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公開番号2024066538
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-16
出願番号2022175925
出願日2022-11-02
発明の名称塊成化状高炉用原料の製造方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人アセンド弁理士法人
主分類C22B 1/243 20060101AFI20240509BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】金属鉄の含有率が低い原料を用いた場合でも、高炉で使用可能な強度を有する塊成化状高炉用原料を製造することができる、塊成化状高炉用原料の製造方法を提供する。
【解決手段】塊成化状高炉用原料(19)の製造方法は、準備工程(#5)と、水分調整工程(#10)と、塊成工程(#15)と、水浸工程(#20)と、静置工程(#25)と、を備える。準備工程(#5)では、粉粒状物質(12)を準備する。粉粒状物質(12)の金属鉄の含有率a及び酸化カルシウムの含有率bが、下記の式(1)を満足する。塊成工程(#15)では、粉粒状物質(12)を冷間で圧縮塊成化して塊成化物(14)を形成する。水浸工程(#20)では、塊成化物(14)に水浸処理を施す。静置工程(#25)では、塊成化物(14)に静置処理を施す。
400≦2340×a+3400×b-400 (1)
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
金属鉄及び酸化カルシウム含有化合物を含む粉粒状物質を準備する準備工程であって、前記粉粒状物質は、乾ベースでの鉄分の総含有率が10質量%以上50質量%未満であるか、又は含有する鉄分に対する前記金属鉄の質量比が0.35未満であり、前記金属鉄の含有率a及び酸化カルシウムの含有率bが、下記の式(1)を満足する、前記準備工程と、
前記粉粒状物質に含まれる水分を0.5質量%以上6.0質量%以下に調整する水分調整工程と、
前記水分調整工程の後、前記粉粒状物質を冷間で圧縮塊成化して塊成化物を形成する塊成工程と、
前記塊成化物に水浸処理を施す水浸工程と、
前記水浸工程の後、前記塊成化物に静置処理を施す静置工程と、を備える、塊成化状高炉用原料の製造方法。
400≦2340×a+3400×b-400 (1)
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
請求項1に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記準備工程において、前記粉粒状物質は、カルシウムシリケート及びカルシウムアルミネートの少なくとも一方を含む、塊成化状高炉用原料の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記準備工程において、前記粉粒状物質の前記金属鉄の含有率aが10質量%以上である、塊成化状高炉用原料の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記準備工程において、前記粉粒状物質の酸化カルシウムの含有率bが10質量%以上40質量%以下である、塊成化状高炉用原料の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記準備工程において、鉄系廃材を含む原料に還元焙焼処理を施すことにより、前記粉粒状物質を製造する、塊成化状高炉用原料の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記準備工程において、前記原料は、前記鉄系廃材、炭材及びカルシウム含有物質を含み、
前記鉄系廃材又は前記炭材は、珪素含有物質を含み、
前記原料に含まれるカルシウムと珪素との比が質量比で2.9以上6.1以下である、塊成化状高炉用原料の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記準備工程において、還元炉によって前記還元焙焼処理を実施し、前記還元炉としてロータリキルンを用いる、塊成化状高炉用原料の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記準備工程において、前記原料に含まれる前記カルシウム含有物質は、石灰粉が水に懸濁したスラリー状である、塊成化状高炉用原料の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記準備工程において、前記還元焙焼処理を1300℃未満で実施する、塊成化状高炉用原料の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の塊成化状高炉用原料の製造方法であって、
前記静置工程において、炭酸ガスを含む雰囲気で静置処理を行う、塊成化状高炉用原料の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、塊成化状高炉用原料の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
現在、鉄の多くは、高炉法により生産されている。高炉は、鉄原料から銑鉄を製造する設備である。高炉の炉頂から、鉄原料であり酸化鉄である鉄鉱石、及び還元材であるコークスが装入される。炉内では鉄鉱石が還元材により還元され、銑鉄が生成される。
【0003】
高炉に装入される原料は、炉内通気性を確保できる粒度を有することが要求される。炉内通気性の確保のため、鉄原料及び還元材は、一定以上の強度を有する必要がある。そのため、還元材として使用する炭材は、強粘結炭を多く配合して乾留した塊状のコークスに依存し、鉄原料は、塊状化された焼結鉱に多くを依存している。すなわち、原料には高い品質が要求されるため原料コストが高い。また、コークス製造設備、焼結設備等の高炉以外の付帯設備を設置する必要があり、設備コストも高い。さらには、高炉の内部では、酸化物である鉄鉱石を還元するために、膨大なエネルギー及び炭材を消費しており、日本における温室効果ガスである炭酸ガスの排出量の15~20%を鉄鋼業が占めている。コークス製造設備や焼結設備の運転においても、膨大なエネルギーが必要であり、炭酸ガスが大量に排出される。
【0004】
このような問題に鑑み、安価な鉄原料として、製鉄プロセスにおいて副生される製鉄ダストやスラッジ等を原料として製造した還元鉄を利用することが提案されている。この還元鉄を鉄原料として用いれば、原料のコスト及び高炉での還元材比が低減される。還元材比の低減は炭酸ガス排出量の抑制にもつながる。特に、近年では鉄鉱石の価格が不安定化しており、安価な鉄原料の利用促進は重要である。以下、高炉に装入される鉄原料を「高炉用原料」と言い、高炉用原料を製造するための原料を単に「原料」と言う。
【0005】
上述した製鉄ダストやスラッジ等の原料は、高濃度の亜鉛を含む場合がある。亜鉛を含む高炉用原料が高炉に装入されると、高炉上部で付着トラブルが発生しやすい。そのため、亜鉛を含む原料を用いて高炉用原料を製造する場合、亜鉛を除去するため、原料は脱亜鉛処理を施される必要がある。脱亜鉛処理の方法は、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。特許文献1及び特許文献2では、ロータリキルンを用いて原料に還元焙焼処理を施す。還元焙焼処理において、ロータリキルンに投入される原料に含まれるカルシウム含有物質と二酸化珪素との比を調整することで、低融点物質の生成が抑制され、ロータリキルンの内壁への付着物の成長が抑制される。これとともに、原料の脱亜鉛処理及び部分還元が進行し、金属鉄を含む還元鉄が製造される。還元焙焼処理で使用される原料は、高炉で使用するような強度の大きい塊状の原料でなくてもよい。炭材としては、強粘結炭を多く配合して乾留した塊状のコークス以外も使用可能である。鉄原料は、塊状の焼結鉱ではなく、製鉄ダストやスラッジである。このため、還元焙焼処理での原料コストや設備コストは高炉と比べ安価で、還元にともない消費されるエネルギー量や排出される炭酸ガス量も高炉よりも抑制できると期待される。
【0006】
ただし、製造される還元鉄には粉粒状品も含まれる。粉粒状の高炉用原料が高炉に装入されても、トラブルが発生しやすい。そのため、粉粒状の原料は、高炉に投入される前に塊成化される必要がある。還元鉄を塊成化する方法として、ダブルロール型成型機を用いて還元鉄原料を熱間ブリケット化する方法が知られている(例えば、特許文献3)。還元鉄原料を熱間ブリケット化する際、原料の温度は例えば700℃程度とされる。また、高炉用原料を塊成化する他の方法として、原料にバインダーを添加する方法も知られている(例えば、特許文献4)。典型的なバインダーとしては、強度を発現させやすいポルトランドセメント等が用いられる。
【0007】
さらに、上述した製鉄ダストやスラッジ等の安価な原料を用いて、強度の高い高炉用原料を製造する技術が知られている(例えば、特許文献5)。特許文献5には、鉄分の総含有率が50質量%以上であり、かつ含有する鉄分に対する金属鉄の質量比(鉄の金属化率)が0.35以上である原料から、塊成化物(高炉用原料)を製造することが記載されている。鉄の金属化率とは、鉄分の総含有率(質量%)に対する金属鉄の含有率(質量%)である。特許文献5には、金属鉄を含む原料(粉粒状物質)を冷間で塊成化した後、水浸・静置処理を行うことにより粉粒状物質中の金属鉄の一部が酸化結合し、得られる塊成化状高炉用原料の強度が高くなる、と記載されている。特許文献5では静置処理により一部の金属鉄が酸化した後の金属鉄の質量比が0.35以上と記載されている。したがって、特許文献5において、静置処理前、すなわち金属鉄の一部が酸化される前の粉粒状物質の金属化率が0.35以上であることは必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特公平2-47529号公報
特許第5770118号公報
特開2008-127580号公報
特開2003-342646号公報
特許第5512205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献5では、原料である粉粒状物質中の金属鉄が酸化結合して強度を発現する。そのため、特許文献5では、粉粒状物質の金属鉄の含有率が低い場合、得られる高炉用原料は、高炉装入物として使用できる強度を有するとは言えない。具体的には、上述した通り、鉄分の総含有率が50質量%以上であり、かつ鉄の金属化率が0.35以上という条件を満たす原料を用いないと、高炉用原料の強度が高炉操業上必要な値に達しない。しかしながら、安価な原料(粉粒状物質)の中には、特許文献5で規定する条件を満たさないものが多く存在する。そのため、そのような条件を満たさない原料、具体的には金属鉄の含有率が低い原料を用いた場合であっても、高炉で使用可能な程度に高強度な高炉用原料を製造することが求められている。
【0010】
本開示の目的は、金属鉄の含有率が低い原料を用いた場合でも、高炉で使用可能な強度を有する塊成化状高炉用原料を製造することができる、塊成化状高炉用原料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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