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公開番号2024077356
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-07
出願番号2022189411
出願日2022-11-28
発明の名称胆管癌罹患可能性の評価方法
出願人国立大学法人浜松医科大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 33/92 20060101AFI20240531BHJP(測定;試験)
要約【課題】本発明は、胆汁を検体として、胆管癌の罹患可能性を、胆管狭窄をきたす良性疾患と鑑別して評価する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】胆管癌の罹患可能性を評価する方法であって、胆管癌の罹患が疑われる動物から採取された所定量の胆汁からエクソソームを分離回収する回収工程と、前記回収工程で得られたエクソソームのホスファチジルコリンの量を測定する測定工程と、前記測定工程で得られた測定値に基づいて、前記動物の胆管癌の罹患可能性を評価する評価工程と、を有する、胆管癌罹患可能性の評価方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
胆管癌の罹患可能性を評価する方法であって、
胆管癌の罹患が疑われる動物から採取された所定量の胆汁からエクソソームを分離回収する回収工程と、
前記回収工程で得られたエクソソームのホスファチジルコリンの量を測定する測定工程と、
前記測定工程で得られた測定値に基づいて、前記動物の胆管癌の罹患可能性を評価する評価工程と、
を有する、胆管癌罹患可能性の評価方法。
続きを表示(約 390 文字)【請求項2】
前記評価工程において、前記測定値が、予め設定された基準値よりも大きい場合に、前記動物は胆管癌を罹患している可能性が高いと評価する、請求項1に記載の胆管癌罹患可能性の評価方法。
【請求項3】
前記測定工程において、ホスファチジルコリンの量を、液体クロマトグラフィー質量分析法により測定する、請求項1に記載の胆管癌罹患可能性の評価方法。
【請求項4】
前記測定工程において、ホスファチジルコリンの量を、酵素蛍光定量法により測定する、請求項1に記載の胆管癌罹患可能性の評価方法。
【請求項5】
前記回収工程において、胆汁からのエクソソームの分離回収を、超遠心法により行う、請求項1に記載の胆管癌罹患可能性の評価方法。
【請求項6】
前記動物がヒトである、請求項1に記載の胆管癌罹患可能性の評価方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、胆汁を検体として、胆管癌を、胆管狭窄をきたす良性疾患と鑑別して検出する方法に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
胆管癌は、初期症状が乏しく、早期発見が困難な上に、化学療法抵抗性のため、5年生存率が7~20%と予後不良な悪性腫瘍である(非特許文献1)。また、胆管狭窄をきたす良性疾患との鑑別、具体的には、原発性硬化性胆管炎やIgG4関連硬化性胆管炎、術後胆管狭窄等との鑑別が困難であるという問題がある。例えば、胆管癌の術前診断として行われる非侵襲的な検査として、血液中の腫瘍マーカーであるCEAやCA19-9を測定することが行われているが、感度も特異度も低く、その有用性は限定的である。胆管狭窄の評価は、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像検査でもできるが、確定診断には至らない。確定診断のための正確な組織生検は、胆管の解剖学的特徴のため難しく、さらに、胆汁細胞診の感度は20%と満足のいくものではない。一方で、確定診断に至らず手術を行った結果、術後病理診断で胆管癌ではなく良性胆管狭窄と分かることがある。このように、胆管癌と胆管狭窄をきたす良性疾患とを鑑別することは極めて重要であるものの、未だ問題点が多い状況である。
【0003】
一方で、被験者の負担軽減の点から、目的の疾患の発症の有無の検出や発症の可能性の評価は、できるだけ低侵襲なサンプルから調べられることが好ましい。そこで、侵襲性の低さから、血液や尿などの体液を用いた検査であるリキッドバイオプシーによる癌検査が試みられている。その候補として、血中循環腫瘍細胞(CTC)やセルフリー核酸、エクソソームが注目されている。しかし、CTCは、血液中のEpCAM(上皮細胞接着因子)陽性の細胞を癌細胞として検出しているが、その検出率は25%程度と低い(非特許文献2)。また、血漿中のセルフリー核酸をバイオマーカーとした癌検査も試みられているが、セルフリー核酸は、アポトーシスやネクローシスを通じて血中に流出したものであるため、早期癌には不向きである(非特許文献3)。
【0004】
全ての細胞は、エクソソーム(exosome)と呼ばれる脂質二重膜に包まれた細胞外小胞を分泌していると言われている。このエクソソームの中には、細胞由来のタンパク質、核酸、脂質などの様々な生体成分が含まれており、様々な疾患のバイオマーカーとして注目されている。例えば、正常細胞から放出されるエクソソームと癌細胞から放出されるエクソソームは、脂質組成が異なると言われている(非特許文献4)。エクソソームは胆汁など多くの体液に含まれており、早期癌でも検出可能であって、感度・特異度も高いと言われている。さらに、胆汁は、既存の手技でもある内視鏡的逆行性胆管ドレナージチューブにより採取が可能な検体である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Blechacz,et al.,Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology,2011,vol.8(9),p.512-522.
Macias,et al.,Liver International, 2019, vol.39, p.108-122.
Rizzo,et al.,CANCER GENOMICS & PROTEOMICS, 2020, vol.17, p.441-452.
Skotland, et al., Progress in Lipid Research,2017,vol.66,p.30-41.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、胆汁を検体として、胆管癌の罹患可能性を、胆管狭窄をきたす良性疾患と鑑別して評価する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、胆管癌の患者群と、胆管結石などの胆道炎症を伴う良性疾患の患者群について、胆汁中のエクソソームの脂質組成を分析したところ、胆管癌患者群では、良性疾患患者群よりも、全脂質組成に対するホスファチジルコリン(PC)の含有量が有意に高く、胆汁エクソソームのホスファチジルコリンが胆管癌バイオマーカーとなり得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 胆管癌の罹患可能性を評価する方法であって、
胆管癌の罹患が疑われる動物から採取された所定量の胆汁からエクソソームを分離回収する回収工程と、
前記回収工程で得られたエクソソームのホスファチジルコリンの量を測定する測定工程と、
前記測定工程で得られた測定値に基づいて、前記動物の胆管癌の罹患可能性を評価する評価工程と、
を有する、胆管癌罹患可能性の評価方法。
[2] 前記評価工程において、前記測定値が、予め設定された基準値よりも大きい場合に、前記動物は胆管癌を罹患している可能性が高いと評価する、前記[1]の胆管癌罹患可能性の評価方法。
[3] 前記測定工程において、ホスファチジルコリンの量を、液体クロマトグラフィー質量分析法により測定する、前記[1]又は[2]の胆管癌罹患可能性の評価方法。
[4] 前記測定工程において、ホスファチジルコリンの量を、酵素蛍光定量法により測定する、前記[1]又は[2]の胆管癌罹患可能性の評価方法。
[5] 前記回収工程において、胆汁からのエクソソームの分離回収を、超遠心法により行う、前記[1]~[4]のいずれかの胆管癌罹患可能性の評価方法。
[6] 前記動物がヒトである、前記[1]~[5]のいずれかの胆管癌罹患可能性の評価方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る胆管癌罹患可能性の評価方法は、胆管癌の罹患可能性を、従来は鑑別が非常に困難であった胆管狭窄を伴う良性疾患と区別して、評価することができる。また、胆汁を検体とするため、本発明により、組織生検よりも低侵襲で胆管癌の罹患可能性を評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1において、悪性群のエクソソームサンプルをナノ粒子解析した結果を示した図である。
実施例1において、悪性群のエクソソームサンプルのネガティブ染色の電子顕微鏡画像である。
実施例1において、悪性群のエクソソームサンプルの抗CD63抗体(右図)と抗TSG101抗体(左図)を用いたウェスタンブロッティングの染色画像である。
実施例1において、悪性群と良性群のエクソソームサンプルから同定された脂質分子種のVolcano plotを示した図である。
実施例1において、悪性群と良性群のエクソソームサンプルから同定された脂質クラスのVolcano plotを示した図である。
実施例1において、悪性群と良性群のエクソソームサンプルから同定された脂質クラスのスパース判別分析の結果を示した図である。
実施例1において、悪性群と良性群のエクソソームサンプルの脂質組成割合を示した図である。
実施例1において、ホスファチジルコリンの信号強度による良性群と悪性群の鑑別のROC曲線を示した図である。
実施例1において、各エクソソームサンプルのホスファチジルコリンの信号強度と、エクソソームのサイズとの関係をプロットした図である。
実施例1において、各エクソソームサンプルのLC-MSによるホスファチジルコリンの信号強度と、同サンプルの測定キットによるホスファチジルコリンの濃度との関係をプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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