決定手段を備えている
ことを特徴とするゲルめっきシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のゲルめっきシステムにおいて、
前記陰極端子及び前記陽極と、前記定電流パルス印加装置と、の間に、電位を測定する電位計を備えており、
前記制御装置は、前記電位計によって測定される電位が水素発生電位に到達する前、又は到達したときに前記パルス電流の印加を停止し、前記電位が金属析出電位以下に低下した後、再度、前記パルス電流を印加するという操作を前記定電流パルス印加装置に繰り返し行わせる
ことを特徴とするゲルめっきシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のゲルめっきシステムにおいて、
前記めっき層はめっき粒子で形成され、かつ前記めっき層は複数層積層して形成される
ことを特徴とするゲルめっきシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のゲルめっきシステムにおいて、
前記複数層積層して形成されるめっき層は、一層につき0.1μm以下の厚さである
ことを特徴とするゲルめっきシステム。
【請求項8】
めっき対象物に接触させる陰極端子と、前記めっき対象物の表面に接触するとともに、前記めっき対象物の表面にめっき層を形成させるための金属又は金属イオンを含有するゲルめっき組成物に接触させる陽極と、前記陽極と前記陰極端子との間に定電流のパルス電流を印加する定電流パルス印加装置と、前記定電流パルス印加装置を制御する制御装置と、を備えるゲルめっきシステムを用いてゲルめっきを行うゲルめっき方法において、
前記制御装置が、
前記ゲルめっき組成物に関するゲルめっきデータが格納されたデータベースから前記ゲルめっきデータを読み出す読み出しステップと、
読み出した前記ゲルめっきデータに基づいて水素ガスが発生しないように前記パルス電流の条件を設定する設定ステップと、
設定した前記条件にしたがって前記定電流パルス印加装置を制御する制御ステップと、
を行う
ことを特徴とするゲルめっき方法。
【請求項9】
請求項8に記載のゲルめっき方法において、
前記条件は、前記パルス電流を印加することによって上昇する電位が水素発生電位に到達する前、又は到達したときに前記パルス電流の印加を停止し、前記電位が金属析出電位以下に低下した後、再度、前記パルス電流を印加するという操作を前記定電流パルス印加装置に繰り返し行わせる
ことを特徴とするゲルめっき方法。
【請求項10】
請求項8に記載のゲルめっき方法において、
前記データベースは、前記めっき対象物の材質に関する材質データを格納しており、
前記制御装置は、少なくとも前記設定ステップの前に、前記材質データ及び前記条件に基づいて、水素発生量及び水素発生速度のうちの少なくとも一方の予測を行う予測ステップを行い、
前記設定ステップは、前記予測に基づいて水素が発生しないように前記条件の調整を行う
ことを特徴とするゲルめっき方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲルめっきシステム及びゲルめっき方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
めっき技術の一つにゲルめっき技術がある。ゲルめっき技術は、ゲル化しためっき液を任意の形状に塗布することでパターニングを行い、複雑なマスキングや設備を使用しなくても部分めっきを行うことができる。ゲルめっき技術に関して、例えば、特許文献1が提案されている。
【0003】
当該特許文献1には、被めっき物上にゲル状のめっき組成物を塗布し、該ゲル状のめっき組成物を電解質溶液中に浸漬し、該電解質溶液中にアノードを浸漬し、上記被めっき物をカソードとして又はゲル状のめっき組成物にカソードを接触させて、上記ゲル状のめっき組成物中のめっき金属イオンを、上記電解質溶液を介して電解還元することにより、上記被めっき物上にめっき皮膜を形成することを特徴とするゲルめっき方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-145502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のゲルめっき方法をはじめとする従来のゲルめっき技術では、めっき中に被めっき物(めっき対象物)からゲルが剥離したり、めっき対象物とゲルとの間にボイドが発生したりして、健全なめっき層が形成されないことがあった。
【0006】
本発明は前記状況に鑑みてなされたものである。本発明の課題は、健全なめっき層を形成できるゲルめっきシステム及びゲルめっき方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決した本発明に係るゲルめっきシステムは、めっき対象物に接触させる陰極端子と、前記めっき対象物の表面に接触するとともに、前記めっき対象物の表面にめっき層を形成させるための金属又は金属イオンを含有するゲルめっき組成物に接触させる陽極と、前記陽極と前記陰極端子との間に定電流のパルス電流を印加する定電流パルス印加装置と、前記ゲルめっき組成物に関するゲルめっきデータが格納されたデータベースを備えるとともに、前記ゲルめっきデータに基づいて水素ガスが発生しないように前記パルス電流の条件を設定し、前記条件により前記定電流パルス印加装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、健全なめっき層を形成できるゲルめっきシステム及びゲルめっき方法を提供することができる。
前述した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
第1実施形態に係るゲルめっきシステム1の構成を示す概略構成図である。
ゲル化したNiめっき液中における炭素鋼の分極曲線を示すグラフである。同図中、横軸は電位[V vs.Ag/AgCl]であり、縦軸は電流密度[A dm
-2
]である。また、同図中、実線の「○」はNiの電流密度を示し、破線の「△」はH

の電流密度を示している。
第1実施形態における、定電流パルスを使用したゲルめっきシステム1に関する電流及び電位の時間変化を説明する説明図である。同図の上図は、電流-時間の変化曲線を示しており、下図は、上図と同じタイミングでの電位-時間の変化曲線を示している。
第1実施形態に係るゲルめっきシステム1によってめっき対象物10の表面に形成されためっき層12の様子を説明する模式断面図である。
第1実施形態に係るゲルめっきシステム1におけるパルス電流の条件設定の一例を説明するブロック図である。
第1実施形態に係るゲルめっき方法による制御装置5の処理内容の一例を説明するフローチャートである。
第2実施形態に係るゲルめっきシステム1Aの構成を示す概略構成図である。
第2実施形態における、定電流パルスを使用したゲルめっきシステム1Aに関する電流及び電位の時間変化を説明する説明図である。同図の上図は、電流-時間の変化曲線を示しており、下図は、上図と同じタイミングでの電位-時間の変化曲線を示している。
第1実施形態に係るゲルめっきシステム1におけるパルス電流の条件設定の一例を説明するブロック図である。
第2実施形態に係るゲルめっき方法による制御装置5の処理内容の一例を説明するフローチャートである。
比較例1~3における、定電流パルスを使用したゲルめっきシステムに関する電流及び電位の時間変化を説明する説明図である。同図の上図は、電流-時間の変化曲線を示しており、下図は、上図と同じタイミングでの電位-時間の変化曲線を示している。
比較例4における、定電流を印加し続けたゲルめっきシステムに関する電流及び電位の時間変化を説明する説明図である。同図の上図は、電流-時間の変化曲線を示しており、下図は、上図と同じタイミングでの電位-時間の変化曲線を示している。
ゲルめっきを行う際の条件が第1実施形態に係るゲルめっきシステム1の条件を満たさない場合(比較例1~4)におけるめっき層12Aの様子を説明する模式断面図である。なお、図13は、代表的に比較例4による単層のめっき層12Aを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態に係るゲルめっきシステム)
以下、適宜図面を参照して、本発明の一実施形態に係るゲルめっきシステム及びゲルめっき方法について詳細に説明する。参照する図面において、図1は、第1実施形態に係るゲルめっきシステム1の構成を示す概略構成図である。
図1に示すように、第1実施形態に係るゲルめっきシステム1は、陽極2と、陰極端子3と、定電流パルス印加装置4と、制御装置5と、を備えている。
(【0011】以降は省略されています)

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