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公開番号2025143960
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-02
出願番号2024043494
出願日2024-03-19
発明の名称産業資材シートの製造方法、及びテント膜構造物の縫製方法
出願人平岡織染株式会社
代理人
主分類D06M 11/83 20060101AFI20250925BHJP(繊維または類似のものの処理;洗濯;他に分類されない可とう性材料)
要約【課題】ターポリン、帆布などの断面からの雨水の浸透防止効果、及び防黴、防藻効果と、その持続性に優れた産業資材シートの(製造方法の)提供、及び、これらの産業資材シートを縫製してなるテント膜構造物の(縫製方法の)提供。
【解決手段】1)フッ素原子非含有樹脂エマルジョン、及びカルボジイミド化合物(エチレンオキサイド部位を有する)エマルジョン、及び特定の希釈水(銀イオン水、銅イオン水、及び有機防黴剤含有水から選ばれた1種以上)を必須とする混合溶液を調製する工程、2)マルチフィラメント糸条の交絡で製織された織物全体に、混合溶液の乾燥物を1~7.5質量%付着させる工程、3)乾燥物付着織物の表裏に熱可塑性樹脂組成物による防水被覆層を形成し、乾燥物付着織物を隠蔽して産業資材シートとする工程により、産業資材シートの裁断面に露出する糸条の断面からの水の内部浸透を20mm長以内で停止するようにする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
1)フッ素原子非含有樹脂エマルジョン、及びカルボジイミド化合物(エチレンオキサイド部位を有する)エマルジョン、及び希釈水(1~50ppm銀イオンを含有する水、1~50ppm銅イオンを含有する水、及び0.05~1質量%濃度の有機防黴剤を含有する水から選ばれた1種以上)を必須とする混合溶液を調製する工程、
2)マルチフィラメント糸条の交絡で製織された織物全体に、前記混合溶液の乾燥物を付着させ、その付着量を前記織物の目付量に対して1~7.5質量%とする工程、
3)乾燥物付着織物の表裏に熱可塑性樹脂組成物による防水被覆層を形成し、前記乾燥物付着織物を隠蔽して産業資材シートとする工程を含み、
前記産業資材シートの裁断面に露出する前記糸条の断面からの水の内部浸透(JIS K6404-3-16 A.インク法)を20mm長以内で停止することを特徴とする産業資材シートの製造方法。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
前記織物が、長繊維マルチフィラメント糸条のみ、または短繊維紡績マルチフィラメント糸条のみで製織された50~400g/m

の目付量、もしくは前記長繊維マルチフィラメント糸条と短繊維紡績マルチフィラメント糸条の併用で製織された50~400g/m

の目付量である請求項1に記載の産業資材シートの製造方法。
【請求項3】
前記長繊維マルチフィラメント糸条が、1.25~4デニールの有機系長繊維フィラメントの集合束、または直径2.5~10.0μmの無機系フィラメントの集合束であり、前記短繊維紡績マルチフィラメント糸条が、1.25~4デニールの有機系フィラメント短繊維の集合束である請求項2に記載の産業資材シートの製造方法。
【請求項4】
前記混合溶液が、アルコキシシラン化合物をさらに含み、その含有量が前記乾燥物に対して7.5~35質量%である請求項1~3の何れか1項に記載の産業資材シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の製造方法により得られた産業資材シートを用いるテント膜構造物の製造方法であって、
1)前記産業資材シートを裁断し、複数の裁断パーツを用意する工程
2)前記裁断パーツ同士の端部を特定幅で重ね合わせ、熱圧着、または高周波溶着により接合して多数の連結部を形成してテント膜構造物とする工程を含み、
前記連結部に含む、前記産業資材シートの裁断断面に露出する前記糸条からの水の内部浸透(JIS K6404-3-16 A.インク法準拠)が20mm長以内で停止することを特徴とするテント膜構造物の縫製方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ターポリン、帆布などの産業資材シート、及びこれらを用いてテント膜構造物に関する。より詳しくは、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、日除けテントなどのテント膜構造物において、その構成物である産業資材シート断面からの雨水の浸透防止効果と、その防黴・防藻効果の持続性に優れるテント膜構造物、及びこのテント膜構造物を構成する産業資材シートに関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、日除けテントなどのテント膜構造物に用いられる産業資材シートは、ポリエステル繊維糸条による織物を基材として、その表面に軟質塩化ビニル樹脂層を形成して製造される、厚さ0.3~1.2mm、幅0.9~2.5m、程度のターポリン、帆布などの防水シートである。これらのターポリン、帆布などは、幅と長さが規定値にスリット加工されたロール反物で流通し、これらのスリット断面には、基材の織物の断面(糸条の断面)が露出した状態である。テント膜構造物は、これらの産業資材シートをパーツとして、これらを複数繋ぎ合わせて面積拡張する縫製が行われ、この縫製は熱融着によるラップ接合(シート材端部をのり代として、のり代同士を重ね合わせた状態で軟質塩化ビニル樹脂層を溶かして接着)で、この接合部の断面には、織物を構成する糸条の断面が露出した状態となっている。この糸条は、長繊維マルチフィラメント糸条、短繊維紡績マルチフィラメント糸条などの、多数のフィラメントの集合束が用いられており、糸条断面が露出することによって、糸条断面から雨水が毛管現象で奥深く染み込み、シート材内部に汚れた雨水が残留することで黴や藻の繁殖トラブルに発展している。この雨水の染み込みは、接合部断面だけではなく、産業資材シートの摩耗、傷穴、などの破損部からも生じるトラブルである。このような産業資材シート内部に発生した黴や藻は除去困難で、膜構造物内外の外観、透過光ムラに影響し、また悪臭の原因となっている。
【0003】
このような雨水の毛管浸透を防ぐ手段として、フッソ樹脂系撥水剤を付着する布帛両面に塩化ビニル樹脂被覆層を設けたテント地(特許文献1)、弗素系撥水剤あるいはシリコン系撥水剤が付与された基布の少なくとも片面に熱可塑性樹脂が被覆された膜材(特許文献2)などが挙げられ、何れも布帛(織編物)を撥水性とする手段が毛細管現象の抑止に効果的である。特にフッ素系化合物は、繊維材料に高い撥水性を付与する撥水成分として多用されているが、撥水剤中に不純物として含むPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(パーフルオロオクタン酸)には、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、地球規模で水、土壌、大気、動植物に蓄積され、人体(肝機能低下、発がんなど)、動植物の生息・生育に影響を及ぼす可能性が国際的に問題視され、PFOSやPFOAの廃絶の経緯(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)となり、日本では製造・輸入等を原則禁止する経緯となった。その結果PFOSやPFOAを含み得ないC6系フッ素系化合物(特許文献3)などに推移したが、昨今ではフッ素系化合物全般の残留・蓄積を根絶するために、シリコン系化合物、炭化水素化合物などの非フッ素系撥水剤(特許文献4、5)などに置換する世界的動向となっている。しかしながら、撥水性、撥水効果の持続安定性(耐洗濯性)など、あらゆる性能面でフッ素系撥水剤と同等の非フッ素系撥水剤代替は困難で、非フッ素系撥水剤に架橋性有機化合物などを併用し、性能バランスを補う試み(特許文献6、7)が種々検討されている。
【0004】
しかしこれらの発明は、衣類布地の防水、撥水性を主目的とするもので、布地に直接水を垂らして、その撥水性(SR)を評価、特定の洗濯条件で10回、または20回洗濯した後の撥水性(SR)評価、さらには180℃でアイロン掛けした後の撥水性(SR)を評価する内容である。これに対して屋外で使用される産業資材シートは、織物に樹脂加工(例えば軟質塩化ビニル樹脂)が施されたターポリン、帆布であるため防水性能に特化して優れている。但しシートの裁断面(接合部)に僅かに露出するマルチフィラメント糸条からの雨水の浸透防止を施す必要があり、これにはマルチフィラメント糸条特有の毛細管現象を封止する技術と、その適切な評価方法が必要である。これは、特許文献に開示された衣類の表面に撥水性を付与する技術、及びその評価方法とは内容を異とするもので、特許文献に開示された方法の単なる転用でマルチフィラメント糸条特有の毛細管現象を封止することは容易なものではない。特に産業資材シートは、テント膜施工物が風でのはためき、雨粒の衝突、積雪荷重など、自然界のストレスを長期間受けることで、マルチフィラメント糸条の集束が経時的に緩むことで、毛細管現象が助長してシート内部に雨水が浸透し、シート内部に黴や藻が発生するという産業資材シート特有の問題がある。従ってテント膜構造物用の産業資材シートとして、産業資材シート断面、破損部などからの雨水の浸透防止効果と、その防黴・防藻性に優れ、その持続性にも優れた産業資材シート、及びテント膜構造物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平5-34093号公報
特開平9-183188号公報
特開2010-229593号公報
特開2020-189980号公報
特開2023-57061号公報
特表2018-506656号公報
特開2019-533732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ターポリン、帆布などの断面からの雨水の浸透防止効果、及び防黴、防藻効果と、その持続性に優れた産業資材シートの(製造方法の)提供、及び、これらの産業資材シートを縫製してなるテント膜構造物における接合部断面からの雨水の浸透防止効果、及び防黴、防藻効果と、その動的耐久持続性にも優れたテント膜構造物の(縫製方法の)提供を課題とする。この課題の解決により、大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、日除けテントなどのテント膜構造物などにおいて、長期間美麗な外観を保持することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はかかる点を考慮し検討を重ねた結果、本発明の産業資材シートの製造方法は、
1)フッ素原子非含有樹脂エマルジョン、及びカルボジイミド化合物(エチレンオキサイド部位を有する)エマルジョン、及び希釈水(1~50ppm銀イオンを含有する水、1~50ppm銅イオンを含有する水、及び0.05~1質量%濃度の有機防黴剤を含有する水から選ばれた1種以上)を必須とする混合溶液を調製する工程、
2)マルチフィラメント糸条の交絡で製織された織物全体に、前記混合溶液の乾燥物を付着させ、その付着量を前記織物の目付量に対して1~7.5質量%とする工程、
3)乾燥物付着織物の表裏に熱可塑性樹脂組成物による防水被覆層を形成し、前記乾燥物付着織物を隠蔽して産業資材シートとする工程を含み、
前記産業資材シートの裁断面に露出する前記糸条の断面からの水の内部浸透(JIS K6404-3-16 A.インク法)を20mm長以内で停止することによって、産業資材シートの断面からの雨水の浸透防止効果、及び防黴、防藻効果と、その耐久持続性にも優れた産業資材シートが得られること、また大型テント(パビリオン)、サーカステント、テント倉庫、建築空間の膜屋根(天井)、日除けテントなどのテント膜構造物にこれらの産業資材シートを用いることで、接合部断面からの雨水の浸透防止効果、及び防黴、防藻効果と、その動的耐久持続性にも優れることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の産業資材シートの製法方法は、前記織物が、長繊維マルチフィラメント糸条のみ、または短繊維紡績マルチフィラメント糸条のみで製織された50~400g/m

の目付量、もしくは前記長繊維マルチフィラメント糸条と短繊維紡績マルチフィラメント糸条の併用で製織された50~400g/m

の目付量であることが好ましい。これによって、フィラメントの表面、及びフィラメント間に付着する乾燥物の付着量が特定され、産業資材シートの裁断面に露出する糸条の断面からの水の内部浸透(JIS K6404-3-16 A.インク法)を20mm長以内で停止させる。
【0009】
本発明の産業資材シートの製法方法は、前記長繊維マルチフィラメント糸条が、1.25~4デニールの有機系長繊維フィラメントの集合束、または直径2.5~10.0μmの無機系フィラメントの集合束であり、前記短繊維紡績マルチフィラメント糸条が、1.25~4デニールの有機系フィラメント短繊維の集合束であることが好ましい。フィラメント径がこれ以上に大きいと、フィラメント間の隙間が比例増大し、毛管現象による水の侵入を抑止することが困難となることがある。
【0010】
本発明の産業資材シートの製法方法は、前記混合溶液が、アルコキシシラン化合物をさらに含み、その含有量が前記乾燥物に対して7.5~35質量%であることが好ましい。これによって、雨水の浸透防止効果、及び防黴、防藻効果と、その耐久持続性を向上させることができ、特にガラスフィラメント、シリカフィラメント、アルミナシリカフィラメント、バサルトフィラメントなどの無機フィラメントに対して効果的となる。
(【0011】以降は省略されています)

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