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公開番号2024055623
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-18
出願番号2022162704
出願日2022-10-07
発明の名称耐食性および耐二次加工脆性に優れたフェライト系ステンレス鋼板
出願人日鉄ステンレス株式会社
代理人個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240411BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】耐食性(特に耐孔食性)および耐二次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板を提供する。
【解決手段】C、Si、Mn、P、S、Cr、Mo、N、Al、Nb、Tiを含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、Cr、SiおよびMoの各含有量{Cr}、{Si}および{Mo}を変数として表される孔食指数(PI)が下記式(1)の関係を満足するとともに、C、N、Mn、P、NbおよびTiの各含有量{C}、{N}、{Mn}、{P}、{Nb}および{Ti}を変数として表される高純度指数(Σ)が下記式(2)の関係を満足する、耐食性および耐二次加工脆性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
式(1):PI={Cr}+2{Si}+3{Mo}≧19.0
式(2):Σ=20({C}+{N})+0.5{Mn}+10{P}+5{Nb}+2{Ti}<1.50
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
化学組成が、質量%で、C:0.020%以下、Si:1.0%超2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%以下、S:0.0030%以下、Cr:13.0~23.0%、Mo:0.50%以下、N:0.020%以下、Al:0.20%以下、Nb:0.40%以下、およびTi:0.40%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、
Cr、SiおよびMoの各含有量{Cr}、{Si}および{Mo}を変数として表される孔食指数(PI)が下記式(1)の関係を満足するとともに、
C、N、Mn、P、NbおよびTiの各含有量{C}、{N}、{Mn}、{P}、{Nb}および{Ti}を変数として表される高純度指数(Σ)が下記式(2)の関係を満足する、耐食性および耐二次加工脆性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
式(1):PI={Cr}+2{Si}+3{Mo}≧19.0
式(2):Σ=20({C}+{N})+0.5{Mn}+10{P}+5{Nb}+2{Ti}<1.50
続きを表示(約 560 文字)【請求項2】
前記フェライト系ステンレス鋼板は、定電流電解法によって抽出される析出物中のNbとTiの抽出残さ量を、前記フェライト系ステンレス鋼板の含有量から差し引いたNbとTiの合計の値を固溶した[Nb]+[Ti]量(以下、単に「(固溶[Nb]+[Ti])」と記し、単位は質量%である。)とするとき、(固溶[Nb]+[Ti])が下記式(3)を満足し、かつ、前記析出物の最大寸法が1.0μm以下である、
請求項1に記載の耐食性および耐二次加工脆性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
式(3):0.05≦(固溶[Nb]+[Ti])≦0.20
【請求項3】
前記フェライト系ステンレス鋼板は、さらに、質量%で、B:0.0050%以下、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以下、V:0.50%以下、W:0.50%以下、Sn:0.10以下、Ca:0.0100%以下、Mg:0.010%以下、Zr:0.50%以下、Co:0.50%以下、Ga:0.01%以下、La:0.10%以下、Y:0.10%以下、Hf:0.10%以下、および、REM:0.10%以下からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、
請求項1又は2に記載の耐食性および耐二次加工脆性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、耐食性および耐二次加工脆性に優れたフェライト系ステンレス鋼板に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、フェライト系ステンレス鋼板は、Niを含有しないか、またはNiを含有しても微量であるため、安価であることから、建築材料、厨房用材料および電気部品用材料などに広く適用されている。しかし、従来のフェライト系ステンレス鋼板は、SUS304に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼板等に比較して、耐食性が劣っていた。このため、近時は、製造技術の向上によりC及びN等の不純物元素を低減したフェライト系ステンレス鋼板に、Siを添加することで、耐食性、特に耐孔食性を向上させた高純度フェライト系ステンレス鋼板が開発されている。1.0質量%超える量のSiを添加することで、耐食性が向上し、引張強度が高くなる。しかし、Siを含有させることで内部応力(結晶粒内の強度)を高め、深絞り加工による耐二次加工脆性(結晶粒界を起点とした縦割れ)が誘発しやすくなるという問題点がある。
【0003】
したがって、これまで、高純度フェライト系ステンレス鋼板における耐二次加工脆性に対して、例えば、特許文献1は、C:0.0030wt%以下、Si:2.0wt%以下、Mn:3.0wt%以下、Al:0.1wt%以下、Cr:5~60wt%等を含有し、粒径20nm以上のりん化物が0.05wt%以下である耐2次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板を開示している。特許文献1では、TiとNbの炭窒化物が耐二次加工脆性の縦割れを発生しやすくなるのを、C、P、S、N、Oとリン化合物との適正な組み合わせで耐二次加工脆性を改善している。しかしながら、鋼中のTi、NbおよびPの含有量と耐二次加工脆性との関係については何ら記載されておらず、耐二次加工脆性が十分に改善されているとは言えないという問題がある。
【0004】
また、特許文献2は、C:0.01mass%以下、Si:1.0mass%以下、Mn:1.5mass%以下、Cr:11~23mass%等を含有し、鋼板の平均結晶粒径が40μm以下、表面粗さRaが0.3μm以下で深絞り性、耐二次加工脆性および耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼板を開示している。また、特許文献3は、C:0.010%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.018~0.04%等を含み、かつMg(%)≧0.05×P(%)を満たす深絞り成形後の耐二次加工脆性に優れた高純度フェライト系ステンレス鋼板を開示している。さらに、特許文献4では、C:0.03%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、P:0.035%以下等を含み、且つNi及びCuの含有量が下記の式(1)を満たし、Pの抽出残さ量が0.01質量%以上であり、析出しているリン化合物の長手方向の大きさが1μm以下である耐二次加工脆性に優れた深絞り成形用高純度フェライト系ステンレス鋼板を開示している。しかし、特許文献2~4では、Siの含有量が低く、十分な耐食性(特に耐孔食性)が得られていないという問題がある。
【0005】
特許文献5は、C:0.12%以下、Si:1.0%超~3.5%以下、Mn:0.10~2.0%、Cr:11~23%、Ni:0.2~3.0%、N:0.12%以下等を含有し、かつ、A=(Ni+0.5Mn+35C+40N)-0.31(Cr+1.5Si)なる関係式で定まるA値が-2.7~0の範囲内にある、耐摩耗性と2次加工性とに優れたフェライト系ステンレス鋼を開示している。しかし、特許文献5では、ビッカース硬さHv230以上と硬質で耐摩耗性が高いが、絞り加工に適せず、耐二次加工脆性が不十分であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第3142427号公報
特許第3680829号公報
特許第3477113号公報
特許第6602112号公報
特開昭63-149358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、特許文献1~5では、いずれも耐食性と耐二次加工脆性との両性能に優れる高純度フェライト系ステンレス鋼板が得られていないという問題点がある。特に、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼を代替するには、JIS規格でSUS430J1L(Cr>19%)の19Crフェライト系ステンレス鋼と同等、または、それ以上の特性を有するJIS規格でSUS443J1(Cr≧21%)の21Crフェライト系ステンレス鋼と同等の耐食性、特に耐孔食性が求められているという問題点がある。また、耐孔食性の向上のためにCr、Ni、Moを含有させることが知られているが、Cr、Moを過度に含有させることで、耐二次加工脆性が劣化するという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、鋼中のSi含有量が1.0質量%超えであることを前提とし、耐食性(特に耐孔食性)と耐二次加工脆性に優れるフェライト系ステンレス鋼板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、以下に本発明の特徴を列記する。
(1)化学組成が、質量%で、C:0.020%以下、Si:1.0%超2.5%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%以下、S:0.0030%以下、Cr:13.0~23.0%、Mo:0.50%以下、N:0.020%以下、Al:0.20%以下、Nb:0.40%以下、Ti:0.40%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、Cr、SiおよびMoの各含有量{Cr}、{Si}および{Mo}を変数として表される孔食指数(PI)が下記式(1)の関係を満足するとともに、C、N、Mn、P、NbおよびTiの各含有量{C}、{N}、{Mn}、{P}、{Nb}および{Ti}を変数として表される高純度指数(Σ)が下記式(2)の関係を満足する、耐食性および耐二次加工脆性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
式(1):PI={Cr}+2{Si}+3{Mo}≧19.0
式(2):Σ=20({C}+{N})+0.5{Mn}+10{P}+5{Nb}+2{Ti}<1.50
【0010】
(2)前記フェライト系ステンレス鋼板は、定電流電解法によって抽出される析出物中のNbとTiの抽出残さ量を、前記フェライト系ステンレス鋼板の含有量から差し引いたNbとTiの合計の値を固溶した[Nb]+[Ti]量(以下、単に「(固溶[Nb]+[Ti])」と記し、単位は質量%である。)とするとき、(固溶[Nb]+[Ti])が下記式(3)を満足し、かつ、前記析出物の最大寸法が1.0μm以下である、
請求項1に記載の耐食性および耐二次加工脆性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。
式(3):0.05≦(固溶[Nb]+[Ti])≦0.20
(【0011】以降は省略されています)

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