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公開番号2024038735
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-21
出願番号2022142978
出願日2022-09-08
発明の名称基礎構造の設計方法
出願人清水建設株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類E02D 27/34 20060101AFI20240313BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】複数の基礎形式を効率良く導入し、各基礎形式の長所を活用した合理的な設計を可能とする基礎構造の設計方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る基礎構造の設計方法は、構造物の深さ方向の荷重及び地盤の許容支持力に基づいて基礎構造の直接基礎部と杭基礎部との荷重分担率を設定する荷重分担率設定工程と、前記荷重分担率に基づいて前記直接基礎部に採用する形式と前記杭基礎部に採用する形式とを選定する形式選定工程と、選定された前記形式を備える前記基礎構造を含む解析モデルを作成し、前記解析モデルに対して前記荷重をかけて沈下解析を行い、前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重を算出する第1沈下解析工程と、算出された前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であるか否かを判定する第1判定工程と、を備える。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
構造物の条件から前記構造物の深さ方向の荷重を算出する荷重算出工程と、
前記構造物を支持する直接基礎部及び杭基礎部を有する基礎構造が配置される地盤の条件から前記地盤の許容支持力を算出する支持力算出工程と、
前記荷重及び前記許容支持力に基づいて前記直接基礎部と前記杭基礎部との荷重分担率を設定する荷重分担率設定工程と、
前記荷重分担率に基づいて前記直接基礎部に採用する形式と前記杭基礎部に採用する形式とを選定する形式選定工程と、
前記形式選定工程において選定された前記形式を備える前記基礎構造を含む解析モデルを作成し、前記解析モデルに対して前記荷重をかけて沈下解析を行い、前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重を算出する第1沈下解析工程と、
第1沈下解析工程において算出された前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であるか否かを判定する第1判定工程と、
前記解析モデルに対して前記地盤の変化量を条件に加えて沈下解析を行い、前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重を算出する第2沈下解析工程と、
第2沈下解析工程において算出された前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であるか否かを判定する第2判定工程と、
を備え、
前記第1判定工程において、
前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であると判定された場合、前記第2沈下解析工程を行い、
前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重のうちの少なくとも1つが許容値以上であると判定された場合、前記荷重分担率設定工程において前記直接基礎部と前記杭基礎部との荷重分担率を再設定し、
前記第2判定工程において、
前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であると判定された場合、前記直接基礎部の形式及び前記杭基礎部の形式を確定し、
前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重のうちの少なくとも1つが許容値以上であると判定された場合、前記荷重分担率設定工程において前記直接基礎部と前記杭基礎部との荷重分担率を再設定する、
基礎構造の設計方法。
続きを表示(約 960 文字)【請求項2】
前記第1沈下解析工程において、
前記解析モデルに対して前記荷重を長期及び短期の各々の条件で加え、
前記第1判定工程において、
長期及び短期の各々の条件について前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であるか否かを判定する、
請求項1に記載の基礎構造の設計方法。
【請求項3】
前記第1沈下解析工程において、
前記解析モデルに対する沈下解析に、少なくとも前記直接基礎部の大きさ及び剛性を表す数値、前記杭基礎部の大きさ及び剛性を表す数値、前記地盤を構成する各層の厚み及び支持力係数をパラメータとして含む3次元有限要素法を用い、
前記沈下解析において前記解析モデルを前記パラメータに合わせたスパンの複数の要素でモデル化する、
請求項1又は2に記載の基礎構造の設計方法。
【請求項4】
前記形式選定工程において、
前記直接基礎部に採用する形式は独立基礎、布基礎の少なくとも1つを含み、
前記杭基礎部に採用する形式は支持杭、摩擦杭の少なくとも1つを含み、
前記荷重分担率、前記独立基礎及び前記布基礎の素材の特性、前記支持杭及び前記摩擦杭の素材の特性や摩擦係数に合わせて、前記独立基礎及び前記布基礎の大きさ、前記支持杭及び前記摩擦杭の長さを調整する、
請求項1又は2に記載の基礎構造の設計方法。
【請求項5】
前記形式選定工程において、
前記地盤は地表面を含む非支持層と前記非支持層の直下の支持層とを含み、
前記直接基礎部に採用する形式は独立基礎及び布基礎であり、
前記布基礎は前記非支持層に配置され、
前記非支持層の前記直接基礎部が配置される領域に軟弱層が含まれ、
前記軟弱層のうち少なくとも前記布基礎の直下を含む領域に前記軟弱層を地盤改良した地盤改良層が形成され、
前記第1沈下解析工程において、
前記許容支持力及び前記解析モデルに前記軟弱層及び前記地盤改良層の各条件を反映し、前記沈下解析を行う、
請求項1又は2に記載の基礎構造の設計方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎構造の設計方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、建物等の構造物を支持する基礎の形式は、構造物の重量と地盤の支持力とに応じて直接基礎、杭基礎の何れかから選定される。直接基礎には、主に、構造物の支え方が互いに異なる独立基礎、布基礎、べた基礎がある。独立基礎、布基礎、べた基礎、杭基礎の順に、支持可能な構造物の重量が大きい。
【0003】
べた基礎と杭基礎とを組み合わせた形式として、パイルドラフト基礎が挙げられる。パイルドラフト基礎のべた基礎には、例えば複数のフーチング同士を地表面に平行な面内で耐圧盤によって連結した複合基礎も含まれる。パイルドラフト基礎では、従来の設計基準において、構造物の重量(荷重)は全てべた基礎で負担し、杭は沈下抑制の役割のみを担うものと想定されている。すなわち、パイルドラフト基礎の支持力は、同じ構造物を支えるべた基礎と実質的に同等である。
【0004】
例えば特許文献1に開示されている基礎構造では、基礎上部(構造物の基礎構造のうち、杭を含まない部分)が複数の杭の各々の杭頭部(地下側の先端部)と深さ方向で離間して設けられている。基礎上部と複数の杭の各々の杭頭部との間に、パイルドラフト基礎を適用可能な地盤である上層地盤が設けられている。上層地盤は、パイルドラフト基礎を適用可能に改良された地盤である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-147882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示された基礎構造をはじめとする従来の基礎構造では、実際にべた基礎では支持力が僅かに不足する構造物に対して、杭基礎を選択せざるを得なかった。すなわち、採用する基礎形式(形式)の長所を最大限に活用した合理的な設計が難しく、コストが上がる要因が生じていた。
【0007】
本発明は、互いに異なる複数の基礎形式を効率良く導入し、各基礎形式の長所を活用した合理的な設計を可能とする新たな基礎構造の設計方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る基礎構造の設計方法は、構造物の条件から前記構造物の深さ方向の荷重を算出する荷重算出工程と、前記構造物を支持する直接基礎部及び杭基礎部を有する基礎構造が配置される地盤の条件から前記地盤の許容支持力を算出する支持力算出工程と、前記荷重及び前記許容支持力に基づいて前記直接基礎部と前記杭基礎部との荷重分担率を設定する荷重分担率設定工程と、前記荷重分担率に基づいて前記直接基礎部に採用する形式と前記杭基礎部に採用する形式とを選定する形式選定工程と、前記形式選定工程において選定された前記形式を備える前記基礎構造を含む解析モデルを作成し、前記解析モデルに対して前記荷重をかけて沈下解析を行い、前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重を算出する第1沈下解析工程と、第1沈下解析工程において算出された前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であるか否かを判定する第1判定工程と、前記解析モデルに対して前記地盤の変化量を条件に加えて沈下解析を行い、前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重を算出する第2沈下解析工程と、第2沈下解析工程において算出された前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であるか否かを判定する第2判定工程と、を備える。前記第1判定工程において、前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であると判定された場合、前記第2沈下解析工程を行う。前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重のうちの少なくとも1つが許容値以上であると判定された場合、前記荷重分担率設定工程において前記直接基礎部と前記杭基礎部との荷重分担率を再設定する。前記第2判定工程において、前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重の全てが各々の許容値以下であると判定された場合、前記直接基礎部の形式及び前記杭基礎部の形式を確定する。前記基礎構造の沈下量、前記直接基礎部の負担荷重、及び前記杭基礎部の負担荷重のうちの少なくとも1つが許容値以上であると判定された場合、前記荷重分担率設定工程において前記直接基礎部と前記杭基礎部との荷重分担率を再設定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、直接基礎と杭基礎とを効率良く導入し、合理的な設計を可能とする基礎構造の設計方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明に係る基礎構造の設計方法を用いて設計可能な第1の基礎構造の斜視図である。
本発明に係る基礎構造の設計方法を用いて設計可能な第2の基礎構造の斜視図である。
本発明に係る基礎構造の設計方法を用いて設計可能な第3の基礎構造の斜視図である。
本発明に係る基礎構造の設計方法を用いて設計可能な第4の基礎構造の斜視図である。
本発明に係る基礎構造の設計方法を説明するためのフローチャートである。
図4の基礎構造の沈下解析を行うための単スパンの解析モデルの一例である。
図4の基礎構造の沈下解析を行うための連続スパンの解析モデルの一例である。
図4の基礎構造の沈下解析で得られた鉛直応力分布図である。
図4の基礎構造の沈下解析で得られた鉛直応力分布図である。
図4の基礎構造の沈下解析で得られた鉛直応力分布図である。
図4の基礎構造の沈下解析で得られた鉛直応力分布図である。
図4の基礎構造の沈下解析で得られた沈下量分布図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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