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公開番号2024035051
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-13
出願番号2023068933
出願日2023-04-20
発明の名称微小負荷開閉接点用の接点材
出願人田中貴金属工業株式会社
代理人オリジネイト弁理士法人
主分類C22C 5/02 20060101AFI20240306BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】微小負荷接点に適用される接点材であって、接点材料からなる薄膜を表面接点層として備えるものについて、耐環境性及び低接触抵抗性に優れると共に、薄膜として要求される耐摩耗性・耐粘着性が確保されたものを提供する。
【解決手段】本発明は、基材上にAu合金の薄膜からなる表面接点層が形成されてなる微小負荷開閉接点用の接点材に関する。表面接点層を構成するAu合金薄膜は、15質量%以上30質量%以下のAgよりなる第1添加金属と、0.5質量%以上3質量%以下のCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znのいずれか1種以上よりなる第2添加金属と、残部Au及び不可避不純物と、からなる。そして、このAu合金からなる薄膜の硬度は、ビッカース硬度換算で240Hv以上400Hv以下である。
【選択図】図2



特許請求の範囲【請求項1】
基材上にAu合金の薄膜からなる表面接点層が形成されてなる微小負荷開閉接点用の接点材であって、
前記Au合金は、15質量%以上30質量%以下のAgよりなる第1添加金属と、0.5質量%以上3質量%以下のCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znのいずれか1種以上よりなる第2添加金属と、残部Au及び不可避不純物と、からなり
前記Au合金からなる薄膜の硬度がビッカース硬度換算で240Hv以上400Hv以下である接点材。
続きを表示(約 120 文字)【請求項2】
表面接点層は、前記Au合金のスパッタ膜である請求項1記載の微小負荷開閉接点用の接点材。
【請求項3】
表面接点層の膜厚が、0.1μm以上100μm以下である請求項1又は請求項2記載の微小負荷開閉接点用の接点材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ミニチュアリレー等の微小負荷領域で作動する開閉接点の接点部で使用される接点材に関する。特に、適宜の基材にAu系合金薄膜からなる表面接点層が形成された接点材であって、耐硫化性に優れ低接触抵抗であると共に、耐粘着性・耐摩耗性のバランスにも優れた接点材に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
各種の電気・電子回路に搭載されるミニチュアリレー、マイクロリレー等の微小負荷用の開閉接点(リレー、スイッチ等の接点部(固定接点及び可動接点)には、従来からAuを主成分(およそ90質量%以上)とするAu合金が使用されている。Auは、化学的に安定で耐環境性に優れる金属であり、微小負荷のもとでも安定して低接触抵抗を示す金属である。他方、Auは、硬度が低く塑性変形能に富む金属であるので、接点部における微摺動や接触・離反の繰り返しによって変形し易い。この変形は、素材の清浄面が露出させて接点の粘着を生じさせることとなる。そのため、微小負荷開閉接点用の接点材料には、低接触抵抗と耐粘着性とを両立させるため、AuにAg、Ni等を添加したAu合金が採用されている。例えば、特許文献1では、Au又はAu-10質量%Ag合金に、微量添加元素としてMo、W、Y、Zr、Hf、Ni、Fe、Co、Tiを添加したAu合金からなるテープ状の接点材料をベース材料にクラッドした表面接点層を有する微小負荷用の接点材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平8-287759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、微小負荷開閉接点を含む各種リレー、スイッチに対するコストダウンの要求に応えるため、上記特許文献1のような接点材料のバルク材を基材(ベース材料)クラッドした接点材から、接点材料の薄膜を表面接点層として基材上に形成した接点材への変更が検討されている。接点材料の薄膜化は、材料の使用量の減少によるコストダウンに寄与する。微小負荷開閉接点で使用される接点材料は、上記のとおりAuを主成分とすることから、特にコストダウンの効果が大きい。しかし、接点材料を薄膜にするとしても耐久期間は従来と同様にすることが求められていることから、薄膜となる接点材料に従来以上の耐摩耗性を付与する必要がある。
【0005】
Au合金の硬度及び耐摩耗性を向上する手段としては、添加元素の含有量を増大することが挙げられる。上記した特許文献1記載の接点材料に関してみると、AgやMo、Ni等の含有量を増大させることで、接点材料の硬度は上昇する。しかしながら、添加元素濃度の増大は、硬度上昇と引き換えに耐環境性に影響を及ぼすおそれがある。例えば、Agは硫化し易い金属であるので、Ag含有量の安易な増大は、接点材料の耐硫化性を低下させて低接触抵抗性の悪化に繋がる。上記特許文献1のAu合金のAgの含有量が10質量%に止まっているのは、耐粘着性と耐硫化性とのバランスを重視した結果と考えられる。
【0006】
また、表面接点層となる薄膜の形成方法としては、真空蒸着やスパッタリング等の薄膜形成プロセスが適用される。こうした薄膜形成プロセスによる薄膜には、基材に対する密着性も重要な特性となる。この点、微小負荷用接点へ薄膜材料を適用した検討例は、まだ十分にはなされていないので、薄膜による表面接点層の密着性についての検討も必要といえる。
【0007】
本発明は、以上のような背景のもとになされたものであり、微小負荷接点に適用され、接点材料からなる薄膜を表面接点層とする接点材について、耐環境性及び低接触抵抗性に優れると共に、薄膜として要求される耐摩耗性・耐粘着性が確保されたものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するため、表面接点層となる接点材料としてAu合金を基礎にしつつ、薄膜化したときに好適に作用し得る添加金属及びその組成範囲を検討することとした。具体的には、Au合金の硬度を向上させる必須の添加金属としてAgを選択すると共にその含有量の好適化を行った。そして、Ag含有量が好適化されたAuAg合金に対し、薄膜化したときに不足する特性を補完し得る第2の添加金属の種類及びその含有量について検討することとした。
【0009】
図1は、Ag含有量を変化させたAuAg合金について行った、初期状態(製造後)の接触抵抗と、硫化雰囲気(60℃のH

S(90mmHg))への暴露試験後の接触抵抗の測定結果を示す。この予備的試験の結果を参照すると、初期状態のAuAg合金は、Ag含有量が増加しても接触抵抗の変動は少ない。そして、Ag含有量の増加によってAuAg合金の接触抵抗が上昇するのは、硫化試験後であることからAuAg合金に耐硫化性の課題があることが確認される。もっとも、本発明者等はこの予備的試験の結果から、上記従来技術(特許文献1)のようにAg含有量を10質量%以下に制限しなくとも、AuAg合金の耐硫化性を確保できると考えた。図1によると、Ag含有量が10質量%を超えても20質量%以下の範囲では、合金の初期状態と硫化試験後との間での接触抵抗の差は少ない。また、本発明者等は、Ag含有量が20質量%を超える合金も、Ag含有量が比較的低い領域では接触抵抗の差は許容範囲にあると考えた。このように判断したのは、AuAg合金の耐硫化性を向上できる第2の添加元素があれば、初期状態と硫化試験後との接触抵抗の差を解消できると考察したからである。
【0010】
AuAg合金への第2の添加元素の添加は、耐硫化性の確保と共に薄膜状態の合金の硬度上昇にも寄与し得る。上記のようにしてAg含有量の上限を従来以上にしたAuAg合金は、硬度の上昇がある程度は見込まれるものの、薄膜状の接点材料として利用するには硬度が不足している可能性がある。よって、AuAg合金の耐硫化性の確保と共に硬度上昇の作用を有する添加元素の探索は有用な手段である。そこで本発明者等は、AuAg合金のAg含有量の好適化を図りつつ、耐硫化性の確保と更なる硬度上昇や密着性確保を図ることができる添加元素を検討し、本発明に想到した。
(【0011】以降は省略されています)

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