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公開番号2024055690
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-18
出願番号2022162811
出願日2022-10-07
発明の名称耐食性銅合金、銅合金管および熱交換器
出願人株式会社KMCT
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類C22C 9/00 20060101AFI20240411BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】応力腐食割れに対する耐食性を向上させた銅合金、これを用いた銅合金管および熱交換器を提供する。
【解決手段】銅合金は、標準電極電位でMnの電位以下である卑金属元素(例;Mg、Mn等)が添加された銅合金である。銅合金管は、標準電極電位でMnの電位以下である卑金属元素が添加された銅合金で形成される。熱交換器は、標準電極電位でMnの電位以下である卑金属元素が添加された銅合金で形成された銅合金管を用いている。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
標準電極電位でMnの電位以下である卑金属元素が添加された銅合金。
続きを表示(約 980 文字)【請求項2】
請求項1に記載の銅合金であって、
前記卑金属元素は、Pと化合物を形成するりん化合物形成元素である銅合金。
【請求項3】
請求項2に記載の銅合金であって、
前記卑金属元素は、MgまたはMnである銅合金。
【請求項4】
請求項3に記載の銅合金であって、
Mg:0.25質量%以下、または、Mn:1.5質量%以下である銅合金。
【請求項5】
請求項4に記載の銅合金であって、
P:0.0065質量%以上であり、
前記銅合金のMg濃度をY[%]、P濃度をX[%]としたとき、次の式(I)を満たし、
JBMA T-301-1981に準拠して、室温20±5℃に管理した室内にて、14質量%のアンモニア水溶液から100mmの距離で72時間にわたって暴露させた後、前記銅合金の板材を180度に折り曲げたとき、または、前記銅合金の管材を外径の半分以下に押しつぶしたときに測定されるき裂深さが、0.05mm以下である銅合金。
Y≧2X-0.0130・・・(I)
【請求項6】
請求項4に記載の銅合金であって、
前記銅合金のMg濃度をY[%]、P濃度をX[%]としたとき、次の式(II)を満たし、
JBMA T-301-1981に準拠して、室温20±5℃に管理した室内にて、14質量%のアンモニア水溶液から100mmの距離で72時間にわたって暴露させた後、前記銅合金の板材を180度に折り曲げたとき、または、前記銅合金の管材を外径の半分以下に押しつぶしたときに測定されるき裂深さが、0.03mm以下である銅合金。
Y≧2X・・・(II)
【請求項7】
請求項4に記載の銅合金であって、
Mn:1.2質量%以上1.5質量%以下である銅合金。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の銅合金で形成された銅合金管。
【請求項9】
請求項8に記載の銅合金管であって、
管内面に溝が形成された内面溝付管である銅合金管。
【請求項10】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の銅合金で形成された銅合金管を用いた熱交換器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、応力腐食割れに対する耐食性を向上させた耐食性銅合金、これを用いた銅合金管および熱交換器に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
冷凍空調機器の冷媒用配管や熱交換器用配管としては、りん脱酸銅管が広く用いられている。りん脱酸銅の種別としては、JIS H3300:2018に規定された低りん脱酸銅であるC1201や、高りん脱酸銅であるC1220がある。
【0003】
銅は、熱伝導性、曲げ加工性、ろう付け性等に優れた材料である。また、標準電極電位が高いため、非酸化性の環境下における耐食性に優れている。りん脱酸銅は、りんを含むが酸素を含まないため、無酸素銅と同様に水素脆化を起こし難いことが知られている。りん脱酸銅は、無酸素銅と比較して製造コストが低いため、ろう付け等で高温に晒される用途にも多用されている。
【0004】
銅系材料等の耐食性材料は、特定の因子の重畳によって応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:SCC)を生じる。純銅、銅合金等の銅系材料のSCCについては、アンモニア環境下における事例が古くから報告されている。銅系材料のSCCは、特に黄銅で顕著であった。しかし、近年では、りん脱酸銅管における事例も報告されている。
【0005】
銅系材料のSCCは、アンモニア環境等の特殊な条件下で起こるが、アンモニアのみでは進行せず、アンモニアと水分との共存下で進行する。銅系材料に水分が付着すると、水相にアンモニアが溶解して浸食が起こる。SCCは、粒界が浸食された箇所に残留応力や外部応力が集中して生じる。SCCは、引張応力によって割れに至る現象であるが、りん脱酸銅における腐食の形態としては粒界腐食を呈する特徴がある。
【0006】
冷媒用配管や熱交換器用配管等の分野では、SCCによる冷媒の漏洩が問題となっており、SCCを抑制する対策が求められている。SCCの進展によって配管が破損すると、冷媒の漏洩に繋がり、機器の機能を維持できなくなったり、機器の信頼性が損なわれたりする。また、冷媒の漏洩によって、地球温暖化への影響が懸念される。SCCを抑制する対策としては、材料因子上では、結晶粒を微細化する方法があり得る。また、力学因子上では、残留応力や外部応力を低減する方法があり得る。
【0007】
しかし、残留応力や外部応力を低減する方法は、実材料において実現が困難であり、SCCを抑制する対策として現実的ではない。また、結晶粒を微細化する方法では、材料を十分焼鈍することができないため、加工性を著しく損ない、用途の制約が大きい対策となってしまう。このような状況下、化学組成等の観点から、SCCを抑制する対策が検討されている。
【0008】
特許文献1には、蟻の巣状腐食に対する耐食性に優れており、且つ、SCCに対する耐食性に優れる銅管が記載されている。この銅管は、0.10~1.0重量%のPを含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる銅材からなり、該銅材の結晶粒界におけるP濃度(P1)が、該銅材の結晶粒内のP濃度(P0)の5.0倍未満とされている。最終熱処理条件の適性化によって、Pが結晶粒界に濃縮することを抑制して、SCC感受性を低くしている(段落0011参照)。
【0009】
特許文献2には、高い導電率と優れた耐応力緩和特性とを有する銅合金等が記載されている。この銅合金は、Mgの含有量が0.001mass%超え0.01mass%以下、Pの含有量が0.001mass%以下とされている。また、Hの含有量が0.001mass%以下、Oの含有量が0.01mass%以下、Cの含有量が0.001mass%以下とされている。
【0010】
特許文献3には、孔食の発生を防止することができる耐孔食性銅や銅合金管が記載されている。吸収液として臭化リチウムが使用される場合、その精製工程において、不可避的にアンモニアの残留を伴うことがある旨や、りん脱酸銅の応力腐食割れ感受性はりん含有量が多いほど高くなる旨が記載されている(段落0002参照)。
(【0011】以降は省略されています)

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