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公開番号2024054217
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-16
出願番号2024016278,2023568048
出願日2024-02-06,2023-09-07
発明の名称複合硬質クロムめっき、摺動部材
出願人DIC株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C25D 15/02 20060101AFI20240409BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】耐摩耗性に優れた複合硬質クロムめっき皮膜、および、前記皮膜を被覆した摺動部材を提供することを目的とする。
【解決手段】板状アルミナを含む複合硬質クロムめっき皮膜であって、前記複合硬質クロムめっき皮膜のクロム源が3価クロムであり、前記複合硬質クロムめっき皮膜の膜厚が10μm~30μmであり、前記複合硬質クロムめっき皮膜の断面における前記板状アルミナの方向角Af(アルミナの方向角Afは下記の式(1)または式(2)によって求められる)が0~45°である、複合硬質クロムめっき皮膜を提供する。
Af=θ・・・・・・・(1)
Af=180-θ・・・(2)
(式中、θは、めっき皮膜表面と平行な軸に対するアルミナの主軸の傾きを示したものであり、θ≦90°の場合は式(1)を、90°<θの場合は式(2)を用いる。)
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
板状アルミナを含む複合硬質クロムめっき皮膜であって、
前記複合硬質クロムめっき皮膜のクロム源が3価クロムであり、
前記複合硬質クロムめっき皮膜の膜厚が10μm~30μmであり、
前記複合硬質クロムめっき皮膜の断面における前記板状アルミナの方向角A

(アルミナの方向角A

は下記の式(1)または式(2)によって求められる)が0~45°である、複合硬質クロムめっき皮膜。


=θ・・・・・・・(1)


=180-θ・・・(2)
(式中、θは、めっき皮膜表面と平行な軸に対するアルミナの主軸の傾きを示したものであり、θ≦90°の場合は式(1)を、90°<θの場合は式(2)を用いる。)
続きを表示(約 290 文字)【請求項2】
前記板状アルミナの平均粒子径が1μm以上15μm以下、アスペクト比が10以上50以下である請求項1に記載の複合硬質クロムめっき皮膜。
【請求項3】
前記板状アルミナが、珪素、リン、窒素および硫黄からなる群から選択される1種以上の原子を含む表面処理剤で処理されている、請求項1又は2に記載の複合硬質クロムめっき皮膜。
【請求項4】
前記板状アルミナが、モリブデン原子を更に含む、請求項1又は2に記載複合硬質クロムめっき皮膜。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の複合硬質クロムめっき皮膜を被覆した摺動部材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複合硬質クロムめっき皮膜において、3価クロムを使用する複合硬質クロムめっき皮膜、および、前記皮膜を被覆したピストンリング等の摺動部材に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
一般的にクロムめっきは、その優れた耐食性、耐変色性から、金属光沢を長く維持することができるため、装飾めっきとして広く用いられている。また、クロムめっきは、硬度が800~950Hv程度と高く、耐摩耗性に優れ、低い摩耗係数を有するので、硬質クロムめっきとして機械部品等に広く用いられている。しかし、これらめっきに用いられるめっき液には、有害な6価クロムが主成分として用いられている。6価クロムは、健康保全上、環境保全上の観点より、高懸念物質として指定されており、6価クロムを用いないクロムめっきの開発が求められている。
【0003】
6価クロムの代替として有害性の低い3価クロムを使用したクロムめっきが提案されている。3価クロムめっきは、膜厚5μm以下の比較的薄めっきにおいて、色調や耐食性に優れるため、装飾めっきとして実用化されている。しかし、硬質クロムめっきとしては、耐摩耗性が十分に高いとは言えず、実用化には至らないものであった。
【0004】
そこで、耐摩耗性を向上させる方法として、クロムめっき中に耐摩耗性に優れた複数のセラミックス粒子を10~30容量%含有させる方法が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。また、めっき硬度と耐摩耗性に相関関係があることに着目し、板状および/または繊維状のアルミナ粒子を含有させ、熱処理時のクラックの拡大と進展を抑制し、硬度を向上させる方法が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2013-241656号公報
特開2016-216833号公報
特開2018-159099号公報
特開2014-196533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複合硬質クロムめっき皮膜における耐摩耗性の指標となる、摩擦係数と摩耗痕の大きさの値は依然として改善の余地があった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、耐摩耗性に優れた複合硬質クロムめっき皮膜、および、前記皮膜を被覆した摺動部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、複合硬質クロムめっき皮膜中におけるセラミックス粒子の状態について詳細に検討をした。複合硬質クロムめっき皮膜の耐摩耗性を、回転摺動試験から得られる摩擦係数、および相手材への攻撃性の指標となる相手材摩耗痕幅を測定することで評価し、鋭意研究した結果、複合硬質クロムめっき皮膜の表面粗さRaが0.05~1.0となるようにすることで、耐摩耗性に優れるめっき皮膜が得られることを見出した。
【0008】
また、複合硬質クロムめっき皮膜の断面における前記板状アルミナの方向角A

(アルミナの方向角A

は下記の式(1)または式(2)によって求められる)が0~45°となるようにすることで、耐摩耗性に優れるめっき皮膜が得られることを見出した。


=θ・・・・・・・(1)


=180-θ・・・(2)
(式中、θは、画像解析ソフトより求められ、塗膜面と平行な軸に対するアルミナの主軸の傾きを示したものであり、θ≦90°の場合は式(1)を、90°<θの場合は式(2)を用いる。)
【0009】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 板状アルミナを含む複合硬質クロムめっき皮膜であって、
前記複合硬質クロムめっき皮膜のクロム源が3価クロムであり、
前記複合硬質クロムめっき皮膜の表面粗さRaが0.05~1.0である、複合硬質クロムめっき皮膜。
(2) 板状アルミナを含む複合硬質クロムめっき皮膜であって、
前記複合硬質クロムめっき皮膜のクロム源が3価クロムであり、
前記複合硬質クロムめっき皮膜の断面における前記板状アルミナの方向角A

(アルミナの方向角A

は下記の式(1)または式(2)によって求められる)が0~45°である、複合硬質クロムめっき皮膜。


=θ・・・・・・・(1)


=180-θ・・・(2)
(式中、θは、画像解析ソフトより求められ、塗膜面と平行な軸に対するアルミナの主軸の傾きを示したものであり、θ≦90°の場合は式(1)を、90°<θの場合は式(2)を用いる。)
(3) 板状アルミナを含む複合硬質クロムめっき皮膜であって、
前記複合硬質クロムめっき皮膜のクロム源が3価クロムであり、
前記複合硬質クロムめっき皮膜の断面における前記板状アルミナの方向角A

(アルミナの方向角A

は下記の式(1)または式(2)によって求められる)が0~45°である、上記(1)に記載の複合硬質クロムめっき皮膜。


=θ・・・・・・・(1)


=180-θ・・・(2)
(式中、θは、画像解析ソフトより求められ、塗膜面と平行な軸に対するアルミナの主軸の傾きを示したものであり、θ≦90°の場合は式(1)を、90°<θの場合は式(2)を用いる。)
(4) 前記板状アルミナの平均粒子径が1μm以上15μm以下、アスペクト比が10以上50以下である上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の複合硬質クロムめっき皮膜。
(5) 前記板状アルミナが、珪素、リン、窒素および硫黄からなる群から選択される1種以上の原子を含む表面処理剤で処理されている、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の複合硬質クロムめっき皮膜。
(6) 前記板状アルミナが、形状制御剤由来の原子あるいは化合物を更に含む、上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の複合硬質クロムめっき皮膜。
(7) 前記形状制御剤が、珪素、ゲルマニウム、ナトリウム、およびカリウムからなる群から選択される1種以上を含む化合物である上記(6)に記載の複合硬質クロムめっき皮膜。
(8) 前記板状アルミナが、モリブデン原子を更に含む、上記(1)~(7)のいずれか1つに記載の複合硬質クロムめっき皮膜。
(9) 上記(1)~(8)のいずれか1つに記載の複合硬質クロムめっき皮膜を被覆した摺動部材。
【発明の効果】
【0010】
本発明の複合硬質クロムめっき皮膜は、めっき皮膜の表面粗さRaを制御することで、耐摩耗性に優れたものとなり、ピストンリング等の摺動部材に好適に使用することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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